『裸の聖女』が世界を救うまでの物語 〜異世界召喚されてしまった少女は、早くおうちに帰りたいのです〜   作:柴野いずみ

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22:光の騎士からの試練①

 過酷な訓練を積み重ね、何日目になったでしょう。

 もう数えるのも嫌になってしまいました。後から思ったのですが、日記とかつけていれば良かったです。もう今が何日なのかわからないので手遅れなんですけどね。

 

 ともかく、そんなある日のこと。

 私がもはや歩き慣れた道のりを進んで薔薇の咲き乱れる庭園へ向かうと、そこにはいつも通り長身の騎士ことニニが待っていました。

 

「聖女様、おはようございます。今日は心地の良い朝でございますね」

 

「そうですね」

 

 ここ数日、雨が降っていたので訓練は闘技場という今は使われなくなった施設で行うことになっていましたが、狭いので魔法を失敗すると壁に穴を開けまくって大変でした。

 ちなみに異世界にも雨が降るのかと驚いたりしたのですが、それはさておき。

 

「今日もよろしくお願いします」

 

 頭を下げると、ニニはしばらく沈黙した後薄い笑みを浮かべて、

 

「聖女様。本日は訓練はやめにいたしましょう」

 

 と、予想外のことを言ったのです。

 

「え。それってどういうことですか。もしかして……私、立派な聖女として認められたとか!?」

 

「気が早いでございますよ、聖女様。わたしの目からして聖女様の動きはかなり洗練されて来ました。しかしそう簡単には立派な聖女として認めるわけには参りません。ので、わたしから試練を課し、それに乗り越えられた場合のみ認めて差し上げましょう」

 

 ようやくこの苦行が終わるのかと一瞬目を輝かせた私は、ニニの言葉を聞いて固まりました。

 

「もし、突破できなかったらどうなるんですか?」

 

「今よりさらに厳しい修行が必要でございますね」

 

「――!」

 

 それって失敗したら地獄じゃないですか!

 でも同時に突破さえできれば聖女修行が終わるということ。もうウサギに齧られたり体に魔力を強制的に流し混まれたり魔力不足とやらでぶっ倒れたりせずとも良くなるのです。

 私はしばし悩んだ後、頷きました。

 

「やってみます。ニニの試練。それをクリアさえすればいいんですよね。大丈夫。大丈夫です、多分。大丈夫ですよね?」

 

 後半自信がなくなって来ましたが、それでもやってやろうと拳を固めます。

 ニニは「それでこそ聖女様でございます」と私に尊敬の目すら向け、準備に取り掛かるということでどこかへ行ってしまいました。

 

 試練というものが一体どんなものなのか。私はそれに耐え切れるのか。

 わかりませんがいつものごとくやってみるしかありません。失敗したら……それまでです。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「わたし一人では公正な判断とは言えませんので、我が騎士団の騎士たちをお呼びいたしました」

 

 帰って来たニニが引き連れていたのは、おそらく百人以上と思える騎士の方々。

 あの……公正な判断とやらにこれだけの数が必要なのでしょうか。騎士様たちにもお仕事があるのでは? 私はそう思いましたが、口には出さずにおきました。

 

 私を見た瞬間、男の騎士の半数以上から好色の視線が飛んで来ました。ですよねー。こんな格好をしていたら誰でも見たくなってしまいますよね。

 

「聖女様、大丈夫でございますか? お顔が真っ赤でございますよ」

 

「だ、大丈夫です。あはは」

 

 本当は大丈夫じゃありません。最高に恥ずかしいです。

 ニニは心配げな顔をしながらも「なら良いのでございますが」と流し、本題に入ってくれました。

 

「では早速、わたしから聖女様への試練を行おうと思います。審査員はスピダパム王国騎士団所属の騎士。――では、第一の試練でございます」

 

「――」

 

「この小型魔物百匹の浄化と討伐。全て消滅させた時点で試練のクリアといたします」

 

 ニニの声と一緒に現れたのは、信じられないほどたくさんの紫ウサギたち。

 私に恨みでもあるのか何なのか、この子たちったら私を見た瞬間にそれまでおとなしかったのが猛獣に変わるんですよ。ニニ曰く、『聖女様は聖なる力が強うございますから、邪悪な者としては消し去りたい存在なのでございましょう』とのこと。消し去らないでほしいんですけどね。むしろ邪悪な者は逃げたくなるんじゃないかと思うんですが。

 まあ、そんなわけで例によってウサギたちは目を真っ赤に染めて敵意満々です。……これだけの数を私一人で相手するなんて、無茶にもほどがあるんですが。

 

「これより、第一の試練、開始!!!」

 

 ――紫色のウサギが私めがけて一斉に飛びかかり、牙を向けて来ます。

 ニニたち騎士が庭園の外側で見守る中、一人中央に取り残された私は彼らの格好の餌食。しかし逃げ出したら終わりなので対決するしかありません。

 

 私は悲鳴を上げながら魔力を発動させました。

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