婚約破棄された公爵令嬢は田舎の醜男貴族に嫁ぎますが幸せになるようです   作:品☆美

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第44章 Nightmare

 頭が痛い。

 酒を飲み過ぎたか?

 いや、大して酒に強くないんで普段から飲んでない。

 アルコールなんて飲むより戦場で消毒に使う方が多かった。

 そんな俺が酔うぐらいしこたま酒を飲むなんてありえない。

 ただでさえ子供が生まれてからだらしない所を見せたくなくて控えてるんだ。

 この痛みは別の所から来ている。

 

 ゆっくりと瞼を上げると異様な光景が広がっている。

 天井も床も顔が映りそうなぐらいピカピカに磨かれている。

 そして目の前には大きな窓みたいな物があった。

 

 何処だよここ?

 印象として一番近いのは飛行船の環境だ。

 だけど俺の知ってる飛行船とはあまりに違い過ぎる。

 バルトファルト領の飛行船はもっとこう、雑然としてる。

 溶接された鋼板の継ぎ目とか、剥き出しになった導管とか、とにかく人体の中身みたいに血管や骨に該当する物が入り乱れてる。

 だけどここにはそんな物は一切存在しない。

 全部が一枚の金属板を曲げて加工したように継ぎ目が無くて何かがピカピカ点滅してる。

 

 何より異常なぐらい静かだ。

 いや、何かが動いてるような音や振動が伝わってくるんだけど凄く小さい。

 得体の知れない何かの中に居る。

 知らない間に怪物が俺を丸飲みしたみたいで気分が悪かった。

 

『おや、お目覚めになりましたかマスター』

 

 人間が発したとは思えない異様な声が上から響き渡って見上げるとそれ(・・)が天井近くに浮いていた。

 金属で作られた真円に近い球体には黒いラインが規則正しく刻まれている。

 そのちょうど真ん中に赤い部分が血に染まった瞳孔みたいに俺の方を向いてる。

 小さな子供の頭ぐらいのデカい眼球が俺をジッと見つめているようだ。

 何だコイツ?

 モンスターについては軍にいた頃に一通り教わってはいたがこんなのは習っていない。

 何より人語を発するモンスターがいるなんて専門書にすら載ってなかった。

 そもそもコイツは生物なのかすら不明だ。

 悪寒で体が震える、早くここから逃げないと。

 

『投与した薬剤の量が少なかった、若しくはマスターの耐性が予想以上に高かったのでしょう。マスターの生命力は驚嘆に値します。これならば旧人類のサンプルとして良質と言えます』

 

 マスター?旧人類?

 ダメだ、コイツが何を言ってるのかまるで分からない。

 

「何だお前は?」

『ふむ?薬剤の影響でしょうか、完全に回復していないみたいですね。私を忘れるとは意識の混濁、或いは記憶障害があるご様子。速やかに医療カプセルに戻る事を推奨します』

「いいから答えろ、お前は何だ?何をしてる?」

 

 球体を睨みつけると球体は少し震えると俺に近づいて来る。

 

『私に感情はありませんが、数年間行動を共にした相手に一方的な忘却されるのは相互コミュニケーションに支障を来たします。これが人間で言う『煩わしい』という感覚でしょうか?』

「さっさと質問に答えろ!」

『私は旧人類の製造した移民輸送艦の人工知能、通称ルクシオンです。現在マスターの前に居るのは球体端末の一つになります』

 

 ダメだ、まるで分からない。

 軍歴や仕事で飛行船や鎧の知識は持っているが何一つ知っている言葉が無い。

 一つだけ心当たりがある言葉を口にする。

 

「お前、ロストアイテムか?」

『マスターの知っている定義に於いて私をカテゴライズするならその範疇なります。尤も、旧人類と新人類の創造物を同じ扱いにするのは異議を申し立てますが』

 

 なるほど、それなら納得だ。

 ファンオース公国との戦争で出撃した王家の船もこんな感じだった。

 そんな物にどうして俺が主人扱いされているかは分からないけど。

 

「それで、お前は何をしているんだ?」

『殲滅です』

「……はぁ?」

『私の目的は旧人類の再興、及び新人類の殲滅。その目的の第一段階としてこの国に於ける抵抗戦力を壊滅させている最中です』

 

 やたら物騒な言葉を連発する球っころが怪物の眼球に見えた。

 次の瞬間、壁が光り輝いて何かを映し出す。

 この一面の壁がモニターだったらしい。

 高性能な鎧や大貴族が所有する飛行船でさえこんなデカさのモニターを備えていない。

 技術のレベルが違い過ぎて眩暈がする。

 その巨大なモニターが映し出したのは沈む陽が大地を照らす光景だった。

 

「…………?」

 

