やはり俺の加速世界は間違っている   作:亡き不死鳥

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ふーでやーすめー。
中身皆無のダラダラ幕間を書きたい、書いた。


リアルの日常

「せーんぱい!退院おめでとうございます!」

 

 

満面の笑みで一色はそう言った。

なんていい笑顔だ。まるで俺への不幸を乗せる方舟のようじゃないか。

笑顔とは本来攻撃的な(ry。

 

 

「…で、なんでいるんだ?暇なの?」

 

「失礼ですねー。

可愛い後輩が忙しい中わざわざきてあげたのに。

ほら、松葉杖突きながら歩くのとか大変じゃないですかー。

だから見守ってあげようかなーと思いまして!」

 

「見守って楽になったら医者も看護師もいらねえんだよ」

 

 

体力低下を防ぐためかどうか知らないが、松葉杖にはそれ本来の機能以外ついていない。

どうせなら機械仕掛けの松葉杖にして転倒防止の機能でも付けてほしいものだ。なんせ運動不足のせいで折ってない方の足への負担が半端ない。

これ家に着くまで保つかな、俺の体力。

 

 

「で、マジで何しに来た?

本当に退院を祝いに来たわけじゃないだろ?」

 

「…はぁ。疑いすぎですよ。

私だって現実では立派な女子中学生なんですよ?

私自身のコミュニティもあれば友情関係だって沢山あるんです。

どっちもない先輩と一緒にしないでください!」

 

「ばっかお前、俺だって友情関係の一つや二つ…」

 

「あるんですか?」

 

「………ないです」

 

 

一瞬材木座の顔が頭をよぎったが、別にあいつ友達でも何でもないしな。ただの知り合い、むしろ知らないまである。

 

 

「えーと、結局私がここに来た理由でしたっけ?

これから小町ちゃんと遊ぶ予定だったんですけど、思ったよりも時間が空いてしまったのでどうせならって思って来たんですよ。

可愛い後輩に退院した瞬間に会えるなんて、先輩は相当の幸せ者ですからね」

 

「あー確かに。

家族ですら退院祝いどころか入院中のお見舞いにすら全然来なかったことを考えるとお前でも可愛く思えてくるから不思議だわ」

 

「まあ私は元々可愛いですからね!

ていうか突然なんです、今の口説いてるんですか?

ごめんなさい狙い過ぎで気持ち悪いので無理です」

 

「ちげえよ。

他の奴よりマシに見えるってだけだ。

他の奴自体そもそもほとんどいないけど」

 

 

そして可愛いの頂点である小町と比べてしまえばお前は足元にも及ばないと断言しよう。

天使モードのニコと比べてようやく届くかもというところだ。あれ、結構高くない?

どっちもあざとい所とか裏がありありな所とか共通点が多いからかな。むしろ堕天使モードのニコより大人しそうだから相対評価が上がってる可能性が微レ存。あとなんで俺日常会話の中で振られてるのん?

 

 

「……あら?比企谷さん?」

 

「え?」

 

「ん?」

 

 

テッコテッコ松葉杖を突きながら一色と歩いていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてくる。

俺の後ろに立つなあぁああ!と言ってみたいところだが、なんか後ろの威圧感が少しばかり大きいので辞めておくことにする。命拾いしたな!俺が!

 

 

「…倉崎先輩か。ども」

 

「ええ、こんにちは比企谷さん。

それと…」

 

「初めまして!

