Infinitum Exosphere - 無限の成層圏を超えて - 作:一般通行ポーランド空軍士官
さて、昨日までグルジョンツでマリーシャに押し倒されて家系図に加えられないように怯えながら日本語とISの基礎知識学びながら訓練してたわけだが……………
今日になって突然上層部から極東の地、日本にあるIS学園へ入学するようにとのお達しが出たので今から国が用意してくれた政府専用機─軍の戦略爆撃機に自衛武装はそのまま残した上で爆弾倉の撤去と客室の設置や調理室の拡張と改良、冷蔵・冷凍庫の追加によって提供可能な料理の幅を広げたりといった改造を施したもの─に乗って少なくとも8時間と少々の長距離飛行になるわけだ。
全く素晴らしくなってくるね、そして極東の地に行くのは俺一人だけじゃなくモドリン要塞で合流した副官のクリシャもといクリスティナ・ヤドヴィガ・コヴァルスカ騎兵大尉と従兵のバーシアもといバルバラ・モツヌィと共に飛ぶことになったとさ。
そしてマリーシャのあんちくしょうは俺を家系図に組み入れられなかったことを嘆いていたがこれは組み込まれずに済んだと喜ぶべきだろうな、ざまあみろ!無理やり組み込もうとするから逃げられるんやぞ!
今は搭乗検査等を速攻でパスしたので専用機の搭乗時間が来るまで政府専用機搭乗者専用のラウンジで待っているわけだ。
「ふぅー…………色々とあったなぁ…………」
「大佐の方は何かあったんですか?」
「俺か?俺はなぁ…………マリーシャに押し倒されて家系図に組み込まれそうになったりとかそんなとこだよ」
「…………家系図…………?」
「まあ分かりやすく噛み砕けば戦友で同じくエースパイロットのマリア・エミリア・シチボル=リルスカってやつと一度模擬戦をしたらなんでか興奮し出して家系図に組み込まれろとか責任取れとか言われたんだよな……………」
「…………流石に火遊びをするのは如何なものかと……………」
「ああうん、火遊びか……………それで燃やしたのは情熱とか愛情の炎なんかじゃなくて終始火薬なんだがなぁ……………」
「………………?*1」
「えぇっと……………?それで…………結局無事にやり過ごせたんですか?」
「そうでなければ今ここでお前らと駄弁ってないだろう?」
「それもそうですね、それでは時間になりましたので搭乗口まで移動しましょう」
「はいはい。バーシア、移動するぞ!」
「了解、大佐に追従します」
クリシャの先導でボーディング・ブリッジへ向かい、そのまま機内へ足を踏み入れる。中に入れば内装はおおよそ通常の旅客機どころか地上の高級ホテルと比較しても遜色ないレベルの調度品が備え付けられており、クリシャの方に目をやると余りの好待遇に萎縮しきっていた。そしてバーシアはいつも通りの無表情。そしてそのまま席に座ってシートベルトを装着し、離陸を待つ。
「一応伝えておくべきこととして、大佐の配属されるクラスに私は副担任として配置されます」
「そうなのか?だとしたらちょっとむず痒くなってくるな……………」
「まあ、すぐに慣れますよ。もしかしたらこれ以上にインパクトのあることも起こり得るでしょうし」
そんなもんだろうか、そう思いながら離陸するのを待ちながらスケッチを描く。
暫くの間は帰れないであろう故郷の風景を忘れぬように、故郷と共にあり続けることができるように。
「大佐は今でも絵を描くんですか?」
「これは絵じゃない、スケッチさ。戦時中はスケッチするのが精一杯だったから、今は平和を謳歌するために筆を動かすのさ」
「そうなんですか?それにしても美しいですね………………これどこの風景なんですか?」
「俺の故郷にして、シャレ=グルスキ家の正当な領地のシャレ=グルィ村を実家の塔から見下ろしたものさ」
「…………完成するのが待ち遠しいですね」
クリシャが座っていた席から身を乗り出してスケッチブックを覗き込もうとしたので、描き途中のスケッチを見せる。とりあえず日本に到着したらこれを描きあげたいものだ、画材もちゃんと全て用意してあるので時間さえあれば故郷を描くのを進めよう。
そうしてスケッチをしていたが、離陸するとの案内があったので一旦スケッチブックと鉛筆を拡張領域に収納する。
「はぁ…………懐かしい感覚だ……………また自由に航空機で空を飛びたいね………………」
「少なくともIS学園が休暇の時に帰国して技量維持を名目にして飛ばしたらどうです?」
「そうするよ。まあ、何はともあれ今は日本に到着するのを待つだけさ」
少しずつ速度が上がり、機首は角度を上げて懐かしの浮遊感を感じながらも少しずつ祖国の大地から離れてゆく。
さらば祖国よ、私は必ず戻る。だからどうか待っててくれ。