ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
今回から第二部飛翔編となります。


第二章 アサルトウィッチーズ飛翔編
第14話 再始動-Restart-


 アルカ・ネウロイである死神(デス)と悪魔(デビル)を倒した翌朝。

 琴村零治はウスルラ・ハルトマンと共に食堂を訪れていた。

 すでに室内には6人のウィッチと鈴木直人の姿がある。

「零治さん、ハルトマンさん。おはようございます」

「おはよう。ラーヴァ、コーヒー淹れてくれるか?」

「はい。準備します」

 ソフィア・レオニード・ラーヴァにコーヒーを注文し、席に着く。

「昨日も遅くまで整備してたのか?」

「ああ。昨日は出撃あったし、6機全部と武器の整備する必要あったからな」

 そう口にして欠伸をする。

「確かにあれを毎回1人でやっていたなんてすごいですね」

「ハルトマンさんにも手伝わせたのか?」

「どうしてもやるって言って聞かなかったんだよ……」

 特務統合強襲航空団(アサルトウィッチーズ)は基本2、3人での出撃が主である。

 しかし、昨日は全員で出撃することとなったためすべてのストライカーユニットWRを整備することになったのだ。

「琴村さん、どうぞ」

「サンキュー、ラーヴァ」

「ハルトマンさんもどうぞ」

「ありがとうございます」

 テーブルに置かれたブラックコーヒーを口にして一息つくと直人へと視線を向ける。

「なんか珍しいニュースあるか?」

「うーん。強いて言えばこの異常気象ってやつか?」

「異常気象?」

 手渡された新聞を見つめる。

 様々な記事があるが、確かに直人のいう通り「異常気象」の文言があった。

 内容は「極寒、ペテルブルグの異常気象?」という記事だった。

「ペテルブルグが寒いのは気候的にいつものことだろ」

「確かにそうだが、連日最低気温を更新している上に、近辺でネウロイの影を見たとも書いている。アルカ・ネウロイの可能性もあるだろ?」

「……まあ、零ではないだろうが、ナナリーから要請は来ていない。今はなんとも言えないな」

 お互いに難しい表情を浮かべていた。

「朝からそんな顔してたらいい1日が台無しだよー。お二人さん」

「朝食出来ましたから、今はネウロイのことは忘れて食べましょうよ」

 アビゲイルとユースティアナが皿をテーブルに置く。

「「……そうだな」」

 二人とも一旦考えることをやめ、食事を始める。

 数分後、食事を終えたウルスラが零治の名を呼んだことで振り返った。

「どうしました?」

「今日で私は戻ります。あのストライカーユニットのことは分析して問題がないことはわかりましたから」

「だから問題ないことは最初に言ったじゃないですか」

「万が一の状況もありますからね」

 ウスルラは笑みを浮かべ、眼鏡の奥から輝く瞳を覗かせていた。

「琴村さん。私たちのストライカーユニットにはコアが使われているって言ってましたけど、そのこと詳しく聞かせてくれませんか?」

 そう声をかけてきたのはヨハン・ゲオルーグ・ハーゲンである。

「私も気になってました。私たちはここにきてからずっと運用してきましたが、影響は本当にないんでしょうか?それにラーヴァさんのストライカーユニットなんかはまったく形状も異なってましたよね」

「あれはジェットストライカーですからね。そもそも通常ストライカーユニットと別物ですよね琴村さん」

 クロエやソフィアも続くように声を上げた。

「そうなんですか?じゃあもしかして私がGrowなしでもストライカーユニット使用できるのも別物だからだったりするんですか?」

「そもそもコアが使用されてるんだから、通常のストライカーユニットとは別物でしょ。で、僕のも特殊な機能とかないの?」

「皆さん。そんな一斉に話したら……」

「あー静かにしろ!一斉に言わなくても詳しく説明してやる。ベアト、片づけは俺とユースティアナの当番だから全員を作戦会議室に連れて行っておけ。ウルスラさん送ったら行くから」

