ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
第17話になります。


第17話 虹輝が紡ぐ歌(ルミナスソング)

 すでに出撃しているウィッチたちはストライカーユニットWRを装着し空を進んでいた。

「敵アルカ・ネウロイのコードネームはホイールオブフェイト(運命の輪)。これまでの個体と異なり、特殊な歌を発します」

「その歌を聞くと強い頭痛に襲われますので、くれぐれも注意して下さい」

 先日の戦闘でアルカ・ネウロイの特殊な歌について述べる。

 ベアトの言う通り、アルカ・ネウロイは特殊な歌を発していた。

 その歌はまるで不協和音のような音声であり、聴くと強い頭痛に襲われてしまうのだ。

「でも、歌なんて防ぎようなくない?」

「確かに、シールドでも歌みたいな音声は防げませんからね」

 説明を聞いてアビゲイルやクロエも対応策を考え込むが、やはり対策は浮かんでいなかった。

「だが、それでも戦うしかない。リベリオンを守るためにも」

「はい。それが私たちの仕事ですから」

「いました!」

 ユースティアナの声でウィッチたちは視線を戻す。

 青空には人型のアルカ・ネウロイ「ホイールオブフェイト」の姿があった。

「散開して、各機応戦してください。コアを見つけます」

 ベアトは固有魔法「魔眼」を使用してホイールオブフェイトを見つめる。

 ユースティアナたちも距離を詰め、銃を構えたその時、

「——っ!」

 昨日聞いたような不協和音の歌が周囲に響く。

「うっ!」

「ぐっ!」

「うわっ!」

 同時に鋭い頭痛が走り、ウィッチたちが悲鳴を上げた。

 港に到着したジープの車内で、その光景を見つめる。

「まずい!もうあの歌がはじまってしまったのか」

「どうするんだ、零治?ぐあっ!」

「しまった。もうここまで……」

 悶え苦しみ頭を押さえる。

 頭が割れるようなその痛みに表情を歪ませた。

 自分たちの耳にもその歌は聞こえ始めていたのだ。

「ぐうう」

 ユースティアナは頭痛に耐え片手で銃を構えると、引き金を引いた。

 放たれた弾丸が数発、ホイールオブフェイトの右肩に命中した。

 被弾したことで、響き渡っていた不協和音のような歌が止まる。

「歌が止まった?」

「今だ!」

 クロエが狙いを定め、「ボーイズ対戦車ライフル」の引き金を引いた。

 13.9mm弾が腹部を貫く。

「やりました!」

「よし、これで!」

「まだです!コアが破壊できていません!」

 ソフィアとアビゲイルを制止するようにベアトが魔眼で見つめる。

「——っ!」

 これまでのアルカ・ネウロイと同様に悲鳴のような声を上げ、赤く発光をした。

 それは形状変化する際の光である。

 ホイールオブフェイトは人型の姿から大型の飛行艇姿へと変貌する。

「よし、このまま攻撃を!」

「撃ちます!」

 銃を構えるが、ホイールオブフェイトの機尾から小型のネウロイが射出される。

「今度は小さいのが出た!?」

「早くて狙いが——っ!」

 ヨハンやクロエも子機の機動力に翻弄され、防御に集中していた。

 すると再び歌が空へと響き始める。

「ぐっ!また、歌が……」

 ウィッチたちは空で苦しみに表情を歪ませた。

 ホイールオブフェイトはゆっくりと本土へと接近するように進軍している。

「まずいです。アルカ・ネウロイが本土に向かってます!」

「小さいのが邪魔で近づけない!」

「それにこの歌のせいで狙いが!」

 強い痛みに頭を押さえる姿を見つめる。

「くそ!」

「おい、零治!」

 ジープを降りて、銃を構えた。

 痛みで今にも意識が飛びそうであった。

「止まれ、止まってくれ!」

 それでも引き金を引く。

 放たれた銃弾が子機に命中し、光の粒子となって消滅する。

 しかし、本体にはダメージがないのか、前進を続けていた。

「ぐあああぁぁ!頭が!」

 距離が近づいたせいか、より自分への頭痛が強くなり思わず声を上げた。

 

