カオス転生リスペクト-転生者がロバなんで独自設定に走っても良かですか?- 作:平成ウルトラマン隊員軍団(仮)
このスーパーロボット大戦をメガテン3次と言い張る勇気。
いやボス敵はメガテンですから!!
道行く(株)ボーダー対アースゼロ・ハイヴ攻略班は無人の野を行くがごとくメシア教やBETAからの抵抗を排除しながら進軍いく。
地味にBETAが単体攻撃魔法スキルで強化されており、光線級でなくとも数km先にいる相手にも攻撃が届くようになっているが、その強化と圧倒的な物量を持ってしてもボーダー側の戦力は非常に強力で接敵した次の瞬間には全滅させられている。
しかし地下15kmの深度で地球をぐるりと一周する環状超巨大トンネルから無数の枝道が生えているアースゼロ・ハイヴの中はあまりにも広大だ。
メインのトンネル部分の幅など狭い所でも10km近くはある。
しかもマブラヴ世界のハイヴと異なり主縦穴のような目印もなく、闇雲に彷徨えばいたずらに消耗するだけで何も出来ずに撤退するしかなくなるか、それすら因果律に許されずに全滅させられるかの2択しか無いのは火を見るよりも明らかだった。
そんな事は突入した当人達も百も承知であり、その状況を打破する為にまずは兜甲児とマジンガーZを捜索する所から始めた。
よって本命は悠とマジンカイザーがいる部隊であり、残りの4隊が暴れている理由は陽動と捜索支援である。
悠がいる本隊は少しでもスパロボプレイヤー部隊を再現してその運命力を神話再現しようと、ボーダーにおける普及モデルの機動兵器であるアーキオーニス・タイプMとタイニーフェザー以外にも、悠のマジンカイザー、イングラム・ヴィレッタ・アインのハルバードA、アレフのハルバードB、ケイジのハルバードC、一鷹&AL−3アリスのラッシュバード・モードアーキオーニス固定型、悠凪グライフ&HL−0ハルノのストレイバードカスタム、テスターニキのアーキオーニス・タイプH、ゲッターチームのアルケオプテリクスと多様な機種とエースが揃えられていた。
天羽々斬ベースのハルバードに関しては、セレスチアルリアクター搭載型機動兵器である天羽々斬との関連を匂わせる事で、メシア教の機甲戦力の中でも重要な地位を占めているだろう兜甲児とマジンガーZをおびき寄せるエサとしても期待されている。
「それで、俺達が今いる辺りは日本の地下付近なんですよね?」
「ああ。マジンガー系列の機体を運用と思ったらジャパニウムが手に入りやすい日本が1番運用し易いし、何よりこの世界だと東京という都市がある種の特異点だからな。
メガテンシリーズの話は知ってるんだろ悠?」
「ええまあ。
最初は俺や母さん相手に箝口令しこうとしてたみたいですけど、やっぱ何年も一緒に親子共々ボーダーのお世話になってたらどうしても耳に入って来ますからね」
浮遊艦船のパイロット待機室で目の前の比較的親しい部類のボーダー社員と話している悠。
悠のいる本隊の浮遊艦船は索敵メインで艦載能力が低い駆逐艦ではなく、より大型で頑張れば大型のアーキオーニスも複数機載せる事が出来る艦載能力と高い火力を持たされたギガンティック級強襲揚陸艦ダークレイヴンだ。
強襲揚陸艦と言いつつも実態は航空戦艦という本来採用するべきではない中途半端な艦種ではあるものの、スパロボプレイヤー部隊には必ず配備されている艦種である為、神話再現的な必要性に迫られて開発され悠達の本隊に配備されている。
ギガンティック級というのもストレンジジャーニー及びディープ・ストレンジジャーニーに因んだ神話再現狙いの名前だ。
今、悠が男と話している場所はそんなダークレイヴンのパイロット待機室であった。
ボーダーとしては悠や一鷹とアリス、イングラムら兄弟、アレフといった主人公達は必要な場面が回ってくるまで可能な限り温存する方針だからだ。
「正直言って俺や母さんがゲームキャラだったってーのは受け入れ難くはありますけど、悪魔のレベルやらスキルやらを見せられてしまうとゲームの世界だって言われても納得出来てしまいますし……」
「俺達自身も当初はそんな感じだったけどな。
まあヤバい世界なのが最初から分かり切ってたから「ゲームの世界に来れた」なんつーハシャぎ方する奴は皆無だったが」
「そしてそのメガテンシリーズが日本を舞台にしたお話である以上、この世界でもヤバいイベントは日本で起きやすいと」
「まあそういうこった」
と、悠と男が話している所で艦内放送が入る。
「待機中のパイロットは直ちに発艦して下さい。
高出力の光子力エネルギーの接近を感知しました」
その放送に弾かれるようにして悠達パイロットは自分の機体に向かう。
未来世界のゲッター艦隊による技術供与を受けているメシア教の機動兵器は基本的にゲッター線エネルギーで動いているので、ゲッター線ではない光子力エネルギーで動いている機体があるならそれは高確率でマジンガーZだからだ。
「ゼロ!!」
「分カッテイル。我ラノ出番ノヨウダナ。
慌テズ発艦しーけんすヲ進メロ」
「ああ」
マジンカイザーのコクピットシートに座った悠は魔神マジンガーZEROに促されて発艦シーケンスを進め……
「久須見悠、マジンカイザー出るぞ!!」
ダークレイヴンからマジンカイザーが発進していったのだった。
「分かっていると思うが敵マジンガーは絶対フレイムフィールドに巻き込むんじゃないぞ!!」
「ダークレイヴンのサイコブラスターフィールドの範囲を艦外まで広げるぞ!!
次はマトモな戦闘になる!! 空対空ミサイルの迎撃は必須だ!!」
「ミサイルに追い回された奴はダークレイヴンの方行け!!
サイコブラスターにミサイルを潰してもらうんだ!
」
悠達ボーダーは口々に確認事項を言い合いながら接近中のマジンガーZ含むメシア教戦闘部隊迎撃体勢を整えていくが、完了前に視界を埋め尽くすほど大量のミサイルを撃ち込まれてしまった。
「やったか?
