超昂大戦SS 決戦・ルビーVSアメイズ! そして魔女は真の仲間に   作:環 藍河

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§6 魔女も恐れる!? 神話級英雄ルビー・ここに爆誕!

 

「全く、深謀遠慮であるべき我らが恋人が、かくも捨て身の直情径行とは、いやはや、実に危うい。」

「誰のせいよ、わからず屋の皇帝様。」

 

ルビーとアメイズのバトルから間もなく開かれた、箱船会合。その開会前、皇帝ニルはご機嫌そうにエリーをからかう。

イレーナが基地の自動録画システムから編集し、送付していたスパーリングの様子を、すでに視聴済。

 

「それにしても…ふっ、ふはっ、ふははははは!」

「ちょっ…何よ、私がボコボコのコテンパンなのが、そんなにおかしいの?! 悪趣味ー!」

「ほう? 私は加虐嗜好ではないぞ。

いやな、さしもの私にも、これは見通せぬなと。」

 

「…何が?」

「検分した際は、まだまだ尻に殻のついた、卵から孵ったばかりのひよっこ戦士、児戯にも等しい戦だったが、なかなかどうしてあの紅き戦士殿、スキュラとヒュドラを屠るブレイブ・ソルジャーだったとはな! 実に愉快!」

「…あっ。」

 

ニルとエリーは、この二体を始め数々の魔物を討伐してきた、伝説の勇者の名を思い出していた。

 

……

そして、会合は開かれた。

魔女たちの真の敵・オルタナスタインは間もなくその牙を剥く。その運命の刻に先んじて…。

エリーはダイビートが共闘に足る組織であることを証明するべく、箱船メンバーにルビーのスパーリングの情報と映像を開示した。

 

「みんな。迫る危機は逆に、私たち魔女が新たな未来を切り拓くチャンスでもあるわ!

そして私は、ダイビートこそがそのパートナーだと確信しているの!

既に戦い始めた、新進気鋭の超昂戦士。

その強さを、刮目して見てちょうだいっ!!」

 

 ばきっ…ぐちゃっ。

 びしゅうっ…どぼっ。

《きゅっ…くきゅ~~っっ!!》

〘ぐるおわえああおぎやあ〜! ぶぐるっ〙

 ぼとっ。びくんびくん。

 

「みんな、どう?

これが私のパートナー、エスカ・ルビーよっ!

どう? 凄いでしょう?」

 

『こ…』

(…こ?)

『【〘〈恋人さまあああーーーっっ!!〉〙】』

「なっ…何?!」

参加メンバーが一同に青ざめていた。

 

『な…何なのよ何なのよ、この狂戦士はあ!?』

【ヒュドラ九頭を悉く撃墜、スキュラを逆に引きちぎるなんて…っ!】

〘ダイビートの超昂戦士は、神話級なの…?!〙

〈あ…あああっ、敵でなくて良かった…!〉

 

 《はああああーーーっ!! 

  ストライクうーーっ! エスカレーションっっ!!》

 

『ひいいいいっ、吼えてる、吼えてるううっ!』

【ぎゃああああっ、眼が、眼が緑に光ったああっ!!】

「…あ…あれっ…?」

…その日、箱船会議は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。

 

「あはははははっ、エリマルのパートナーって、マジヤバいねー!」

「ストナ…!」

「ウチは友達になれそうだけどー、うちの吸血鬼とか、おばーちゃんたちはヒくかもねー? 

なんなら、ルビーの紹介写真、鬼モリにデコって、やわらかイメージにしとくー?」

「や…やめてええっ!」

「あははっ、ウソウソっ。ルビマルに会えるの、ウチも楽しみっ!」

 

保守派の魔女・ヴィクトリア派のホープ、死神のストナ。彼女の伝達しだいでは、箱船の一大勢力が付くか離れるかの命運が決まる…?