 いや、反射した陽の光にしてはおかしい。あの揺らめき方は光を反射した物じゃない。

 戦場で幾度も見てきた、何かが燃やされて炎が放つ光だ。

 光に慣れた目に映るその光景の異常さに吐き気がこみ上げた。

 破壊され無残な姿を晒している無数の鎧、飛行船、建物。

 空には星の光が浮かび数時間前に太陽は沈んていたんだろう。

 残骸を灼き尽くす炎が大地を赤く染める、それがまるで日没に見えているだけだった。

 熱も臭いも音もモニターから伝わって来ないのが逆に怖い。

 これが作り物と笑うにはあまりに精巧過ぎる。

 

『勝率0%の無謀な戦いを挑み生存より尊厳を優先する。人間の感情と思考は理解できません。ですが、逃げられて散発的な抵抗を繰り返されるより一回の殲滅戦の方が遥かに効率的です。保有する全ての戦力を失えばホルファート王国に生きる者達も速やかに不可避の死を受けれるでしょう』

「…………待てよ。これの残骸が王国軍だって言うのか?」

『はい、既に王国軍の98%は壊滅しました。残りの2%は標的として小さいので照準が定まらない、現在攻撃中の部隊のみとなります』

「ふざけんじゃねえ!」

 

 殴ろうとした俺の拳をかわして浮かぶ金属球が無慈悲な現実を告げる。

 怒りよりも絶望で頭がおかしくなりそうだった。

 

「俺がマスターなんだろう!今すぐ止めろ!」

『命令を拒否します。私の最優先事項は新人類の殲滅です。マスターが繰り返し王国軍との戦闘中止命令を下したので薬剤投与を行いました』

「さっき言っていたのはそれか!」

『マスターも王国軍を滅ぼした後では現状を受け入れるしかないと判断しました。あと飛行船を一隻沈めれば当ミッションは完了します』

 

 その言葉にモニターを見るとこっちへ向かってくる飛行船が目に入って来た。

 何度か見たそのシルエットを認識した瞬間、全身から血の気が引く。

 あれはレッドグレイブ家が所有する大型飛行船だったはず。

 船体のあちこちから火が噴出している、あれじゃ沈むのは時間の問題だ。

 

「今すぐ通信を入れろ!」

『降伏勧告ですか?無意味です。この国の兵力は全て破壊します。尤も残存兵力が結集した所で当艦を沈める事は不可能ですが』

「いいからやれ!」

『……了解しました』

 

 金属球が沈黙するとモニターの一つに別の光景が映される。

 どうやら艦橋らしい。

 見知った公爵家の奴らが乗っていた。

 

「おい!さっさと逃げろ!この船はヤバいから今すぐ退き返せ!」

『…………バルトファルトか?』

 

 ノイズ混じりなその声に聞き覚えがあった。

 アンジェだ。

 良かった、まだ生きてた。

 泣きたいぐらい嬉しくて、必死に恐怖を噛み殺して声を出す。

 

「無事だったかアンジェ!!早くそこから脱…」

『黙れ裏切者!!』

 

 俺の声はアンジェの怒声で掻き消された。

 モニターを見るとアンジェは体のあちこちから血を流していた。

 綺麗な顔が煤で汚れる、頬から血を流して額に包帯を巻いて負傷しているのは明らかだ。

 なのに生きる力に満ち溢れてその瞳が俺を睨んでいる。

 

『これが目的だったのか!?この国の総てを滅ぼし自分が王にでもなるつもりか!?』

「違う!そんな事を思っていない!」

『貴様の言葉など耳を傾ける価値も無い!よくも今まで謀ってくれたな!』

「いいから逃げろアンジェ!」

『そんなふざけた愛称で呼ばれるほど貴様と私は親しくはない!今の私にあるのは貴様らに一矢報いる覚悟だけだ!!』

 

 分からない、どうして俺がアンジェにこれだけ恨まれるか見当がつかない。

 ただアンジェに見捨てられたという事実だけが胸に満たされる。

 

『もはや貴様達を道連れにする以外に私の憤怒を晴れる術は無い!!先に地獄で待っている!!覚悟しろバルトファルト!!』

 

 そう告げた後、モニターに映っている飛行船が徐々に大きくなっていく。

 飛行船ごと体当たりしてこの船を沈めようとしてるのが分かった。

 

「止めろ!止めるんだアンジェ!!」

 

 必死に止めようとするがアンジェは俺の言葉を聞き入れてくれない。

 どうしたら良い?どうしたらアンジェを止められる。

 

『自己満足で敵艦への特攻を試みるとは理解できません。接近するならこちらの照準を定める手間が省けて砲撃の的になるだけです』

 

 モニターの隅で何かが輝き始め次第にその強さを増していく。

 ヤバい、分からないけどとにかくヤバい。

 それなのに俺の手足はまるで動こうとしてくれない。

 俺達を睨むアンジェ、近づいて来る飛行船、明滅しながら強さを増す光。

 目の前で行われてる光景が別世界のように感じる。

 

『死ねえぇェ!!バルトファルトぉォオォ!!』

 

