ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ 作:UNIMITES
今回で第19話になります。
翌日、軍の格納庫ではアサルトウィッチーズのウィッチたちとハンナ、ライーザが出撃の準備を進めていた。
現在もアルカ・ネウロイは発見できていないものの、エーゲ海周辺にいると思われるためウィッチたちを飛行させることで見つけ出そうとしているのだ。
「では、作戦を伝えます。目標の人型ネウロイの撃墜が目的ですが、現在もロストしたままです。なのでこれよりウィッチ隊による周囲の捜索を始めます」
「捜索するのはいいが、発見後はすぐに戦闘していいんだろ?」
ハンナが鋭い視線をこちらに向けて発言する。
「マルセイユ大尉、いう通り発見次第戦闘に移ってください。人型ネウロイはコアが大型のネウロイに比べて小さく破壊が難しいのでその点も気を付けてください」
「ベアトの魔法は魔眼だから、コアの発見はそれほど難しくはないと思うがな」
「はい。コアは私の魔眼で見つけ出します」
「へぇ、扶桑以外のウィッチで魔眼持ちのウィッチなんて珍しいですね」
ライーザが興味深くベアトを見つめる。
「言われてみれば」
ユースティアナも視線を向けた。
あまり気にしたことはなかったが、固有魔法「魔眼」を持つウィッチはそのほとんどが扶桑のウィッチらしい。
そもそも彼女は「鷹ノ眼」と「魔眼」の2つの固有魔法を持っているのも他のウィッチとは異なっている。
「じゃあウィッチ隊は空からの探索をお願いします。俺たちはアテネの本土でネウロイを探索します」
零治と直人が船へと向かって行く。
「では、各自ストライカーユニットを装着して出撃準備を」
「はい!」
ベアトたちはGrowを投与すると、ハンナたちと共に空へと飛翔していく。
飛行を始めて1時間ほど経った頃、ウィッチたちはエーゲ海上空まで到着していた。
「そろそろ、先日私たちが交戦した辺りだ」
「でも周りには何もいないぞ」
「だねー」
ハンナの言葉にヨハンもアビゲイルも周囲を見つめる。
しかし、アルカ・ネウロイどころか通常のネウロイの姿すらなかった。
「ユースティアナさん。周囲に反応はありますか?」
ベアトが質問すると、
「今のところ周囲にアルカ・ネウロイの反応はないわ」
「うーん。何も感じないですね」
ティアも周囲にはアルカ・ネウロイの反応は感じていなかった。
「一旦、二手に別れましょうか?探すなら捜索範囲を広げるべきですし」
「うーん。その方がいいかもしれませんね。零治さん、二手に分かれてネウロイを探そうと思うんですが」
インカム型通信機から声が響く。
「そうか……それなら」
零治も少し考え込む。
その後再び通信を送る。
「では、振り分けはこれでいきます」
ベアトリスとヨハン、アビゲイル、ライーザのAチーム。
ユースティアナ、クロエ、ソフィア、ハンナのBチーム。
それぞれ4人ずつの2つに分かれる。
「なんで私とライーザが別動隊なんだ?」
「別に深い意味はないです。マルセイユ大尉の腕を信頼しているんですよ。3人を任せても戦えるエースであると」
「ふん、当然だ!私はエースだからな!」
ハンナは胸を張り、強気に言い放つ。
「ペットゲン少尉もベアトたちとの協力をお願いします」
「はい」
通信機越しにライーザも返事をする。
「ユースティアナさん、敵を感知出来たら私たちにも通信を」
「はい」
「では、各機散開してください」
「了解!」
それぞれのチームが別れ、空を舞う。
「マルセイユさーん。待ってくださーい」
前方を飛行するハンナに思わず声を上げた。
「遅いぞお前ら。さっさとネウロイを道け出す必要があるんだからもたもたするな」
相変わらず鋭い視線を向ける彼女にユースティアナは思わずしり込みする。
「なによ、あいつ。エースだか何だか知らないけど、私たちだってこれまでネウロイを倒してきたウィッチなのよ」
「ティア。そんな喧嘩越しじゃダメだって」
「ユースだって私とネウロイを倒してるんだからあんな女にひるまなくていいのよ!」