 零治はうんざりするように声を上げると

「了解です。みなさん行きますよ」

「はーい」

 ベアトの声に合わせてウィッチたちは食堂を後にする。

 銃数分後、片づけを終えた零治は軍の格納庫前でウルスラを見送っていた。

「では、零治さんお元気で」

「ウルスラさんもあんま無理な開発とかしないでくださいよ」

「問題ありません。零治さんの研究資料で色々使えそうなデータも手に入りましたから、いい開発ができそうです」

「絶対無理しそうですね……」

 彼女の言葉に思わずつぶやく。

「そうだ。ローゼンクロイツさん」

「え……私ですか?」

 自分が呼ばれたのは予想外だったのかユースティアナは首を傾げていた。

「零治さんが無茶しないように見ておいてくださいね。ネウロイに向かって行って大怪我なんてことないとは言えませんから」

「はい!零治さんが無茶しないように私が見ておきます!」

「お願いします。ローゼンクロイツさんもお元気で」

「ハルトマンさんも!」

 ブリタニアを発った飛行艇を二人は何も言わず見つめていた。

「戻りましょうか」

「だな」

 飛行艇が見えなくなるのを確認し、零治たちも作戦会議室へと戻っていく。

 室内にはすでに全員が揃っていた。

「遅いですよー琴村さーん」

 待ちくたびれたといわんばかりにアビーが声を上げる。

「悪かったな……よし、全員そろっているな」

 零治がそう口にすると、照明が消灯してディスプレイが映し出される。

 表示されたのはストライカーユニットであった。

 だが、ただのストライカーユニットではなく、この部隊で使用されるストライカーユニットWRである。

「ここ使用されているストライカーユニットは別の部隊と異なっている」

「前に言っていたコアが使用されたストライカーユニットってことですよね」

「そうだ。ハーゲンのいう通り、コアを使用しているストライカーユニットそれがWR(ウォーロックリバイブ)だ」

「その、ウォーロックっていうのはなんなんでしょうか?」

 手を上げたクロエが質問する。

「そうか、ウォーロックのことも説明していなかったな。まずこちらから説明しよう」

 説明を始める。

 コア搭載型無人機動兵器「ウォーロック」。

 コアコントロールエンジンを搭載した初の無人機動兵器であり、第一世代にあたる機体である。

 ネウロイから摘出したコアを機械によって制御することで、ウィッチに頼らなくてもネウロイに対抗できる兵器だ。

 しかし、機械によって制御しても結局は完全に制御することができずに機体が暴走することになった。

 結果的にはDS計画と同様にネウロイに対抗するための力が人類に牙をむいたのだ。

「そのウォーロックってのはどうなったんですか?」

 そう質問したのはソフィアである。

 気になるのも当然だろう。無人機動兵器という存在が暴走したのだから。

「第501統合戦闘航空団(ストライクウィッチーズ)によって撃墜されたよ。といってもコアを使用した兵器開発は別の形で続けられたわけだがな」

「それがWRってことですね」

 再び説明を始める。

 新型ストライカーユニット「WR(ウォーロックリバイブ)」。

 宮藤博士の開発した魔導エンジン、琴村零央が開発したコアコントロールエンジン、それらを融合させた新型の魔導エンジンtype-Cを搭載したストライカーユニットである。

 最大の特徴は魔導エンジンtype-Cにある。

 コアの生み出したエネルギーを魔力に変換することによって通常の魔導エンジンに比べて約2倍の魔力増幅が可能であり、それ故にウィッチは多くの魔力を行使可能となっているのだ。

