ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ 作:UNIMITES
第2話となります。
早朝。
ユースティアナはベットの上で目を覚ました。
「朝、か」
机に置かれた時計に視線を向ける。
時刻は5時。外はすでに日が昇っており空は明るい。
軍服に着替えると日課であるランニングするために外に出た。
早朝というのもあり、今は人通りが少ない。
街を1周して再び、宿舎に戻る。
「はぁ、はぁ……」
肩で息をして壁に手をつく。
頬を流れる雫をぬぐうと軍の格納庫が目に入る。
「あれ?扉開いてる?」
ランニングを始める前は確かに扉は閉まっていたはず。
誰かいるのだろうか。そんな疑問が浮かぶ。
息を整えたところで格納庫に近づき、音を立てないように中をのぞく。
「……」
格納庫内は昨日と同様に6機のストライカーユニット、その他の工具類の置かれた棚がある。
そして作業着に身を包み、作業をする零治の姿が目に入った。
「……あの琴村さん」
「ユースティアナか」
1度彼女に視線を向けるが、再びストライカーユニットの整備を続ける。
「整備しているんですか?」
「ああ、いつネウロイが来るかもわからない。それに昨日は予想外の出撃もあったからな」
整備が終わり、ストライカーユニットの扉を閉じる。
それは昨日、ユースティアナが装着していたストライカーユニット。
彼女は改めてストライカー見つめる。
やはり他の基地で使用されているストライカーユニットと少しだけ形状が異なっている。
「で、こんな朝早くどうした?」
「自己訓練は日課だったので」
「真面目だな」
整備の終わった銃火器「ブレン軽機関銃Mk1」をストライカーユニットの隣に設置された武装ラックに戻す。
そのまま格納庫の扉へと向かう。
「宿舎に戻るぞ」
「はい!」
宿舎の食堂に向かうとすでに先客の姿があった。
「おはようございます」
「おはよう」
「ああ」
「おはようございます!」
ベアトがすでに食事の準備を始めていた。
直人も席についてコーヒーを飲んでいる。
「ローゼンクロイツさんも早いですね。もうすぐ朝食出来ますから」
「はい!」
数十分後にはテーブルに朝食が並ぶ。
4人の「いただきます」という声が響く。
「このスープおいしいです!」
「口に合ってよかった。これ扶桑の味なんですよ」
「そうなんですか?」
再びスープを口にする。
これは味噌汁。扶桑で作られた味噌という調味料で作った汁物……スープと呼べなくもない。
ブリタニアで味噌なんてそうそう手に入るものではない。
これがこの基地にあるのはナナリーに依頼している補給物資に日本製の調味料、食材等が少しだが含まれているためだ。
「味噌って調味料の味だ」
「これがお味噌ですか」
どうやら味噌汁の味が気に入ったようだ。
「午前にはほかのウィッチが合流するだろうから、30分後各自訓練だ。
直人は薬品の備蓄確認を頼んだ。弾薬は俺が確認しておく」
「はいはい」
「了解です」
朝食終えて、指示を出すと各自がそれぞれの仕事に向かっていく
倉庫には零治と直人の姿があった。
基地の備蓄品である弾薬と医療用薬品の確認を行っている。
ウィッチの銃火器に使用する弾薬を数え、
「……ふう。これならしばらくは持ちそうだな」
「こっちも十分な備蓄がある」
お互いに書類を交換して、チェックを行う。
包帯やぬり薬に飲み薬などの名前を確認していく。
「零治。お前ローゼンクロイツ軍曹のこと知ってたのか?」
「名前を聞いてたからな」
直人の質問に対して零治も昨日ことを思い出す。
ネウロイが出現したため、昨日は緊急でベアトが出撃することになった。
しかし、大型のネウロイの相手をウィッチ1人で行うのはベアトであっても厳しい。
結果的にユースティアナに援護をしてもらう形でネウロイを撃退することに成功したのだ。
「出撃時に問題はなかった」
「ならいいけどよ」
書類をチェックして再び交換する。
「琴村さん、鈴木さん!」
倉庫内に声が響き渡る。
入口に戻ると、ユースティアナが立っていた。