 

 その頃、リベリオン本土ではライブが始まっていた。

 ルミナスウィッチーズは空を舞い、歌を響かせている。

「え?」

 ヴァージニア・ロバートソンは自分の耳に響く声に視線を周囲に向けた。

 しかし広がる空を自分たちウィッチたちが歌っている姿があるだけである。

「今の声。琴村さん?それにローゼンクロイツさんの声も」

「ジニーちゃん、どうかしたの?」

「今、声が」

 渋谷いのりの質問に、先ほど聞こえた声について述べる。

 1曲歌い終えて、ウィッチたちは地面に立っていた。

「声?」

「どういうことだ?ジニー」

「琴村さんたちって戦闘部隊なんでしょ?もしかしてネウロイと戦ってるんじゃない?」

 エレオノールが割り込むように返答する。

「警報は鳴ってなかっただろ!」

「それなんですが、リベリオンの警報は故障中らしいんです」

「なんだと?」

「琴村さんから昨日聞いたんです。現在修理中なんだって」

 リュドミラの説明にアイラが難しい表情を浮かべていた。

「でも私たちは戦闘用のウィッチじゃないですよ」

「助けに行ったところで何もできないって」

「私たちにできることは」

 ヴァージニアも視線を落とした。

 その時、彼女が光を放つ。

 数秒後、頭部の小さな翼は大きな翼に変化していた。

 まるでかつて、ガリアで彼女が見せたものと同じである。

「モフィ―。そうだね」

 彼女はいつもの表情のまま頷く。

「歌いましょう。私たちにできることはそれだけですから!」 

「でも、ネウロイと彼らが戦っているなら避難を」

「今、それをしたら確実に混乱すると思う。だから、私もジニーに賛成かな」

「エリー!」

 アイラが声を上げる。

「あのネウロイの歌が苦しむ原因だったなら私たちの歌でその歌を上書きできれば」

「琴村さんたちの助けになるかもしれないわね」

「だが、歌が成功する確証はない!」

「きっと届きます。私たちの歌は彼らの元に」

「わかった。きっと琴村さんたちがネウロイを倒して、リベリオンを守ってくれるはずだから思いっきりやりなさい」

 グレイスの言葉を後押しに、再びウィッチたちが空を舞う。

「モフィー、届かせて。琴村さんたちの元に、私たちの歌を」

 ヴァージニアは歌い始めた。

 世界へと響くような歌を。

 

 

 

 膝をついて苦しみに悶える。

「ぐああ!」

「このままじゃ……」

 ここまでなのか。

 リベリオンを守れず、ここで終わるのか。

 そんな言葉が脳裏を過る。

 しかし、そんな中、歌が耳に入った。

「これは?」

「あれ?歌が」

 今までの不協和音のような歌ではない。

 全くの別の歌だ。

 それは彼女たちの、連盟空軍魔法音楽隊ルミナスウィッチーズの歌であった。

 理解したころには頭痛も溶けるように自然となくなっている。

 視線を本土の空を向けた。

 空を舞う九つの輝きが見えた気がする。

「星虹(せいこう)の輝き……彼女たちの歌か」

 視線を再びアルカ・ネウロイへと向けた。

「ハーゲン、エリザベート、アビゲイル、ラーヴァ。小型ネウロイを撃破しつつ道を開くんだ!」

「琴村さん?りょ、了解です!いくぞ」

「OK」

「「はい!」」

「ベアト、コアを見つけ次第報告。ユースティアナは接近してコアを撃破を!」

「了解しました!」

「はい!」

 通信機越しに指示を出し、引き金を引く。

 指示通りにウィッチたちが小型のネウロイを撃破していく。

「見つけました。機首の左舷にコアを発見!」

「はい!」

「体借りるわよ!」

 ティアの声が響き、見開いた瞳が紅玉のような色彩に変化する。

 同時に固有魔法「魔力放出」の使用によって体が蒼白く発光していく。

「はああ!」

 高まった魔法力と機動力を活かして、接近し左舷の装甲を見つめる。

 銃から放たれた弾丸が装甲を抉り、露出した赤いコアを撃ち抜いた。

 コアが破壊されたことでホイールオブフェイトは白い粒子となって消滅する。

 同時に、空を舞っていた小型ネウロイも次々に消滅した。

「アルカ・ネウロイの消滅を確認!」

「やった!なんとか守りきれた」

「なんとかなったな……」

 膝から崩れ落ちるようにその場に倒れこむ。

 気が付けば歌も聞こえなくなっていた。

 

