婚約破棄された公爵令嬢は田舎の醜男貴族に嫁ぎますが幸せになるようです 作:品☆美
眠りから覚める時は意識が先で徐々に肉体の感覚が戻ってくる場合、それは疲れが溜まってる時が多いのが俺なりの経験だ。
大抵の人間は朝になって、日の光や沁みついた周期で体が先に起き、脳が段々と働き始める、俺もその例に漏れない。
ただ緊急事態だと話が随分と違ってくる、何しろ深く寝入り過ぎて敵の奇襲に気付かずあの世行きは誰だって嫌だからな。
戦争や作戦行動の最中は意識の何処かが常に起き続け、即座に動けるように体を完全に眠らせない。
横になっても寝返りが多かったり体の一部が痙攣するようになったら一端の兵士扱い、そんな話を王国軍の兵卒だった頃に上官からよく聞かされた。
気が合うおっさんが無能なお偉方の命令に従い戦場で血の雨と肉片に変わった瞬間を今でも時々夢に見る。
戸惑う仲間を纏める立場を仕方なくやってたらいつの間にか貴族様にされてるとか、人生は何が起きるか本当に分からない。
そんな軍人からの成り上がり者な俺がすっかり寝入って起床に手間取るなんて情けない話だ。
終戦から十数年、その後も危険な任務を熟したがロストアイテムの球っころを手伝わせ随分と楽をしてきた。
楽をすれば生き残る可能性は高くなる代わりに体の感覚は鈍くなる。
何しろ俺も三十代の半ばだ、十代の兵卒だった頃みたいに機敏な動きや二十代の力強い格闘はもう無理だろう。
どれだけ歴戦の兵士や才能に恵まれた達人も衰えが必ず訪れる、肉体的な強さを維持できるのは三十代までが精々だ。
それ以後は積み重ねた経験と最適化された動きで騙し騙し戦うしかなくなる。
他人より少しだけ秀でてる程度な俺の技量なんて大したもんじゃない、自分より弱い奴には勝つけど強い奴には負ける平々凡々。
必勝を期す為には卑怯な手段を取らなきゃいけない凡人はそろそろ密偵みたいな仕事を引退して領主の仕事に専念するべきだ、そうじゃなきゃ命が幾つあっても足りやしない。
ここまで脳みその中でくだらない愚痴を延々と垂れ流した頃に漸く手足の感覚が戻ってくる。
体がまだ怠いけど戦闘以外なら問題ないだろ、もし何か動きがあったら見張りに出してる部下達から報告が来て叩き起こされる筈だ。
寝起きの体を動かす度にあちこちの関節から音が鳴って少し怖い、最近は徐々に関節が硬くなって仕事の前に準備体操が欠かせないのが歳を取った事実を突きつけられて泣きたくなる。
とりあえずは着替えないと、仮眠する前に脱いだ服を着ないとユメリアさんに失礼だしアンジェと娘達がに嫌われちまう。
そう考えながら近くを見ると金色の何かが小刻みに動いてる、全体の形が一番似てるのは数年前のアリエルとロクサーヌだけど何かが違う。
暫く考えてやっと結論が出た、これは小っちゃくなったアンジェだ。
エルフの里にある遺跡で起きた騒動のせいで若くなったアンジェがベッドに腰掛けながら本を読んでた、しかも下着みたいな薄着で。
「何でいるんだよ……」
どう考えても不味い状況だろ、まず俺達の見た目が頗る宜しくない。
三十代のおっさんと十代の少女が同じ部屋、同じベッドの上で薄着のまま二人きり。
何処から見ても犯罪の臭いしか匂わない。
確かに俺の好みな女は金髪紅眼で気が強そうなお嬢様だけど、目の前に居る女の子は色々な所が不足してる。
身長と体重と柔らかくて大きな胸とがっしりした安産型の尻と肉付きが良い太腿、あと年齢が決定的に足りてない。
それでも二十年近く一緒に過ごしてれば外見が変わっても口調や振る舞いでこの小っちゃい少女がアンジェだと理解できる。
だからこそ困る、俺の愛してる『成熟した大人なアンジェ』と『幼い少女のアンジェ』が同一人物と認識して頭がおかしくなりそうだ。
具体的にはこのままだと成人した女に興奮せず十歳ぐらいの女の子が好きになりそうです。
ただでさえ結婚してから数年周期で嫁を孕ませてるとか陰口を叩かれてるのに、幼い女の子にしか興奮できない幼女嗜好と噂されるのは勘弁願いたい。
これ以上は貴族としての評判も父親としての威厳も落としたくないんだけど。
