ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
第15話になります。


第15話 リベリオンの空

 昼下がり、ブリタニア基地で零治は射撃訓練を行っていた。

 MG42機関銃から放たれた弾丸は的確に的を撃ち抜いている。

「よし……」

 弾切れの弾倉を引き抜き、新しい弾倉を装填すると再び銃を構えた。

「零治さん!」

 その時、名を呼ぶ声が響き渡る。

 振り返り姿を確認したことで声の主がユースティアナであることを理解する。

「ユースティアナか」

「直人さんが至急、執務室に来てほしいって」

「直人が?」

「はい。ロアノークさんから連絡があったそうです」

「ナナリーから?わかったすぐに戻る」

 報告を聞いて、零治は執務室へと向かう。

 室内に到着すると直人やベアトの姿があった。

「直人、ナナリーからの通信の内容は?」

「来たか。アルカ・ネウロイの出現を確認したようだ、場所はリベリオン合衆国」

「リベリオンか……」

 北リベリオン大陸中央に位置する大国家だ。

 工業化が進んでおり、巨大な生産力を誇り、世界一の軍事・生産大国である。

 本土は戦場から遠いと聞いているが、アルカ・ネウロイがそこまで活動領域を広げているとは予想外だ。

「直人、ベアト移動の準備しておけ。3日後……いや明後日にはブリタニアを発ち、リベリオンに向かう」

「了解した」

「了解です!」

 2人とも返答し、敬礼していた。

「零治。今回のリベリオンへの招集にはロアノークさんも来るそうだ」

「ナナリーが?」

 彼女がわざわざ招集先に来るのは珍しい。

 先日のガリア招集で自分たちの行動には少々苛立っていたからか。

 今回も勝手な行動をしないための監視目的なのだろうか。

「……わかった」

 考えても答えはでないと判断し零治は準備のために軍の格納庫へと向かうのであった。

 2日後、ストライカーと武器弾薬を搬入したランカスターが飛行準備を進めていた。

「リベリオンかぁ。久々に戻るなー」

 機内に搭乗していたアビゲイルが呟く。

「そうか。アビーはリベリオン出身だったな」

「でも、リベリオン本土って戦闘区域から遠いって聞いてましたけど」

「アルカ・ネウロイは既存の探知機で探せませんから、もしかしたらそれらの探知を潜り抜けてリベリオンまでたどり着いたのかもしれませんね」

 首を傾げていたソフィアにユースティアナも自分の意見を述べていた。

「そう聞くと、ちょっと怖いですね」

「そうだね。でも私たちはアルカ・ネウロイを見つけ出せますから大丈夫ですよ!クロエさん」

「うん。そうだね」

 クロエも恐怖心を払拭するように首を横に振り、笑みを浮かべる。

「全員そろってますね。零治さん、こっちは準備OKです」

「わかった。直人発進させろ」

「おうよ」

 直人の操作でランカスターはリベリオン合衆国に向けて飛び立つ。

 空を渡っている中、相変わらず機内のユースティアナたちはリベリオン合衆国についたら何をするかという話題で盛り上がっていた。

「いいのかよ。俺たちは戦うためにリベリオンに行くってのにあんな浮かれててよ」

「ならお前もリベリオンでの数日を満喫しろよ」

「お前まで何言ってんだよ……ったく」

 にらみつけるようにこちらを見つめるが

「ずっと臨戦態勢でいたって体が持たないだろ。ただでさえ直人は一般人で前線に出ることはないんだからな、休めるときは休んでおけよ」

 零治の言葉にため息をつき、再び前方を見つめる。

 彼のそう言いたくなる気持ちも分かる。

 これから戦闘のためにリベリオンに行くのだから、緊張感を持てと言っているのだろう。

 

 