この聖地を荒らす異教徒どもめ、一体どこから……」
ゲッター3系列機であろうメシア教の機体のパイロットが全て言い終える前に、ダークレイヴンからお返しのミサイルが彼等の部隊に襲い掛かる。
「ったく、誘導兵器に関しちゃ艦載ミサイルしかねえってのはやっぱ問題だよなあ!」
そのお返しミサイルに追従するように現れたアーキオーニス・タイプM複数機が構えた大型携行火器ディメンションバスターから迸る亜空間エネルギーの濁流によって、ミサイルに気を取られたメシア教戦闘部隊は1000機近くが消し飛ばされる。
だが……
「ウジャウジャ出て来やがって。
BETA利用してるだけじゃなくてテメエら自身もBETAかよ!!」
それでもメシア教戦闘部隊の規模はおびただしい数のBETAや3邪神分身体、死霊操兵で水増ししている事もあって1000機程度では0.1%以下の損害にしかならない程の大規模な軍勢であり、フレイムフィールドの存在を考慮してさえマブラヴ世界の対BETA戦のような大規模戦闘の幕が上がる。
「マジンガーZはどこだ!!
極論アイツにマジンカイザーぶつけて勝てば、後のクソどもは後腐れなくフレイムフィールドで焼けるんだが!!」
「悠!!
お前は戦闘に参加せずに後ろで光子力エネルギーの反応を探してろ!!」
「撃墜された連中の事は気にするな!!
どうせベイルアウトしてる!!」
「了解!!」
通信機越しに聞こえてくる怒声と爆発や発砲音などの戦闘の喧騒に包まれた悠は、喧騒に負けないよう怒声で応答しながらレーダーを確認する。
センサー範囲自体はダークレイヴンに搭載されている艦載型の方が圧倒的に高性能なのだが、マジンカイザーがマジンガーZを探すという場合においては因縁の影響が強く効率が良いと考えられたからだ。
しかし今回の場合はダークレイヴンの方が発見が早かった。
「ダークレイヴンからマジンカイザーへ。
マジンガーZと思しき光子力エネルギー反応の正確な位置情報を取得、追跡中です。
そちらにリアルタイムで光子力エネルギー反応の位置情報を送りますので急行して下さい」
「了解!!」
「敵陣深クダガ大丈夫カ?」
「ダークレイヴンからハルバード各機へ。
マジンカイザーに随伴して敵陣に突入して下さい」
「「「「「了解!!」」」」」
「近場にいるアーキオーニスは突入口を開け!!
タイニーフェザーはアーキオーニスの邪魔をさせるな!!」
「了解!! 各員ディメンションバスター構え!!
……ってぇ!!」
ダークレイヴンからマジンカイザーの通信を皮切りにボーダー機動兵器部隊に大きな動きが起きる。
複数機のアーキオーニス・タイプMから放たれたディメンションバスター広域照射が視界に入るメシア教戦力の大半を薙ぎ払い、一時的に無人の野となった戦場をマジンカイザーとハルバードが低空で駆け抜ける。
「ハルバード各機、ディメンションバスターでスッキリしたと油断するな。
BETAは居るはずがない所からも平然と湧くからな」
そう檄を飛ばすのは自身もハルバードに乗っている青年、ケイジだ。
正直な所、悠や他のハルバードパイロット達のような小学生少年兵の動員にはケイジや「俺達」にも拘泥たる思いがあるのだが、ここは彼等の主人公としての運命力に頼らざるを得ない場面でもある。
似た世界にボーダーと同じように転生して来たガイア連合が途轍もない力を持ったショタおじを始め凄まじい戦力を揃えていながら世界を終末から救うことが出来なかった最大要因が、ガイア連合所属の転生者達の多くがいかに強かろうとも運命力の乏しいモブであり終末という巨大な運命を変えられるだけの運命力に恵まれなかったから、という一点にある。
ましてやボーダーに集まったこの世界の転生者「俺達」は霊能こそが命とされるこのメガテン世界において、霊的な資質に乏しい本来ならカキワリ以下の扱いを受けるロバとして生まれて来てしまっている。
考えるまでもなく運命力に関しては、ガイア連合の転生者>>越えられない壁>>ボーダーの転生者だ。
運命力を持っていた中島やゲッターチームなどはガイア連合におけるショタおじのような例外枠だろう。
その為、いくら魔神マジンガーZEROの因果律兵器によって中和されていると言っても、BETAの絶対勝利を約束する因果律の発生源その1であるあ号標的の居城であるハイヴ内で巡り合わせに恵まれる可能性は完全にゼロだと考えて良い。
となるとこの重要な局面に投入するべき戦力は「俺達」ではなく、主人公としての運命力を世界を救った並行同位体の影響で持っているハズのケイジ達や悠という事になってしまうのだ。
「俺達」は祈るに値する神の居ないメガテン世界で、それでも祈るような気持ちでマジンカイザーとハルバード各機の突撃を援護する。
一方のメシア教戦闘部隊の方もてんやわんやの大混乱中である。
そもそもボーダー側で最も数が多い主力兵器であるアーキオーニスの時点で、強大な存在である3邪神分身体や高位の大天使が一撃で消し飛ぶ亜空間エネルギーの濁流を割とポンポン広域照射して来るのだ。
未来ゲッターを現代でも作れるようデチューンした量産型ゲッターを主力としている彼等も弱い訳では無いハズなのだが彼我の質の差があまりにも大きすぎる。
複数のアーキオーニスを纏めて圧倒出来る未来ゲッターもゲッター艦隊から多数供与されているが、それらは性能差を腕の差でねじ伏せられるエース達だけで充分間に合う程度にしか配備されていない。
結果、メシア教戦闘部隊はハルバード部隊の進軍を止めることは出来ず、彼等が目指す光子力エネルギー反応発信源にまで到達されてしまったのだった。
「コイツは!?」
「映画のメカをホントに作ったって言うのか?」
「ラー……カイラム!!」
そう。
目的地を視認したケイジ達が見たモノは、先年アニメ映画で観たハズの架空の宇宙戦艦ラー・カイラム、正しくはメシア教がプロパガンダ用にラー・カイラムに似せて建造した宇宙戦艦である。
その周囲を固める機動兵器郡もグレートマジンガーやνガンダムなど見覚えのあるものばかりだ。
その正体はスパロボプレイヤー部隊の神話再現とプロパガンダを目的としたメシア教の宣伝部隊であり、見た目だけは別物のロボットに似せているが中身はメシア教の手持ちの技術で作られたゲッター線技術と光子力テクノロジーのモザイク品だ。
例えばνガンダムのビーム・ライフルからはメガ粒子ではなく光子力ビームが発射され、フィン・ファンネルの着脱にはゲットマシンの分離合体機構が応用されている。
そしてその部隊の中には兜甲児搭乗のマジンカイザーも含まれていた。
「へっ!
