カオス転生リスペクト-転生者がロバなんで独自設定に走っても良かですか?-   作:平成ウルトラマン隊員軍団(仮)

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お久しぶりに投下します。
2月上旬に間に合わせるつもりでしたが、少し遅れてしまいました。

修正履歴:ゼルヴォイドの戦闘力を下方修せ……いやゲッターエンペラーシバける真ゲッターいるからいらんか。
 気付いた誤字・誤記修正


先行配信版 この世界の終末6(最終決戦編A面)

 

 

時の観測所

 

「ここは……スクコマ2の最終ステージ……?

 え? じゃああのラーゼフォン、スクコマ2版なのか?」

 

 

 異様な光景が広がる時の観測所に導かれた者達の第一声が、レッドスプライト号に乗っていた『俺達』の内の一人がもらしたその一言だった。

 そこにはシュバルツバースのような異空間に廃ビル等の廃墟を載せた浮島がいくつも浮かぶ光景が広がっていた。

 

(ここは時の観測所……

 かつて全てが始原の混沌に還された時に残された孤島であり、真のアゾエーブが討たれた場所……

 様々な世界の様々な可能性と接している……)

「なるほど。

 時の観測者が時の観測をするのにはもってこいの場所って訳か」

「でも真のアゾエーブって何なんですかねブライト艦長?」

 

 アルファナンバーズの誰かが口にした質問にレッドスプライト号に乗る『俺達』の一人が答える。

 

「そりゃこれから俺達が戦うあのアゾエーブはメシア教が作ったレプリカであって、アレとは別に存在していたオリジナル機がここで破壊されたって事ですよ。

 当然パイロットも法の神ではありません」

 

 彼が指し示した方向にはハリガネのように細身のフレームに尋常ならざる力を秘めた悪魔のような機動兵器の姿があった。

 

(何用だ……ここは神域……

 神に弓引く愚か者共が立ち入れる場所ではない……)

「へっ、真聖ラーゼフォンとかいう奴の領域に勝手に侵入している侵入者が何言ってやがる!!」

 

 法の神の圧倒的な力を秘めた声に怯まず、アルファナンバーズのリュウセイ・ダテが吠える。

 そこで真聖ラーゼフォンからアルファナンバーズやレッドスプライト号に警告が送られた。

 

(時間はあまりありません……時間をかければ法の神は真のアゾエーブの交戦記録を解析して、あのレプリカアゾエーブに破滅の力を与えてしまいます……)

「となると問答する時間も惜しいか。

 全機出撃!! 目標は敵アゾエーブの破壊だ!!」

 

 メガテン神族の鳴き声など何時も同じだ。

 神聖不可侵なる自らに好き好んで敵対する人類の愚かさを糾弾しながら戦闘体勢に入る法の神目掛けて、アルファナンバーズや『俺達』が吶喊していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、アルファナンバーズやスダ・ド・アカ十二神や光子力の可能性の光がいるから勝確だと思うじゃんよ……

 モビルスーツ隊の牽制ビーム・ライフル無かったら反射で何人死んでたやら……」

 

 戦闘開始から十分後。

 アゾエーブとそのパイロットである法の神は未だに無傷であった。

 

「元々強い敵になればなるほど耐性周りが優秀になって通用する攻撃が減っていくメガテン世界のボス悪魔なんだから、最終的にはドゥベみたいな無敵装甲になるのは予測してたけどさあ……調律の歌すら効かないとかマジかあの野郎……」

 

 アゾエーブが無傷な理由は極めて単純で、真聖ラーゼフォンや創造神RX−78の攻撃すら完全にノーダメージになる程の堅牢無比な防御力を誇っていたからだ。

 

 詳しくアナライズすると「スキル【天に唾】」と表示されるパッシヴスキルであろうソレは、アゾエーブ……というより法の神が受けるダメージを問答無用で0に軽減した上で法の神が受けるハズだったダメージやバッドステータスやデバフをその発生源に移し替える、つまりは防御相性の「反射」をスキル化させた「ような」ものだ。