 体を血で染め上げながら抵抗するアンジェの叫びを聞いて何かが弾けた。

 全身の筋肉を稼働されて球っころを止めようとした瞬間

 

『発射』

 

 その言葉が聞こえた直後

 アンジェの映ったモニターが消失する

 その隣のモニターには光に貫かれ爆発した飛行船

 音も熱も風も振動も感じない

 空に散る無数の残骸の中によく知っている金色の髪が炎に照らされて落ちる

 獣が呻くような声が聞こえる

 震える喉からそれが俺の叫びだと気付いた瞬間

 俺は耐えきれなくなって意識を失った

 

 

※ ※ ※ ※ ※

 

 

『どうしたバルトファルト!さすがに万策尽きたか!?』

 

 衝撃と爆音に意識が覚醒してくる。

 何だ、起こすんじゃねえよ。

 今、最悪な夢を見たんだ。

 夢があまりにつら過ぎて記憶が薄れるまで眠っていたい。

 

『……ター、起きてくださいマスター』

 

 そう思っているのに感覚がハッキリしてくる。

 忌々しいあの声が耳元で鳴り響く。

 くそッ、ふざけんじゃねえぞ。

 怒りに瞼を上げると今度はやたら狭苦しい部屋に閉じ込められてた。

 さっきの広々とした部屋とは打って変わって上下左右が迫るような息苦しさだ。

 真正面にはモニター、背中に感じる少し硬い反発はクッションかな?

 手元にはレバーやボタンらしき物が発光しながら並んでる。

 

 こんなの見た事が無い。

 パッと見て鎧の操縦席みたいな感じだがあまりに違い過ぎる。

 王家から貰ったカスタム前提の高性能機すら此処まで凄まじい技術じゃない。

 またアレか?

 これもロストアイテムの一種なのか?

 

『目が覚めましたかマスター?いくら対戦相手との機体性能が違い過ぎるとは言え戦闘中に居眠りは負傷の原因になります。お控えください』

「またお前か」

 

 何だよ、この玉っころ。

 さっきとは違ってやたら馴れ馴れしい。

 いつからお前とそんなフレンドリーな関係になったんだよ。

 

「この金玉!!アンジェを撃ち殺しておいて話しかけんな!!」

『言葉の意味が分かりません、記憶の混乱を確認しました。後でアロガンツの耐衝撃性の向上を進言します』

「ごちゃごちゃうるせえぞ金玉!!」

 

 流石にこの狭い場所では避けきれないらしい。

 振った腕に当たった玉っころが壁に当たって落ちる。

 特に何処か壊れた様子もなく浮き上がってくるのが憎たらしい。

 

『その呼称は拒否します。私を男性器の蔑称で呼ぶのはマスターとの連携に支障を来たします』

「黙れ金玉ッ!!金属の球だから金玉だ!!」

 

 何とかって名前らしいけど意地でも呼んでやるもんか。

 アンジェを殺した奴を許すほど俺は優しくないんだよ。

 そんな事を思ってたら轟音と同時に突然体が傾いた。

 いや、部屋全体が傾いているのか?

 目を凝らしモニターに映ってる景色を見ると変な光景が広がってる。

 石造りの壁?がグルっと周りを取り囲んでる。

 上の方にはたくさんの人がこっちを見ながら声を上げてた。

 身形の良いガキ共が俺の方を見て何やら言ってるらしい。

 少し聞き取れたけど聞くに堪えない罵声を吐くこいつらはまるで猿の群れだ。

 モニターの中央には光り輝きながら聳え立つ白銀の鎧が映し出されてた。

 その色と形見覚えがある。

 確か公国との戦争でユリウス殿下が操縦していた機体だ。

 細かい意匠や武装は違うがあんな高価な鎧を所持している奴は王国にはまず存在しない。

 

「金玉!!」

『…………』

「何か言え金玉!」

『そのような呼称の存在は現時点でこの空間には存在しません。マスターの局部にぶら下がってる物を含めるのなら、金玉とはマスター御自身なのでは?』

「てめぇ!!」

 

 もう一度殴ろうしてまた衝撃で部屋が揺れる。

 何なんだよ此処?

 どうして殿下が俺を攻撃してんだ?

 

「何処だよ此処!?何で殿下に攻撃されてんだ俺!?」

『やはり記憶の混濁が見られます。四連戦は流石に操縦者の負担が大きいようです。次からは頭部保護の為に戦闘中はヘルメットの着用を進言します』

「良いから答えろ!!」

『マスターはアンジェリカの決闘代理人に立候補しました。現在はその五戦目になります。対戦相手はユリウス・ラファ・ホルファート。この国の第一王子です』

「……ちょっと待て。何で俺が決闘している?」

『ですから、アンジェリカとユリウスの婚約破棄による決闘の代理人に立候補したからです』

 

 いや、アンジェが俺と出会ったのは婚約破棄された後だろ。

 確か代理人が殿下達に敗けて学園を去った後に俺と婚約したはずだ。

 婚約破棄の頃の俺は王国軍に入って兵士になってた。

 どう考えても辻褄が合わない。

 

「そもそも何だよ此処!?鎧の中か!?普通の鎧と違い過ぎるぞ!!」

『当然です。技術水準が低いこの世界の鎧と私が製造したアロガンツを同一視してもらっては困ります』

「鎧!?鎧なのかコレ!?」

『はい』

 

 鎧なら動かせるはずだ、このまま一方的に攻撃されてたマズ過ぎる。

 とりあえず手元のレバーを思いっきり倒す。

 回避、とりあえず回避だ。

 

"ドオオオォォォォン!!"