 

 目が覚めるとホテルの天井が目に入った。

 窓の外はすでに薄暗い空が広がっている。

「零治さん!」

「ユースティアナか」

「もう、心配したんですよ!戦闘後にすぐに倒れて」

「そうか」

「寝不足と疲労で倒れたって鈴木さんが」

 その説明で理解する。

 最近は出撃ごとの整備と修理であまり眠れていなかった。

 それに昨日から今朝までもストライカーユニットの修理をしている。

「もっと自分の体を労わってください」

「わかってるよ」

 ベッドから出て軽く体を伸ばす。

「まだ起きないほうが」

「WRの整備がある。それにアルカ・ネウロイを倒した以上、明日にはここを発つ必要がある」

「少しは休んでくださいよー」

 ユースティアナもそう言って後を追う。

 整備をしている中、彼女はこちらを静かに見つめていた。

「ユースティアナはリベリオンの街を見に行かないのか?」

「零治さんを1人にすると心配ですから」

「……すまないな」

「いえいえ」

「なら、整備が終わったら飯でも食いに行くか」

「はい!」

 彼女は満面の笑みを浮かべていた。

 数時間後、整備を終えた2人はリベリオンの街を訪れる。

 すでに日は沈んでおり、リベリオンの街はライトアップによって照らされていた。

「すごーい、綺麗だなー」

「……」

 ユースティアナを他所に考え込む。

 今回のアルカ・ネウロイは歌によってこちらの動きを阻害してきた。

 「歌う」という行為は、人間の行動によく似ている。

 元が人間であるアルカ・ネウロイは行動原理も変則的であり、人間らしいことをする可能性があるのではないかという話もあった。

 今回だけではない、ヨハンの剣を白刃取りして反撃するという流れも人間らしいといえばそうだ。

 だが、あまりに情報が少ない。

「零治さん!」

 彼女の声が自分を現実に引き戻す。

 気が付けば彼女はこちらの顔を覗き込むように見つめていた。

「どうした?」

「ぼーっとしてると危ないですよ!」

「悪い……少し考え事してた」

「そうだったんですか?ほら、あの店に行ってみましょう!」

 ユースティアナに連れられてリベリオンの街で食事を終えて、宿舎に戻る。

 ロビーには今戻ったのか、ナナリー・ロアノークの姿があった。

「あ、零治。ちょうどよかった。今あなたの部屋に行こうと思ってたの」

「どうした?」

「明日はブリタニアに戻らなくていいから、朝10時にこの場所に行きなさい。アサルトウィッチーズ全員を連れてね」

 そう言って1枚のメモ用紙を手渡す。

 香水に混じってアルコールの香りを感じる。

 メモ用紙には前と同じように住所情報が記載されていた。

「なにかあるのか?」

「行けばわかるわ。それじゃ」

「いったい何なんでしょうか?」

「まあ、明日は行ってみよう」

 2人とも自室に戻り、休むのだった。

 

 

