ギターヒーローを探して。   作:二期まだ?

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ギターヒーロー代理、始めます。

 

「……どこだ、ここ?」

 

 ふと気がつくと、俺はどこかの公園のブランコに腰掛けていた。

 いやっ、何これ怖い。どこだよここ、まじで。

 

「えーっと、さっきまでバイク乗ってたよな。そんでたしか……」

 

 ぼんやりと思い出して来た。バンドで喧嘩になって飛び出して、バイクを飛ばして、そんで盛大に事故った。「あっ、これ死ぬな」と思ったところまでは覚えている。

 

「……で、なんで公園にいるんだ?」

 

 最後の記憶と現在の状況が繋がらない。この公園も見覚えはあるけど、どこなのかはわからない。近所の公園ではないし、一体どこで見たんだったか……。

 

「あっ、ギター!!!」

 

 突如かけられる声。驚いて立ち上がりながら顔を上げると、黄色い髪の少女が駆け寄ってくるところだった。

 

「それギターだよね? 弾けるの!?」

「えっ、あっ、うっ……」

 

 混乱のあまり声が出ない。ギター? 言われてみると、たしかにそれらしき物を背負っている感じがする。いや、そんなことよりこの少女は……!

 

「あ、いきなりごめんね。私、下北沢高校2年、伊知地虹夏」

 

 そうだ、虹夏ちゃんだ。自己紹介されるまでもなく知っている。そうか、見覚えがあるはずだ。ここはぼっちちゃんと虹夏ちゃんが出会った公園じゃないか。……えっ、つまりどういうこと?

 

「えっと、俺は……」

 

 とっさに何か返そうと開いた口は、すぐに言葉を見失った。俺は……俺は誰だ?

 口から出た声は予想に反して高い。視線は虹夏ちゃんとそう変わらない。ちょっと待て。この俺は、本当に俺が知っている俺自身なのか?

 

「私、バンド組んでドラムやってるんだ。ちなみに、ギターどのくらい弾ける?」

「あっ、そこそこ……」

「そっかー! ちょっと今困ってて、無理だったら大丈夫なんだけど……大丈夫なんだけど困ってて……」

 

 はい、絶対だいじょばない奴ですね!

 俺も大概混乱しているが、それに気がつかないほど虹夏ちゃんも焦っているようだ。無理もない。俺はこの時の状況も、彼女の過去も知ってしまっている。彼女の心情は理解しているつもりだ。

 

「お願い、私のバンドで今日だけサポートギターしてくれないかな!」

「……いいですよ。ただ、その前に条件があります」

「えっ、条件? なに?」

 

 この状況の意味はさっぱりわからないが、俺にもわかっていることがひとつだけある。

 

「その辺にピンク髪ピンクジャージのヤバい奴がいないか、一緒に探してくれませんか!?」

 

 虹夏ちゃんを救えるのは、俺じゃない。それは、後藤ひとりの役割だということを。

 

 □

 

「ったく、どこ行ったんだよ後藤ひとり……!」

 

 虹夏ちゃんと周辺を駆けずり回って行った「後藤ひとり捕獲計画」はあえなく失敗に終わった。あの全身ピンクっぷりだ。近くにいれば確実に目に入ると思ったのだが、結局彼女が見つかることはなかった。さすがツチノコ。言ってる場合じゃねえ。

 

「ごめん、人探しならまた今度手伝うから!」

「……いえ、仕方ないです。ライブの始まる時間もありますし」

 

 後藤ひとりを見つけて彼女にバトンタッチすればいいと思っていたが、どうやらそうもいかないようだ。虹夏ちゃんに連れられるまま、ライブハウスに向かう。

 

「着いた、ここだよー!」

「おお……!」

 

 見覚えのある「STARRY」の看板を通り、ライブハウスに入る。ここが聖地か……!

 

「やっと帰って来た」

「リョウ〜!」

 

 うわっ、生山田だ。流石に顔がいい。心の中の乙女回路がキュンキュン言うのを感じる。心の中っていうか……あれっもしかして俺、今身体も女の子なのか?

 

「この子はベースの山田リョウだよ」

「こんにちは」

「変人って言ったら喜ぶよ〜」

 

 変人っていうか、クズのイメージなんだよなぁ……。

 主に金銭面で。いや、総合的には好きなんだけどさ。

 

「……俺、お金は貸しませんからね」

「!?」

 

 さて、ぼっちちゃんを探してたからあまり時間はない。

 

「本番前に練習したいんですけど……スタジオ使って良いんですよね?」

「うん、店長が時間まで練習しとけって。あと虹夏が勝手に抜け出したこと、怒りながら買い出し行った」

「ええっ、嘘!」

「帰って来る前にスタジオ入りましょう」

 

 早めに試してみないとな。この身体で、どこまで弾けるものか。

 

 □

 

「おお、かなり……いや、結構うまい!?」

「うん」

 

 おお、意外と好感触。自己評価としてはそうでもないんだが。元の身体を100とするなら40……いや35ってところか。やっぱり手が小さいし、力も上手く入らない。なによりまだこの身体の動かし方に慣れてないのが大きい。ま、泣き言言っても始まらない。やれるだけやるしかないか。

 

「はは、ありがとうございます。まあぼっちちゃ……ギターヒーローほどではありませんが」

「ギターヒーローさん知ってるの!?」

 

 おっ、虹夏ちゃんが食いついて来た。

 

「無茶苦茶うまいよね! 私、フォローして新着通知もONにしてるんだ〜。いつか一緒に演奏してみたいな〜!」

「……本当は今日、一緒に演奏出来るはずだったんですけどね」

 

 などと、小声で呟いてみる。そうだ。本当はここにいるのは、俺ではなかったはずだ。まだ間に合うぞ。どこにいるんだよ、ギターヒーロー。

 

「あっ、って言ってたらギターヒーローさん新作あげてる〜!」

「えっ!? み、見せてください!」

 

 慌てて虹夏ちゃんのスマホを覗き込む。

 

『新作です。』

 

 そっけない一言コメントと共に上げられていた新作は、後藤ひとりらしからぬ青春応援ソングのカバー動画だった。

 

 

 




一応書いておくと
後藤ひとり=ぼっちちゃん=ギターヒーロー
です(原作知識)。
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