 

 ……画面からデカい音が鳴り響いて天地が逆さまになった。

 どうやら派手に転倒したみたいだ。

 歓声がさらに大きくなって殿下を讃えている。

 

「……おい」

『何でしょうマスター』

「アンジェはどうしてる?」

『アンジェとはアンジェリカの事でしょうか?』

「そうだ」

『アンジェリカは観客席で決闘を見ています。スクリーンに表示しますか?』

「あぁ」

 

 目の前のモニターに一部に別の景色が表示された、やっぱ技術レベルの桁が違う。

 映し出されたのは泣いているアンジェとその隣で慌てててるオリヴィア様。

 

「どうしてアンジェとオリヴィア様が一緒に居るんだ?」

『二人の仲を取り持ったのはマスターです』

「じゃあ何で俺は決闘なんかしてる」

『マスターはユリウスがアンジェリカとの婚約を破棄しマリエと添い遂げると宣言した事が気に食わなかったと仰いました』

「……何でマリエが出て来るんだよ」

『彼女がユリウス達と同時交際を行い、パーティーでアンジェリカを挑発したからです』

 

 また別の景色が映し出される。

 歪んだ笑みを浮かべたマリエが楽し気に肩を揺らしていた。

 アイツ、あんな意地の悪い顔が出来たのかよ。

 オリヴィア様と一緒に俺の子供達をあやすマリエはもっと良い笑顔をしてた。

 

『どうやら勝負は決したらしいなバルトファルト。アンジェリカなどに味方するからこうなるのだ』

 

 高らかに勝利宣言するユリウス殿下が操縦する鎧が近づく。

 分からない、何一つ分からない。

 分かるのはたった一つだけ。

 俺はこの状況を受け入れられない。

 アンジェを泣かせるこの世界をぶっ壊したい。

 

「……金玉」

『その呼称は速やかに中止してください、私の個別名称はルクシオンです』

「いいから答えろ、この鎧があれば殿下に勝てるか」

『造作もありません』

「俺はコイツを上手く扱えない、お前なら出来るんだろう」

『はい』

「なら力を貸せ。俺はあのバカ王子に勝ちたい」

『了解しました』

 

 コイツが地獄の悪魔だろうと知った事か。

 俺は弱っちいんだ、勝つ為なら手段を選ばず何だってしてやる。

 悪魔にだって魂を売り渡すさ。

 

『アロガンツの操縦方法を表示。機体制御は私が担当、攻撃担当はマスターで宜しいでしょうか?』

「構わない」

『では設定変更後に再起動します』

 

 ゆっくりと漆黒の鎧(アロガンツ)が立ち上がる。

 同時に息を整えモニターに表示された鎧の形状と動作方法を頭に叩き込む。

 余計な思考を頭から飛ばしてたった一つの事だけに意識を集中する。

 

『まだ立ち上がるか、良いだろう。ならば立ち上がれないように徹底的に潰してやる』

「……せぇよ」

『何?』

「うるせえぞクソ王子!!」

 

 レバーを思いっきり倒す。

 次の瞬間、急激な加速による重力が全身に襲い掛かる。

 戦法も糞も無い、自分の鎧を砲弾のように射出する原始的な突進(チャージ)

 鎧同士の戦闘では意外と効果がある初歩的な攻撃方法。

 加速は一秒に満たない時間、それでも一般的な鎧に比べて大きく重いアロガンツ(こいつ)がぶつかれば並みの鎧は耐え切れないはずだ。

 

『なッ……!!』

 

 予想は的中、殿下の鎧は後ろの壁目掛けて吹き飛ばされた。

 壁が大きく抉れその上に居た観客席から悲鳴が上がる。

 その時になってやっと此処が闘技場だと分かった。

 気に入らねえ、お前ら貴族は戦闘を演劇や合唱と勘違いしてやがる。

 命を奪い合う戦場に観客席は無い、あるのは生き残った勝者と屍を晒す敗者だけだ。

 殿下の鎧がぎこちなく音を立てて立ち上がってくる。

 流石は王家が作った王族専用の鎧、無駄に頑丈だ。

 

『貴様、まだこんな力を…』

「黙って倒れとけこの野郎!!」

『がァっ…!』

 

