仮面ライダー鎧武 エピソードゼロ ~もう一つの世界~ 作:エクシ
さーて、あとはもう話すことはないが…せめて最後のお別れついでに少しだけ話しておくか。ロシュオの死の直前にあった出来事を…な。
葛葉紘汰・駆紋戒斗の二人は戦極凌馬から高司舞がオーバーロードの王・ロシュオのもとにいることを知らされ、ユグドラシルタワーからヘルヘイムの森へ向かおうとしていた。その頃ロシュオは舞に黄金の果実を預けたのち、一人玉座に座っていた。
「よう、ロシュオ。黄金の果実を求める者を待っているのか?」
「…蛇か。…その通り、それが私の最後の仕事だ。」
「ここでお前と二人で話すのは久しぶりだな。」
「…。」
「お前があの時言ったこと、覚えているか?」
「あぁ。」
「葛葉紘汰。お前の記憶の片隅にあった名前だ。そいつが今ここに向かっている。」
「…。」
「お前は実は覚えているんじゃないのか?クレシマ・ハクア・タカトラだった時のことを。」
「…はっきりとは覚えていない。だが私は何者かを看取った記憶がある。すべてのものを守ろうとしていた者だ。それが誰なのかはわからない。」
サガラはロシュオを見つめながら告げる。
「そいつが葛葉紘汰ならばどうする?」
「なんだと?」
「時空や平行世界を超えた葛葉紘汰がそいつで、それと同じ人物が今ここに向かってきているとしたら…どうする?」
「…。」
「…。」
長い沈黙が続いた。やがて森の奥の方でバイクのエンジン音が聞こえるとサガラはロシュオに背を向け、立ち去ろうとした。そしてロシュオはサガラの背中に向けて言った。
「もしそうならば私は見極めねばならぬ。慎重に。とても慎重にな。」
サガラをそれを聞くと蛇の姿になり、去って行った。
「舞!」「舞!」
近くで青年の声がする。ロシュオは戦う覚悟を改めて決めたのだった。
「来たか…。黄金の果実を求める者よ。」
ロシュオはレデュエの手にかかり死んだ。
「ロシュオ…ロシュオ…」
ロシュオは気が付くと目の前に一人の女性が立っていることに気が付いた。ミョエだ。
「久しぶりね、タカトラ。」
「タカトラ…?」
「ロシュオと呼んだ方がいいかしら?私はあなたと同じ、かつて黄金の果実を手にしたものよ。」
「同じ立場…というわけか。死んでいるということについても。」
「フッ…そうね。私はあなたをずっと見ていたわ。フェムシンムを救おうとした貴方、裏切り者を切り捨てた貴方、種族の滅びを嘆く貴方、人間にわずかな希望を与えてやった貴方。あなたを見ているうちに私はあなたのことばかり考えていた。人は人を好きになると逆の行動をしてしまうことがあるそうよ。私もあなたに少しいたずらをしちゃったわ。」
「何の話だ?」
「あなたの記憶にある王妃、実はあれ、私がすり替えた記憶なの。」
「なんだと…?」
ミョエは指を鳴らすと王妃の姿へと変わった。
「なんと…!」
「ごめんなさい。でも私はあなたのような王にほれ込んでしまったのよ。」
「私は何のために…」
「私のことを思ってほしくて、あなたが私のためだけに生きてほしくて…。」
「…。」
「…わかったわ。ひどいことをしたことは…わかってる。だからあなたにもう一度人生をやり直させてあげる。」
「どういうことだ?」
ミョエは再び指を鳴らした。
「さようなら、ロシュオ。」
タカトラは目を覚ました。ディショエ城の中だ。なんの違和感も示さず、タカトラは身支度を整える。そして隣の部屋をノックしに行った。
「起きろ!ミツザネ!」
「わ…わかってるよ、兄さん。コウタさんに少し遅れるって伝えておいて!」
「まったく…。」
タカトラは一人で食堂へ向かった。そこには一足先にコウタと家来たちがいた。
「遅いぞ、タカトラ!」
「すまんすまん。ミツザネはもう来る。」
「あーもー我慢できねえよ!食べちゃおうぜ!」
コウタはタカトラにニヤリと笑いかけた。タカトラは感じていた。この日々を求めていたような気がする。なぜこんなにも懐かしく感じるのか…と。
ありがとうございました。
更新がだいぶ遅れてしまいましたがこれにて完結です。
次はまた別の鎧武の小説を書きたくなってきたのでゼロレンジャーはおやすみしてそっちを進めたいなと思います。
書きはじめ次第、URLを乗せると思うのでよろしくお願いします。