 しかし通常の反射相性と異なりあらゆる攻撃を例外なく跳ね返し、「貫通」「ガードキル」『直撃』のような通常の反射ならば突破出来るような攻撃さえも通じない。

 

 一方で法の神もまた「己こそ絶対者」とする自己認識によりかつてのマジンガーZERO同様可能性の光を正しく認識できず攻撃がすり抜けてしまい、最終的には「何をされても効かないのだから」と戦闘を放棄して真・アゾエーブの戦闘記録解析に集中するようになってしまっていた。

 その為戦場はにらみ合いの状態に陥り、戦闘開始直後より僅かに弛緩した空気のレッドスプライト号では、マトモな方法では法の神を打倒する事が不可能だった場合のセカンドプラン発動の準備が進められていた。

 

「……という訳でそろそろ君達の出番だ、イフリートとジン……じゃなくてランプの精と指輪の精」

「「ちょっと待てサマナー」」

 

 自分達を使役するサマナーである『俺達』の1人に2体の悪魔が滝のような汗をかきながらツッコむ。

 予てからサマナーの指示でランプと指輪に憑依していた妖魔ジンと妖魔イフリートだ。

 

「法の神にはあの真聖ラーゼフォンなる途轍もない存在の歌声すら通じんのだぞ!?

 あんな物を相手に我々に何をしろと言うのだ!!」

「いや逆だ逆。

 アレすら通じないんだからこそお前らに頼るんだ。

 同じボタンを押したり魔力を流したりするのでも、俺達がやるよりお前らが「俺達の願いを聞き届ける」体裁でやった方が見立ての関係で効率や成功率とかがずっと高いからな」

「だとしてもだ!!」

「大体、お前達はアレをどうやって倒すつもりだ!?

 それの何処に我々が必要だと言うのだ!!」

「あれ?

 話してなかったか?」

 

 そこで彼等のサマナーである『俺達』がジンとイフリートに何をやるのかを説明する。

 法の神をマザー2のラスボス・ギーグに見立てる事で祈りによる特大ダメージで葬り去ろうというプランを。

 

「……待ってくれサマナー、本当に待ってくれ。

 それはいくらなんでも机上の空論すぎないか!?」

「まあ今回の戦いでアルファナンバーズやら可能性の光やらが出現するまでは机上の空論通り越して単なる与太レベルだったよ。

 だが戦場がここで味方にアルファナンバーズ、というよりサイバスターが居てくれるなら話は別だ」

 

 『俺達』がそこまで話した所で、別の『俺達』がガッツポーズをしながら叫ぶ内容が聞こえてきた。

 

「アカシックレコード・サーチによるマザー2世界実在確認終了!!

 ネスパーティ、普通にやったら絶対倒せない存在を祈りによって倒した先達の観測に成功したぞ!!」

「よっしゃ、これで『普通にやったら絶対倒せない』という共通項でギーグと法の神を結びつけられる!!」

「アカシックレコード・サーチ……?

 確かあのサイバスターとかいう人形の力だったか?」

「ああ、あのアカシックレコードを精査する機能があれば、ここから観測出来る無数の並行世界から『マザー2の出来事が実話だった世界』を探し当てる事も、その世界のアカシックレコードに記録されたネス一行とギーグの戦闘記録を観測する事も可能だ。

 そして実話として観測出来てしまえば、さらに実際に経験した奴がいる世界との繋がりがあれば『観測の力』が働く!!