一色いろはっていいます!先輩の後輩で、今先輩が危なくないかお世話してたところなんですよー」

 

「そうでしたか。

初めまして、倉崎楓子といいます。

仲睦まじいようでしたのでお話に聞く妹さんかと思いました」

 

「こいつは妹じゃない。

俺の妹はこいつの数万倍可愛い」

 

「………それ本人の前でいいます?」

 

「あらあら」

 

 

不満そうな一色を捨て置き、倉崎先輩の姿を見る。

制服ではなく清楚な私服姿で自然に立つ姿は思わず目を吸い寄せられるが、倉崎先輩の学校はこっち方面ではないはずだ。

ということは何かしら用事があることは間違いない。黒雪から修学旅行後に倉崎先輩との和解を果たしたことは聞いているので、恐らくそっち関係だろう。

ならこんな所で時間を無駄にさせるのも無粋だろう。

 

 

「…んじゃ、俺は小町のいる我が家に帰るんでな。

またな倉崎先輩」

 

「こーら、待ってください。

なんでせっかく会ったのにすぐ別れようとするんですか。

久しぶりに会えたんですよ?もう少し比企谷さんと私もお話したいんです」

 

「いやあ、ほら、俺足折ってるから立ってるのも辛いから早く帰りたいなーと」

 

「それについてもです。

なんで知らせてくれないんですか?

聞いていたらお見舞いに行ったのに」

 

 

……え、怪我した時って周囲に拡散するものなの?

昔から病気の時も見舞い人どころか家族すら気にしてくれる人が全然いなかったから、最初から最後まで自分一人で完結してたのでそういう経験なんてなかったんだ。

いや、黒雪のような有名人にいたっては本人の目が醒める前から入院の事実が広がってたし、状況次第かもしれない。

あれ、でも俺も事故ったよな?

比企谷が事故ったってよ!比企谷?誰?で終わる俺マジパネぇ。

 

 

「えーと、先輩。

私にも説明して欲しいんですけど。

こちらの方と先輩ってどういう関係なんですか?

まさか、かのじ…」

 

「ない。ありえん。

ちょっとした関わりがあるただの知り合いだよ」

 

 

女子はすぐ彼氏だ彼女だと騒ぎたがるが、騒がれる方の身にもなるべきだ。

比企谷ってあの子のこと好きなんだってー。えー可哀想ー。とか話してた女子達よ。一番可哀想なのは俺だ。

 

 

「そ、即答ですか…。

それに私は比企谷さんを友人と思っていたのですが…、私だけだったようですね…。残念です」

 

「あー先輩泣かせたー」

 

「いや泣いてないだろ…」

 

 

泣いてはいない。でも少し悲しそうな顔をしているのは間違いないので少々困る。というかなんでそうなるんだよ。なに、俺のこと好きなの?

だが冷静に考えて俺と倉崎先輩の関係といってもイマイチ当てはまるものも特にないだろう。

違うレギオン同士仲間ではなく、一緒に加速世界でお茶したりはしているがそれは友人と言えるのだろうか。

気分的にはファミレスで相席した相手と話があって盛り上がった的な関係なんだが、見下し気味の一色と拗ね気味の倉崎先輩の視線がとても痛い。

多分今そんなことを言えば視線の質がさらにもう一段階下がること請け合いだろう。困った、逃げ道がない。

………よし、覚悟を決めよう。

 

 

「えーあー、じゃあその、なに。

俺と、とも…」

 

 

「でしたらこれから友人になるべく遊びに行きましょう!」

 

 

俺の一世一代の覚悟が口から出てこようとした瞬間、その覚悟は横っ腹から打ち砕かれた。

しかもこの声、可愛く愛らしく可愛らしいこの声を俺が間違えるはずもない。

 

 

「なんでいるの小町ちゃん。お兄ちゃんの退院の付き添いなら少し遅いと思うんだけど」

 

「いろはちゃんから連絡が来たんだ!

綺麗なお姉さんとお兄ちゃんがいい感じだって聞いたら、これはもう妹として合わないわけにはいかないでしょ!

あ、初めまして!

妹の小町です!兄がいつもお世話になってます!」

 

「あら、あなたが噂の妹さん?

聞いていた通り可愛らしいですね。

私は倉崎楓子といいます。お兄さんと仲良くさせてもらってます」

 

「そうなんですか!