「起きたかリオン、まだ寝ていても構わんぞ」
「指揮官が作戦行動中に眠りこけてたら支障が出るだろ」
「疲弊した頭と体のお前が満足な指揮を執れると言うのならそうしても良い」
「…………」
アンジェの言い分は正しい、正し過ぎるから反論が出来なくてかなりムカつく。
物語によく登場する英雄は大酒呑みで女好きで大胆不敵の力自慢が多い、そんな英雄に憧れて軍隊に入る奴ほど兵士の適性が低いのはよくある話だ。
任務を全うする実直さ、危険を察知する臆病さ、弾薬や食料を管理する管理能力、嫌な仕事でも表情を動かさず熟せる二面性。
兵士は僅かな時間で体力を回復させる為に休息を全力で取り組むみたいな矛盾した行動を取らなきゃいけない、それを生真面目に熟せるのが良い兵士だ。
英雄と兵士に求められる才能ってのはまるで違って、俺は子供の頃に憧れた英雄じゃなくて飯を食う為に選んだ兵士の方に才能があった。
冒険服を脱ぎ体を弛緩させ頭の中を空っぽにした後は正しく呼吸する事だけに専念する。
この方法を実行するだけで簡単に眠りに落ちれるのが良い兵隊の才能だ。
出来るなら食事から数時間が経過して寝る前に入浴も済ませられたら最高の休息が出来たけどこの状況でそこまでは無理な話だ。
それでも戦闘や諜報で疲れが溜まって五割ぐらいまで消耗していた体力が七割ぐらいまで回復した実感がある。
もう若くないから回復力が落ちてるのが悲しいけど、それでも眠る前よりも大分マシな状態にまで戻せた。
「……飯から時間がどのくらい経ってる?」
「凡そ三時間ほどだな、食事の後に様子を見に行った時は眠っていたぞ」
「そんなに眠ってたの?」
「私が隣でずっと添い寝しても気付かないほどぐっすりな」
「俺も歳を取ったもんだな」
どうやら本格的に衰えが始まってるのかもしれない。
若い頃ならどれだけ疲れても部屋に子供が侵入してきたら気配を察知したし、隣で寝ていたら即座に目を覚ましてる。
アンジェが小さくなってから既に二日が経ってるけど、昔は二徹ぐらいは平気で熟せたのに。
この二日間に俺がした事は遺跡からアンジェを救出、その後はいろんな手配と子供達を同時進行、とりあえず家族を逃がし敵を待ち構えて戦闘と尋問、それが終われば朝までずぅ~っと浮島を歩き回り街や砦を監視した。
何度も仮眠や休憩を挟んだはずなのに脳みその疲れが取れなくて体が重いのが続いてる。
神様に今すぐ叶えて欲しいお願い第一位は『アンジェが元通りになる』だけど、『ゆっくり風呂に入って何も考えず眠りたい』が堂々の第二位だ。
「ずっと俺の隣で寝てたらダメじゃん、アンジェが俺の隣に居たら何かあった時に一体誰が対応するんだよ」
「上の子供達が頑張っているぞ、まぁ私も寝ていた訳ではないし急報は私に知らせるよう命じておいた」
「子供の世話を子供にさせるなよ、あいつらは小っちゃい子供だぞ」
「少なくとも今の私より肉体年齢は上だ、それにライオネルとアリエルは既に十五歳。二人とも相応の働きは出来る」
「アンジェは信頼し過ぎだな、十五歳でも親の庇護下にいるお坊ちゃまとお嬢ちゃんだ」
「お前が家を出て王国軍に入隊したのも同じ歳だろう?」
また特殊な事例を出すなぁ、おい。
俺はホルファート王国の貴族でも異端中の異端だよ、そんな奴をまるで標準のように御出しされても何の説得力も無いだろ。
だけど敢えて反論しない、このまま話し続けると口論になるのは長い夫婦生活の経験で何となく分かってる。
特殊な状況下にある部隊が険悪な関係になってたら勝てる戦いも勝てなっちまう。
なのでこの場は引き下がる、これは戦術的な撤退だ。
決して、俺が、小っちゃいアンジェに言い負かされた訳じゃないから。
そう自分に言い聞かせながら体勢を整え、妙に逸る心をどうにか落ち着かせた。
「だいたいさぁ、その恰好は何なの?」
「私が隣に居ないと寝られないと常々発言しているのはリオンの筈だが」
結婚してから一緒に過ごせる時は同じベッドで寝てきたし、そんな口説き文句を何度も呟いてはいる。
でも、それはあくまでも俺とアンジェが同年代の夫婦という前提があっての話だ。