 あっという間に時間は過ぎ、リベリオン合衆国の本土が見え始めていた。

 ウィッチたちも操縦席に顔を出す。

「見えてきましたね」

「ベアトさんや零治さんたちはリベリオンには来たことはあるんですか?」

 ユースティアナが質問する。

「俺は何度かあるな。それは任務でだけどな」

「私はリベリオン合衆国の本土は初めてですね。ブリタニアにずっといましたし」

「俺も本土は初だな。扶桑が長かったからな」

 ベアトと直人も思い出すように口にした。

 2人はそれぞれの出身国である扶桑とブリタニアでの生活が長い。

 それに比べて自分はDS計画の後、数か国を転々とした経験がある。

 外に視線を向けるとガリア入国の時と同様にウィッチの姿があった。

「哨戒任務のウィッチですね。戦闘地域から離れているって言ってもやっぱりウィッチもいるんだ」

「まあ、当然だろうな。ネウロイがリベリオンに現れない保証はない」

 零治はインカム型通信機を装着し、通信を送る。

 誘導の指示を受けて、アサルトウィッチーズを乗せたランカスターはリベリオンの地へと降り立った。

 この辺の地域はニューヨークである。

「よし、問題なくついたな」

「安全な航行ルートで来たんですから、当然ですよ」

 操縦手を担当していた直人は両手を上げて体を伸ばしていた。

 安全な航行ルートを使用し、給油や休憩を挟んだことで約2日間のフライトに直人だけでなくウィッチたちも多少の疲労感を見せていた。

「零治さん、アルカ・ネウロイの反応はありますか?」

 ユースティアナが質問する。

 警戒するように周囲を見つめ、感覚を研ぎ澄ます。

 しかし、コアの反応はない。

「今のところは感じないな」

「そうですか……ティアも今は特に感じないみたいです」

 お互いに周囲を警戒するがアルカ・ネウロイのコアの反応はなかった。

 アルカ・ネウロイを探知できるのはDS計画の生き残りである自分とユースティアナだけである。

 そんな自分たちが感じないということは現在周辺にはいないということだろう。

「そうか。ならいいんだ。直人、ベアト」

 2人の名前を呼んだ。

 声に反応するように2人が自分の前に駆けてくる。

「宿舎に行って手続き頼むわ。俺はストライカーをいつでも飛べるように準備しておく」

「了解だ。いくぞ、お前ら」

 直人やウィッチたちと別れる。

 背中を見送り、ランカスターから下ろしたストライカーと銃を格納庫内に並べた。

 動作確認と調整を行うものの、事前に整備等を終えていたため1時間も掛からず確認を終える。

「よし、これで終わりだな。他にはやることはないし俺も街にでも行ってみるか」

 格納庫を出て、街を見つめた。

 リベリオンに来たのは自分も数年ぶりだが、あまり変わっていないように見える。

 ふと人の顔が浮かんだ。

「そういえばあいつも一緒に来たっけな……グルーシャ」

 そう口にして歩き出した。

 街には高いビルが立ち並んでいる。いわゆる摩天楼というものだ。

 そんなビルを見ると空が如何に高いのかを実感していた。

 再び周囲に視線を向ける。

「にしても、ずいぶん活気があるな。祭りでもやっているのか?」

「へーい、いらっしゃーい。ふわふわもちもちのドーナッツだよー!そこの扶桑の兄ちゃん!おひとつどうだい?」

「え?俺?」

 屋台売りをしていたおじさんの声に思わず首を傾げた。

 どうやら彼の言う「扶桑の兄ちゃん」というのは自分のことらしい。

「えっと……じゃあ1つだけ」

「まいど!」

 ドーナッツを購入しその場で口にする。

 普段はあまり甘味を口にすることはなかったが、それがとてもうまいということだけはわかった。

「あ、うめぇ」

「だろ!?」

「めちゃくちゃうめぇ。これはベアトが喜ぶかもな、おじさんあと7つ買うぜ」

「扶桑の兄ちゃんまいど!」

 こちらの購入とするという言葉に店主のおじさんはより声を響かせていた。

 ベアトたちへの土産として購入したドーナッツの入った紙袋を手に再び、街を歩きだす。

 自由の女神にブルックリンビレッジを見て回り、日も傾き始めていた。

「ここも歴史的な遺産が多い、できればこんなところで戦闘なんてしたくはないが仕方ないよな。

歴史的建造物は一度壊れても作り直すことはできるが、人命は一度失えば二度と戻らないのだから」

「……」

「……ん?」

 視線を感じて振り返る。

 こちらを見つめる少女の姿があった。

 その服装からクロエと同じガリアの軍服に身を包む軍人であることを理解する。

「あの」

「……」

 彼女は相変わらずこちらを見つめている。

 どうやら視線は自分ではなく、ドーナッツの紙袋に向けられたもののようだ。

 そこで彼女の顔に見覚えがあることに気づく。

「えっと、よかったら食べます?」

 紙袋からドーナッツを1つ取り出し、差し出す。

「……うん」

 彼女は頷き、受け取ったドーナッツをほおばり始める。

 よほど空腹だったのか、おいしそうに食べている様子を見つめていた。

「エリー、こんなところにいたのか。ってなんでドーナッツを食べているんだ!?」

 彼女の名前を呼んで現れたのはスオムスの軍服に身を包む少女であった。

「アイラじゃん。このお兄さんがくれたんだ」

「……」

「す、すみません!お金を」

「いえ、お気になさらず」

「ほら戻るぞ!私たちはこれで!」

「さよなら!ドーナッツのお兄さん」

 2人は別れの挨拶をすると去っていく。

「なんだったんだ?……でも、あの人たちの顔どこかで見たことあるんだよなー」

 なんとか頭を捻る。

 思い出そうと記憶を辿るが答えは出ずにいた。

「まあ、いっか。どこかの基地で顔合わせたことある程度なんだろう……」

 早々に記憶の捜索を諦めると、宿舎に向かう。

「おかえりなさい、零治さん。遅かったですね」

 宿舎に到着するとユースティアナが出迎えてくれた。

「少し街を歩き回ってきた。これみんなで食ってくれ」

「ドーナッツですか。ベアトさんが喜びそうですね」

 紙袋を渡して、さきほどドーナッツを1つ渡してしまったことを思い出した。

「悪い。6個しかないからベアトたちで分けてくれ」

「え、でも」

「直人には明日なんか奢ってやるからよ」

 そう言うと部屋へと戻り休むのだった。

 