 見立ての材料としての質が桁違いに高くなるんだ!!」

 

 そう力説する『俺達』と聞かされているジンとイフリートを他所に、ギーグと法の神を関連付ける作業は粛々と進められていく。

 

「よし、ハッピーハッピー教を広めていた奴がポーキーらギーグの配下だった点をついてハッピーハッピー教の御本尊の正体はギーグだったとするぞ」

「ハッピーハッピー教の神をギーグとし、天使どもやメシア教徒が常々他の神様を神を騙る悪魔だと糾弾しているのとギーグが実際には宇宙人である事を絡めて、ギーグを『法の神を装った偽物』とこじつけ。

 「偽物は本物に似せてこそ偽物」とする事でギーグと本物の法の神は多くの共通点を持つと見立てる!!

 その共通点の中に『普通にやったら絶対倒せない』という既に確定している共通点と絡めて『普通にやったら絶対倒せないが、祈りによって滅ぼす事が出来る』を紛れ込ませれば!!」

「つー訳で材料は揃えたぞ二人共!!

 お前達への願い事として『法の神を見立てを使ってギーグと同じように祈りによって滅びるようにする為の術式を構築してくれ』と願う!!」

 

 見立ての材料が揃い、レッドスプライト号のコンピュータ内にそれを盛り込んだ術式が構築されつつある事実を突きつけられたと同時に、『アラジンと魔法のランプ』のランプの精に見立てられてしまった事で普段の命令とは段違いの強制力が働き、願われた作業を実行せざるを得なくなったイフリートは腹を括る。

 

「えーい、こうなったらヤケだ!!

 やるぞジン!!」

「クッソ、上手く行かなかったらタダでは済まさんからなサマナァァァーーーーーー!!」

「上手く行かなかったら俺達は自由意志を剥奪されて永遠にあのクソや天使共の奴隷だから、報復の機会なんてないぞ」

「クソがぁぁぁぁぁっ!!」

 

 イフリートとジンにとっては幸いにも『アラジンと魔法のランプ』による見立てのお陰で、願い事に沿う作業を行っている状態に限り普段とは桁違いの作業効率での作業が可能となっていた。

 お陰で2人が高速でキーボードを叩く度、レッドスプライト号のコンピュータ内の術式の完成度と実用性が跳ね上がっていく。

 

 その為、信じられない早さでイフリートの口から術式完成の報告が告げられた。

 

「良し、完成だサマナー!!

 後は相応の力を用意して術式を起動させるだけだが、この船の力では到底足りんぞ!」

「いや、それならアテはあるさ。

 サイバスターからフルカネルリ式永久機関の力を借りれば……」

「それでも足りぬわ!!」

「ナラバ我ガ光子力えねるぎーヲ用イレバ良カロウ。

 仮ニモ魔神化シテイル以上、出力ガ足リヌトイウ事ハアルマイ」

 

 イフリートとジン、そして彼等のサマナーの会話を聞いていたらしい魔神マジンガーZEROが話に割って入ってくる。

 確かに彼の光子力エンジンの出力は次元違いの代物だ。

 イフリートが懸念した出力不足を解決させて余りある代物だろう。

 

「良し、じゃあさっそく行くぞ!!

 ガンエデンにはビルを遮蔽物にして身を隠すよう要請を出してくれ」

「カウントダウンはじめ!!

 10から行くぞ!!」

「念の為術式起動までサイバスターにはマザー2世界観測を続けてもらってくれ!!」

「各員戦闘配置!!

 イルイに祈ってもらって上手く行ったらそれが戦闘再開の合図だ!!」

「……3、2、1、起動!!

 やってくれZERO!!」

「オオオオオオオっ!!」

 

 そして術式は起動し……

 

「……おい、なんにも起こらねーぞ?