「どうした?」
「ウィッチの方々が合流されたので、来てほしいってベアトさんが」
「もうそんな時間だったか」
「いくぞ」
3人が格納庫前の広場に到着するとすでに数人の少女たちが集まっている。
ベアトやユースティアナのようなブリタニア空軍の軍服の他に、カールスラント空軍、リベリオン空軍、ガリア空軍、オラーシャ陸軍の軍服が確認できた。
「合流感謝する。全員そろっているな」
「はい!」
ベアトが敬礼すると、続くようにユースティアナやほかの4人も敬礼する。
目の前の少女たちはすべて魔法力を持つウィッチ。
それぞれの国々から招集され、今この場にいるのだ。
「ブリタニア空軍611戦闘機中隊、ベアトリス・フーバー中尉です!」
先に自己紹介を始めたのはベアトリス。
続くように自己紹介を始めていく。
「カールスラント空軍 第53戦闘航空団 第6中隊、ヨハン・ゲオルーグ・ハーゲン中尉です!」
「リベリオン陸軍 第9航空軍 第358戦闘飛行群 第364戦闘飛行隊、アビゲイル・ウィリアス少尉です!」
「自由ガリア空軍 603飛行隊、クロエ・エリザベート少尉です」
「オラーシャ帝国陸軍 587戦闘機連隊、ソフィア・レオニード・ラーヴァ少尉です」
次々にウィッチたちが紹介を終える。
そして、
「ブリタニア空軍612戦闘機中隊、ユースティアナ・ローゼンクロイツ軍曹です!」
最後にユースティアナが自己紹介を行う。
「ご苦労。俺は君たちの隊長となる琴村零治だ。よろしく」
「その隊長補佐となる鈴木直人だ。よろしく頼む」
「さっそくで悪いがこれより君たちの飛行テストを実施させてもらう」
そう口にして格納庫向かおうとする。
「飛行テストですか?私たちは数日前まで前線で戦っていたのでストライカーユニットでの飛行は問題ないかと」
質問したのはリベリオン出身のアビゲイルであった。
ほかの3人のウィッチたちも同意見だと言わんばかりにこちらに視線を向ける。
「この部隊ではロールアウトされたばかりの新型ストライカーを使うことになる。そのための飛行テストだ」
といってもベアトとユースティアナは昨日、ネウロイとの交戦ですでに飛行と戦闘に問題ないことは確認済みだ。
つまり残りの4名の確認が必要となる。
格納庫内のストライカーユニットは全部で6機。
「スピットファイアMkⅣ」が2台。
「Bf109G-2」、「P-51D」、「VG.39」がそれぞれ1台。
そして目を引くのが最も大型のストライカーユニットである「Me262」だ。
ウルスラハルトマン中尉が作り出した噴流式魔導エンジン搭載ストライカーである。
それらのストライカーユニットを彼女たちが装着することとなるのだ。
「ベアトとユースティアナは昨日確認済みだからな、とりあえず見ていてくれ」
ウィッチたちがストライカーユニットの前に立つ。
魔法力を高めると彼女たちから動物を思わせる特徴的な耳や翼、尾が現れる。
クロエはナイトウィッチを思わせる特徴的なアンテナが出現した。
続けて配られた注射器を首元に当て、赤い薬品を投与していく。
この薬品は直人が作り出した同調率上昇薬「Grow」。
新型ストライカーユニットには動作させるために同調率と呼ばれる数字が一定以上必要となる。
その数値を強制的に引き上げるのが「Grow」という同調率上昇薬だ。
事前に同調率の確認を行い、Growの必要有無は確認しているため、使用することとなった。
「始めてくれ」
4人がストライカーを装着し、各々が魔導エンジンを回転させ始めた。
魔法陣が出現し、エーテルのプロペラも高速で回転する。
「……」
同時に起動したことで吹き抜ける風に思わず目を細めた。
魔導エンジンの回転率は一定の数値まで上昇し、飛行可能な状態となる。
「すごい……」
「いつもの倍の魔法力を感じる……」
「……」
彼女たちは魔導エンジンの出力に驚きを見せていた。
それもそうだろう。
この新型ストライカー出力は従来の約2倍の出力を得られる。
そもそもこれまでのストライカーとは別物なのだ。
「これなら十分いけそうだな」
