Infinitum Exosphere - 無限の成層圏を超えて -   作:一般通行ポーランド空軍士官

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Sekcja 20. 如何にして織斑少年はぶっつけ本番で代表決定戦に挑むことになったのか

 

 

2042年4月13日

 

日本国沿岸 人工島 IS学園

 

 

さて、俺は日曜日の今、第1アリーナで席に座りながら1組の代表決定戦開始を待っているわけだが…………これ時間大丈夫か?戦うこともなく機体が届かず時間切れで負けましたとかちょっと悲しすぎるぞ、せめて1秒だけでも飛んでから負けた方がまだマシじゃないかなこれ………………

 

「なぁクリシャ、織斑少年の専用機はいまだに届いていないのか?」

「はい、どうやらそのようです」

「えぇ…………納期遅れとかもう仕事辞めた方が良いんじゃねえの?」

「………まぁ、企業としては落第も良いところですよ。他じゃあ契約を打ち切られたっておかしくないですし。更に付け加えれば織斑少年の専用機製造を担っている"倉持技研"は現在1年4組に在籍する日本代表候補生の専用機製造を放棄して織斑少年の専用機を製造したようですね」

「ボクちょっと思う所があるんですけど、なんで他に倉持とやらは他の企業に委託とかしなかったんでしょうね?」

「案外行き当たりばったりで適当にやってたとかそんなとこじゃない〜?」

「…………なんかあり得そうなのが怖いんだケド…………」

「あ、なんか違う機体が出てきた!」

「ほーう…………あれが織斑少年の専用機か…………だが動きが覚束無いようだな」

「確か織斑君は剣道だけしてたと聞きました、ISの訓練はやっていないようですね」

「うーん…………まだなんとか動かせてるだけ未訓練の新兵としてはマシな方かもな……………普通の未訓練新兵は墜落とか普通にありえるし…………」

「とりあえず…………この状況だとあのセシリア・オルコットが勝つんだろうね、僕としてはあのササナックには負けて欲しいんだけど!」

 

こいつは一応教員なので何か情報があるだろうかと思いながらクリシャに織斑少年の専用機は届いているのか聞く。どうやら専用機は届いてないらしい、企業として情けないと思わんのか?

まあ実際織斑少年の専用機を製造した企業"倉持技研"はあまり良い企業とは言えないと断言する証拠材料がクリシャからもたらされたのだが。流石に専用機作れないぐらいなら外注したらいかがです?それとも無駄に高いプライドで外注できないとかですか?代表候補生ちゃんかわいそう。

そんな俺らの会話は他の"インテルマリウム"の面子や5組代表のアリソンに3組の2人にも聞こえていたようで、各々"倉持技研"をネタに噂話をしていた。

しかしそんな会話もクロエが青とはまた別のISがアリーナに出てきたのを指差しながら伝えてきたので終わりを迎える事となったが。

とはいってもあの灰色のようなIS─織斑少年の専用機─はふらついて操縦に不慣れであることを物語っており、この時点で最早勝敗は決しているようなものだが。

だとしても俺としてはまだなんとか動かせているだけ、訓練すらしていない新兵よりはマシだと思うがな。実際新兵でも役に立つかどうかは別として一応数合わせにはなるし。そしてスコットランド人はスコットランド節を炸裂させていた。

 

「ふーむ、当然だが織斑少年は被弾し続けているか。とはいっても初心者に完璧な戦闘軌道なんて望むもんでもないがな」

「でも少しずつ避けて行ってますね、助言を思い出したんでしょうか?」

「そうだろうな…………っと、やるじゃねえか!あいつ本当に未訓練の初心者か?それなりに訓練してたと聞いても俺は驚かねえぞ?」

「へぇ…………これは非常に興味深いですね…………」

 

とはいっても少年もただ撃たれるだけではなくなんとか避けて肉薄しようとしている。オルコット嬢はビットを動かすと本体が動けないという重大な欠点が存在する故に、そして俺の以前少年にした助言を活かしながら少年はその刃を青に振り下ろす。

こうして少年は一撃入れることができたのであった。オルコット嬢はお返しとばかりに撃ち返すが少年は少々の被弾こそあれどある程度は射撃を回避していく。

 

「おっと、オルコット嬢はビットやレーザーライフルの射撃を諦めてミサイルを撃ち込むか」

「織斑少年ですが振り切れずに被弾しましたね。これで終わり…………というわけでもないようですね。そしてこれは……………一次移行を今終わらせたんですか!?」

「えぇっ!?それ本当なの!?」

「どうにもそのようかと……………」

「おいおいマジかよ…………あいつやりやがった!初期状態であそこまで喰らいつくなんて大した奴だな!サイコーじゃねえか!」

「これならあのササナックに勝ってくれるかな?どうか彼が勝ってくれると僕としては嬉しいなぁ!」

 

着実に射撃を回避していく少年に痺れを切らしたオルコット嬢はミサイルを2発少年に撃ち込む。そうして爆炎が周囲に立ち込めるが、クリシャの驚愕とセンサーで把握した情報を口に出していく。

冗談かとも一瞬思ったが、クリシャは余り冗談を言うようなやつではなかったことを思い出して真実だろうと想定する。確認のため俺も自分のISのセンサーだけを起動するが、あれは真実だったようだ。

少年、やりやがったな!初陣の調整もできてないような機体に乗ってここまでやれただけでも新兵としては十分すぎるぞ!ニッコニコで少年に応援しているスコットランド人の様子はいつもの調子なので放っておこう。

 

「ふーむ、あれは一体なんだ?第3世代兵装か?」

「いえ、あれは……………"暮桜"のワンオフ・アビリティー(単一仕様能力)"零落白夜"でしょう…………ですがなぜあの機体に……………?」

「…………これは少しきな臭いものかもな?」

「はい、その通りかと思われますね……………」

「まあどっちにしろ今は試合の方に集中しよう。今はその"零落白夜"を展開して斬り掛かろうとしているな」

「ですが躱されましたね」

「そして反転攻撃を図ったが……………ここで試合終了か……………なんか呆気ないな……………」

「えぇ……………SE切れで敗北って…………」

「そ、そんなぁ〜…………どうしてそこでSE切れるんだよぉ!」

 

一次移行後、持っていたIS用刀からエネルギーを用いると思われる刃が現れる。ところでこの刀以外の武装は持っていないのか?

ただその刃の補足がクリシャによってなされるが、どうにもこれはきな臭いもののようだな。

とはいっても今は試合が続いているのでそっちに集中することにした。

少年は"零落白夜"とやらを展開してオルコット嬢に斬り掛かるが、それを躱されたので反転して再攻撃をしようとしたところで試合は終了となった。

これで敗者と勝者が決まったわけだが…………SE切れで織斑少年が負けたというなんとも呆気ない終わりであった。そしてスコットランド人はSEが再攻撃前に切れたことへ腹を立てていた。

 

これ少年も納得行ってないんじゃねえかなぁ……………っつーか刀剣一本だけとか初心者に持たせるもんじゃない。そんな欠陥機渡すぐらいなら2世代機にしといたほうがまだ少しはマシなんじゃないの?

結局これは日本政府の決定だから外野のポーランド人が関わる問題でもないので、俺らは知らんとしか言えんがな。

まあ、なんか不完全燃焼だが試合は終わったので部屋に戻るか…………今日は休みで色々やりたいこともあるしな。

 

 


 

時計の針は少しずつ動く、水面下での蠢きと共に

 

斯くして白武者は青の雫と刃を交え、呆気ない終わりを迎えたのであった

 


 

── Sekcja 20. Koniec. ──

 

 

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