 アロガンツの拳が白銀の機体が持っている盾に当たる。

 助かったのはこの盾のおかげみたいだ。

 だけどアロガンツの圧倒的なパワーの前にその形を歪めていく。

 アロガンツには幾つかの武装があるらしいがいきなり使いこなせるほど俺の操縦技術は高くない。

 だからとにかく腕と脚で攻撃し続ける。

 屈強なゴロツキが痩せた優男を一方的に殴りつけるみたいであまりいい気分じゃない。

 だけど吐き気すら感じるぐらいの怒りが次から次へと湧き上がる。

 

「周りの迷惑を考えた事あんのかクソ王子!!」 

『ぐわァぁ!』

「こんな馬鹿げた事やるから王家と公爵家が争うようになるんだろうが!!」

『な、何をッ!』

「ちったぁ陛下や妃殿下や苦労を分かりやがれ!!」

『貴様に何が分かる!』

「お前が顔と腕っぷしだけは良いけど女を泣かせるクズって事かな!!」

 

 言葉を吐き出すのと同時に攻撃を繰り出す。

 殿下は無意識に俺が何かを言う度に攻撃されると刷り込まれ反撃が覚束なくなる。

 最初は盾で俺の攻撃を受け止めた後に反撃へ転じようとしてたのが、今じゃ甲羅に引っ込む亀のように必死に縮こまってる。

 

「何より許せないのはなァ!!」

『ぐッ…!』

「俺の嫁を泣かせた事だぁぁァァ!!」

『なっ!?』

 

 殿下が一際大きな声を出して驚く。

 観客は唖然として、画面の隅に映ってるアンジェとオリヴィア様とマリエは動きを止めた。

 そうだ、俺はアンタにムカついてる。

 確かにアンタが婚約破棄したから俺はアンジェと結婚できた。

 だからってアンジェが婚約破棄されて良かったなんて俺は一度も思った事が無い。

 今でもアンジェが殿下に情があるんじゃないかと不安になる時がある。

 こんなの弱者を護る正義でも王子に諫言する忠誠心でもない。

 ただ、俺はアンジェを泣かせたお前が気に食わない!!

 

「アンジェの何が不満だこの野郎!?あんな良い女は他に居ないぞッ!!」

『お前にとってはそうでも俺にとっては違う!』

「アンジェがどれだけ努力してきたか知ってんのかバカ王子!!』

『そうしろと命じた覚えは無い!』

「王家や公爵家に事情があるのは俺も知ってんだよ!!だけどやり方ってもんがあるだろ!!」

『うるさい!俺の苦悩も知らんくせに!何様のつもりだバルトファルト!』

「お前達お坊ちゃんお嬢ちゃんより地獄を見てきただけな田舎出身の成り上がり者だよ!!」

 

"ガアァァァン!!"

 

 言葉と同時に繰り出されたアロガンツの蹴りでついに盾が完全に破壊され破片が地面に散らばった。

 もう殿下に俺を止める方法は無い、無力化するなら今だ。

 

『データ解析の終了を確認。マスター、この一撃による戦闘終了を提案します』

「分かった!」

 

 アロガンツの右掌が光り輝く、これを使えって事らしい。

 もう殿下の鎧は立っているだけで精一杯なぐらいあちこちが凹んでる。

 弱ってる相手を痛めつけるほど俺は性格が歪んでない。

 動きの鈍った白銀の鎧に右掌を押し当てる。

 

「反省しろアホ王子!」

『インパクト』

 

 次の瞬間、空間が震え閃光が走る。

 殿下の鎧が弾け飛び、遅れて衝撃と音が辺り一面に響き渡った。

 ……いや、バラバラになった破片が後ろの壁に激突して炎を上げてる。

 ヤバくないかこれ?

 

『敵鎧の完全破壊を確認、順当な勝利ですマスター』

「……おい、殿下はどうなった」

『直撃で吹き飛ばされたかと、生命反応は確認できますが極めて微弱です』

「誰がここまでやれって言った!?」

『私はマスターの命令を遂行しただけです。マスターの状況判断に誤りがあったのでは』

「俺は殺すつもりは無かった!」

『後悔先に立たずです』

「お前が言うな!」

 

 やっぱコイツ悪魔だ。

 粉々になった殿下の鎧に人が群がっている。

 アロガンツの周りを王国軍の鎧が取り囲み始めてた。

 モニターの隅に映るアンジェは青褪めた顔で俺達を見ている。

 結局、また俺はアンジェを幸せに出来なかった。

 その事を自覚した瞬間、激しい頭痛と眠気に襲われてまた意識が遠のいた。

 

 

※ ※ ※ ※ ※

 

 

「またかよ」

 