神に弓引く異教徒の分際でマジンカイザーたあ、ゴミの割にはお目が高えじゃねえか
だが俺とマジンカイザーは無敵だ!!
本家本元の力を見せてやるぜ!!」
確かに数多の平行世界にて世界を救ってきた鋼の救世主の声で、メシア教徒としてのセリフを吐きながら先陣を切った兜甲児は、悠のマジンカイザーに狙いを定めて襲い掛かる。
その声と姿に「マジンガーZを倒し脅かす事でマジンガーZEROを呼び出す」という計画の大前提が頓挫した事に苦い顔をするケイジ達ハルバードパイロット。
それはマジンカイザーZEROに魔神化を使わせて悠もろとも犠牲にする事でマジンガーZEROの依代とするサブプランに移行せねばならない事を意味しているからだ。
だが
「ZERO。
全魔神パワーを最大出力で起動、一刻も早く魔神化機能を作動させてくれ。
行くぞ」
「……ワカッタ。
トモニ逝コウ」
悠はなんの躊躇いもなくサブプランに移行した。
「悠!?」
「俺に構うな!!
それよりマジンガーZでなくてマジンカイザーに乗っている兜甲児には用は無い!!
フレイムフィールドで焼き払ってくれ!!」
「……いや待ってくれ悠!!
当初の予定通りお前は兜甲児を仕留めろ!!
ここは普通に戦う!!」
サブプランに完全移行しようとする悠にケイジが待ったをかける。
「ケイジさん!?
どうしてですか!」
「あのマジンカイザーはゲッター線で変異したマジンガーZである可能性がある!!
だとしたらマジンカイザーを追い詰めた場合でもマジンガーZを脅かした判定になるハズだ!!」
そのケイジの一言に全員が息を呑む。
そもそも悠が乗るマジンカイザーもゲッター線を浴びたマジンガーZの複製品なのだ。
甲児が乗っているメシア教側のマジンカイザーもオリジナルのマジンガーZに同様の措置を施した機体である可能性は充分にある。
「だからここはフレイムフィールドに頼らず連中を仕留める。
ハルバードA、ディメンションブラスター広域照射準備。アレフ、俺達は討ち漏らしの迎撃だ」
「「「「了解!!」」」」
そう応えるや否や、悠達は迎撃体勢に移る。
「ヴィレッタ、アイン、合わせろ!!
ディメンションブラスター、デッド・エンド・シュート!!」
「「デッド・エンド・シュート!!」」
「行くぞゼロ!!
強化及び魔神化で最大強化した光子力ビームをスプレッドモードで発射だ!!」
『マカセロ!!』
「アレフ、俺達は掻い潜って接近してきた奴等から順にライトブレイザーで迎撃するぞ」
「了解!!」
イングラム、ヴィレッタ、アインのハルバードAが構えた大型携行火器からアーキオーニスのディメンションバスターの85%ほどの威力と範囲の亜空間エネルギーの濁流が吐き出され、マジンカイザーの目から迸る光子力ビームの豪雨がより広範囲の敵を薙ぎ払い前方数十kmのメシア教側の戦力を纏めてふっ飛ばした。
その豪雨の内の1滴が兜甲児のマジンカイザーを掠めて右半身を消し飛ばす。
「んなっ!!
だが、まだだ!!
まだマジンカイザーには『神』モードが」
兜甲児がそう言った所で彼のマジンカイザーは、悠のマジンカイザーから発射されたターボスマッシャーパンチの直撃によって肩から上を削り飛ばされて墜落していった。
「すっげ……」
「これが魔神化か……」
「ヨモヤ激シク劣化シタ劣化こぴーデアル我ノ魔神化デコレ程トハナ。
流石ニ予想外ダ」
「それは良いがゼロ、落とした敵マジンカイザーの検分を始めてくれ。
もしかしたらお前と悠を犠牲にせずとも良くなるかも知れないからな」
「了解シタ」
マジンカイザーはケイジの指示を受けて敵マジンカイザーの残骸落着地点へと飛んだ。
「フン、所詮ハめしあ教ノ意思ナキ人形ヨ。
イカニ強力ダトテ魂ナキ人形ヲ乗セタまじんかいざーナドタダノ的ニスギヌ。
……フム、『依代』化スル確率ハ10.4%ホドカ。
コレナラバ魔神化デ強化サレタ因果律兵器デ容易ク100%ニ出来ルナ」
「なら直ぐにやってくれゼロ」
「心得タ」
墜落した敵マジンカイザーを検分した魔神マジンガーZEROがその残骸を本物のマジンガーZERO顕現の依代に出来る確率を測定した後、その確率を100%に引き上げるべく専らBETA由来の因果律へのジャミングに使用していた因果律兵器の機能の一部を敵マジンカイザーに向けて使用する。
とはいえ敵基地のド真ん中でそのような作業がトントン拍子で終わる事などあり得ず、
マジンカイザーは一瞬にして八つ裂きにされた。
それを見ていたハルバードのパイロット達は一瞬何が起きたのか分からず、その一瞬が致命傷となり全機が成すすべもなくマジンカイザー同様八つ裂きにされる。
ほんの僅か、申し訳程度に反応出来てコンマ数秒撃墜されるのが遅くなったイングラムは自分達を八つ裂きにした敵の姿を捕捉、アナライズによって名前を知る事に成功。
その敵の名は、十四代目葛葉ライドウ。
かくてボーダーは彼等が長年に渡って光の国案件の1つとして恐れ続けて来た「メシア教徒 十四代目葛葉ライドウ(恒星間戦争向け生体強化済み) Lv198」の強襲を受ける事になった。
「先行していたマジンカイザーとハルバードの反応喪失だと?
パイロット達は無事か!?
ベイルアウトで惑星エデンに戻れているのか!!」
「大体全員ベイルアウト出来てるらしいが悠の姿がないらしい!!」
「なんて野郎だ!!
前衛が凄い勢いで溶けているぞ!」
「いくらライドウったってメシア教徒だぞ!?
フレイムフィールドに巻き込めば……」
「出来ねえからこの惨状なんだよ馬鹿野郎!!
