超昂大戦SS 決戦・ルビーVSアメイズ! そして魔女は真の仲間に   作:環 藍河

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※原作第1部終盤までのネタバレ内容が含まれます。
※苦痛や負傷、悲鳴に関する表現が含まれます。いわゆるソフトリョナレベルですが、苦手な方は読むのをお控えください。
※本文中に出てくる特殊効果(バフ・デバフ等)の名前と効果が、原作通りに対応していない場合があります。
※原作のキャラクターに実装されていないスキルが描写されています。
※2022年6月投稿のSS「真の仲間になれないエスカ・チームのお嬢様は、ルビーにスパーリングを挑むことにしました。」のセルフ・リメイクです。内容はほぼ同様ですが、表現や描写を大幅に加筆・修正しております。


§1 ルビー惨敗!? 紫水晶の縛鎖と毒牙

「うあ…っ!」

どさっ。

ダイビート基地内・トレーニングルームの無機質な床に、息も絶え絶えの超昂戦士が倒れ込む。

紅蓮の超昂戦士、エスカ・ルビー。つい先日まで普通の女の子だった新人戦士ながら、サファイアとトパーズを加えたエスカ・チームの主軸を務める、荒削りながら成長著しい有望株だ。

そんな彼女が、もう一人の新人超昂戦士に翻弄され、リングに沈む。

 

対戦相手は、紫光の超昂戦士、エスカ・アメイズ。つい数日前にADDD適性を認められ、ダイビート長官・戦部トキサダの判断で変身を許可されたばかりの、新人超昂戦士。

 

「…あのルビーが、手も足も出ないとは…!」

「こらあーーっ! アメイズ、ここ開けなさいっ! あたしがルビーに代わって成敗しちゃるーーっ!!」

ルビーの相棒、エスカ・サファイアとエスカ・トパーズは、厚い扉に阻まれ、割って入ることができない。今すぐにでも援護に飛び込む構えで変身するも、アメイズに巧妙に閉め出されてしまった。

 

(サファイア…トパーズ…、ゴメンね。

でも、私たちが…ダイビートと箱船がこれから共闘するには…、これしか無いんだ。

さあ、ルビー…。あなたは、どうするの…?!)

 

……

「ねえ、長官くん? 私ー、入隊祝いに、アカリちゃんと…エスカ・ルビーと模擬戦がしたいなーって。…ダメ?」

 

 ざわっ…!

 

昨日のこと。突然のオファーに、場がざわめく。

「実際問題、私もエスカ・アメイズのポテンシャルとか、どこまで実戦で踏ん張れるかとか、手応えを確かめたいの。ADDDの経験豊富なアカリちゃんに、引き出してもらえたら嬉しいなって。」

「スパーリングは許可する。相手が…アカリが了承すれば、だが…」

 

トキサダがアカリを覗く。

「アカリ、どうだ?」

 

「…はい! やります!」

その目に宿すのは、いつもの闘志。

 

アカリとエリーの間に何かが…確執か、相互不信か…そういった不協和音の芽があったことは、トキサダも気づいていた。

だから、ためらいやわだかまりが少しでもあれば、不許可のつもりだったが。

「…よし、許可する。ユーノ、明日16時、トレーニングルームを押さえてくれ。」

 

……

「『フラックス・プロージョン、ビート・チェンジ!』」

そしてスパーリングの時間がやってきた。

変身キーワードを同時に唱え、紅と紫、2色の閃光がリングを包む。

程なく、試合開始を告げるブザーが響くと同時に、まずは赤い弾丸が紫めがけて放たれる。

 

「やああああっ! えいっ! はあっ!」

「くっ! ふんっ! それっ!」

ルビーの突撃を食い止めようと、アメイズのウィップがしなり、左右に上下に、ルビーを牽制する。

とてもADDDを装着してほんの数日とは思えない、巧みな鞭さばき。

(でも…っ、このくらいっ、ならっ、行けるっ!)

ウィップの軌道を読み、手刀とローキックで捌き、じりじりと距離を詰めていくルビー。

 

だが。

 

びしいっ! 

「くはああーっ!?」

どがっ!

 

背後から、ブーメランの軌道でウィップの尖端のチャームがルビーを突き飛ばす。

死角からの一撃に不意を衝かれ、全身をくの字に曲げられるルビー。

 

「ぬなっ!? あんなムチの動き、アリい?!」

「…ガラガラヘビの動きか…!」

ボックスでスパーリングを見守る、うららとヒビキが、共にアメイズの鞭さばきに舌を巻く。

 

ガラガラヘビ、別名・サイドワインダー。

敵と対峙した際、横へ跳び敵を急襲する習性を、その名に持つ蛇。

上下左右に散らした攻撃の本命は、ルビーの死角・背後からの一撃。

狡猾に冷静に、紫の鞭がルビーを仕留めた。

 

「くうっ…まだまだっ…!」

姿勢を立て直そうと踏ん張るルビー。

だが、膝が笑う。

(足に力が…入らない…っ?)