「そんなこと言われてもー」
こちらも敵意丸出しと言わんばかりのティアに思わずため息をつく。
「ユースティアナさんどうかしました?」
「アルカ・ネウロイの反応でも感じたんですか?」
「いえ」
「おい。遅いぞなにして……ん?」
そう口にして、ハンナは遠くを見つめる。
視線の先はネウロイが、それも作戦会議で話していた人型ではなく飛行艇の形状をした大型のネウロイであった。
「おい、あれ見ろ」
「あれってネウロイ?でも人型じゃないですね」
「体に文字は確認できません。おそらく目標とは別個体と思われます」
クロエも目を凝らして見つめる。
その体にはアルカ・ネウロイ特有の文字が確認できなかったのだ。
「別個体が出てくるなんて聞いてないぞ。戦闘準備!」
「は、はい!」
ハンナの声にユースティアナたちも返事をすると散開する。
「こちらユースティアナ、ネウロイと交戦になりました。人型ではないため目標とは異なる個体です!」
「そっちにネウロイか」
「私たちもすぐ合流します!」
通信を受けて、ベアトたち別動隊も方向転換する。
「ふん、遅いな」
ハンナは笑みを浮かべ、攻撃を回避した。
続けて「M34」の銃口を向けると引き金を引く。
放たれた銃弾は1発も外れることなく敵ネウロイに命中する。
「すごい」
「さすがエースと呼ばれるウィッチですね」
「私たちがいなくても1人で倒しちゃうんじゃ」
思わずそんな言葉を漏らす。
ユースティアナたちもハンナの戦いを見て、驚いていた。
彼女は的確に攻撃を回避して、正確な射撃で敵ネウロイにダメージを与えている。
すると攻撃を受けていた肌から赤いコアが露出する。
「お!コア発見。このまま押し切る!」
再び放たれるビームをすべて回避し、ネウロイに接近すると銃を構えた。
甲高い発砲音と共に銃弾がコアを撃ち抜く。
瞬時にネウロイの体が白く発光し光の粒子となって消滅する。
「撃破完了」
ハンナが銃を下ろし、その金髪を風に靡かせる。
「綺麗ですね」
「はい」
光の粒子が霧散する空で停滞する彼女の姿は3人とも見とれていた。
「お前ら、少しくらい援護したらどうなんだ?」
「す、すみません」
「まあ、私くらいになると1人でも十分戦えるんだけどな」
勝ち誇ったような表情を浮かべていた。
アテネに向かっていた零治と直人も到着し、地面を踏みしめる。
「ここがアテネか」
「俺も初めてきたな」
2人ともアテネに来たのが初めてだったため周囲を見つめた。
ギリシアの首都であるこの地でも先日アルカ・ネウロイが発見されたのだ。
「なんだ君たちはアテネは初めてかね?」
そう声をかけたのはここまで案内してくれたクレタ島基地の軍人、ユリウス・グラハムである。
彼もウィッチのストライカー整備を担当する整備兵なのだ。
「扶桑とブリタニアは長かったですし、今回は任務で来たので」
「そうか。先日上空で発見されたネウロイかね?」
「はい。俺たちはそのためにクレタ基地に派遣されましたから」
自分たちは先日発見された人型のネウロイ、正確にはアルカ・ネウロイを撃破するためここに派遣されたのだ。
「大変だな、わざわざこっちまで来るの大変だっただろ。俺はロマーニャ出身だから軍人になってからはずっとこのクレタ基地にいるんだ」
「グラハムさんもその若さで軍人なんて珍しいですね。ウィッチでもないのに」
「さん付けじゃなくてもいいぞ、同い年だろ。まあ、俺の場合、家が貧乏だったから軍人になるしかなかった。それに今はこの仕事でよかったとも思ってるしな、おふくろも生活が安定して喜んでる」
「そう、か……いいな、そういうの」
ユリウスの言葉が少しうらやましかった。
自分にはすでに母も父もいない。
どちらもすでにこの世を去っているのだ。
「それはそうと君たちは最近までリベリオンに居たんだろ?ルミナスウィッチーズにあったのかね!?」
「え?あ、あったな。彼女たちのストライカーの修理や整備もやった」
「なんだよそれ?うらやましい、俺なんてラジオやレコードでしか歌聞いたことねーんだぞ!ライブにも行けてないし!」