フレイムフィールドより野郎の斬撃の方が射程が長い!!」
猛烈な勢いで瓦解しながらもライドウ相手に抗戦するダークレイヴン付き機動兵器部隊だが、瞬く間に機動兵器が八つ裂きにされ秒間5〜6機のペースで原型を留めないスクラップへと姿を変えていく。
生体強化によってまるで2m強程度の大きさのロボットの様な、見る者が見ればラダムテッカマンと呼びたくなるような姿となったライドウの斬撃は、その気になれば地球程度の天体なら容易く両断出来る威力がある。
極論、メシア教がただ単に世界を滅ぼしたいだけであれば、ライドウが地球を微塵切りする目的で地面に何回か斬りつければそれだけで事足りてしまう。
それを味方要塞内という事で不必要な物を斬らないよう範囲と射程を限定して振るっているのだから、その射程はフレイムフィールドなど比較対象にするのも烏滸がましい程に長く、その超絶的な切れ味の前には耐性もテトラカーンもあらゆる防御手段が全く無意味で万物が等しく紙切れのように切り裂かれていく。
そんな斬撃を一瞬にして大量に叩き込まれているのでボーダーの機動兵器は成すすべもなく八つ裂きにされてしまうのだ。
ならば回避すれば良いかと言うと、ライドウの攻撃は全て相手の意識と意識の間(人の意識にはアニメーションや映画のフィルムのようにある瞬間と次の瞬間の間に隙間が存在する)で行われており何人たりとも知覚すら不可能である為、回避も不可能。
それ故に
「バカナ!!
コノ我ガ何モ出来ズニ……!!」
「ほう、まだ話せるとは流石にしぶとい。
未来世界でゲッターエンペラーが手を焼いたと言うのもあながち嘘ではないようだな」
兜甲児のマジンカイザーを依代として降臨した終焉の魔神マジンガーZEROでさえ手も足も出ずに切り刻まれ、バラバラのスクラップ同然の姿でなお自己修復しようと足掻く程度で精一杯という惨状を晒していた。
「何故ダ、何故我ガ因果律兵器ガ貴様ニ効カヌ!!」
「簡単な話だ。
貴様の因果律兵器は僅かな勝率を100%に変える事が出来るという代物らしいが、それは元の勝率が完全にゼロであれば機能出来ないという事。
俺には貴様の攻撃が一切当たらず、逆に俺の攻撃が貴様に躱される事は無い。
故に俺の勝率は完全に100%だ。因果律兵器に覆される事はない」
「フザケタ事ヲ!!」
「貴様は認識出来ない敵には無力なのだろう?
俺の攻撃と回避は相手の意識と意識の狭間で相手に認識させずに行われる。
つまり俺は貴様には対処不能な認識出来ない敵という事だ」
「グッ!!」
確かにかつてマジンガーZEROが可能性の光の前に敗れた時の敗因は、ライドウが指摘した通り可能性の光として出現した敵を正しく認識出来なかったが故だ。
だがあの時の光とそれを齎した数多の「兜甲児とマジンガーZ」達には確かにあった、マジンガーZEROに立ち向かう強い意志の力がライドウには欠落している。
メシア教徒と化しているライドウには意志と呼べるような物が存在せず、ただメシア教徒というテンプレート人格にプログラムされた反応があるのみだ。
「下郎ガ!!
貴様ゴトキ人形風情ガアノ可能性ノ光ト同ジナドト……」
そこまで言った時点でマジンガーZEROは更に切り刻まれ完全に沈黙させられた。
「そんな……馬鹿な……
マジンガーZEROが、本物のマジンガーZEROが……」
「『マシン マジンガーZERO 状態∶DEAD』て……マジかよ……」
終焉の魔神マジンガーZEROがマトモに戦う事すら出来ずに解体される。
そんなあり得ない光景に少なくない数の「俺達」の心がへし折れる。
しかしマジンガーZEROが動作させていた因果律兵器は確実に仕事を果たしており、十四代目葛葉ライドウという圧倒的な脅威に対抗できる芽を密かに引き寄せていた。
時は少し遡って悠のマジンカイザーがライドウによって八つ裂きにされた直後。
マジンカイザーのコクピットにいる悠も切り刻まれて、本来なら疑似トリオン体破壊に伴うベイルアウトで惑星エデンに退避する所であった。
しかし悠はマジンカイザー撃墜によって因果律兵器による因果律へのジャミングが途絶えれば、そのままボーダーが敗北して人類も滅亡させられると判断。
そこで悠は敢えてベイルアウトをキャンセルし、疑似トリオン体から生身に戻った状態でマジンカイザーのコクピットに留まり、魔神マジンガーZEROに憑依され続けている関係で半ば悪魔化しているお陰で回復魔法や回復アイテムが効くようになっているマジンカイザーに反魂香を使用。
この際、破壊されたコクピット内の破片やバリ、マジンカイザーが倒れ臥した時の衝撃により致命傷を負ったが、それもまたマジンカイザー復活の為の必要経費として割り切って、悠は命と引き換えにマジンカイザーを復活させた。
普通ならばライドウに気付かれる所であったが、ライドウの攻撃目標が後方のダークレイヴン及びその直掩機に移っていた事と、丁度終焉の魔神マジンガーZEROが降臨して因果律兵器を使った直後であった為に、ライドウに気付かれずに復活する事が出来た。
「悠!!
ナントイウ事ヲシタ!!」
「良かった……俺みたいな未覚醒者でも使えるよう改良された奴って聞いてたけど、本当に使えて……」
「未覚醒者ニハ回復魔法ガ殆ド効カヌノダゾ!?」
「説教は良い……どうせ助からない……
それより因果律兵器でジャミングを……」
そこまで言った所で悠は意識を手放し……気付いた時には何も無い真っ暗な空間でもう一人の自分と対峙していた。
『よう自己陶酔野郎』
「……ここは?
いや目の前にもう一人俺がいるならペルソナ関係か?」
そう言えばと、悠は思い当たるフシを思い浮かべた。
確か今回の戦いに参加するべく惑星エデンを発った時、マリーから抱きつかれた際に妙な振動のような物を感じた。
「……母さんはクスミノオオカミ、イザナギオオカミから分たれた片割れ……
イザナギオオカミにペルソナ能力を授ける力があるのなら、母さんにも同じ力があってもおかしくないと言う事か」
『カッコつけもここまで来ると見上げたもんだぜ。
今からでも痛いよ怖いよ助けてお母さん!って泣き喚いても良いんだぜ?』
もう一人の悠は悠を煽り倒そうとするが悠には馬耳東風だ。
「見限りたいならさっさとそうしろ。
どうせ俺にはレベル制限がある。
ペルソナなんてそこまで強くなれない力なんて俺は要らない」
『なんだと?』
煽りを不快に思った本人からの否定の言葉か、逆に受け入れる度量を見せてペルソナ能力を開花させる反応しか想定していない『影』は、明後日の方向を向いた悠の返答に面食らう。
「俺に必要な力があるとすれば、それはメシア教から地球を、町を、母さんや学校の友達を守れる鋼の救世主の力だ!!