 翌日、零治たちアサルトウィッチーズはメモの情報を頼りにリベリオンの街を進んでいた。

「どこに行くんです?」

「わからん。ここに行けとしか言われてないからな」

「でも、わざわざ日程をずらすってことは相当のことなんじゃないのか?」

 自分も直人と同じことを考えていた。

 ガリアに行ったときは戦闘翌日にはブリタニアに戻るように指示を受けた。

 今回もそうなると思っていたが、違ったのだ。

 しばらく歩くと広場のような場所に到着する。

 そこにはステージのようなものもあった。

「ここか」

「こんなところにきてどうするんだ?」

「さー?」

 ヨハンやクロエも周囲を見渡す。

「零治。時間通りね」

「琴村くん。待ってたよー」

「ナナリー?それにグレイスさんも」

 振り返ると2人の姿があった。

「こんなところに呼び出して呼び出してどうしたんだ?」

「昨日、琴村くんたちがリベリオンを守ってくれたんでしょ」

「それは……」

 思わず視線を逸らす。

 自分たちは特務の所属であり、いろいろと機密事項も多い。

 そのため昨日の戦闘のこともあまり他言できない。

「だから君たちに感謝の気持ちを伝えたいって人がいるの」

「感謝?」

「ほら」

 その言葉で視線をステージに向ける。

 見覚えのある顔があった。

 赤と黒の衣装に身を包む9人のウィッチ。

「あれって」

「連盟空軍魔法音楽隊ルミナスウィッチーズじゃん!生で初めて見た!」

「私も……」

 アビゲイルやソフィアも声を上げていた。

「私たち音楽隊は歌うことしかできません。だからリベリオンを守ってくれた皆さんに感謝の言葉を送りたいんです」

「アサルトウィッチーズの皆さん。昨日はリベリオンを守っていただきありがとうございました!」

 彼女たちは笑顔で感謝を述べていた。

「そして、私たちから皆さんに歌を送ります。聞いてください」

 ユースティアナやアビゲイルはファンなのか歌が始まるとルミナスウィッチーズの姿に目を輝かせていた。

 数曲の曲を歌い、ライブが終了する。

 アサルトウィッチーズのメンバーも興奮気味に感想を述べていた。

 するとヴァージニアの体が光る。

 モフィが融合を解除したのだ。

 そのままこちらの顔に飛びつく。

「あ、モフィ!」

「どわ!」

 思わず声を上げる。

「ぐぬぬ、離れろ!こいつ……」

 力任せに引きはがす。

 手の中には眠そうな顔をしたモフィがいる。

「あ……」

 そこでウィッチたちの視線がこちらに向けられていることに気づく。

 ナナリーや直人もやれやれとため息をついていた。

「やっぱりモフィ見えてるんですか!?」

 ヴァージニアがステージを降りて、こちらに視線を向ける。

「あ、いや。これは」

「え、でも彼ってウィッチじゃないじゃん?」

「でも、あれは完全に見えているのです」

「へー珍しい人もいるもんだね」

「言っている場合?」

「ハハハ。これは、もう隠せませんね……」

 ユースティアナも乾いた笑いを漏らしていた。

 しばらく説明することになったが、特異体質であることを伝えてなんとか納得してもらう。

「そうだ。こちらからも感謝させてください。戦闘中、皆さんの歌が聞こえました」

「届いてたんだ。私たちの歌」

「はい。あの歌がなければネウロイの進行を止めることはできなかった。リベリオンを守ることができたのは皆さんの歌のおかげです」

 感謝の言葉を聞いてルミナスウィッチーズの少女たちは少し照れたような顔を見せていた。

「これからも頑張ってください!応援してます!」

「こちらこそ、ルミナスウィッチーズを応援しています」

 ヴァージニアと握手を交わし、激励の言葉を送る。

 ウィッチたちも言葉を交わし、別れるのだった。

 




ちょこっと設定紹介
・アサルトキャラのルミナス推し
ユースティアナ・ローゼンクロイツ → エレオノール・ジョヴァンナ・ガション推し
ベアトリスフーバー → シルヴィ・カリエッロ推し
ヨハン・ゲオルーグ・ハーゲン → マリア・マグダレーネ・ディートリヒ
アビゲイル・ウィリアス → ジョアンナ・エリザベス・スタッフォード推し
クロエ・エリザベート → アイラ・ペイヴィッキ・リンナマー推し
ソフィア・レオニード・ラーヴァ → リュドミラ・アンドレエヴナ・ルスラノヴァ推し
琴村零治 → ヴァージニア・ロバートソン推し
鈴木直人 → 渋谷いのり推し
ナナリー・ロアノーク → マナイア・マタワウラ・ハト推し


ちなみにX.ホイールオブフェイト(運命の輪)とルミナスウィッチーズの登場には10(X)番のアルカ・ネウロイと10周年記念の作品であるルミナスウィッチーズが掛けてあります。
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