提督が鎮守府に着任しました!これより艦隊の指揮に…え?この基地艦娘いないの? 作:エタノールの神様
1939年、世界は阿鼻叫喚に包まれた。
謎の武器を携えた少女達が水中より現れ、見境なく船を沈め始めた。
彼女らは民間船のみならず、恐れを知らないのか軍艦さえも攻撃し、なんとそのほぼ全てを沈めてしまった。地球のほぼ全ての制海権を手にした彼女らは、ついに陸地に上陸し始め、世界中の島々を静圧し占拠、ついにはオーストラリア大陸さえも奪い取ってしまった。
そして彼女らの魔の手は大大陸にも及び、アフリカ大陸の大半が奪われ、ユーラシア大陸は中国の都市部がなんとか持ちこたえ、ソ連は寒さのお陰か魔の手は及ばず、ヨーロッパはドイツとイタリアが防戦を続けている状況だった。南北アメリカ大陸はアメリカのチートパワーをもってしても防戦一方で、沿岸部の防衛をあきらめて地上防衛戦に移行していた。
極東の島国日本もその例外ではなかった。遠洋の離島はほぼ全て奪われ、さらには沖縄本島や硫黄島も占拠された。関門海峡や瀬戸内海に架かる橋は全て落とされ、瀬戸内海に潜水する少女が潜むようになったため四国への往来ができなくなった。
そしてその少女らは、その恐ろしさからいつしか「深海棲艦」と呼ばれ、世界中から憎悪を向けられた。
一方その頃日本では、小さな人型の生き物が町工場などに出没して機械をかってに使っているという通報が相次ぐようになっていた。あまりの件数に警察のみでは対処できず、特別高等警察や憲兵隊すらも出動して対応していた。
その小さな人型の生き物はなにかを懸命に作っており、片手でつまみ上げればなにかを必死に訴えていた。いつしかその小さな生き物立ちは「妖精さん」と呼ばれるようになった。そして作られた何かは軍艦の一部をかたどった物のように見えるからか、いつしか「艤装」と呼ばれるようになった。
しばらくすると、この「妖精さん」はもしかしたら深海棲艦を撃退するために必要な武器を作っているのかもしれない、とささやかれ始めた。それを聞き付けた陸海軍はすぐさま基地に妖精さんを招き入れ、造られた艤装を使う訓練を始めた。
しかし、どんなに屈強な兵士でも、逆にどんなに貧弱な兵士でも、どんな階級でも兵士でもその「艤装」を扱うことができなかった。どんなに条件を変えても一緒だった。わかったことといえば、陸軍兵より海軍兵の方がわずかに適性があるようであること、地上勤務より元海上勤務の兵の方がわずかに適性があるように見受けられること、そしてなんと、「女性が装備した時の艤装の反応が、男性が装備したときと大きく異なる」こと。
これを元に、政府は艤装に適性のある婦人を求めて女子の徴兵を決めた。さらには幼年学校や予科練への女子の入隊を許可した。
そしてついに、やや大型の艤装に非常に適性のある婦人が見つかった。彼女はその艤装を多少の訓練の後に使いこなし、なんと文字通り海面に立つまでになった。
そして彼女は訓練中に深海棲艦と遭遇、艤装に装備された砲を発砲し、これを撃沈した。発砲時に発生する、屈強な兵士が吹き飛ぶような爆圧にも、全身を複雑骨折するような反動にも何事もなかったかのように耐えた。
そして驚くべきことに、敵の砲撃を受けてもかすり傷程度であった。家屋に当たれば吹き飛ぶほどの威力の砲撃を受けたにも関わらずである。
しばらく大型の艤装に適性のある婦人しか見つからなかったが、婦人の徴兵年齢を16に引き下げると、より小型の艤装に適性のある婦人が大量に見つかるようになった。
軍艦の一部をかたどったような艤装を身につけて戦う婦人兵士たち。いつしか私たちは、彼女らを「艦娘」と呼ぶようになった。
そして、彼女らは各鎮守府に配属され、専門の部隊、「艦隊」を編成して深海棲艦との戦闘に従事するようになった。
そして、成績が非常に優秀で、対深海棲艦には特別な考え方ができ、婦人に対して如何わしい行為を働くことが絶対に無いと見込まれる人物が選抜され、佐官までの教育を受けて、その司令官となった。
これはその司令官の一人である、高谷悠祐少佐の物語である。