マジンカイザーをバラバラにした奴に対抗できるパイロット能力だよ!!」
『オイオイ……じゃあお約束の『お前なんて俺じゃない!』は?』
「言う訳ないだろそんな物。
この空間があってお前が目の前に居るって事は、俺はまだ死んでなくてお前が繋ぎ止めているって事だろ?
流石に命の恩人を頭ごなしに否定はしないさ」
『俺に煽られてストレスに感じる前に先手を打ったようにも思えるが……まあ良い』
そこまで言ったもう一人の悠の姿がブレたかと思えば、3m近くある黒い学ランのような服を着た巨体へと変貌する。
『そういう事であれば、汝に必要なペルソナは我ではないようだな』
そう言った巨体の影から1人の男が現れた。
『だったら俺が力を貸してやる。
我は汝、汝は我……』
その特徴的なモミアゲの男の声は先程の戦闘で聞いた敵の声そのものだったが、断固たる意志を感じさせる全く異質な声だった。
『我はくろがねの城の継承者、カブトコウジ!!
数多ある平行世界にてそれぞれに勇名を馳せた歴戦の勇士、その1人なり!!
この世界の俺を洗脳してくれやがったクソ野郎どもに目に物見せてやろうぜ!!』
そのセリフを聞いた所で悠の意識は現実世界に戻る。
その服は血でベットリしていたが、不思議と外傷は消えている。
『未覚醒者が負傷した状態で覚醒すると、その傷が治る事がある』という現象があるらしいが、それが悠の身にも起きたらしい。
「悠!? 生きているのか!!」
「すみません、ご心配お掛けしました」
通信機越しにダークレイヴン艦橋にいるオペレーター役の『俺達』から声をかけられた悠はそれに応じる。
「マッタク、偶然覚醒ニ伴ウ怪我カラノ回復現象ガ起キタカラ良カッタヨウナモノノ……」
「済まないゼロ。
ご心配お掛けしました、マジンカイザー戦線に復帰します!!」
「いやちょっと待ってくれ!!
もうしばらく死んだふりしててくれ!!
本物のマジンガーZEROがぶっ殺されてて、お前らまで落ちると因果律兵器でクソ因果律を防げなくなる!!」
「いえ、もう気付かれてますよ。
仕掛けられたらまた何も出来ずに墜ちますから、ここは先手を打ちます!!」
「ちょっ、待て悠!!」
マジンガーZEROが墜ちた事を知らされたというのに戦意が衰えない悠にオペレーターの男は慌てふためく。
「……勝算ハアルノカ?」
「ああ。
この切り札を切れるのはボーダーでも俺だけだと思う」
「先程ノ覚醒デ得タ力カ。
ダガ生半可ナ力デハアノ怪物ニハ通用セヌゾ」
「大丈夫、それでもイケる力だ。
いや、多分これじゃないとアイツには勝てない!!」
「ナラバ付キ合オウ!!
コノヨウナ時ニハ思イ切リガ大事ダ!!」
悠とのやり取りで魔神マジンガーZEROも腹を括る。
「行くぞゼロ!!
≪不屈≫≪加速≫≪熱血≫≪必中≫!!」
悠が叫ぶのと同時に飛び立ち、普段よりも高速でライドウに迫るマジンカイザー。
当然ライドウはその突撃に反応して迎撃の斬撃を放つが、その結果に顔を顰める。
「……?
全くのノーダメージだと?
先程と何がちが」
「ファイッィィィィッィヤァァァァーッブラスタァァァァァァァァッ!!!」
そしてライドウの攻撃が高速過ぎて挟み込めないハズの反撃を繰り出した悠は、それを的確に命中させる。
いずれも悠が使っておいた異能の力、このメガテン世界には存在しないはずの異能、精神コマンドの力だ。
精神コマンド『必中』の力により、ライドウには当たるハズのないマジンカイザーの胸から放たれる超高熱の熱線ファイヤーブラスターが的確にライドウを捉える。
(マジンカイザーのファイヤーブラスターにはマルティン・イーラの炎も混ぜ込んである!!
奴がメシア教徒である以上、どれだけ強くてもこれで仕留め切れるハズ……!!)
「グッ、グォぉぉぉ!?」
実際、ライドウは本来のファイヤーブラスターの温度を遥かに上回る超高熱にその身を焼かれている。
数兆度の獄炎の前にさしものライドウといえども無視できないダメージを負ったが……そこまでだった。
ファイヤーブラスターを長時間照射し続けようとしたマジンカイザーだが、ライドウからの反撃により胸から上下に切断され、爆発。
辛うじて全損は免れたが肩と頭だけで戦いようがない。
残るはこの状態でもやれる仕事として因果律兵器を稼働させてBETAの因果律へのジャミングとする事くらいだが、このボロボロの状態では因果律兵器の出力も低下している上、ライドウからの追撃で完全に復活不能になるまで切り刻まれるのは必至。
最早まな板の上のコイと化しているマジンカイザーに対して、しかしライドウは手を止めた。
その代わりにライドウは取り出した宝玉を握り潰してファイヤーブラスターによるダメージを完全回復させつつ、驚愕した様子でマジンカイザー、ひいては悠と魔神マジンガーZEROに話しかけてきた。
「俺に当てた力……まさか精神コマンドか!?
何故貴様がその力を使える!!
精神コマンドとは世界を救う鋼の救世主として神に選ばれた戦士が戦場においてのみ使う事を許された異能のハズだ!!