ルビーに突き立てたのは、蛇のわずかひと咬み。

だがそこから、ルビーを魅了するかのように魔力を麻痺毒として体内に巡らせ、確実に、ルビーの最大の武器である脚力を蝕んでいた。

 

「さあルビー、蛇のフルコース、たっぷり堪能してねっ。スキュラ!」

ウィップが新体操のリボンのように螺旋を描き、ルビーの全身を絡め取る。

「あっ、ああっ、きゃあああああっ!!」

 

ぎしいっ!

 

刹那、鞭は大蛇へと化身し、ルビーを締め上げる。

抱えるほどの太さの蛇が、胸を二の腕ごと、腹周りを手首ごと、そして両足を太腿から捻り上げる。

 

ぎしっ。ぎりぎりぎりぎりっ。

ぐぎぎっ。

「ぐうう~~っ!! あっ、あああ〜〜っ!!」

ルビーの…超昂戦士の防御力をもってしても、スキュラの無慈悲な締め上げに耐えるのは限界。

全身の骨という骨が、悲鳴を上げる。

肺が両腕ごと締め潰され、酸素を求める。

かろうじて動く足をばたつかせても、大地に届かない。

 

「ふふっ、スキュラはねっ、神話の世界では多くの船を沈め、船乗りを食らいつくしてきた、大蛇の魔物よ。

ルビー、たっぷりハグしてあげるっ!」

「あ…ああっ、うああああーーーーっっ!!!」

為す術なくルビーは、妖艶なる大蛇の捕虜となった。

 

「【フラックス・プロージョン、ビート・チェンジ!】」

がちゃっ!

「おいっ、スパーリングだぞ! やりすぎだっ!」

ボックスを飛び出し、割って入らんとするサファイアとトパーズ。

 

しかし、それを厚い扉が阻んだ。

「くっ…ロックがっ…! 若頭領、解除を!」

『ダメだっ、別の力で内部から二重ロックされている!』

「内部?! …アメイズ!」

「ゴメンね、サファイア。助太刀お断りなんだ。」

完全密室と化したリングに、ルビーを助ける手は届かない。

 

「あ…あんたねえええーーーっ! ルビーは一緒に戦う仲間でしょー! 

フレンドリーファイアなんて軍法会議で銃殺刑モンの狼藉、何してくれてんのよー!」

「…逆なんだー、トパーズ。」

「…はああ!?」

「私たちが一緒にこれから戦うために、避けられないのが、今日のこのスパーリングなんだっ。

…今はまだ、わかって、とは言えないけど」

「わ…わかってたまるかあーーーっ!! こらっ、ロック開けなさいよー!」

 

セコンドの抗議の間にも、アメイズの蛇は拘束を緩めない。

「あ…かはっ…ぐっ…あああ…っ…」

(息が…吸えないっ…!

か…体じゅうの骨が…潰されちゃう~~っっ!!!)

為すがままに蹂躙され、もはや失神寸前のルビー。

 

ふっ…。

すたっ…がくっ、がくがくっ。

「う…っ!?」

 

突如消滅する大蛇。ルビーのブーツがようやく床を掴むも、足取りはおぼつかず、立つのがやっと。

「ちょっと早いけど、フィナーレよ。ヒュドラ!」

 

 しゅっ、しゅしゅしゅっ、しゃああああっ!

 

(ま…また、蛇っ!?)

今度は鞭が九頭の蛇と化し、弱りきった紅き戦士を急襲する。

一頭一頭は傘ほどの大きさながら、その鋭い眼がルビーを捉え、大きく開いた真っ赤な口は、2本ずつの牙を剥き出しに。

上下左右、正面。ありとあらゆる方向から獲物を逃すまいと吶喊した。

 

がぶっ、ぶすうっ。

「う…あああああっっ!!!」

まず両脚を這い登った二頭が、その峰・ルビーの太腿に牙を打ち込む。

 

どくっ、どくっ、どくっ…。

「ふふっ、私のヒュドラの牙は、食らいついた者を淫らにとろかしちゃうの。

ルビー、すっごく気持ちよくしちゃうから、存分に味わいなさいっ!」

 

(あ…ああっ…、ダ、ダメ…っ…!!)

アメイズの言うとおり、両脚からルビーの下半身が切り離されたかのように意識との接続が失われ、さらに意識までもが霞み始め、闘志が揺らぐ。

 

だが、更にその二頭に続き、ルビーの上半身までさらに四頭が登る。

 

がぶっ! ぐりぐりぐりっ…!