どんな国でも十歳ぐらいの女の子を嫁にして一緒に寝る男は変態扱いされる、両想いでも世間の批判から非難されてるのは避けられない。
俺には娘が三人いて全員可愛いけど、十歳の娘と十歳になった嫁じゃ対応が変わって当然だ。
目の前の少女は確かに俺の嫁なアンジェだと頭は認識してるんだけど、どうしても普段と違った接し方になって俺自身も戸惑ってる。
「そりゃそうだけどさ、わざわざ下着になるのはどうかと思うぞ」
「いつもの夜着と大差あるまい」
「明らかに見た目が大人な嫁と一緒に寝るのと、どこから見ても十歳ぐらいの女の子を嫁を添い寝させてるのは話が全然違うって」
「奇妙な物だな。私は私、同じアンジェリカ・フォウ・バルトファルト伯爵夫人でありながらも夫は態度を余所余所しくするとは」
「…………」
それは卑怯な物言いだろ、喉の奥まで出掛かった言葉をどうにか呑み込む。
ただでさえそこら辺りに居る御夫人や貴族令嬢よりも察しが良過ぎるアンジェに下手な言い訳は通用しない。
口先じゃアンジェを心配させずに済むように色々な屁理屈と言い訳をこねくり回した所で、分かりやすい俺の態度から察する筈だ。
体が縮んで少ししか経っていなくて本当は不安だったアンジェを放置して駆けずり回ってたのはマズかったな。
いつも俺なりに必死にやってるつもりなんだけど、凡才の俺に情報収集しながら悪人を倒しお姫様を護るみたいな真似は難しい。
俺がやらなきゃいけない事は多いけど、俺に出来る事は限られる。
世の中の連中が俺を過大評価してるのが本当に分からない、とりあえず今できるのはアンジェの小さい体を抱きしめて不安を解消してやるぐらいだ。
「おい、何をする」
「アンジェが寂しそうだから埋め合わせ」
「止めろ、其処までは許していない」
「朝起きた時のキスと抱擁を今日はまだしてないじゃん」
「ちょ、止め」
縮んだアンジェの体を後ろから抱きしめる、いつもと全く違う厚みと重さにやっぱり戸惑いが隠せない。
生まれてすぐに布に包まれた子供達を優しく抱えた経験は今まで六回ある。
どの子も何かが起きればすぐ死んでしまいそうな儚さに恐怖が襲ってくるけど、同時にこの赤ん坊を護らなきゃという親心みたいな物も自然と湧いてくるもんだ。
それでも数年経てば抱えるのも一苦労なぐらい成長してくれるから怪我や病気に気を付ければ死なない確信も抱ける。
だけどアンジェの場合は話が違う。
何しろ初めて顔を合わせた時には十七歳を越えてて殆ど大人みたいな感じで、むしろ品の良い振る舞いから年上に見えたぐらいだ。
王都にあるレッドグレイブ家の屋敷を訪ねた時に幼いアンジェの写真を見せてもらったけど、当時のアンジェは年相応の幼さが存在してた。
今のアンジェは外見は子供だけど別に性格や記憶まで幼くなった訳じゃない、逆に変化が無いからこそ扱いに困る。
アンジェを元に戻そうと必死になってると思い込んでた、本当は姿が変わったアンジェから無意識に目をそらし続けてたのかもしれない。
そんな俺の態度を敏感に察したアンジェの機嫌が悪くなるのは当たり前だ、それならせめて埋め合わせぐらいはやらないとな。
「体が軽いなぁ、ちゃんと飯を食ってんの?」
「数回の食事で体型が変わる訳ないだろうが!」
「でも不思議だよな」
「何がだ!」
「こんな瘦せっぽちのお嬢様なのに十数年経つと胸と尻が大きなムチムチに成長するんだもん、人間の体ってすごいよな」
「義父上といい、バルドファルトの血脈は豊満な女が好みなのか」
「そういう訳じゃないぞ」
「出産は命懸けで母胎に負担が大きい上に体型が崩れてしまう可能性もある。私が嫁いでから何回妊娠したと思う?」
「……四回です」
「出産した人数は?」
「六人ですね」
「偶々だ、私が偶々数回の出産に耐えられる頑丈な体に生まれ育ったから無事に済ませられたに過ぎん。私が政務以外にどれだけ美容と健康に気を使っているかリオンは知らないだろう」
「いや、悪かったって。……でも後を継がせる男子は必要だし、生まれた子供達も可愛いから許してくれよ」
「限度があると言っている!」
「はい」
何でこんなに叱られてるの俺?