 カタログスペックもジェットストライカーほどではないが、向上させることに成功している。

「通常のストライカーユニットよりもすごいってのはわかりますけど、リスクとかないんですか?コアが使用されているんですよね?」

「ウィッチの体に影響はない、メディカルチェックで確認してるからな」

 ユースティアナの質問に返答したのは直人であった。

 彼のいう通り、このストライカーユニットを使用してもウィッチの体に影響はない。

 それはテストパイロットを務めていたベアトが証明してくれた上、現在のウィッチたちもメディカルチェックによって問題ないことは確認できている。

「じゃあ、このWRを量産して他の部隊で運用すればネウロイの殲滅だって簡単になるんじゃない?」

「それは不可能なんです、ウィリアスさん」

「なんで?リスクもなくて性能だって高いなら使わない手はないじゃん!」

 予想外の返答にアビゲイルが声を上げた。

「WRは量産できない機体だからだ」

「量産できない?」

「ネウロイからコアを摘出する方法はブラックボックスでな。軍も俺たちもコアを手に入れる方法までは知らない」

 コアを摘出する方法を知っていたのは琴村零央だけであり、彼の死後は新たにコアを手に入れることは不可能になった。

 現在軍に残っているコアはこの部隊で運用されているものの他に存在しないのだ。

「つまり、私たちのストライカーユニット以外にはそもそも新造できないってことですね」

 納得したようにソフィアが頷く。

「話が逸れたな。それぞれが使用しているWRについてだが、主に1号機から6号機で性能や想定される戦闘スタイルが異なるんだ。」

 こちらの説明でディスプレイが切り替わる。

 前期型の文字と共に1~4号機までのストライカーデータが表示された。

 1号機はWRの初号機であり、汎用機である。カタログスペックは後述するWRに比べれば控えめであるものの、長時間の飛行や戦闘が可能であり、癖がなく扱いやすいというメリット持つ。

装着するウィッチは銃と剣を扱うことのでき、シールドも強固なヨハンが最も適任と判断された。

 2号機は攻撃に特化した攻撃型である。最高速度や加速力は控えめであるものの、増幅した魔力を攻撃に割り振ることができるため高い攻撃力を獲得するというメリット持つ。

機動力は多少低下ものの、装着するウィッチが狙撃や後方援護を得意とするクロエに決定したことで問題にないと判断された。

 3号機は機動力に特化した高機動型である。攻撃や防御に回す魔力を減らして、最高速度と加速力に割り振ることで高い機動力を獲得するというメリット持つ。

攻撃力と防御力は多少低下したものの、装着するウィッチが機動戦やヒット&アウェイを得意とするアビゲイルに決定したことで問題ないと判断された。

 4号機は他のWRと異なりジェットストライカーを基に設計、開発した高性能砲撃型である。従来のジェットストライカーと同等の高性能を発揮することが可能であり、問題であった魔力消費は魔導エンジンtypr-Cによる魔力増幅のバックアップによって実戦に耐えうる戦闘時間と安全性の獲得に成功している。使用による負荷までは完全に改善されていないため、出撃後の疲労感などはそのままウィッチにフィードバックされてしまう。

装着するウィッチは膨大な魔力量と強固なシールド、風という固有魔法を持つソフィアが適任と判断された。なお武器は本来501で運用されたものを使用する予定であったもののソフィアには合わないと判断され、本部隊にはフリーガーハマーによる砲撃戦が想定された運用になっている。

「ここまでが前期型だな」

「あれ、ローゼンクロイツさんとフーバーさんのストライカーは?」

「確かに私とベアトさんの説明は……」

「二人のストライカーは後期型だからな、零治。そっちも説明するんだろ?」

「次は5号機と6号機だな」

 ディスプレイが切り替わり、後期型の文字と共に5,6号機のデータが表示された。

 5号機は1~4号機までのデータを基にスペックの強化を施したバランス型高性能機である。特徴は1号機の長時間の飛行や戦闘が可能であることと3号機の機動力を備えているということだ、これによってバランスよく高性能化に成功している。しかし、扱うための同調率が高い数値でなければ、安定稼働させることができなかったことで、DSでありながら魔法力を持つ特殊なウィッチであるユースティアナしか扱えないと判断された。

結果的には装着者はユースティアナになり、彼女の専用機ともいわれている。

 6号機も1号機同様に汎用機である。だが、1号機と異なりこちらはベアトに合わせた改修を施している機体なのだ。もちろん他のウィッチでも扱えるものの、癖があるため100%の性能を発揮するならばベアトが装着することを想定しているストライカーユニットなのだ