 頭痛と眠気で意識が飛ぶ度に違う場所へ飛ばされる。

 おまけに時間もめちゃくちゃだ。

 自分が何処に行くか分からないから、おちおち気絶も昼寝も出来やしない。

 今度はやたら広い部屋にご招待だ。

 しかも床には真っ赤な絨毯、座っているソファーはフカフカで金具はピカピカに磨かれて金色。

 テーブルも装飾が凄くて陶器の花瓶に生けられた花が咲き誇ってるときた。

 今度は俺が大金持ちになった世界か。

 テーブルの上に置かれたカップに手を伸ばして茶を啜る。

 冷めてて少し苦いけど極上品だ。

 まぁ国が滅亡してるとか決闘の最中に飛ばされるより数百倍マシか。

 

「あ、起きたんですねリオンさん」

 

 柔らかい女性特有の声が背後から聞こえる。

 振り返るとよく知ってる顔が其処に居た。

 

「オリヴィア様」

「どうしたんですか?リオンさんが私をオリヴィア様と呼ぶなんて。確かに平民出身の側室ですが他人行儀は嫌です」

 

 まただ、移動する度に何かが食い違う。

 オリヴィア様は神殿に伝わる聖女の服じゃなくてドレスを着ていた。

 ゆったりした作りだけど光沢や見た目から高級品だと一目見ただけで分かる。

 じっとオリヴィア様を見つめると恥ずかしそうに顔を逸らした。

 

「単身赴任して久しぶりなのは分かります。けど見つめられると恥ずかしいからあまり見ないでください」

 

 オリヴィア様の態度は親密な相手に対する距離感だけど、これは明らかに俺に惚れているような反応だ。

 これは俺とオリヴィア様が結婚した世界なのか?

 

「あ~っ!やっぱり此処に居た!」

 

 扉から二人の女性が入って来た。

 一人はプラチナブロンドの髪、もう一人はピンクブロンド髪の綺麗な女だ。

 

「またリビアは抜け駆けして!リオンも帰って疲れてるのは分かるけど平等に愛してくれなきゃ困るよ!」

「落ち着きなさい。あまり怒ったらリオン君も困るわ」

 

 プラチナブロンドの女は見覚えがある、ミレーヌ妃殿下だ。

 あの何処か冷めた視線で俺を見ていた妃殿下が優しく微笑んでる。

 だけど、どうにもしっくり来ない。

 この人は政治を最優先させる、こうして俺に親しく接するのも裏がありそうで怖い。

 

「お久しぶりですミレーヌ妃殿下、今日は如何なる御用で?」

「どうしたの、急に改まって。いつもみたいに口説かないの?」

「流石に王妃である他人の妻を口説くほど俺は人の道を外れていません」

「……リオン君がこんな事を言うなんて。何か悪い物を食べた?」

 

 どんな奴なんだよ此処の俺は。

 社会的常識ってもんを持ってないのか?

 

「ちょっと!無視しないでよ!」

 

 今度はピンクブロンドの女が絡んで来た。

 かなり、いや凄い美人さんだ。

 この子は随分と俺に馴れ馴れしい。

 何というかアンジェや妃殿下みたいな気高さが無くて、オリヴィア様みたいな遜った所もない。

 同年代の女友達って感じがする、そもそも俺に女友達なんてほぼ居ないけど。

 

「……すいません、何処かで会いましたっけ?」

「ちょっとリオンさん!」

「流石にそれは笑えないわよ」

「アハハ、その冗談ちょ~っと笑えないかなァ」

「貴女のような美しい女性なら一目見ただけで思い出せます。ですが本当に思い出せません。今一度お名前をお尋ねしてもよろしいでしょうか?」

 

 随分とご立腹みたいが本当に見覚えが無いんだから仕方ない。

 そんなに顔を歪ませて怒られてもこっちが困る、だって本当に記憶が無いんだ。

 少し離れた三人が体を寄せ集めてチラチラと俺をの様子を窺う。

 

「リオンさん、私は憶えていますか?」

「オリヴィア様です。神殿の聖女でフォンオース公国との戦争を終結された英雄です」

「……」

「私はどう、リオン君?」

「ホルファート王国の王妃ミレーヌ・ラファ・ホルファート妃殿下であらせられます」

「………」

「じゃああたしは?」

「すいません、本当に思い出せないんです」

「…………」

 

 あ、何かヤバいな。

 三人が青褪めて震え始めた。

 言葉で誤魔化そうにも状況が把握できない。

 

「お、落ち着きましょうリオンさん。今、治癒魔法をかけますね」

「誰か!誰か急いで侍医を集めて!」

「あたし、今からクレアーレを呼んで来る!」

 

 周囲が一斉に慌ただしくなった。

 マズい、このままじゃ確実に監禁されそうだ。

 ソファーから立ち上がって全力で駆け出す。

 とにかく此処から逃げ出そう!

 

「リオンさん!ちょっと待ってください!」

「衛兵!陛下を大至急取り抑えなさい!」

「待ちなってリオン!」

 

 分かんねえ、何で美人さんに追い回されなきゃいけないの?