アンジェの機嫌が悪くなってるのは仕方ないけど、別の話題にまで発展しそうで怖いぞ。
それでもどうにかしてアンジェを宥めようと体を優しく抱いてやる、いつもとかなり違う感触だけど子供の体特有な体温の高さがポカポカしてあったかい。
このままアンジェを抱きしめて二度寝できたら幸せだろうな。
「幼い体も存外に悪くはない。知性や記憶をそのままに若返ったと思えば寧ろ役得とさえ言えよう」
「え、アンジェはそれで構わないのか?」
「重い乳房で肩が凝る事も無い、年を経る度に体の採寸が変わり服を新調する必要も無い。既に子供は六人、嫡子や他家との婚姻に十分な数だ」
「そんな理由かよ」
「誰かに抱かれて起床できず醜態を晒さずに済むも加わるな、良い事尽くめと言えよう」
「だから悪かったって」
アンジェは妙に小さな体の利点を語ってるけどそんな訳ない。
貴族として生きていく為にはどうしても他人との関わりが必要になってくる。
その相手は王族だったり、同じ貴族だったり、時には商人、領主貴族なら領民を無視して上手く統治が出来るなんて無茶な話だ。
責任感が強いアンジェが俺でも考え付く事に気付かない?
そんな事はあり得ないだろ、今だってこうして問題なく俺と会話を進められているぐらい頭が良いのに。
つまりアンジェの言葉には裏がある、それ程度の察しの良さは俺にだってあるぞ。
「アンジェは元の体に戻らなくても大丈夫、そんな風に聞こえたのは気のせいか?」
「単純に利点を述べただけに過ぎない、そのように感じ取るのは早計だ」
「嘘だな」
アンジェの言葉を即座に否定する。
確かにアンジェはとても賢く綺麗な女だ、そして同時に気が強くて誇り高い女でもある。
俺を説得しようといろんな利点を挙げる時は二つ、正しい判断を俺にさせようとしているか。
或いは本心を隠そうとしてわざと逆の事を言ってるかだ。
普通の人間なら元の姿に戻りたくなる、アンジェがそう言わないのは元の体へ戻る為に起きる騒動を考えた結果だろう。
「アンジェがそんな風に金や美しさにだけ拘るような女だったらもっと本心から喜んでるだろ」
「どうしてそう短絡的に考える」
「何十年夫婦やってると思ってんだよ、そもそも利己的なお嬢様なら俺みたいな不細工な成り上がり者が興した家に嫁ぐ訳ない」
「リオンは変な所に関してだけは聡い男だ、普段は察しが悪いくせに」
「察しの悪い旦那をずっと教育し続けた良妻がいけない。そうじゃなきゃ騙されやすいバカのままだったのに」
どんな阿呆でも何十年も一緒に暮らしてれば、相手の機微に関してそれなりに察せるようにもなるさ。
アンジェは豊富な知識と多角的な視点から状況判断してるように見えるけど、実際はかなり感情的な部分を持っている。
やりたくない事や嫌いな奴に関してはいろんな理由を付けて関わり合いを拒否するし、どうしてもやらなきゃいけない時は自分を納得させる為の理由を必死に捏ねくり出すのに腐心してきたのを何度も見てきた。
たぶんアンジェ本人は認めないだろうけど、情に篤くてけっこうな我が儘なお嬢様の性格は昔から大して変わってない。
なので本音を吐かせる為にいつも俺が遜る必要がある、正直ムカつく事も多いけどこれも惚れた弱みってもんだ。
「先程ユメリアと会話して少し考えさせられた、不老長寿も良い事ばかりではない」
「へぇ、どんな話?」
「息子がどんどん成長し老いる姿を見つめ続けるのは辛いと言っていった。愛する者に先立たれる悲しみや苦しみはまだ味わっていない私には想像がつかない。ただリオンや子供達が私よりも先に逝ってしまう想像をするだけで胸が張り裂けそうだ」
「だったら素直に元に戻りたいって言ってくれよ、その方が気が楽になる」