「5,6号機はこんな内容だな」

「へーよく考えると私たちの戦闘スタイルにあったストライカーなんですね」

「君たちに合わせたというより、開発してテストしたら今の性能に落ち着いたというのが正しいがな」

「琴村さんもっといろいろ聞かせてもらえますか?」

 そういって手を上げたのはアビゲイルであった。

 続くように他のウィッチも手を上げたことで、質問攻めにあうのであった。

 

 

 夜、零治は自室のベットに横になって天井を見つめていた。

 室内には連盟空軍航空魔法音楽隊(ルミナスウィッチーズ)の音楽が響いている。

「音楽が聞こえると思ったらここにいたのか」

「零治さん。体は大丈夫ですか?」

「問題ないよ。別に違和感もないしな……まあ質問攻めで疲れた」

 入室してきた直人とベアトが心配そうにこちらを見つめる。

「そうは言いますけど。零治さん1度は死にかけていたんですよ」

 彼女のいうように自分は1度アルカ・ネウロイに攻撃によって腹部に穴を開けられた。

 その結果生死の境をさまよったのだ。

「大丈夫だよ。五感に影響はないし、空腹感や眠気も感じる」

「ですが」

「ベアト、こいつに何を言っても無駄だ。零治、これ以上の無茶をすればネウロイになっちまう前にお前が死んじまうぞ」

「……」

「まあ何を言っても無駄なんだろうがな」

 付き合いが長く自分のことをよく知る直人は少々呆れたようにそう口にする。

 彼のいうことも分かる。

 だが、アルカ・ネウロイを殲滅するまでは止まることはできない。

 それが自分に与えられた使命なのだから。

「直人、ベアト。俺夢を見たんだ」

「夢?」

「アルカ・ネウロイの攻撃を受けて、生死をさまよっている間に見たんだ。

そこには父や母、姉の姿があった。だが、俺を置いていくように去っていったんだ。俺も追いかけようとした、でもそんな俺を引き留めたのは直人とベアトだった」

「……」

「多分あのまま後を追いかけたら俺は一生目覚めることはなかったんじゃないかって思ってる。俺が今もこうしていられるのはきっと2人のおかげなんだ」

「安心してください、もう二度と零治さんを危険な目には合わせません。私やユースティアナさん、アサルトウィッチーズのみんなもいるんですから!」

「そうだ。お前を死なせないしアルカ・ネウロイにもさせない……」

「ありがとう。2人とも」

 零治は素直に心からの感謝を口にしていた。

 付き合いの長い自分たちはなかなか心からの感謝を口にすることがなかったのだ。

 そういう親友や戦友を超えた家族や兄弟のような関係だったからだ。

 だが、今は自然と2人への感謝を口にすることができたのだった。

 

 

 一方、リベリオンの地にて、

「またリベリオンでライブですか?隊長」

「そうよ、今回もぜひやってほしいってね」

 アイラの質問にグレイスは資料を見せて返答する。

「いいんじゃない?私たちは歌うウィッチなんだから」

 エレオノールもドーナッツをかじってそんな返答をしているのだった。




ちょこっと設定紹介
・ウィッチ専用同調率上昇薬「Grow」
鈴木直人が作成したWRの運用に必要な同調率上昇させる薬品。
アサルトウィッチーズでのみ運用されており、琴村零治の血液と数種類の薬品を調合して作り出したもの。
琴村零治は半人半ネウロイのような体であり高い同調率を持っているものの、魔法力を持たない彼にはWRを制御することはできなかった。
だが血液にはネウロイとしての性質があったため取り入れることで体が数時間程度ではあるものの半人半ネウロイに近づくことができる。
それによってウィッチたちでもWRを安定して扱うことができようになっている。
ユースティアナ・ローゼンクロイツはDSであり元から高い同調率を持つためGrowを使用する必要がなく、WRを扱うことが可能。
なお、このネウロイとしての性質はウィッチや人に限らず数時間程度で消滅し、12時間後には完全に体が元の人の状態に戻る。
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