ハンドレッド部隊の前哨基地に来て1週間ほど経った頃、初任務の通知が中央政府より届いた。作戦は至って普通の内容だ。“砂漠地帯に増加したラプチャーの駆逐”。
この手の任務はある程度任務をこなした経験のある指揮官が受けることが多い。目的はラプチャーが増えすぎてその地域一帯が特殊なコミュニティになることを防いだり、出現勢力の拡大を抑制したりするためである。
まあ、小手調べのようなものなのだろう。この1週間で隊員をどれだけ把握したか、この部隊の運用をどのくらい具体的に構想できているかを確かめたいのだ。私にとっては宿題のようなものである。普段であれば造作もない任務なのだが、引き継ぎ文書に挟められていたあのメモがどうしても気になってしまう。
悩み続けていても仕方がないので、ここはメルトに相談してみることにした。隊長である彼女ならば前指揮官の下での作戦から何か思い当たるかもしれない。
彼女とはもう3度ほど面談を行っている。この部隊の運用や基地での生活について相談していた。コーヒー味か紅茶味で言ったら紅茶味の方が好きらしいので今日は紅茶味のパーフェクトを熱々にしたミルクパーフェクト飲料に溶かしてカップに注ぎ入室を迎える。
「失礼します。……ミルクティーですか、良い香りですね」
「ああ、今日はちょっと長くなりそうだからな。君の好きなものにしてみたよ」
「ありがとうございます。それで、話とは何なのでしょう。随分真剣な表情をされていましたから、心配していました」
「そのことなんだが、君は前任の指揮官のもとで任務をしていて何か怪しく感じたことはないかね。その作戦に何か裏があるような、そんな感覚が」
彼女はしばらく考え込んでミルクティーを一口啜る。カップを優しくソーサーに置くと彼女の表情が少し変わった。
「指揮官、何を疑っているのかは計り知れませんが、軽率に中央政府を疑っているのであればお勧めしません。どうしてもと仰るのなら私の持つ違和感はお話しします」
一瞥し話を続けるよう促す。
「この部隊は確かに異質です。設立理由である、『人海戦術の試験』というのも正直言って眉唾物で、一体何の事件に利用されるのやらという噂もあります。ただ、肝心なのはそこではありません」
「これまでの任務は本来の運用通り、ラプチャーの殲滅戦ばかりでした。しかし、ここ最近個体数の増加が認められた地域ばかりが目標にされています」
「なぜ私たちがラプチャーの増殖傾向にある地域へ赴くのか、最初は数が多いからと気にしていませんでしたが、あまりにも同系統の任務ばかり続くと不思議に思ってしまいます。まるで、何かを探しているような……」
「……深奥」
あの言葉がよぎった。前任指揮官もきっとメルトと同じような違和感を感じていたのかもしれない。
「指揮官、何ですかその深奥というものは。何か知っているのですか?」
メルトは聞きなれない言葉に疑問を持った。そしてライトニングがこの1週間、前任指揮官の遺した資料を読み漁っていたのは、この言葉を知り何かに勘づいたからなのだと悟った。
「前任の指揮官が残した資料の中にこの紙切れが挟まっていた。これによると、ハンドレッド部隊はラプチャーの凄む深奥とやらに送り込まれるそうだ」
「ただ、その戦場がどういったものを指しているのか見当がつかず、この1週間資料を漁っていたが、何も手がかりになるものは見つからなかった。前任者は何かに気づいていたはずだが、このメモの他に何も残していないらしい」
量産型とはいえ100機のニケが全く敵わない戦場と考えても想像がつかない。
「多数のロード級、あるいは……」
そう言い残した彼女の言葉に一つ思い浮かんだ言葉があった。そしてそれは彼女も同じであった。
「“タイラント級”」
言葉が重なり、視線を合わせる。ラプチャーはその大きさや戦闘力の高さなどで階級を付けて分類されるが、中でも特に危険だとされるのがロード級。報酬がやけに高い任務はこのロード級の討伐が目当てだったりするのだが、多くの指揮官が命を落とすのを避けるため選ばれることは少ない。
そのロード級よりさらに危険だとされるのがタイラント級である。ロード級との交戦経験がある指揮官は「ロード級は逃げろ。タイラント級なら“出会ったら諦めろ”」と言う者が多い。
今まで発見された中には超大型のものや何か特殊な兵装・機能を備えたものなど、およそ通常のラプチャー、あるいはその強化個体・大型個体とは考えない方が良いとされている。
「しかし、いくらタイラント級と言えど今までニケの大量投入までして討伐した個体は無いかと思われます。もし我々が向けられるのであれば、それは途方もなく強力、強大であると推測されます」
「いや、まだタイラント級の討伐と決まったわけではない。もっと別の何かである可能性も考慮したい。下手をすればこちらの方が恐ろしいことだってあり得るからな」
食い気味に話を進める彼女を落ち着かせる。そう、タイラント級より恐ろしい何かと言う可能性は捨ててはならない。指揮官として、それ以上に生き延びる一人の命として、最悪の可能性は考えておかねばならなかった。
「とりあえず、これで本日の面談は終了する。2時間後、各分隊長を召集し打ち合わせを始める」
「ラジャー」
メルトは嫌な予感をかき消すように冷めたミルクティーを一気に仰いだ。
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