どくっ! ぶすっ…!

 

「あああーーっ!! 

あぐっ! ぐううっ! うああーーっ!!」

スーツ越しの腹に、臍に、両胸に、4対の牙が突き立てられ、さらにルビーを蕩かす。

さらにヒュドラの波状攻撃は第三弾、進路を左右に曲げた二頭が、両腕に。

 

がぶっ! ぶすっ!

「あぐっ! うあっ、あーっ!! 

あああああ~~〜っっ!!」

 

ちゅううう…っ…!

 

牙から全身に回る、ヒュドラの淫毒。

反撃を繰り出そうにも、その両腕は指先まで麻痺。

蛇の主人に反撃しようにも、その両足はつま先まで弛緩し、全く力が入らない。

(う…動け、ないっ…!!)

ルビーの残ったスタミナとガッツは、既にごっそり奪われてしまった。

 

それでも情け容赦なく、最後の一頭が、ルビーの眼前に迫る。

「ひ…っ!」

一瞬の恐怖と、ルビーの脳裏をよぎる、最悪の未来。

 

次の瞬間。

がぶっ、どくどくどくっ!

「あああああーーーーーっっっ!!」

わかっていても、避けられない。

最後の毒牙は容赦なく、ルビーの首筋、頚動脈に突き立てられた。

 

インナー越しの注射は直接脳へ巡り、ルビーの意識を消しにかかる。

「イヤっ…嫌ああっ!

…う…あ…あっ…!」

抵抗するかのように、首を左右に振るルビー。

だが、そんな程度で、ヒュドラは獲物を逃さない。

 

どくん。どくん。どくん。

警報の如く、早鐘の鼓動がルビーの体内から響く。その拍動のひと打ちひと打ちごとに、ヒュドラの毒がルビーの五体をとろかし、意識を闇に引きずり込んでいく。

(そんな…一撃も反撃できずに…やられる…!)

 

「これで、おしまいっ。」

ウィップをくるりと巻き取るアメイズ。

ヒュドラの牙から解放されるも、ルビーにはもはや、体躯を支える脚力は残されていなかった。

「うあ…っ!」

前のめりに、卒倒。

吹き出す汗が、冷たい床を濡らす。

 

「…ルビーが、こんなに容易く…!」

「こらっ、ルビー!! 立ちなさいよおおっ!! 私以外に負けるなああーーっ!!」

アメイズの圧倒的な強さに戦慄する、サファイアとトパーズ。

 

(…ルビー、ホントにこれで、おしまい…?

あなたの狩人の素質、やっぱりまだ、つぼみのままなのね…。)

 

(つ…強い…。これがアメイズの全力…。)

薄れゆく意識を振り絞るルビー。

だが、ヒュドラの毒は更に全身を蝕み、重力に抗う力をルビーから奪う。

 

 (だ…ダメっ…。た…立たなきゃ…!

  ガッツ、全開…!)

 

両眼をつぶり、歯を食いしばるも、かなわない。

(サファイア…、トパーズ…、ごめん…。)

強化ガラスの向こうの仲間たちに、チームメイトとして無様な不甲斐なさを詫びるルビー。

(ああ…。)

視界は薄れ、全ての感覚が霞む。

 

もはや、アメイズの完全勝利は揺るがないのか。

 

だが、勝負を見守るトキサダは、それでもルビーの反撃を信じていた。

(ルビー…君の心はまだ、燃え尽きていない。

思い出せ、君の闘志を、護りたいものを…!)

 

 




筆者の環藍河と申します。お世話になっております。
SS投稿ハーフアニバーサリーを迎え、今回はセルフリメイク…と申しますか、
「このまま遡って読む読者様が出てきたら、こっ恥ずかしくて悶え死んでしまうううっ!!」
…な初期作品を手直ししたい、という願望がムクムク湧いてきまして、手直し版制作に取りかかった次第です。

特にこちらは環のSS処女作、まだ超昂大戦はじめて2ヶ月弱での執筆・投稿。
自分の中での世界観の幅も狭い中で手探りして書いたはいいものの、今にして思うと鼻につく表現や言葉選び、説明不足や、逆に過剰表現…。
その後、半年で20作を投稿し、少し勘所がつかめてきたところで、
「今ならこう書きますっ!」に挑戦してみたくなりました。

…ただ、当然シナリオ展開は、当時と変わりません。
読者さま、これってもしかして、ニーズ無かったりします?
ある意味、自分の中では大実験です。いろいろご指摘、フィードバックをいただければ、今後の活動・執筆に大いに役立ちます。

今回は§8までの分割予定、うまくいけば来週22日まで毎日投稿でのお届けですが…、ルビー好き、アメイズ好き、超昂大戦好きの読者さまにご納得いただけるよう、改めて頑張ります!
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