ストナ自身はルビーをちゃんと認めてくれた様子だけど…この分では、ヴィクトリア派でも怖がる魔女が出るだろうか。

 

ともかく。

エリーとしては、キュートで勇敢なサラブレッドを紹介したつもりだったが…。

幹部には、チートで獰猛な蛇喰い虎にしか見えなかった…らしい。

 

…そして、その結果。

 

「ふははははっ、ヘラクレス殿! これから是非とも、お手合わせ願いたい!」

「へ…ヘラクレスって…、わ、私いいっ!?」

 

箱船とダイビートが手を組んだ直後から、アカリはしばらくの間、スキュラとヒュドラを退治した神話の英雄・ヘラクレスの二つ名で呼ばれることとなる。

 

「あ…あのねっ、アカリ…。

ウチの慣例でねっ、箱船メンバーにはアルカナの二つ名がつくの。私なら『恋人』雪城エリー、ニルなら『皇帝』ファヴニル、みたいに…。」

「そ…それで私に…?」

「そう、『ヘラクレス』園崎アカリ、または『ヘラクレス』エスカ・ルビー…。

…やっぱり、ダメ?」

「あ…あはは…っ…。」

 

それにしても、よりによってヘラクレス…。

「ダイビートの紅き悪魔」だの「蛇殺しのルビー」だのよりはマシとしても、少なくとも女の子に付けて喜ばれるニックネームではない。

 

「…相手がヘラクレスでも…護り切る…!」

ニルやレヴィは、アカリに逢うたび腕試しを挑み。

「アっカリちゃ〜ん、感動映画観いひん? ほんで、流した涙をぜひ、実験サンプルに…!」

「甘いなあ弟子よ。ここは一気に本命の採取だろう? というわけで、洋モノAVを用意した。それとも、ご同輩を呼ぶかね?」

ルカやプカルルは研究対象として興味津々。

(ア…アカリに魔力因子は無いわよーーっ!!)

 

そして…。

「クラリス、紹介するね。こちらが園崎アカリ。私の背中を預ける、とーっても大事なパートナー、エスカ・ルビーよっ!」

「ひっ! ヘラクレス…様…!!」

 

穏健派の魔女からは…恐れられる存在となってしまった。

 

がくがくがく…ぶるぶるぶるっ。

「…も…もう逆らいません…私、美味しくないですから…っ!

八つ裂きは…ゼリーウナギだけは…ヘラクレスさま、お慈悲を…!!」

 

ことに、下半身に水蛇、腹に六頭の犬を従える魔女・スキュラの魔力因子を持つ、NAUの金庫番・節制のクラリスの怯えようは著しかった。

 

 《ぐるおわえああおぎやあ〜! ぶぐるっ。》

 「ひいいっ!!」

 どすん。びくんっ! どくんっ!

 「あ…あああっ、そんな…!!」

 

クラリスには、スパーリングで悲鳴を上げる大蛇スキュラの映像が、まるで我が身のことのように突き刺さってしまった。

生来の穏やかさが災いして、クラリスは完全にルビー恐怖症に陥り、アカリのワンコ系・人たらしパワーを以てしても、打ち解けるまでに少しの時間を要したという。

 

「お…落ち着こっか、クラリス…? 大体、あなたのスキュラは蛇じゃなくて犬でしょ?

ほら、ガラテイア…?」

「イヤっ…ガ…ガラテイアまで、はらわたを引きずり出されて、ハ…ハギスに詰められちゃう…!

ああ…っ、もう…、ダメです…っ!!」

「だーかーらー!

アカリはそんなバーサーカーじゃ、ないからーっ!」

 

(ねえ、エリーちゃん? 私って魔女さんたちに何かヒドいこと、しちゃったのかなあ? 何だかみんな、ヨソヨソしいような…)

(…あー…アカリはぜんっぜん、悪くないよー。…ゴメンねっ、ホンっトに…!)

 




筆者の環です。おはようございます。§6をお届けします。
登場する魔女を大幅増、賑やかな章にしてみました。
初稿執筆時は赴任2ヶ月の新人トキサダ、箱船勢力のメンバーへの理解が浅かったなあ…。
明日投稿の§7も大幅加筆、ギャグであっさりだった初稿から、純愛ドキドキ方面にかなり変えます。乞うご期待。
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