何故メシア教徒でないばかりか神に弓引く異教徒である貴様ごときに精神コマンドの異能が備わっている!!」
そう。
転生者によってスーパーロボット大戦の物語を知らされており、なおかつ善なる事や正義である事とメシア教である事を一体不可分と認識しているメシア教徒にとって、スパロボプレイヤー部隊とは「世界を救う正義の味方=メシア教にとことん都合が良いメシア」と脳内変換されており、この誤解曲解を正す事は誰であろうと不可能である。
その為スパロボプレイヤー部隊の特権である精神コマンドもまた、メシア教徒以外に使えて良いハズがない力という事になるのだ。
「いや、追い詰められた邪悪なる者が一時的に精神コマンドを使える場合もあると言うから『ソレ』か?」
「おかしな事を並べてくれるな。
アゾエーブで世界どころか全ての平行世界を消し飛ばそうと考えている奴等に、なんで世界を救う鋼の救世主が味方するんだ。
正しい事や善性である事みたいな良い事は全部法の神とそれに連なるメシア教に帰結するとか、おかしな結論を最初から固定してるから論理が破綻するんだ」
悠がそう言うと、悠の頭の横に直径10cm程の穴が穿たれる。
かなり手加減した物だが、ライドウからの刺突が悠に対する威嚇の為に放たれたからだ。
「真なる神の教えたるメシア教を愚弄する事は許さんぞ小僧」
生身である為か、流石に冷や汗が出る悠。
『おいおい、さっきから聞いてりゃめちゃくちゃ並べてくれやがって。
テメェの正義に絶対の自信がある奴等が洗脳なんかに手を出すかよ。
コイツがメシア教のやり方か』
「ペルソナトーク?
しかもその姿は兜甲児だと?」
……などと悠と魔神マジンガーZERO、そして悠のペルソナであるカブトコウジがライドウの気を引き付けている横で、『俺達』の内何人かが放った悪魔達が密かに本物のマジンガーZEROに接近し、サマリカームを打ち込み蘇生させる。
マジンガーZERO復活を察知したライドウは再びマジンガーZEROをスクラップにしようと剣を振るうが
「ナルホド精神コマンドカ。
確カニコレナラバ!!」
精神コマンド『直感』の力を借りてライドウの斬撃から逃れたマジンガーZEROはライドウの身体を掴まえて手近な床に叩きつけると
「ファイナル・ブレスト・ノヴァ!!
我ガ全身全霊ノ一撃ヲ、貴様1人ニ集束・集中サセテヤロウ!!」
極めて高出力のブレストファイヤーを浴びせ掛ける。
とはいえこのままでは先程のマジンカイザーの二の舞だ。
そこでマジンガーZEROは「そうならない可能性」を因果律兵器によって引き込む。
更にイマジナリィロードを使って密かに接近したアーキオーニス・タイプHがフレイムフィールドを作動させて、メシア教徒には致命的な断罪の獄炎に支配された領域にライドウを巻き込む。
マジンガーZEROとテスターニキにも引火するがメシア教徒を焼く場合とは比較にならないほどの弱火なので必要経費だ。
そんな中、ライドウの眼光が光り拘束を……
Counter(龍の眼光)_ItemUsd_フラッシュグレネード
その瞬間、何が起きたのか誰にも分からなかった。
ライドウの眼前に突然差し出された閃光手榴弾というあまりにもチャチな兵器。
誰がそんな物を投げたのか、そんな物に何故ライドウを止める力があるのか、当のライドウも含めて誰にも理解出来なかった。
ただ分かるのはライドウが閃光手榴弾によって怯んで動きを止めたという事だけであり、
ボーダーの面々はそのチャンスを活かすべく疑問は一先ず横に置いて的確な反応をした。
「≪ド根性≫オオォッ!!
行くぞゼロ!! 多分これがラストチャンスだ!!」
「応ッ!!」
「≪必中≫……光子力ッ!! ビィィィィィンム!!
高集束率モードだ!!」
マジンカイザーから放たれた光子力ビームが的確にライドウだけを狙い撃ち
「行くぞ!!
生き残っている奴等は全機マジンガーZERO周辺に集結!!
全機でフレイムフィールドだ!!」
「了解!!」
ボーダーの機動兵器郡がイマジナリィロードによる瞬間移動でマジンガーZEROとライドウの下に集結してフレイムフィールドを作動させる。
終焉の魔神たるマジンガーZEROをも含めた複数機がかりという事でライドウを焼く獄炎の温度は先程のファイヤーブラスターなど比較にもならず、兆を越えて京にまで達する程の超・超高熱となる。
それでも尚その灼熱地獄から脱出せんと足掻くライドウに、先程閃光手榴弾を使ってライドウの動きを止めた人物が再び閃光手榴弾を投げつける。
「いやそこは流石に死んどけよ人として」
「グゥワァァァァァ!!
な、何故そんな物がァァァァっ!!」
先程同様に閃光手榴弾で怯んでしまったライドウは、閃光手榴弾を投げ付けて来た人物に疑問を呈する。
その人物……上半身裸で露出している肌全体に入れ墨のような模様が付いている青年、人修羅はライドウから取り落とされた体裁で中の悪魔達の意思で灼熱地獄から逃げ出した封魔管を拾い集めながらその質問に答える。
「そりゃお前が『龍の眼光』を使ってっからだよ。
眼光ってんで目に力が入っているんだから、閃光による目潰しって概念の具現化そのものである閃光手榴弾が死ぬほどぶっ刺さるんだ。
『龍の眼光』には昔死ぬほど苦労させられたからな、全部終わった後でも対策をアレコレ考えて行き着いた答えがこの閃光手榴弾って訳だ」
そして全ての封魔管を拾い終えた人修羅は、それらをライドウを焼いている獄炎の中に焚べて処分した。
「これで大魔王ルシファーLv179討伐完了、と。
全くケテル城にもアンフィニ宮殿にも影武者しか居ないと思ったら、化け物の仲魔になっときゃ安全っておいおい……
そりゃあの上着泥棒も平行世界を越えて殺して来いとか言う訳だ。
こんな悪魔王ルシファー様とか嫌すぎるわ。見た目もなんかインプみたいな威厳皆無の全裸野郎だし」
本来ならばルシファーら封魔管の中の悪魔達も中から飛び出して抵抗する所だったのだろうが、マルティン・イーラの猛威が吹き荒れるこの環境でそんなマネをすれば、余程メガテン神族からかけ離れた気質の悪魔でもない限りは即死する。
そしてLightよりは勿論の事Darkよりでも、魔王などの高位悪魔ではごく少数の例外を除いてメガテン神族の気質からは逃れられない。
故に彼等は戦闘終了まで発見されずに捨て置かれる可能性に賭ける他なく、その可能性も人修羅によって丁寧に刈り取られてしまった以上、もう全滅するより他なかった。
一方の人修羅の気質は標準的な人間の範囲を出るものではなく、マルティン・イーラに焼かれてもそこまで大したダメージにはならない為、この環境でも不自由なく活動出来ていた。
その後ライドウが力尽きたのは、人修羅が5個目の閃光手榴弾を投げつけた直後の事であった。
「……黒焦げだけど死体が残ってる……あの超高熱で焼かれてたのにマジか……」
「気をつけろよ?