「ああ、そうだな――っ!」
言葉を切って、後方を振り返る。
直感的に、いや感覚的に分かった。
まるでネウロイのコアを感じ取るようなそんな感覚を感じていたのだ。
「アルカ・ネウロイだ……」
その名を口にしていた。
「ベアト、ユースティアナもストライカーをつけろ!」
その声で2人もストライカーを装着する。
外に出て空を見つめた。
人型ネウロイの姿がそこにはあったのだ。
腕にはⅦの文字が刻まれている。
アルカ・ネウロイはタロットカードの大アルカナの名前をコードネームとして呼称している。
Ⅶが表すコードネームは「チャリオット(戦車)」、それがあのアルカ・ネウロイのコードネームだ。
「人型ネウロイ?」
「珍しいタイプですね」
空を飛行しているウィッチたちも人型ネウロイという珍しい存在を興味深そうに見つめる。
「敵は1体だけだ!一気に仕留めるんだ!」
「了解!」
6人のウィッチたちが初交戦を開始する。
「アビー!援護よろしく!」
「はいよ!」
「ちょ、ちょっとハーゲン中尉!ウィリアス少尉も!」
ヨハンが先陣を切り、続くようにアビゲイルも先行する。
「エリザベート少尉とラーヴァ少尉はすみませんが後方援護をお願いします。ローゼンクロイツ軍曹は私の援護を」
「了解」
「了解です!」
ベアトの指示で3人も後を追うように加速する。
そんな様子を見つめていた零治もため息をつく。
急造で招集した航空団のため、統率が取れない予想はしていたが、やはり思った通りであった。
「完全に予想通りだったな」
「連携面はこれから調整していくしかねーよ。このタイミングで出てくるとはな……」
そんな中、空では激しい攻防が始まっている。
先行しているヨハンとウィリアスはお互いの飛行を邪魔しないようチャリオットを追撃する。
人型ネウロイは過去にも数回確認できているものの、出現数の少なさから交戦経験を持つウィッチは少ない。
こちらのウィッチたちも人型ネウロイとの戦闘はおそらく初となるだろう。
大型ネウロイに比べて、的が小さいことやウィッチのような運動性能の高さ、そしてコアそのものが小さい。
そのため撃破するのが難しいのだ。
「当たんない!」
「避けるな!」
インカムから響くウィッチたちの声。
「……ベアトさん、コアは見つかりましたか?」
「ええ。ちょうど胸のあたりにあることは確認できているんだけど……」
「攻撃が当たらないってことですね……」
少しだけ後方にてベアトがすでにコアの位置を見つけ出していた。
「エリザベート少尉、敵ネウロイを狙撃することはできますか?」
「有効射程です」
「……人型ネウロイの脚部を狙ってください!」
「足ですか?了解です!」
クロエは「ボーイズ対戦車ライフル」を構える。
狙いをチャリオットの右脚部としたと同時に固有魔法「高感度センサー」で風向きや気流を感じ取った。
「……!」
トリガーを引くと、13.9mmの弾丸が長銃身の銃口より吐き出される。
弾丸は吸い込まれるようにチャリオットへと向かい、その右脚部を貫通した。
「―――っ!」
被弾したことで悲鳴のような声を上げている。
「今だ!」
「コアは胸部中央です!」
ヨハンが一気に加速する。左手で「MG42機関銃を」放ち、右手が青白く光る。
固有魔法「構築」で西洋風の片手直剣を作り出す。
片足を失ったことでバランスを崩しているチャリオットの胸部を刀剣によって両断した。
コアは両断されたことで、瞬時にその体は光の粒子となって弾ける。
「やった……」
「よし!ネウロイ撃破!」
ネウロイを倒したことでウィッチたちは喜びの声を上げていた。
「おー、なかなかやるな」
「まだまだだけどな。だが、うまく連携さえできれば案外化けるかもな」
地上にいた零治たちもウィッチたちを見つめ、笑みを浮かべていた。
ちょこっと設定紹介
ウィッチ隊
・ベアトリス・フーバー中尉(オリジナル)
性別 : 女性
年齢 : 17歳
身長 : 160cm
体重 : 47kg
生年月日 : 6月24日
魔法力 : 中の上
使い魔 : 鷹(ウィンディ)
固有魔法 : 鷹ノ眼/魔眼