Infinitum Exosphere - 無限の成層圏を超えて -   作:一般通行ポーランド空軍士官

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Rozdział 1. 如何にして彼は極東へ赴くことになったのか
Sekcja 1. 突然ですが私ポーランド空軍所属の戦闘機パイロットで独身の28歳男性、本来女性しかなれない筈のISパイロットに転職することになりました


 

 

2042年2月9日

 

ポーランド共和国 ルブリン県 ルィツキ郡 デンブリン市 ポーランド空軍士官学校

 

 

ポーランド空軍士官学校敷地内の飛行場にある格納庫の一つにて、空軍士官6名と技術士官1名、そしてポーランド軍大将1名とその従兵からなる一団の前に《インフィニット・ストラトス(IS)》らしきパワードスーツが専用の台車に乗せられた状態で6機並べられていた。

 

「それでは皆様、こちらに並んでいる《IE》に手を触れてください」

 

軍服の上に白衣を着用した技術士官が集まった空軍士官らへ目の前に並べられたパワードスーツに手を触れるよう促すが、そこへ作業服の上から整備兵用の分厚い人工皮革製エプロンと同様の素材で出来た手袋を装着した整備兵が走りながら何かを叫んできた。

 

「その列にISが混じっています!!今すぐ手を離してください!!」

「全員今すぐに手を離せ!今すぐだ!」

 

その叫びを聞き取った技術士官は血相を変えて空軍士官らへ手を離すよう叫ぶ形で命令する。すぐさま手を離した者もいたが、一人は間に合わずそのパワードスーツを装着してしまっていた。

 

「あぁ…………間に合わなかった……………」

「そんな……嘘であってくれ……頼む、主よどうかこれがISじゃありませんように…………」

「なぁ…………俺ってもしかして非常にまずい状況にあったりする?」

「…………はい、その通りです……………シャレ=グルスキ少佐………それが混ざっていたISです…………」

 

注意が間に合わずパワードスーツを装着してしまっていた彼─スタニスワフ・エウゲニウシュ・シャレ=グルスキ本人である─の姿に技術士官は膝から崩れ落ち、整備兵は急いで確認すべく台車側のコンソールを叩いて情報を閲覧するが、代車に固定されていたものは《IS》であるという表記に頭を抱えることとなった。

 

 

──── Side Stanisław ────

 

 

突然ですが皆様、私ポーランド空軍士官で階級は少佐の"スタニスワフ・エウゲニウシュ・シャレ=グルスキ"ですが、何故か《IS》を動かしてしまいました。

俺の性別は男だしそもそもこのISってブツ自体適正は女性にしか出ないはずなのに、何の因果か男の俺が動かすとは誰が予想できたんだろうな?

世紀の天才だとも言われる篠ノ之束博士もまさかこんな事態になるとは予想していたのだろうか、だとしても本来俺は《IS》じゃなくて《IE》を動かしにきたはずなんだがなぁ………………

 

「あら、スタニスワフさんって女性でしたの?そうとは見えませんのに」

「まさかスタンがISを動かすなんて、誰が予想できたんだろうな?」

「嘘ダロ?なんで男がアレ(IS)を動かしているんダ!?」

「ほー…………一体どういう原理でISに適合したんだ?アイツ」

「常識破りな気性難だとは思っていたが、遂に上官を殴り飛ばして陸軍に異動するとか世界トップクラスのエースパイロットになるくらいのことじゃあ満足できなくなったか?」

「これは…………上に一体どう報告すればいいんだ……………?」

「他のは……………全部《IE》ですが…………少佐が動かしているのは紛れもなく《IS》です……………どうして?」

 

…………本当にこれはどうしたらいいんだろうな?まさか試験用に並べていた《IE》の中に1機《IS》が混ざっていてしかもそれを動かしてしまいましたとかつくづく運が悪いとしか言いようがないなぁこれ…………………

 

「…………シャレ=グルスキ少佐、ISの展開を解除してください」

「えーっと…………確か解除した姿を念じればいいんだよな?」

「えぇ、概ねその通りです」

「よし分かった……………これで問題ないか?」

 

解除ができているか確認しておこう、一応UIは消えているが本当に展開が解除されたかがわからんからな。

 

「問題なく解除できています、それでは待機形態となったISを渡していただけますか?」

「どうぞ、ところで俺は研究所でモルモットになるなんてことはないよな?」

「それは……………あちらの大将に訊ねてみたらいかがです?」

「そうするよ」

 

技術士官へ恐らく待機形態であろう、襟にある身につけた覚えのない羽根飾りを手渡し、急足で現場を去って行く技術士官と整備兵を見送ると大将の元へ移動して今後の動向を聞き出す。

 

「大将、一体俺は今後どうなっちまうんでしょうね?」

「さあな、私にはわからん。だが一つ言えることがあるとしたら、だ。君は今後ポーランドの総力によって徹底的に保護されることは決定するだろう」

「俺の家族も心配なんですが、そっちの方はどうなんです?」

「君の家族や麓の村に住む村民達についても君と同様に保護される、恐れる必要はない」

 

とりあえず大将からは家族や麓の村の村民らも俺と同じように保護されるはずだとの答えを聞けたから良しとしよう。

しかしまあ、なんで俺って奴はこういう時に限って幸運の女神に見放されちまうんだろうな?

 

「はぁ…………本来はもっと気楽な《IE》の試験だったはずなんだが、どこかの誰かさんがやらかしちまったせいでおじゃんになってしまったとさ。あとで一杯奢ってくれよ?」

「まあ、仕方あるまいて。こんなことが起こるとは一体誰が予想できたんだ?篠ノ之束でもこうなるとは予想できるはずがないだろうさ」

「それもそうですわね。ですがスタニスワフさん、私たちに一杯奢るというのは忘れないでくださいまし?」

「流石に約束を破ることはせんよ、これまでもやらかしこそすれど約束は確実に守ったろ?」

「そういうところでは信用できるんだがな、ただそれ以前にやらかしてきたことがデカすぎるんだよなぁ…………」

「それはそうなんだよナ、上官の鼻へし折る奴なんて滅多にいないダロ」

 

まあ、それはそうなんだがもう少し君たち手心というものを加えるつもりはないんだろうか?

さて、大将閣下が何か言いそうなので、おしゃべりはここまでにしようか。空気を察した戦友共も同じように大将へ視線を向けている。

そんな中で大将閣下は咳払いをしてから話し始める。

 

「あー、おほん!それでは諸君、今回の事案について一切の言及を禁じるものとし、命令以外で口外することは重要機密漏洩の罪で拘束する!

また、諸君らには一時ここで待機しているように!私はワルシャワに戻って報告と新たな辞令を持って来る、それまでは私の指揮下にあるとみなすように!」

Tak jest(了解)!』

 

さて、ここで一旦足止めとなるかぁ…………一体全体この先はどうなるんだか。

全くもってこの先どうなるかはいまいちわからんが、もしかしたら二日前の書類が入った封筒を受け取った時点から狂ったのかもしれんな。

 

斯くして事件は終わりを告げ、彼らは士官学校の使われていない教官用宿舎に泊まることとなった。

しかし、この事件から時計の針は少しずつ、しかし確実に進み続けていた。

 

──  Sekcja 1. Koniec. ──

 

 

 

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