サマリカーム一発飛んできたらそれだけで俺達全滅しかねないからな?」
「で、お前ら『コレ』はどうするつもりなんだ?」
取り敢えずその場に居た最後の敵だったであろうライドウを斃せたという事で、一息つきつつライドウの亡骸と人修羅の身柄を回収しつつ体勢を建て直すボーダーの面々。
そんな彼等に人修羅は手に持った物体ではないナニカを差し出した。
「えーとなんですかソレ?」
「え? あの化け物の魂だけど?
こんなもん素直に輪廻転生の輪に戻したらとんでもない事になるぞ。
何度生まれ変わってもメシア教徒になるレベルで魂が汚染されているから、コイツが転生する度に世界はメシア教の脅威に晒される事になる。
今生の異常な強さが来世以降にも影響与えないハズがないから、マジでファンタジーに良くいるような定期的に蘇っては世界を滅ぼそうとする大魔王みたいな話になっちまうぞ」
その言葉を聞いて、その場に居た全員が青ざめて絶句する。
そこに魔神マジンガーZEROが話に加わってきた。
「ソレナラバ我ニ考エガアル。
我ガおりじなる、本来ノまじんがーZEROノ力ヲ借リテ、るすとはりけーんデコノ魂ノ状態ヲ洗脳サレル前ニ戻スノダ。
イカニ洗脳解除不能ダトシテモ、カツテ洗脳サレタトイウ過去ゴト消シ去ッテシマエバ、流石ニ洗脳解除デキルハズダ」
「え?
マジンガーZEROのルストハリケーンってそんな事出来たっけ?」
「大キク性能ガ劣ル兄弟機デアルみねるばXノるすとはりけーんデスラ限定的ナガラたいむましんトシテ機能スルノダロウ?
ナラバまじんがーZEROノるすとはりけーんニモ時ト関連シタ力ガアルハズダト考エタノダガ」
その魔神マジンガーZEROの話に実現可能性についての議論が巻き起こるが、丁度本物のマジンガーZERO本人が居るので本人に確認してみようという話に落ち着いた。
「ナルホド。
可能カ不可能カデ言エバ可能ダ。
断ル理由モ見当ラヌ故、引キ受ケヨウ」
予想外の快諾に『俺達』は肩透かしを受けた気になったが、考えてみればこのマジンガーZEROとてライドウの超絶の戦闘力の前にボコボコにされた直後なのだ。
そのライドウをメシア教徒にしている洗脳の解除が出来るのならやっておきたい、そう考えるのも自然である。
そういう訳で人修羅によってマジンガーZEROの口元に差し出されたライドウの魂に、マジンガーZEROが時間に関する機能をフル回転させたルストハリケーンを慎重に浴びせ掛ける。
するとライドウの魂からメシア教徒や天使に特有の嫌な感じが消えた事が確認でき、念の為マルティン・イーラで炙ってみてもメシア教徒ではない普通の人や善良な部類の子供悪魔などを焼いた時と同程度の火力しか出なかった為、ボーダーはライドウを蘇生させて戦力化する事に決定。
一応の念の為ライドウの亡骸を金属製ワイヤーでグルグル巻きにしてからサマリカームを浴びせる。
その結果
「!?
……ここは何処だ?
俺は帝都を歩いていたハズ……!?」
「……うーん、これはひょっとして戻し過ぎてる?」
ライドウの時は昭和19年の冬頃にまで戻っていた。
洗脳される前にまで戻っているので、当然洗脳された事も無かった事にされている。
混乱するライドウを取り敢えず落ち着かせて現状と先程まで洗脳されていた事実を説明したボーダーは、ライドウに戦力になってくれるよう依頼。
ライドウはボーダーの話が本当かどうかを判断するための判断材料が無さすぎる事を理由に、あくまでもアースゼロハイヴ攻略までのスポット参戦としてボーダーに協力する事で合意した。
「よし、ダミームーンから後詰の戦力を送って貰って体勢は大分整って来たな。
ベイルアウト済みの奴等も惑星エデンで予備機貰ってダミームーンに順次戻っているらしいし、後は因果律兵器でクソ因果律にジャミングかけつつマジンガーZEROに」
「そのマジンガーZEROだけどライドウへの措置が終わったら飛んで行っちまったぞ。
俺達と足並み揃えるつもりはないらしい」
「いやそれスゲェ困るんだけど。
それだと、奴があ号さん仕留めても分からないじゃないか」
「それなら、こっちのゼロが高次予測で本物のマジンガーZEROの行き先の見当をつけたそうです。
ゼロによれば恐らくマジンガーZEROの目的はあ号標的の撃破である可能性が高いとか……」
「ふむ、じゃあまあ行ってみるか」
そういう訳でアースゼロハイヴ攻略班のダークレイヴン隊は、マジンカイザーに先導されてあ号標的が居ると思しきポイントへと向かう。
道中にはマジンガーZEROに蹴散らされたと思しきBETAなどのメシア教側の戦力の残骸が散らばっていた。
「随分大人しい暴れっぷりだな。
終焉の魔神になっている割には破壊規模小さくないか?」
「ここってスパロボ世界が近くの平行世界にある世界なんだし、あのマジンガーZEROってスパロボV版なんでない?
真マジンガーZERO本編のマジンガーZEROなら対話なんてほぼ絶望的なくらい傲慢だし、さっきのフレイムフィールドでももっとずっと凄い勢いで燃えていたハズだぞ」
「なるほど、確かに燃え方がそんなでもなかったよな」
そんな会話を交わしつつマジンガーZEROに蹴散らされた残骸を辿るボーダーは、ついにあ号標的と対峙するマジンガーZEROに追い付く事に成功した。
「ドウシタ?
我デハ因果律ニ阻マレテ貴様ニ攻撃ガ届カヌハズダ、トデモ思ッテイタノカ?