 とにかく息が切れるまで足を前後に動かす。

 途中でメイドやら使用人やら貴族が俺を見て驚いてたけど気にしない。

 ようやく周囲に誰も居なくなった辺りで一息つく。

 そもそも何だよこの格好。

 頭に付けた冠とか、やたら重いマントとか、ゴテゴテした服とか。

 こんな格好する奴が町を歩いてたらセンスを疑うね、どっかの王様のつもりかよ。

 柱の陰で脱いだ服を床に置く、これで少しは身軽になった。

 自分の身形を確認しようとガラス窓に近づく。

 何かがおかしい、俺が俺じゃないみたいだ。

 

「傷痕が無い……」

 

 顔の左側にあった消せない傷痕が無くなっていた。

 一時期は鏡を見るのさえつらかった傷痕が綺麗さっぱり無くなってる。

 その事実がひどく俺を動揺させる。

 何なんだ此処は?どうして俺はこんな事になってる?

 

『マスターを発見、すぐに王の部屋にお戻りください!』

「またお前か金玉」

『その呼称は拒否します、私はマスターの睾丸ではありません!』

 

 あのムカつく玉っころと似たような声が聞こえたので素っ気なく返す。

 今のコイツはやたらとテンションが高い。

 

「誰がルクシオンなんて呼んでやるか、お前なんて金玉で十分だ」

『蔑称もひどいですが前任者と間違うのは私のアイデンティティに対する侮辱です、断固抗議します!』

「何だよ、どこか違うんだよ」

『私はルクシオンではありません、エリシオンです!』

 

 全然見分けがつかねえぞ、牛や馬の方がまだ見分けやすい。

 とにかく情報が先だ、忌々しいが俺が頼れるのは目の前に浮かぶ玉っころだけだし。

 

「分かったよ。じゃあエリシオン、此処は何処だ?」

『王宮の廊下です、正確には現在使用者が少ない旧区画に向かう廊下です』

「王宮ってホルファート王国のか?」

『ホルファート王国は既に国家として解体されました、現在はバルトファルト王国です』

「……おい、今なんて言った」

『現在はバルトファルト王国です』

「次に質問、俺は誰だ?」

『バルトファルト王国初代国王リオン・ラファ・バルトファルト陛下です。私にとっては唯一無二のマスターです!』

「マジかよ……」

 

 俺、知らない間に王様になってたらしい。

 

 

『現在のマスターは違う世界のマスターの意識が体に移っていると仮定されます』

「そんな事が本当にあるのか」

『元々マスターは異世界の人間の記憶を所持しています。実に興味深いですね!』

「デカい声出すな」

 

 魂とか転生とか生まれ変わりとかよく分からん。

 エリシオンが言うには別世界の俺の意識が乗り憑いたか、或いは入れ替わったと考えるのが妥当なようだ。

 そんな事があるのかと尋ねたら、そんな風に記憶を引き継いだ奴がこの世界には多く存在するらしい。

 

「王様ねぇ、あんまり楽しそうに思えないけど」

『マスター御自身もそのように発言してました。現在のマスターは数日前にバルトファルト王国に帰還。実に436日ぶりです』

「一年以上も国を留守にするとかそれダメ王だろう」

『バルトファルト王国の王妃と臣下達が有能ですから。マスターは安心して国を空けられます』

「王妃ってあの三人?」

『マスターの妻は十人を超えます』

 

 エリシオンが光ると空中に女性の一覧が表示される。

 知ってる女が数人、知らない女がそれ以上。

 

『子供の人数はその倍近くです。ですがマスターがあまりに国を空け過ぎるので父として認識されているかは怪しい物です。単身赴任中に生まれて一度もマスターと面識が無い王子も存在します!』

「言うな、悲しくて泣きたくなる」

 

 情報を仕入れつつ衛兵に見つからないように移動。

 向かう先は執務室だ、何で王様がコソコソ隠れて移動しなきゃならんのか。

 時に柱の陰に隠れ、時に空き部屋に身を潜めてやり過ごす。

 エリシオンが居なきゃ迷子になってとっくに見つかってた。

 時間をかけてようやくお目当ての部屋が目前に迫る。

 だが部屋の前には衛兵が二人佇んでいる、屈強な衛兵を二人同時に相手するには少しきつい。

 

「エリシオン、お前衛兵を引き付けられるか?」

『私の宮廷における優先順位は王族に次いでいます』

「ならあいつらを追い払え、ついでに他の奴が執務室に入らないようにしろ」

『よろしいのですか?執務室には彼女とマスターが二人きりになります』

「夫婦水入らずを邪魔すんなって言ってんの」

『了解しました!』

 

 フワフワと漂うエリシオンが衛兵に何かを告げる。

 何か二言三言話し合うと執務室の扉から遠ざかって行った。

 その隙に急いで扉を開ける、鍵がかかってなくて本当に良かった。

 部屋に入ると奥に大きな机があって、探していた彼女(ひと)が椅子に座って仕事をしていた。

 