 俺達とサイバスターの力を貸してやって不発だったのか?」

 

 マサキの冷たい視線がレッドスプライト号に向けられる。

 

「いやまあ、コレ単体だと仕込みにしかならないんで……」

「上手く行ったかどうかを試すには、ギーグを討伐したネスパーティのポーラと同じく強力なテレパシー能力を備えた少女の祈りが必要……

 イルイちゃん、君に頼みたい。今まで出会った人達に祈ってくれ」

「分かりました。やってみます」

 

 イルイがそう言って祈り始めた時、法の神のアゾエーブが動き出す。

 ユキムラのオリジナルアゾエーブの戦闘記録を解析し終えて、破滅の波動の再現に成功したのだ。

 

(所詮はニンゲンが作りし物、その再現など造物主たる我には容易い……

 これで我は悪しき者共、呪われし異教徒や悪魔を一掃し、まことの平和、まことの世界をもたらす事が出来る……)

 

 法の神の操作によりアゾエーブが破滅の波動発射体勢に入り、三千世界の全てを消し飛ばす破壊力からすれば信じ難いほどに短いチャージ時間でそれを発射する。

 

(……いけない!!)

「ラーーーーーーー!!」

 

 真聖ラーゼフォンは破滅の波動を調律の歌で迎撃するものの、かつてのユキムラ機の時と同じく出力負けしておりジリジリと追い詰められていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「? どうしたんですか奥さん?

 井戸端会議中に急に黙り込んで」

「いえね? 不意にイルイちゃんの事が心配になって。

 パン屋さんはあの子の事は心配いらないって言ってましたけど、今はそのパン屋さんも何処かに行ってしまってますし」

「まあイルイちゃんですか。

 確かにそう言われてみたら心配になってきたわあ」

「またあの子の元気な姿が見られたら良いんですけど」

「私達に出来る事は神様にイルイちゃんの無事をお祈りするくらいかしら……」

 

 

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 突然、なんの前触れもなく、アゾエーブから爆発が発せられ、オリジンユニットの接続ラインがいくつか切断される。

 その瞬間、破滅の波動は滅却の波動にダウングレードされ、真聖ラーゼフォンはその破壊力を調律の歌で受け切る事に成功する。

 

 正体不明の攻撃によって『天に唾』による鉄壁の守りが破られた事に、法の神は動揺を隠しきれない。

 

(何が……起きたのだ……

 これでは破滅の波動を放つ事が出来ぬ……)

 

 混乱する法の神とは対照的に、レッドスプライト号は目論見通りに行ったと沸いていた。

 

「あらゆる攻撃を跳ね返すスキルの名前が『天に唾』とかいう飛んでくる攻撃を天に唾吐く行為に見立てる名前なら、天に届く事が前提の祈りを防げる訳ねーんだ。

 そのまま祈りによるダメージだけでくたばっとけ」

「しかし……何故このような見立てが法の神に通じたのだ?」

「ん? そりゃ所詮アイツは『俺達の世界の神様』に過ぎないからさ。

 いくら超越者面して見せても、神様という生き物の生態には逆らえないんだよ」

 

 妖魔ジンの質問に、彼を使役するサマナーが答える。

 

「生態だと? 答えになってないぞサマナー」

「あー……神様って常に見立てがついて回るだろ?

 神像を神と「見立てて」祈りを捧げるとか、偶像崇拝禁止されたから「代わりに」聖印に祈りを捧げるとかさ。

 そもそも神様自体が見立ての産物だとする考え方も根強い。

 だから例えどんなに強力な神様が居たとしても、ソイツが神様である以上は見立てからは逃げられないのさ。

 俺達の世界の神様の場合、人々が語り継ぐ伝承の影響を受ける情報生命体なんだから尚更って訳だ」

「その結果がアレという訳か……」

「それは良いけどよ、あんなチンケなダメージだけであの化け物倒そうとしたら日が暮れねえか?」

 

 今度はサイバスターに乗るマサキから疑問というか質問が飛ぶ。

 

「そっちの方も大丈夫ですよ。

 あの祈りによるダメージは加速しますから」

 

 その発言を裏付けるかのように、イルイの祈りが誰かの下に届く度アゾエーブに発生する爆発の規模は徐々に大きくなり、その爆発による傷跡は深くなっていく。

 そしていい加減その原因がガンエデンにある事が分かってくると、ガンエデン目掛けて滅却の波動を撃ち放つ。

 

「イルイ!!」

 

 アラドが焦りを帯びた声で叫ぶと、滅却の波動は廃ビルに阻まれてガンエデンの廃ビルからはみ出た部分のみを吹き飛ばした。

 

「んな!!