生憎ダガ対策済ミダ。我ガコクピットヲ見ルガ良イ!!」
そういうマジンガーZEROのコクピットに座る人影は、どう見ても兜甲児ではない別の人間であった。
「白銀武カ香月夕呼デシカ貴様ヲ打倒デキヌノナラ、白銀武ノ無念ノ残留思念ヲ平行世界ヨリ掻キ集メテ、偽リノ肉体ヲ与エタ上デコクピットニ乗セレバ良イ。
サスレバ我ガ一撃ハ貴様ヲ討ツ資格ヲ持チシ白銀武ノ一撃トイウ事ニナル!!」
そう、マジンガーZEROのコクピットに座る人物は他の誰でもない白銀武の姿をしていた。
あ号標的も何とか生存の道を探ろうとしていたが、いくらなんでも本気も本気でBETAを根絶やしにするつもりのマジンガーZEROに襲われては最早手遅れである。
かくしてあ号標的は何も出来ず、光子力ビーム一発で跡形もなく消し飛ばされ、アースゼロハイヴでのボーダー対メシア教の戦いはボーダー側の勝利で幕を閉じた。
「あ号標的の消滅を確認、残敵掃討も一応残ってるが取り敢えずハイヴはこれでおしまいか」
「ええ、じゃあ他の戦線に行きましょう。
敵はこのハイヴの外にもいくらでも残っていますし」
「いや悠、お前は1回帰れ。
お前の顛末聞いて顔面蒼白になってたマリーちゃんに親不孝もんだとぶん殴られて来いや」
こうして悠は周囲にしこたま怒られながら惑星エデンに戻らざるを得なくなったのだった。
ちなみにライドウが何か凄そうな事を並べてマジンガーZEROをボコってましたが、単純にスパロボ表記だとライドウの命中・回避がどちらも800を超えていてステータスの暴力で蹂躙していただけです。
マジンガーZERO側がスパロボ仕様の最終回後弱体化状態だった事もありますけどね。
そして味方化後は常識的な数値に弱体化してますが、味方になった途端大弱体化はスパロボどころかメガテンでも割とある話ですんで……
なお人修羅は一応先生エンドですが(真3本編中の人修羅のスタンスが一貫して「御託はええからはよお家に帰せや」だった為)、マニアクスの追加要素は全部取っており、真3終了後も元の姿に擬態しているだけで人修羅としての力を失っておらず閣下からの連絡もたまに来る状態になっています。
(株)ボーダーの量産型機動兵器の簡単な設定解説
アーキオーニス・タイプM
ボーダー機動兵器郡の主力で1番数が多い。
量産型ラッシュバード・ストレイバード機能統合機……とは言うもののその名の通りラッシュバードのモード・アーキオーニスをベースにした機体である為、ラッシュバード成分多めでストレイバード成分が少ない機体となっている。
具体的にはストレイバードから受け継いだ要素と言えば飛行能力とイマジナリィロード程度で武装面は完全にラッシュバード一色。
またスパロボLでの「モード・アーキオーニス」に相当する突撃攻撃は使いこなせる者が一鷹&アリスしかいないという理由でオミットされ、本来のディメンションストームも同様の理由によって使用できなくなっている。
その代わり一鷹達でなくともディメンションストームが使用可能になる大型携行火器型ディメンションストーム制御補助具「ディメンションバスター」を装備しており、これを介してならディメンションストームを使用する事が出来る。
元のラッシュバードのディメンションストームと異なり射程が長く広範囲を薙ぎ払う事も出来るが、速射性は元のディメンションストームの方が上となる。(射程1−3Pから1−7に変更されマップ兵器版追加)
量産に向けて上記必殺技のオミットを始め性能を丸めた機体である為、基本的には原型機であるラッシュバード・モードアーキオーニス固定型の方が高性能で1番差がある出力に至っては最大3倍以上の差があるが、それでも素のラッシュバードの1.5倍ほどの出力がある。
なおタイプMのMは「MILD」「MASPRO」のMで、元のラッシュバード・モードアーキオーニス固定型に近い調整を施したエース用のタイプHなど複数のバリエーションが存在する。
タイニーフェザー
マジンガーZをベースに開発された次元コンバータ搭載型リアル系量産型機動兵器。
アーキオーニスやその原型機のラッシュバードと比較して半分以下の全高で攻撃力が低く小回りが利くので、艦船やアーキオーニスの死角や懐に潜り込んで攻撃してくる小型の敵を排除する随伴歩兵的な護衛任務を主任務とする。
武装面はコンセプト的にはリアル系に寄っていたストレイバードをベースにしており、クロウマシンガンを小型化させた大型アサルトライフル「クロウアサルト」を普段使い用の主武装としている他、クロウアサルトを変形させて単発高火力のエネルギー・ライフルとして運用する「ヴァルチャー・ライフル」を硬い敵用の副兵装としている。
飛行能力とイマジナリィロードもストレイバードから受け継いでおり、アーキオーニスとは逆にラッシュバード成分はほぼ皆無。
当初はラプラスウォールの装備が予定されていたがタイニーフェザー開発当時の技術ではイマジナリィロードとの二者択一を迫られてしまい泣く泣く採用を見送っており、代替として次元獣のそれをモデルにしたD‐フォルトが装備されている。
小さい分機体の内部容量に余裕がない中でアーキオーニスのような機能統合機を目指した為火力を始め各所に無理と妥協が盛り込まれた機体となっているが、そんな有り様の機体とは思えないほど生産性・整備性・操縦性が良好で訓練機としても使用されている。
ハルバード
天羽々斬をベースに開発された次元コンバータ搭載型リアル系高級量産型機動兵器。
天羽々斬の特徴であるフライトユニット兼用のエネルギーチャンバー機構を受け継いだ事により然程サイズが違わないタイニーフェザーを大幅に上回る出力を高い安定性で発揮する事が可能で、出力で僅かながら素のラッシュバードを上回っている他、安定性においてはボーダーの次元コンバータ搭載型機動兵器の中ではダントツで最高。
また、このエネルギーチャンバーの力を使ってラッシュバードの物とほぼ同性能のライトブレイザーを発射する事も可能な他、ラプラスウォールと組み合わせる事で高い安定性に物を言わせて一鷹&アリスでなくともディメンションストームを放つ事が出来る。
イマジナリィロードも使用可能な本当の意味でのラッシュバード・ストレイバード機能統合機と言える高性能機。
ライトブレイザーとディメンションストームを固定武装とした上で追加武装パターンによって性能が変化し、射撃武器に重きを置いたハルバードAと近距離高機動戦重視のハルバードB、必殺技は固定武装で間に合っているので追加武装は取り回し重視のハルバードCと3パターンに派生出来る。
総じてタイニーフェザーよりも強力な機体だがその分整備性・生産性・操縦性が低く扱い切れるパイロットが少なかった事とセレスチアルリアクターをオミットしてるとはいえ原型機があまりにも厄ネタ過ぎる事から、生産数はボーダーで確保した主人公達に行き渡る+その予備機程度に抑えられている。