Infinitum Exosphere - 無限の成層圏を超えて -   作:一般通行ポーランド空軍士官

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Sekcja 3. 世界を駆け巡りし信号喇叭の音色は如何なるものなりや?

 

 

2042年2月11日

 

ポーランド共和国 ルブリン県 ルィツキ郡 デンブリン市 ポーランド空軍士官学校

 

 

重苦しい空気の中、ワルシャワの北方にあるモドリン要塞に設置された軍事技術研究所より輸送機で飛んできた軍属の白衣を着た研究者─ミロスワフ・レヴィツキ─がポーランド共和国軍大将─タデウシュ・コモロフスキ─と俺、そして隣の本来試験する予定の機体を案内する予定だった哀れな技術士官─シモン・プリングスハイム─の対面に座り、口を開く。

大将は葉巻を取り出して口に咥えるが、ライターの火がつかなかったために諦めてポケットに押し込む。そして隣の技術士官は項垂れて嘆いているが、俺はもうどうにもならないので開き直ることにした。

 

「それで………私が急に呼び出された要件ですが、そちらの空軍士官のスタニスワフ・エウゲニウシュ・シャレ=グルスキ空軍少佐がISを動かしてしまったということですね?」

「ああ、概ねその通りだ。こっちの方で他に配備されていたISを使用しても同じように動作した、これが証拠映像の入ったメモリになる」

「加工や合成等はしていませんね?」

「それができたらよかったな…………」

 

大将が研究者にフラッシュメモリを渡してそれを受け取った研究者が書類鞄よりタブレット端末を取り出して操作し、画面に映し出されたネットニュースの英語記事を俺たちへ見せてくる。

 

「話は変わりますが、つい先刻に日本で男性IS操縦者が発見されたようです。また上からは今後世界規模で男性を対象としたIS適性検査がIS委員会主導で行われるだろうとの見通しです」

「その適性検査を上手く躱すことは可能か?」

「恐らく不可能でしょう、ですのでシャレ=グルスキ少佐の事は公表せざるを得ないでしょうね。また、IS学園へ派遣されることもほぼ確定しています」

「………致し方あるまい、これもまた運命ってやつだ。どうにも俺は肝心なところで幸運の女神に見放されちまうが、大体はなんとかなるだろうさ」

「…………その楽観さをどうか私にも分けて欲しいんですがねぇ……………!」

「諦めるのも肝心だぞ、シモン。どうせ列に混じっていなかったところで報道に出ている彼が出た、なら結局こうなっちまう流れだったのかもな」

「まあ、少なくとも私から一つ言えることとしては今後少佐及び家族と関係者にはポーランド共和国より最大限の保護が与えられます」

「それは当然だろうな、何せ優れた陸軍将校にして空軍の戦闘機パイロットだからな!どっちにしろ俺を失うことはポーランドにとって最大の損失にだってなる、だったら保護するのが得策ってもんだろう?」

「………一応こんな気性難でも将校としては優秀だから何も言えないのがな…………気性難については改善を願うしかないか…………」

「ひでぇ言いようだな、一応ちゃんとした振る舞いだってできるんだぜ?」

「なら問題があったとはいえど上官の鼻をへし折った挙句に、軍事法廷で一応は被害者だった件の上官の悪行をまとめた書類や画像を法廷内に並ぶ弁護士や裁判官に傍聴者までばらまいた件を例に気性難だと言っても何も問題はないだろう?一応事実ではあるわけだからな」

「…………流石に上官の鼻をへし折るのは非常にまずいのでは?」

「結局はこいつに熱りを冷ますと言う意味でも降格と陸軍への異動が命令されたんだが…………何故異動先でも戦果を挙げているのだか…………一体全体こんな気性難の奴を軍に入れたやつは誰だよ…………」

「俺の入隊を許可したのはクラクフのポーランド共和国軍マウォポルスカ県入隊事務所の空軍担当職員ですぜ。ところで本題から大幅に脱線しているんですがよろしいんですか?」

 

何故か大幅に話題が脱線したが、これもまたうちの大将様の良いところかもしれないな?他だったらこう駄弁る余裕があるかどうかなんざわからんし。

それはそれとしてやはり本題に戻すべきではあるが。

 

「それはそうだな。レヴィツキ博士、確かあなたはそこの気性難に伝えることがあるのではないでしょうか?」

「そうですね。上からの通達は2点あります、まず1つ目はこの日本初の速報の影響でシャレ=グルスキ少佐のことも本日付で公表されました、今後はまた別で通達が行くと思われます」

「マジかよ…………」

「真実ですよ、こちらの政府発表を見ればわかるかと」

 

先の記事とは別の記事─さっきと違いポーランド語のもの─をこちらへ見せる。そこに記載されているものは俺の顔写真と共に2人目の男性IS操縦者であることを報道するものであった。

 

「そしてもう2つ目は今すぐにウッチへ私と共に来るように、とのことです」

「ウッチに?一体そこに何があるんだ?ところで移動は鉄道を使うのか?」

「いいえ、空路です。それからこれは火急の事態ですので今すぐに移動しますよ!さあ、急いで!」

「お、おう…………それでは大将、どうかあいつらにこれでなんか奢ってやっといてください!」

「ああ、わかったよ。君は仲間思いだね」

「今後あいつらとの約束を履行できるかわからんので先に手を打っただけでさぁ!」

 

急ぎウッチまでこの白衣の研究者と空路で移動する前に急いで財布から2枚200ズウォティ紙幣と50ズウォティ紙幣をコモロフスキ大将に握らせて要件を伝え、そのまま部屋を出て飛行場に向かう。

少なくとも暫くはあいつらと駄弁ることもできなくなるだろうし、そうなれば一杯奢ると言う約束も不履行になりかねない。

俺は筋は確実に通す主義なので形は違うが階級のクソ高い代理人(コモロフスキ大将)経由で奢ることで、手打ちになることを祈りつつ短い空路を景色を眺めながら今後についての思いを馳せる。

 

 


 

斯くして世界に報せを告げる信号喇叭の音色は世界に響き渡る

 

鷲馬は翼を広げる。蒼空へ、更なる高みを目指す為に

 


 

── Sekcja 3. Koniec. ──

 

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