 ビルがあんなにも硬いだと!?」

「そりゃそうだ。

 あのビル、本物のアゾエーブがここで大暴れした時の余波でも壊れなかった代物なんだよ。

 法の神のアゾエーブでもちょっとやそっとじゃ破壊し切れないハズだ」

 

 アラドの発言に『俺達』の1人が答える。

 

「しかしこれでガンエデンが敵に狙われているのが判明したな。

 全機ガンエデンの防衛を最優先だ!!

 メタス等の修理装置持ちはガンエデンの修理に回ってくれ!!」

 

 ブライトの指示がアルファナンバーズに飛ぶ。

 

「そうは言うがブライト、俺達の攻撃が効かないのにどうやって守るんだ?」

「こちらの戦力はお前のニューみたいなモビルスーツばかりじゃないという事だ。

 ガンバスターとダイターンでアゾエーブを取り押さえろ!!

 触ること自体は出来る以上、傷つけないよう取り押さえる事なら出来るハズだ!!」

「なるほどね。

 分かった、試してみよう」

 

 ブライトの指示でアゾエーブにアルファナンバーズきっての大型機であるダイターン3とガンバスターが立ち向かう。

 

(……不遜なり。

 我が行手を阻む事など不可能だ)

 

 法の神はかつてのユキムラと同じく、始原の混沌から戦力と成りうる機動兵器を汲み出し、それらに自らの分霊である神霊達を憑依させた。

 

「黒い……サイバスターだと!?」

「ゼルヴォイドだと!?」

「スクコマ2でユキムラがやってたザコ召喚か!!

 でもなんでゼルヴォイド!?」

 

 その機体はサイバスターをやや黒っぽくしたような姿をしていた。

 

「知ってるのかマサキ!!」

「ありゃゼルヴォイドっつって、平たく言うと大昔に量産されたサイバスター型有人特攻ミサイルだ!!

 魔装機としても普通に強え!!

 正確にはサイバスターの方がアイツを模して造られてるんだけどな!!」

「はあぁ!?

 大昔の魔装機兼有人型特攻ミサイルだあ!?」

 

 そのマサキの返答を聞いたブライトが俄に焦り出す。

 

「いかん!!

 敵機のサイバード形態に警戒しろ!!

 ガンエデンに特攻されたら大変な事になるぞ!!」

 

 その一言でアルファナンバーズに緊張が走る。

 しかし変形して突っ込んできた神霊達のゼルヴォイドは自爆する素振りを見せず、通常兵装であるアストラルイナーによる攻撃をガンエデンに仕掛ける。

 

「!! 親父!!」

「その鈍重な機体でよく間に合わせたものだ」

 

 特攻攻撃のようにも見える突撃攻撃であるアストラルイナーの前にヴァルシオンが立ち塞がり、ガンエデンを庇う。

 その様子にヴァルシオンのパイロットであるビアン博士の娘、リューネ・ゾルダークが焦りの叫びを上げる。

 だが実際には自爆攻撃ではなかった事と、同じくガンエデンを庇うよう動いていたガイアーによる極めて強固な念動フィールドとヴァルシオン自前の歪曲フィールドに阻まれて、ヴァルシオンの損傷は中破で済んだ。

 

「……ありがとうございます」

「礼は戦闘終了後に受け取ろう。

 今はゼルヴォイドの攻撃を凌ぐぞ!」

「でも親父、コイツ等にはコッチの攻撃が通用しないんじゃ……」

「いや、多分だが!!」

 

 ゼルヴォイドにもアゾエーブ同様の攻撃反射があるのではないか、と心配するリューネにブライト艦長と並ぶアルファナンバーズの屋台骨アムロ・レイ大尉が多分との但し書き付きながらも否定の言葉を放つ。

 そして彼がわざと掠めるように当てたHi-νガンダムの頭部バルカンにより、本当に僅かだがゼルヴォイドの一機の装甲が傷つく。

 

「やっぱりだ!!