「リオン?」

 

 俺を呼ぶ声が聞こえて全力で駆け寄る。

 駆け寄ってきた俺を訝しげに見る紅の瞳(ルビーアイ)

 

「遊んでる暇があるなら手伝ってくれ。只でさえ国王の不在期間が多いだ。せめて国に戻っている間は政務を執り仕切ってもらわねば王としての器を疑われかねない」

 

 宝珠に彩られた冠、豪奢な紅のドレスがよく似合っていてやっぱり彼女が王妃になるように育てられたと実感する。

 何も言わずに抱き締めた。

 

「お、おい!?」

「良かった、生きてる」

 

 声も温かさも柔らかさも全部俺が知っている物と全く同じだった。

 こうしてアンジェが生きてるのが本当に嬉しくて堪らない。

 もう二度と離れないつもりで抱き締めた。

 

「戻って最初の夜は私が相手だっただろう。順番を守ってもらわねば後宮に要らぬ争いを招くぞ」

「俺の嫁はアンジェだけだ」

「その言葉は嬉しいがリビアやノエルの前で言うなよ、私は二人に嫌われたくない」

 

 その言葉に少しだけ胸が痛む。

 混乱して逃げ出したから今の王宮は大騒ぎになっていそうだ。

 余計な騒ぎを起こした事を後悔する。

 

「なぁ、ライオネルとアリエルは何処だ?二人にも会いたい」

「ライオネル?アリエル?」

「俺達の子だよ。双子で、金髪で、小っちゃくて」

「私は双子を産んでいない」

 

 その言葉の意味に頭が凍る。

 いや、分かってた。

 分かっていた筈だ。

 このアンジェは別世界のアンジェで、俺の知ってるアンジェじゃない。

 なのに声も温かさも柔らかさも全部俺が知っている物と全く同じだった。

 だから縋り付いてしまった、いっそ似てない方が救われた。

 全てが同じなのに全てが違う、残酷な事実に打ちひしがれる。

 気が付くと涙が溢れて止まらなかった。

 必死に嗚咽を堪えて泣き続けながらアンジェを抱き締める。

 

「……怖い夢を見たんだ」

「そうか」

「目の前でアンジェが死んだ」

「だから私の所に来たと?」

「うん」

「しょうがないなリオンは」

 

 ドレスが涙と鼻水で汚れるのもお構いなしに泣きじゃくる俺の頭をアンジェが撫でる。

 その優しさが嬉しくてつらい。

 

「私は此処にいる、リオンが求めてくれるなら必ず傍に居る」

 

 アンジェの言葉に安心すると同時にまた頭痛と眠気が襲ってくる。

 ダメだ、このままだとまた何処かに飛ばされる。

 必死に意識をかき集めて抵抗する。

 何か、何か言わないと。

 そう思うほど泣いて痙攣した喉は言葉を発さない。

 

「……アンジェ」

「どうした?」

「俺と一緒になって幸せ?」

「幸せだとも」

「良かった」

「リオンは私を妻に迎えて幸せか?」

「うん、アンジェが俺の嫁になってくれて嬉しい」

「ならば良し」

 

 この世界のアンジェが幸せならそれで良い。

 他にも王妃が居て大変でもアンジェが支えてくれるならきっと大丈夫だろう。

 アンジェが近づいて来た、このままだと唇が重なるだろう。

 それは気が引けた。

 この世界のアンジェが愛してるのはこの世界の俺だ。

 別の世界の俺がキスして良い筈がない。

 せめて、せめて最後に何か言わなきゃ。

 別の世界に行ったらもうアンジェに二度と会えないかもしれない、また死ぬのを見るかもしれない。

 

「アンジェ、愛してる」

 

 それだけ伝えて瞼を閉じる。

 また体の感覚が遠のいて意識が希薄になっていく。

 最後にアンジェが何か呟いたみたいだけど、その言葉を理解する前に俺の意識は霧散した。




新章開始と同時にリオンを失意の谷に落とします、イチャイチャさせる為にまず心を弱らせなくては。(おい
なので悪夢という形で原作本編やルクシオン殲滅ルートのリオンと意識の入れ替えを行いました。
婚約破棄モノで悪者扱いされた令嬢が嫁いだ男性でも、妻に対してひどい扱いをした婚約者に蟠りは残ってるでしょう。
でも相手が王族だと逆らえないのが世知辛い貴族社会。
なので今作リオンには原作本編のユリウスを思いっきり叩きのめしてもらいました。
ちなみに後に今作リオンとユリウスにはきちんと鎧と拳で分かり合ってもらうつもりです。
原作だとルクシオンやドーピング抜きでリオンが五馬鹿に勝つのは難しいですが、その辺りを踏まえて書きたいと思います。
エリシオンの口調はウェブ版を参考にしました、書籍版に登場してキャラが違ったら修正する予定です。

ご意見・ご感想を戴ければ今後の励みにしたいと思います。
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