「ここまで来ると、俺のステータスは幸運Eか?」
「おいおい、その槍持ってて言う言葉かよ」
「まさか…お前がドルイドの真似をするとはな!クー・フーリン!!」
「けっ!叔父貴もなんだよそれ、別にドルイドだろうが良いだろうが!」
キャスター兄弟子とレイシフトに成功したのだが、何故か目の前にフェルグス・マック・ロイが部隊を率いて立っていた。
「それで、そちらの御仁は誰だ?」
「俺の弟弟子だよ、師匠に俺以上にしごかれたな!」
「……なら、我等の軍に来るか?ケルトの戦士なら、共にな」
確かに、尊敬するアルスターいやケルスの戦士達は敵なのか味方なのか。
案外そちらに付けば目的は達成することができるかもしれない。
だが、どう見てもケルト陣営は人理修復を邪魔するアイツらによって……まぁ、敵だろう。
「待て、なぁ叔父貴。もしかしてだ、メイヴ居るのか?」
「あぁ、我等の女王だな。そして……やはりか、クー・フーリン」
「生憎だな、俺は彼奴が嫌いだ。それにだ……今は、この弟弟子のお目付け役なんでな」
「俺もだ、フェルグス・マック・ロイ。では言おう…その心臓、貰い受ける!」
地面はえぐれ、彼のカラドボルグがゲイ・ボルグを受け止める。
「ふっ…一本受け止めたぐらいでな……哀れだ」
俺がフェルグス・マック・ロイを狙ったのはあえてだ。事前にもう一本を投擲し、邪魔なケルト兵達を殺す。
「ほう、流石だな。だが」
「ちぃ…ベラカナ!」
ルーン魔術であたりを焼き払ったのだが、ソレをフェルグスはカラドボルグで打消す。
「流石セイバーか!いやはやなんとも……殺しがいのある!!」
「クー・フーリン!良い弟弟子だな!!俺も危ないぞ!!」
「ちぃ…叔父貴と弟弟子の邪魔するなよな!魔力貰うぞ!燃え盛る木々の巨人、焰の檻となれ!『灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)』!」
ケルトの兵士達が燃える、ドルイドであるクー・フーリンだが、その実力はキャスターでも引けを取らない。
「行くぞ!フェルグス・マック・ロイ!!!」
「あぁ……クー・フーリンの弟弟子よ!!」
「螺旋、準備!」
「真の虹霓(こうげい)をご覧に入れよう!
『虹霓剣(カラドボルグ)』ゥゥッ!!」
「行くぜ…俺の……俺だけの。
その命、我が槍の贄となれ。
裂き穿つ、抉り穿つ…
『穿き穿つ死翔の槍
(ゲイ・ボルグ・ダブル)』」
因果逆転の魔槍が俺の手を離れる。
このままフェルグスを倒せる。
彼の宝具では俺を倒すことはできないのだから。
「流石だな、クー・フーリンの弟弟子よ」
「………」
肉体の半分がえぐれ、立つこともままならない。
一撃で殺してほしかった。
「因果逆転の槍、それを持つにお前は相応しい。クー・フーリン、次は共に戦おう」
「あぁ…叔父貴」
フェルグスが退去したと同時に俺の身体が火に飲まれる。
そして、新たな肉体として再生した。
「不死身の身体かよ」
「80年だけですよ、それに……痛みもある。今回は恐ろしい。ゲイ・ボルグを理解しているから共に死ぬことを選んだ。この、呪いが無ければ……」
「あぁ…弟弟子、彼奴と」
「父上!大丈夫ですか!!」
「コンラ兄弟子、音量が……」
「あっ…ごめんなさい、リョウマ弟弟子」
「てまぁ……コンラ、安心しろ。何つっても俺達は3人のクー・フーリンだぞ?メイブなんかに負けるかよ」
「はい!父上!」
「だから、お前も俺とお前の弟弟子の勇姿を見ろ、こいつはスカサハを殺しに来たんだからな」
「……リョウマ弟弟子。スカサハ先生は強いです」
「……」
存じています。とは言わない、コンラ兄弟子はあの時代で教えを受けていたのだから。
『……できる事ならブリューナクを貸したいです、でも、それはできないでしょう。だから、だからコンラは弟弟子の為に言います。この地がケルトに侵蝕されたのなら、お祖父様が見ておられるはずです!父上が居て、父上と同じ魔槍を持つ貴男なら、お祖父様から認められることも出来るはずです!だから……諦めないで下さい』
俺はゲイ・ボルグを地面に刺し、感謝する。
兄弟子からの激高、それを受けて尚、倒れるわけには行かない。
「では行きましょう、クー・フーリン。先ずは、藤丸少年と藤丸少女と合流だな」