 予期せぬ事態に追い詰められて急遽持ち出すような戦力にあんな上等な防御システムなんて積まれている訳がない!!

 みんな!! サイバスターもどきの方なら普通に倒せるぞ!!」

 

 そのアムロの一言にアルファナンバーズのみならずボーダーの『俺達』も歓声を上げる。

 いくら法の神相手と言えども何一つ攻撃が通用しない敵との戦闘で溜まったフラストレーションを一気に解放する機会に恵まれたからだ。

 

 一方でゼルヴォイドの方も搭載したゼルヴィオリアと憑依してきた神霊達の力で擬似的な精霊憑依状態となっており、一機一機が新西暦世界における宇宙最悪の大怨霊ケイサル・エフェスと同等の戦闘力を持っていたが、彼等と相対する方の戦力もアルファナンバーズだけではない。

 パイロット能力は心許なくとも十分過ぎるほど強力な機体を配備しているボーダーの機動兵器部隊や最強の2人の超能力者を乗せた恐るべき超機動兵器ガイアー、神々を率いる白い機動兵器創造神RX−78、地球より巨大なゲッターエンペラーすら一手で屠った真ゲッターロボ、さらに光子力が形作る可能性の光や調律の神真聖ラーゼフォンまでもが揃っている。

 

 その為ガンエデンを破壊するというゼルヴォイドを操る神霊達の目的が果たされる事はなく、ゼルヴォイドは一機また一機と撃墜されていく。

 

 このまま勝ち切れるかと思われた時、アゾエーブを包む連鎖爆発が唐突に終わりを告げ、アゾエーブが再び動き始めた。

 

「? どうしたイルイ?」

「祈る相手が……思いつかない……」

「イルイ!?」

 

 イルイの言葉にアラドは絶句する。

 そういえばと彼の知る限りでのイルイの人生を思い浮かべてみれば、確かに彼女は出会いが少ない人生を送っていた。

 むしろ良く今までアゾエーブを抑えつけるほどの誘爆を誘えていたものだ。

 

「ちくしょう、どうしたら……」

 

 代わりにアラドが祈った所で何も起こらないだろうし、そもそもアラドの方もイルイに偉そうな事が言えない程度には出会いが少ない人生を送っている。

 だが、同じような展開はゲームのマザー2でも起きていた為、マザー2に擬えて法の神を抹殺する計画を立てていたボーダーには打開策があった。

 

「大丈夫だイルイちゃん!!

 総員手持ちの神様を召喚しろぉぉぉっ!!」

 

 『俺達』の1人がそう叫んだ瞬間、『俺達』は一斉に悪魔召喚プログラムを起動させ、手持ち悪魔の中でも神様として信仰を集めている者達を召喚する。

 

「イルイちゃん!!

 コイツらの神託を君のテレパシーで増幅させるんだ!!」

「みんな!!

 自分達の信者達に神託を下せ!! 『祈れ』と!!」

「分霊だからって神託を告げる力が弱くても大丈夫だ!!

 イルイちゃんがお前らの神託を増幅してくれる!!