兄がいったい何を話してたのかは後で問い詰めるとして、是非是非倉崎先輩とお話ししたいです!

うわーほんとうに綺麗ですね!大人っぽくて小町憧れちゃいます!」

 

「ありがとう。

そう正面から言われると少し照れくさいですね」

 

 

互いを褒めたり俺を貶したりしながら会話の応酬が続いていく。貶してるのは小町ばかりだが。

それにしても流石のコミュニケーション能力、次世代型ハイブリットボッチの異名は伊達じゃない。あの勢いで話し続けたら1日で俺と倉崎先輩が話した合計量越えるんじゃないかな。

というか…

 

 

「おい一色。

よくも余計なことしてくれたな」

 

「感謝してくれてもいいんですよ?

美少女三人に囲まれるなんて先輩の一生で一度あるかないかの奇跡といっても過言ではないですからね。

その機会を恵んであげた私とかまさに救世主、メシアと呼んで崇めても構いませんよ?」

 

「アホか」

 

 

このアホ娘は放っておくとして、このままの流れだとマジでどこかに出かけることになる。

忘れてるのか無視されてるのか知らないが、一応俺の足の骨はポッキリ折れてしまっている。その状態では遠出でなくてもキツイものがある。割と真面目に。

 

 

「盛り上がってるみたいだし俺は帰るぞ。

突っ立ってるだけでも足が辛い。いやマジで」

 

「うーん足だもんねえ。

移動範囲が狭まるのは仕方ないとして…」

 

「おーい小町ちゃんやい。

お兄ちゃん帰りたいんだけど…」

 

「うむむ。そうだ!

いろはちゃん、楓子さん!

ずっと立ち話というのもあれですし、ウチに来ませんか?

兄もこのように家で持て成したいと申してますので!」

 

「え、待って。俺そんなこと一言も…」

 

「あ、でしたら私が送りますよ。

こう見えて私、車の免許を持ってますし今日も母の車を借りて来たんです。

比企谷さんのお怪我の事を伺ったのが昨日でしたので、お見舞いが遅れてしまいましたが…」

 

「むしろ小町的にナイスタイミングです!

今日も両親は夜まで仕事ですので少しくらいなら騒いでも大丈夫ですので、是非ゆっくりしてってください!

いろはちゃんも大丈夫?」

 

「じゃあ私もお邪魔するね小町ちゃん!

あ、それならニコちゃんも呼べばもっと楽しそう!」

 

「いいね!

お兄ちゃんの女性の交友関係大集結!

これは小町的にポイントたかーい!」

 

「お兄ちゃん的にポイント低いよ小町ちゃん…」

 

 

あれよあれよと俺を無視して物事を進めていく女性陣。

しかし倉崎先輩が車で家まで送ってくれるという申し出は正直ありがたい。足の怪我なのに松葉杖突いてる手まで痛くなってきたし。

移動が楽になるメリット、その後の予定を丸々潰されるデメリット。

それらを天秤にかけた場合、いったいどちらに傾くだろうか。

 

 

「お兄ちゃん、行くよ!」

 

「アッハイ」

 

 

答え、天秤ごと小町に持ってかれます。

ちなみに小町も退院した俺に付き添うために近くにいたそうな。

流石にあの短い時間でここまでくるという離れ業はできなかったと納得したが、つまりどうあがいてもこの展開からは逃げられなかったと。

知らなかったのか?大魔王からは逃げられない!

つまり我が妹は大魔王だったらしい。俺は配下のゾンビあたりだろうか。

つまりこれから帰るは魔王城。入ったものは出られません。

家から出ない専業主婦になりたい。

 

 

「お兄ちゃんはーやーくー!」

 

「無茶言うなー」

 

 

まあでも、こうして馬鹿みたいに小町が笑っていられるのなら、こういうのも悪くはない、かな?

 

 

 

 

 

 

 




3,000字くらい一週間で書いたのに、残りで二週間。
書く気が起きなかっただけだけど。
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