「私が愛する夫を死地へ送り出して喜ぶ薄情な女に見えているなら心外だな。過去一度としてリオンが戦場や任務に赴くのを快く思った事は無いぞ」
「俺は逆だな、アンジェや子供達の為なら自分の命なんて惜しくない」
「お前がそんな性格だからこそ、私は迂闊に『元の姿に戻りたい』と口に出来んのだ」
「ごめんって」
この辺は俺とアンジェの性格とか育ちの違いが如実に出た結果だな。
今まで何度も似たような話題で言い争いになってるから突っ込んだ話をしたくない。
平民同然に育ってきた俺にとっちゃ自分の命なんて賭け事の元金扱いだ、とりあえず賭けなきゃ何も得られずに終わっちまう。
逆にホルファート王国で上から数えて数十番目に偉かったアンジェには命は貴重だと刷り込まれてる。
普段は平民の命を数十人分と引き換えにしても足りない代わり、戦争や政治の責任者として失敗すれば責任を取らなきゃいけない。
つくづく育ちの違いって物を実感するな、数十年間も夫婦として過ごしてても価値観の違いを埋めるのはやり手商人との商談や国同士の和平交渉よりも難しい問題だ。
「どっちにしても状況は思ってたよりも厳しい、方針を変える必要があるな」
「お前の事だ、どちらにせよ無茶な作戦を立案する気だろう」
「やっぱりアンジェはお見通しか」
「取り敢えず話は聞いてやる、認めるかは内容次第だ」
「分かった、じゃあ暫くの間はアンジェを抱きしめて良いな」
「止めろ、どうしてそうなる」
「理由はさっき言っただろ」
拒絶するアンジェを強引に抱きしめながら心を落ち着かせる。
作戦内容を話したらきっとアンジェは怒るだろうなぁ、そうなる前に出来るだけ機嫌を取らないと。
アンジェの肩に顔を埋めて匂いを嗅ぐ、いつもとは少し違う匂いだけど間違いなくアンジェの匂いだった。
目の前に居る女の子がアンジェ本人だと分かるのに別人のように感じる。
こんな状況が死ぬまで続くと想像するだけで気が狂いそうだ。
だからアンジェを元通りにする為ならどんな手段だって実行してやる、たとえアンジェ本人に怒られても。
「いい加減にしろッ!!」
決意を新たにする俺の顔面に小さな拳がめり込んだのはその直後だった。
今章の挿絵イラストはHanatori様に描いていただきました、ありがとうございます。(https://www.pixiv.net/artworks/131641601
リオンと幼アンジェの交流回になります。
絵面がセンシティブにならないようスキンシップは若干軽めです。
次章はバルトファルト家の作戦会議、今後の行動方針について話し合います。
体調不良で投稿が遅れて申し訳ありません、皆様もお体をお労りください。
追記:依頼主様のリクエストにより鈴原シオン様、DRO様、オスワーニ様、(7월 서코)감자싹様にイラストを描いていただきました。
また9430様に以前描いて頂いたイラストがpixivに投稿されました。
本当にありがとうございます。
鈴原シオン様 https://www.pixiv.net/artworks/132492746
DRO様 https://www.pixiv.net/artworks/132191396
オスワーニ様 https://www.pixiv.net/artworks/132436592(成人向け注意
(7월 서코)감자싹様 https://www.pixiv.net/artworks/132353733
9430様 https://www.pixiv.net/artworks/132410706
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