ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
今回で第18話になります。


第18話 アフリカの魔女

 昼下がり、特務統合強襲航空団(アサルトウィッチーズ)はリベリオンを発つ準備を進めていた。

「ストライカーユニットと武装も積んだし、弾薬も補給分は搬入済みだな」

 資料をチェックしていたヨハンが頷く。

「ヨハン。そっちの積み込み終わった?」

「ああ、問題ない。そういえば琴村さんと鈴木さんの姿が見えないがどこいったんだ?」

 搬入作業中に姿が見えなかった2人について質問する。

「2人ならルミナスウィッチーズのところ行ってるらしいよ。残った修理部品と機材の回収だって」

「それに、先日のライブ前は調整時間がなかったのでストライカーユニットの最終的な調整もやってくるって言ってました」

「修理しか頼まれてないのに律儀だよね。それくらい他の人に任せればいいのにね」

 ソフィアの説明にアビゲイルもつぶやく。

 一方、ルミナスウィッチーズの宿舎の軍の格納庫でストライカーユニットの最終調整をしていた零治は工具を置いた。

「よし、これで1度飛行してみてください。違和感や不具合があれば再調整しますので」

「ありがとうございます。みんなストライカーユニットを装着して飛行するぞ」

 アイラの指示で9人のウィッチたちが空へと飛翔していく。

「修理だけでなく、調整までしてもらっちゃって悪いね」

「気にしないでください。俺のほうこそ調整までしてる時間なくてすみませんでした」

 深々と頭を下げると、

「そんなことないって!たった1日で修理してくれただけですごく助かってるから」

 グレイスは咎めることもなく、感謝の言葉を述べる。

「そう言ってもらえると助かります」

 数分ほどでウィッチたちが格納庫前に着陸する。

「全員のストライカーに動作問題はないようです」

「そうですか。なら、俺たちはもう行きます。仲間を待たせるのも悪いですから」

 零治がトラックに乗り込むと、直人が窓を開ける。

「琴村さん!また私たちのライブ見に来てくださいね!」

「はい。今度はちゃんとチケット買って見に行きます」

 ヴァージニアの言葉に零治も笑みを浮かべ、返答する。

 トラックが前進して、彼女たちと別れた。

 後方ではこちらが見えなくなるまで彼女たちが手を振っていた。

 すると2人の耳に通信が入る。

「零治、直人。そっちは終わった?」

「ああ、今帰るところだ」

「なら、急いで。次のアルカ・ネウロイが見つかったって報告が入ったわ」

「「なに!?」」

 ナナリーの予想外の言葉に2人は思わず声を上げていた。

 

 

 トラックが格納庫に到着するとすでにナナリーとウィッチたちの姿があった。

 下車した2人が合流する。

「今戻りました」

「ナナリー。アルカ・ネウロイが見つかって本当か?」

「偵察チームが確認した場所は、エーゲ海近辺とアテネ上空。どちらも人型であることや出現場所からおそらく同個体だって判断しているわ」

「エーゲ海か……1度ブリタニアに戻って燃料を補給してから、行くことになりそうだな」

「Growの補給も必要だから、そうなるだろうな」

 直人もこちらの意見に同意している。

「それならあなたたちはすぐに移動しなさい。私は今回のネウロイについていろいろ対応しなくちゃならないからね」

「そうか。悪いな」

 今回のリベリオンでのアルカ・ネウロイ出現は予想外だった。

 これまで戦地から離れたリベリオンにはネウロイの出現がなかったが、今回は近辺に現れてしまったためその説明や対応を行う必要があるのだろう。

「それが私の仕事だからね。そう思うなら1日でも早くアルカ・ネウロイをすべて倒すことね」

 ナナリーはいつもとは異なる優しい笑みを浮かべていた。

「わかった。後の対応は任せる」

「お願いします。ロアノークさん」

「任せましたよ」

 ベアトや直人も頭を下げる。

「みんなそろそろ行こう。あまり時間がかかるとアルカ・ネウロイが別の地域に移動してしまうかもしれない」

「はい!」

 ウィッチたちもランカスターに乗り込むと、間もなくリベリオンを飛び発つのだった。

 ナナリーは飛び出すランカスターを見つめ続けていた。

 