ユリウスは思わず声を上げると、
「てか、グラハムはルミナスのファンだったのかよ」
直人がツッコミを入れた。
「当たり前だ!俺はミラーシャさんのストライカーを整備するのが夢なのだ」
「なに言ってんだ、こいつ……」
再び直人がため息交じりにつぶやく。
「まずはネウロイを倒して、生き残るのが先だ。死んだらその夢も叶わないからな」
「ああ」
「だな。零治、反応はあるか?」
「いや、感じない。ユースティアナたちもさっきは通常のネウロイと交戦したって言ってたし、こっちにいると思ったんだがな」
少し考え込むように顎に手を当てる。
現在もこちらで反応がないのならば、おそらくアテネの周辺にアルカ・ネウロイはいない可能性が高い。
ならばエーゲ海のどこかに潜んでいるのかもしれない。
「いったいどこにいるんだ……」
空を見つめそう口にするのだった。
一方、ネウロイと交戦を終えたユースティアナたちも再びエーゲ海上空の移動を開始していた。
「どこにいるんだ、人型のネウロイ」
ハンナは周囲を注意深く見つめる。
「確かに見つかりませんね」
「見晴らしがいいので簡単に見つかると思ったのですが」
クロエたちも思わず音を上げ始める。
そんな時だった。
「……ユース、アルカ・ネウロイが近いわ」
「へ?」
「南の方角で……下よ」
ティアの言葉で振り返り視線を落とす。
まだ距離が開いているものの、確かに海上を進む人型ネウロイの姿を確認する。
「あそこに人型ネウロイが!」
「何!?」
その声でウィッチたちが視線を落とした。
見つめる先に確かに人型ネウロイを確認する。
「見つけたぞ、ネウロイ!」
「マルセイユさん、待って!」
ハンナが先ほどと同様に真っ先にネウロイへと接近していく。
ユースティアナたちが声を上げるが、彼女は止まることはない。
「ユース何やってんのよ!私たちも行くのよ!」
「う、うん。クロエさんとソフィアさんは援護をお願いします。私がマルセイユさんとネウロイを引きつけます」
「うん」
「任せてください」
3人も銃を握りなおすと、ネウロイへと攻撃を開始する。
「頬にⅪの文字がある。やっぱりアルカ・ネウロイだ」
「えっとⅪは確か、ジャスティス(正義)ね」
戦闘の中、ユースティアナがつぶやく。
ハンナは舌打ちして、苛立った表情を浮かべていた。
「思ったよりスピードがあるな。少し補正が必要か」
彼女の固有魔法「偏差射撃」だ。
銃弾の発射から着弾までの時間で目標がどう動くかを予測し、正確に命中させることができるのだ。
「よし、これで」
再び銃を構える。
するとジャスティスは急速旋回しハンナとの距離を数秒で一気に詰めた。
「なに!?」
シールドを展開するが、同時にジャスティスの猛攻が始まる。
次々に発射されるビームに表情を歪ませた。
「くっそ!こいつ!」
「……射程距離、狙い撃ちます」
発砲音と共にジャスティスの右肩から腰にかけて弾丸が貫通する。
「——っ!」
悲鳴ような声を上げ、無差別にビームを放つ。
「マルセイユさん、一旦離れてください!」
「援護感謝する……」
4人が距離を取ると、
「——っ!」
再び悲鳴のような声を上げ、ジャスティスの体が発光する。
眩い光に思わず腕で顔を覆う。
「今度はなんだ!?」
「あれは形状変化です!おそらく人型から大型に変身しています!」
光が収まるとジャスティスの形状は人型から大型の飛行艇へと変化する。
まるでブーメランのような薄い曲線型の形状が特徴的だった。
「本当に姿が変わった……」
「マルセイユ大尉聞こえますか?」
「琴村大尉か?」
通信機から零治の声が響く。
「交戦中のネウロイのコアは人型のときと同じ大きさのままです。ベアトなしではコアを見つけ出すのは少々厳しいですがユースティアナたちと協力してネウロイを倒してください」
「ああ、任せろ。私のウィッチとしての実力見せてやる!」
ハンナは笑みを浮かべ、ジャスティスを見つめるのだった。
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