『ソレが不味いんだ!リョウマ君!リッカくんとリツカちゃんが捕まって』
ロマニ・アーキマンからその報告を聴き、休む間もなく動く。
そして、二人の元へ魔力を頼りに向かったのだが………
「ククッ……クハハハハハハハハハハハハハハハ。まさか………まさか………施しの英雄か!あぁ……よりにもよって……よりにもよって貴様かぁァァァ!!!!カルナァァァァァ」
「何者だ、その気迫、只者ではないな!」
クソだ……クソだ、クソだ。
こいつは勝てない、勝ち筋がない。
「……クー・フーリン。この男の真名はカルナ。マハーバーラタニおける大英雄にして、スーリヤの子」
「まさか………ケルト軍がここまで。良いだろう」
「………冗談ではない!!だが……不死身の呪いなら、殺せるはずだ」
「そうか……不死……こい…ケルトの戦士よ」
『リョウマ君!やめるんだ!相手は』
「逃げられるものかよ」
通信から聞こえてくるロマニ・アーキマンの叫びを無視する。
勝てる勝てないではない、やらなければならない。
「こい………ランサー!!!」
「征くぞ、ランサー!!」
ゲイ・ボルグとカルナの槍がぶつかり合う。
その度に衝撃が走り、辺りが揺れる。
「キャスター!!!」
「ちぃ…アンサズ!!」
「くっ!」
クー・フーリンのルーン魔術を受けたカルナが距離を開く。すぐさま両手にゲイ・ボルグを持ち二槍流にて連続の突きを放つ。
「今わかった、貴様、生きているな」
「しれたことぉお!!」
冷静なカルナへ掠り傷があるものの、大きなキズはついていない。
対して、リョウマの肉体はカルナよりも多く傷付き、疲弊している。
「…真名解放、
『抉り穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルグダブル)』」
両手カルナに向かい槍が投げられる。
俺は即座にカルナに向けて蹴りを放つ。
「グハッ」「何が」
左足が貫かれ、そのまま千切られ、捨てられる。
俺は自害用のナイフをすぐさま心臓に付きたて、蘇生する。
「ごぶっ……くそ、まだか」
古い血を吐いて手に戻ったゲイ・ボルグを見るが、カルナを穿いては居るが殺しては居ない。
「因果逆転の槍だが、我が父、スーリヤの加護を打ち消す事は叶わん」
「………おい、弟弟子、どうする」
「フェルグスからの連戦と宝具の連続使用。身体も、魔力もボロボロでしてね、ゾンビアタックしても、相手は手負いとは言えスーリヤの息子カルナ。部が悪すぎる」
『リョウマ君!』
「くくっ……見えた!見えたぞ!!水の一滴!!!」
ソレは一種の境地である、揺るぎない水面。
動きのない、平面。
「おい……弟弟子」
「………兄弟子、藤丸少年と藤丸少女と合流を」
「……わかった、必ず来いよ」
クー・フーリンは武人である。
クー・フーリンは戦士である。
ソレはドルイドであっても変わらない。
クー・フーリンは感じ取ったのだ。
自身のマスターである弟弟子から立ち上る闘気を。
「……行かせるか、カルナ」
「今、俺は感謝している。お前という戦士と相見える事に。クシャトリヤとして、一人の男として」
「……俺もだ、この場にいないが、この闘い。我妻に捧げん」
「ならば、この闘い、我が父、スーリヤに」
二人の武人の闘気が上がる。
『凄い、こんなの並のサー』
『黙れロマニ・アーキマン。静かに見届けよ、我が夫の勇姿を』
「カルナ」「リョウマ」
「いざ」「参る」
音速を越え、ソニックブームが巻き怒る。
二人がぶつかった位置の地面が砕け、クレーターが生まれる。
「……」「………」
カルナの槍と朱色の魔槍がぶつかり火花が飛び散る。辺りには何もない、誰も居ない。
観客も無く、武を魅せる相手もなし。
だからこそ、二人は燃え上がる。
「シッ!」「ツェァ!」
激しいぶつかり合いと、悲鳴をあげる肉体。
サーヴァントでない、人間である。
死ねば疲労もないが、そんな事をカルナは許さない。そして、リョウマの戦士として、武人としてのプライドが許さない。
「ごぶっ……」
カルナの槍と打ち合い、弾かれる。
肉体が上げる悲鳴すら隠し、何度も。
「クシャトリヤとして、お前という戦士に敬意をアルジュナの真似事ではないがな……我が身を呪え、『梵天よ、我を呪え(ブラフマーストラ・クンダーラ)』!!」
その時、俺の目の前が真っ暗となった。