 

 3日後、零治たちの乗るランカスターは軍のクレタ島基地に到着する。

 このクレタ島基地はエーゲ海に最も近い軍用基地である。

 そのため、自分たちアサルトウィッチーズもこの基地を拠点にすることになったのだ。

 格納庫に積んでいたストライカーユニットWRと銃火器を下ろす。

「なんだ、私たち以外にも今回の作戦に招集された部隊がいるのか」

「ん?」

 振り向くと長い金髪にカールスラントの制服に身を包む少女の姿がある。

 こちらを小馬鹿にしような発言に直人は少々不服そうな視線を向けていた。

「あの人」

「確か、アフリカの」

「ハンナ・ユスティーナ・マルセイユだな」

 アサルトウィッチーズのウィッチたちも彼女を見つめる。

「ユースティアナさんと名前が似てますね」

「本当ですね!」

「お2人とも言ってる場合ですか」

 2人にツッコむようにソフィアが呟く。

「どこ部隊なのかは知らないが、せいぜい足を引っ張らないことだな」

「っ!野郎……」

 そんな言葉にヨハンが一歩踏み出す。

 しかし、零治が手を伸ばし制止する。

「よせ。俺たちは表向きには知られていないんだ。ああ言われても仕方ない」

「でも!」

「仕方ないにしてもなんか悔しいよね」

 アビゲイルもいつもとは違う鋭い視線をハンナに向けていた。

「零治さん、そろそろ私たちも作戦会議室に向かった方が」

 時計を見つめていたベアトが意見すると、

「もう、そんな時間か。行こうみんな」

「はい!」

 零治達も作戦会議室へと赴く。

 室内には第31統合戦闘飛行隊「アフリカ」に所属する2人のウィッチが立っている。

 1人はさきほど顔を合わせたハンナ・ユスティーナ・マルセイユ大尉。

 もう1人はライーザ・ペットゲン少尉。

「やっぱりあんたらもこの作戦に参加するんだな」

「ティナ!」

「……」

 何も言わずに入室し、壁際に立つ。

 どうやら今回のアルカ・ネウロイ討伐は彼女たちとの合同作戦のようだ。

 こちらとしては一緒の戦闘経験のないウィッチとの合同作戦は避けたかったが。

「そろっているな」

 そう口にして入室したのは燃えるような赤い髪に眼鏡が特徴的な女性であった。

 名前はエディータ・ノイマン大佐。

 その場にいた者がすぐに敬礼する。

「今回の人型ネウロイ討伐には第31統合戦闘飛行隊アフリカと特務隊アサルトウィッチーズの合同作戦だ」

「特務隊……こいつらが」

 ハンナは驚きながら視線をこちらに向ける。

 どうやら彼女たちも特務の名は知っているようだ。

「先日、人型ネウロイに我々が攻撃を掛けたが、撃破には至らなかったので今回アサルトウィッチーズに支援要請しました」

 表向きは「支援要請」という話なのか。

 といっても実態はアルカ・ネウロイ逃走されてしまい探し出す手段がないために自分たちを呼んだのだろう。

 それに自分たちの他にアルカ・ネウロイを倒したという話は現在も聞いていないのだから。

「了解です」

「なお、本作戦の指揮は琴村さん。あなたに一任します」

「それって私たちもこの男の指示に従えってのか?」

 不服なのかハンナは強気に言い放つ。

「そうだ」

「納得いかないね!こんなどこの馬の骨とも知れない男の指示に従うなんて」

 彼女の言う言葉も一理ある。

 初めて会った相手の指揮で戦えと言われてすぐに納得できるウィッチは少ないだろう。

 ハンナのように多くの戦闘で戦果を挙げているウィッチならなおさらだ。

「だが、琴村さんは特務隊を指揮して、軍で最も多くの人型ネウロイと交戦し撃墜している」

 ノイマンは眉一つ動かさずに言い放つ。

「……指揮をするのは構いませんが、いいんですか?俺は中尉でマルセイユ大尉より階級も下ですが」

「中尉?もらった資料ではあなたは大尉になってますが?」

「え?」

 資料を受け取り、目を通す。