 お前らの神託は届くんだ!!」

 

 『俺達』の指示により自分達の本霊の信者達に神託を送ろうと試みる神々の神託を、イルイがその強大な念動力で増幅させ、この時の観測所と隣接しているあらゆる並行世界へと送り届ける。

 

 すると−−−−

 

 

 

 

 人々は女神バステトに祈りを捧げた。

 

 アゾエーブの駆体が再び爆発を起こす。

 

 人々は聖獣ゲンブに祈りを捧げた。

 

 アゾエーブがさらに爆発する。

 

 人々は神樹オシラサマに祈りを捧げた。

 

 アゾエーブの身に起きる爆発が先程よりも大きくなる。

 

 人々は鬼神ナガスネヒコに祈りを捧げた。

 

 アゾエーブを破壊する爆発が発生する度、爆発の規模とアゾエーブの損傷が大きくなる。

 

 人々は龍神ガンガーに祈りを捧げた。

 人々は……

 人々は……………

 

 

 神託が人々に届き、神託を受けた人々が祈るたび、アゾエーブには深い深い損傷が刻まれていく。

 そしてついには爆発が終わらない連鎖爆発となり、法の神の下に集まる膨大な信仰マグネタイトすら法の神を破壊する大量の爆薬と化して法の神とアゾエーブを消し飛ばしてしまった。

 

「やった……のか?」

「いや「やったか!?」っつって実際には仕留めきれてないのはこういう時のお約束だ!

 まだ残心!!」

 

 レッドスプライト号艦内でそのような会話が交わされていると、どこからか法の神の声が聞こえてくる。

 

(な……何故だ……

我は唯一に……して絶対の……神……の、はず……)

「ゼルヴォイドをあのように使い、絶対の神を自称する者にかける情けはありません。

 そのまま果てて下さい」

「あれは本来テメェみてえな人類を洗脳して支配したがる絶対者気取りに対抗する為の機体だ。

 それをよくもまあ薄汚い手で弄んでくれたもんだ」

 

 教化という洗脳能力を持つ巨人族の傲慢に対抗する為のゼルヴォイドを、全ての知的生命体をメシア教徒として洗脳しようと目論んだ法の神に使われた事に憤るシュウとマサキ。

 

(不……遜な……我は…並ぶものなき……)

「並ぶものが無い……対等な相手がいない……

 お前は凄いんじゃない偉大でもない。

 ただ孤独なだけだ」

 

 ビッグファイアは法の神の本質を鋭く本人に突きつける。

 

(孤独……? 我は孤高……

 造られし者達は、みな……我が名を褒め……歌う……)

「お目出度い幻聴だな。

 貴様ごとき邪神を誰が褒めるものか。

 その名も他人の神の名を騙っているに過ぎんだろう。

 少なくとも聖書の神は『大洪水のようなマネはもうやらぬ』と誓った存在のはずだ。

 そんなものがアゾエーブなどに手を出すものか」

 

 黄帝ライセは法の神は断じて聖書の神ではないと否定する。

 

(不遜な……我に……弓引き……滅ぼし……神無き世をどう生きるという……のか……)

「悪いが神様ってのはお前だけじゃない。

 お前1柱くらい居なくなったってなんの不具合もない。

 そもそも「神様という種族の暗黒面の煮凝り」であるお前を神様って呼んだら語弊があるだろ」

 

 『俺達』の1人がそう法の神を否定した所で、法の神の残滓は掻き消えて行ったのだった。

 

(……どうも、これで終わりのようです)

 

 真聖ラーゼフォンが告げたその一言に、その場にいた全員がため息にも似た深い息をする。

 

 だが

 

「結局あんまり役に立たなかったな俺達」

「いやリョウ、こちらが済んでもまだクラリオンが残っているハズだ」

 

 クラリオンの名を聞いて全員気を引き締め直して、真聖ラーゼフォンの導きで時の観測所に後にしたのであった。

 




ギミックボスってギミックが本体みたいなところがありますよね。
今回の戦闘ですが、イルイの祈りによるダメージが法の神に入った時点で法の神が詰んでました。

この世界の法の神は祈りによって滅びる様を観測されてしまってますので、祈りによるマグネタイト堆積で再度の顕現が出来ない神=ほぼ再出現不可能な神となってしまっています。
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