 

 格納庫で、グレイスは悲鳴を上げていた。

「なにこれ!?」

「うわー、ひどーい」

「なんでこんなことに……」

「いったい誰がこんなことを!」

 ヴァージニアやいのり、リュドミラも思わず声を上げる。

 格納庫内のストライカーユニットがボロボロに破壊されていたのだ。

「魔導エンジンは無事みたいですが、外装や細かい部品は交換が必要なのです」

「あれ?でも、ストライカー用の部品なんてウチになくない?」

 壊れたストライカーを解析していたマリアやマナイアも絶望的な返答をしていた。

「これじゃあ2日後のライブなんて無理じゃないですか?」

「えー、明日には衣装も完成するのにそれはないよ!」

「頑張って作ったのにね。でも私たちにはストライカーの修理技術はないし」

「隊長!どうにかならないんですか!?」

 ウィッチたちの声にグレイスは頭を抱える。

 それもそのはずである。

 ライブは2日後なのに対し、ストライカーがこれだけ破壊された状態では修理するのは至難の業である。

「なんとか私が修理できる人探してみる」

「大丈夫なんですか?」

「チケットも完売なのに今更中止なんてしたくないでしょ。どうにかするわ」

 グレイスは格納庫を後にする。

 宿舎に戻ってからも頭を抱えていた。

 そもそも戦闘のないリベリオンの本土でストライカーを修理できる整備兵がいる可能性は極めて低い。

 そんなことは自分だけでなく、他のウィッチも分かっていたはずだ。

「うーん」

 そんな時、室内の電話が鳴る。

 受話器を手に取り耳に当てた。

「はい」

「グレイス様。ナナリー・ロアノーク様からお電話が入っております」

「ロアノークさんから?繋いでください」

 数分後、お互いの電話が繋がる。

「グレイス、久しぶりね」

「ロアノークさん、お久しぶりです!でも、なんでリベリオンにいるって?」

「私だって、連盟空軍魔法音楽隊のことくらいは知ってるわ」

「もしかしてライブに?」

「そのつもりだったんだけど、任務でリベリオンに用があってね」

「そうだったんですか……ロアノークさん、任務って言いましたよね?もしかしてストライカーの整備や修理ができる人っていますか?」

 グレイスが思わず質問した。

 彼女が前線で指揮をしていることは知っている。

 もしかしたらストライカーの修理を行える人員もいるかもしれないと考えたのだ。

「ストライカーの?なんかあったの?」

「えっと……実は」 

「ふーん、そういうこと。なら、ちょうどよかったわね。私の部下でストライカーの整備兵がいるわよ、しかも今日リベリオンに到着してる」

 説明を聞いて、ナナリーは笑みを浮かべて返答する。

「本当ですか!?」

「うん。明日そっちの宿舎に向かわせるわ」

「ありがとうございます!助かります!」

 電話を切り、外を見つめる。

「本当、こんな偶然もあるのね。でもルミナスウィッチーズがリベリオンにいることは零治は知っているのかしら?」

 ナナリーは首を傾げながらも、リベリオンへと向かう船内でカクテルに口をつけるのだった。




ちょこっと設定紹介
・アルカ・ネウロイ(オリジナル)
特殊個体のネウロイの総称であり、DS計画の被験者たちがコアによってネウロイ化した存在。
人型ネウロイと大型ネウロイの形状を持ち、状況に合わせて形状を変化させる性質を持つ。
また、全世界で使用されているレーダー等で探知することができず、接近を探知できるのはDS計画の生き残りである琴村零治とティア・ローゼンクロイツだけである。
レーダーで探知することができないのは琴村零央がコアに細工をしたためであり、それゆえにDSである零治とティアはブリタニアで生活してもネウロイとしてレーダーに反応しなかった。WRやウォーロックのコアがレーダーに反応しないのも上記と同様の理由である。
アルカ・ネウロイはタロットカードの大アルカナをコードネームとしており、OからXXIの22種類が存在する。※アルカナのネウロイ→アルカ・ネウロイ
その中でも、零治は「I.マジシャン(魔術師)」、ユースティアナは「XⅦ.スター(星)」と呼称されている。
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