 確かに、名前と一緒に記載された階級は「大尉」になっている。

 それだけではない。

 ユースティアナやベアト、直人の階級もそれぞれ曹長、大尉、軍曹に上がっていたのだ。

「なんで……?」

「これまで10体以上もネウロイと交戦していますから、それで上がったのかもしれませんね」

「零治の場合、一度死にかけてるから2階級特進でもおかしくないと思うけどな」

「生きてるんだから特進しないだろ」

「そういう問題じゃないと思うんですが……」

 横から覗き込むユースティアナたちもそんな会話で納得したように頷く。

「こいつと私の階級が同じだと……」

「納得いかないか?」

 まあ自分のような者とウィッチの中でもエース級であるハンナが同じ階級だと言われれば納得しずらいのかもしれない。

「ぐぬぬ……」

「わかりました。私たちも琴村大尉の指揮で作戦に参加します。指示をお願いします」

 割って入るようにライーザが頭を下げたことでこちらも了承する。

「作戦の開始時刻は?」

「それが、目標をロストしてからまだ発見できていません。ですが、エーゲ海周辺に潜伏していると思われます」

「そうですか。ならエーゲ海周辺をウィッチに飛んでもらって、アテネには俺と直人でいくか」

「それが妥当だろうな」

 作戦を聞いた直人も頷く。

 こちらが作戦を決定すると、ノイマンも頷き部屋を後にする。

「さっきは指揮を取れと言われたのでああいいましたが。戦闘になれば自分の思うように動いてもらって構いませんよ。俺たちはベアトを司令塔にしてますが、基本的にこちらから何をしろとは言いませんから」

「あんた、それでも隊長なのかよ!」

「これでも隊長なんだよ、一応な」

 そう言い残し、零治とアサルトウィッチーズのメンバーも作戦会議室を出ていく。

「こんなので大丈夫かな……」

 ライーザはただ1人不安そうにしていた。

 作戦会議室を後にした零治たちは再び、格納庫に戻っていた。

「どうするんですか?敵はアルカ・ネウロイなんですよね、他のウィッチと協力するのは」

「流石に今回もレーダーの不具合ってのも不自然だろうしな。どうにか接近前に見つけ出して倒すしかない」

「そうなっちゃいますよね」

 ユースティアナも表情を曇らせる。

 おそらく彼女が気にしているのはアルカ・ネウロイの存在が知られる可能性についてだろう。

 確かにレーダーに反応しないアルカ・ネウロイが公になれば大問題になる。

 だからこそ、秘密裏に自分たち特務のアサルトウィッチーズが撃破任務を請け負っているのだ。

「今回、早期に発見できるかはティアと俺の感知にかかっている」

「はい」

「大丈夫ですよユースティアナさん」

「私たちも全力で手伝いますから」

 肩を掴み声をかけたのはクロエとソフィアであった。

「クロエさん、ラーヴァさん」

「そういえばエリザベートさんのことは名前呼びなんですね。私のこともソフィアって呼んでいいですよ」

「そうですか、じゃあソフィアさん」

「私もクロエでいいですから」

 3人は笑みを浮かべ、会話に花を咲かせていた。

 そんな様子を見つめる。

 すると、

「零治。細かい作戦練るからこい」

「わかったよ」

 直人に促され、零治たちも次なるアルカ・ネウロイ討伐のため格納庫内で作戦を練るのだった。




ちょこっと設定紹介
・アサルトウィッチーズの現在(第二章)の階級
ユースティアナ・ローゼンクロイツ 曹長
ベアトリス・フーバー 大尉
ヨハン・ゲオルーグ・ハーゲン 中尉
クロエ・エリザベート 少尉
アビゲイル・ウィリアス 中尉
ソフィア・レオニード・ラーヴァ 少尉
琴村零治 大尉
鈴木直人 軍曹

第二章時点でユースティアナ、ベアト、零治、直人の階級がそれぞれ上がっています。
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