ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ 作:UNIMITES
第21話となります。
アルカ・ネウロイであるコードネームジャスティス(正義)との戦闘を終えて、クレタ島基地を発った零治たちがブリタニアに到着してすでに2週間が過ぎていた。
「最近、またアルカ・ネウロイが現れなくなりましたね」
「ですね。戦闘がないってのはいいことではあるんですが」
哨戒任務に出ていたユースティアナとソフィアは思わずつぶやいていた。
通常のネウロイと異なるアルカ・ネウロイの出現を感じることができるのはユースティアナと零治だけである。
しかし、ここ数日はまったく反応を感じることがない。
通常のネウロイですらブリタニア周辺には表れていなかったのだ。
「でも、アルカ・ネウロイはいつ現れるかわかりません」
「うん。はやくすべてのアルカ・ネウロイ倒しましょう」
「はい!」
2人は速度を上げ、哨戒任務を続けるのだった。
同じころ隊長室で零治たちは書類整理を行っていた。
直人やベアトの姿もあり3人で作業を進めている。
「よし、終わりっと」
「こっちも終了しました」
2人が整理を終えた書類を机に置く。
「ほら」
「サンキュー。2人は戻っていいぞ」
「まだあるじゃねーか」
「これは俺が全部やっておくから2人はゆっくりしてていいよ。最近通常のネウロイどころかアルカ・ネウロイも出現してないし」
そう口にして再びペンを書類に走らせる。
「あんまり頑張りすぎるなよ」
「ああ。わかってるって」
「では、今日のお昼は零治さんの好物のカレーにしますね」
「楽しみにしてるよ」
2人が部屋を後にすると零治は再び1人でペンを走らせる。
1時間ほど経過し室内は静寂に包まれていた。
そんな静寂を打ち破るように机に置かれた電話が鳴る。
「はい。アサルトウィッチーズの琴村です」
「零治。私よ」
「ナナリーか」
声でその電話相手の正体を理解する
電話の相手は、零治や直人たちの上官に当たる女性であるナナリー・ロアノークであった。
「またアルカ・ネウロイが発見されたわ」
「確認された場所は?」
「オラーシャ帝国のペテルブルグよ」
「ペテルブルグ……?」
その名を聞いて思わず名前を復唱する。
オラーシャ帝国の地域の名前であった。
「もしかして、連日の最低気温と関係があるのか?」
思い出したようにそう口にした。
つい先日、直人が読んでいた新聞にペテルブルグで最低気温を更新しているという内容が記載されていたのだ。
それに周辺ではネウロイが発見されているという話もあったはずだ。
「よく知っているわね。そう連日の寒波はそのアルカ・ネウロイが影響らしいのよ」
「冷気を操るネウロイか……わかった。すぐに行けるように準備する」
「頼んだわよ」
「ああ」
零治そう口にして窓の外を見つめていた。
今朝のストライカー整備を終えた零治が食堂の入り口を通る。
室内には6人のウィッチと直人の姿があった。
「全員そろっているな」
「どうかしたんですか?零治さん」
ユースティアナが首を傾げて、問いかける。
「昨日、ナナリーから次のアルカ・ネウロイ出現場所の連絡が入った」
「場所は?」
「オラーシャ帝国のペテルブルグだ。どうやら連日の寒波はそのアルカ・ネウロイが原因らしい」
昨日ナナリーから通信のあった内容を口にする。
「ペテルブルグかー。あの辺は行ったことないな」
「僕も初めてだな。ラーヴァはどう?」
「私は生まれがペテルブルグなので」
「そっか」
アビゲイルが納得したように首を縦に振った。
「話を続けるぞ。連続で悪いが今回もペテルブルグに趣き、戦闘することになる」
「何言っているんですか。私たちはアルカ・ネウロイの討伐用に編制された部隊じゃないですか!」
「ユースティアナさんの言う通りです。そんなこと言わなくても私たちは戦います」
ユースティアナとベアトがこちらを見つめる。
「わざわざ、下手に出る必要なんてないぞ零治。隊長のお前はどんと構えておけ」
「鈴木さん、いいこと言いますね」
「うんうん!」
ヨハンとアビゲイルも頷いていた。
「ありがとう、みんな。では明日の早朝にペテルブルグへと向かう、各自準備を」
「はい!」
ウィッチたちは敬礼をして、声を上げた。
翌朝、零治たちの乗るランカスターが飛び立つ。
「また長い飛行になりそうだな」
運転席に座っていた零治が後方で会話に花を咲かせるウィッチを見つめる。
「アルカ・ネウロイを全滅させるまで各地を飛び回る覚悟はしてたろ?」
「そうだったな」
「それで、オラーシャに行くにしても今回はどこの基地に世話になるんだ?」
「ナナリーは第502統合戦闘航空団基地に行けと言っていた。話はつけてくれているようだ」
地図を開き視線を落とす。
第502統合戦闘航空団(ブレイブウィッチーズ)はオラーシャ帝国のペテルブルグに基地を置き、オラーシャとスオムスを結ぶネウロイの進撃路をおさえる東部戦線の反攻部隊である。
ペテルブルグ周辺に出現したネウロイを倒し、オラーシャ帝国を守っているのだ。
「第502か、扶桑のウィッチもいるって聞いたな。確か雁淵……孝美さんだったか?」
「いや、今は孝美さんじゃなくて雁淵ひかりって子が所属しているはずだ」
「同じ苗字ってことは姉妹か?」
「ああ。今は妹のひかり軍曹だな」
お互いにブレイブウィッチーズに所属するウィッチの話を始める。
「といっても、俺たちは会うの初めてだろ?」
「孝美さんなら顔くらいは合わせたことがあるが、妹さんのほうはさすがにな」
「まあ、お互いに知らないんじゃしかたねーな。零治航路の案内頼む」
「まかせろ。今はこのまま直進だ」
零治が航路を案内し、直人がランカスターの操縦をするのだった。
数日後ランカスターはオラーシャ帝国の周辺を飛行していた。
「あれがオラーシャ帝国のペテルブルグですか」
「懐かしいな。私も戻ってきたの数年ぶりだから」
「ウィッチなるとなかなか帰国する機会がないですからね」
後方からユースティアナやクロエの声が耳に入る。
「直人。そろそろオラーシャ側のウィッチもこっちの存在を確認しているはずだ。いつも通りウィッチの指示に従ってくれ」
「おう」
こちらの指示に頷いていた直人が操縦桿を動かす。
数分もせずにストライカーを装着したウィッチがランカスター周辺を飛行する。
「こちらブリタニア基地所属の琴村零治です。誘導をお願いします」
こちらの通信を聞いてオラーシャ帝国のウィッチも誘導を開始した。
オラーシャ帝国の地にランカスターが着陸する。
ここはオラーシャ帝国のノヴォホルモゴルイである。
そして零治が地に足を突いた時だった。
「さむ……」
「おい、寒すぎだろ……」
その寒波に零治と直人が思わず体を震わせる。
この時期のペテルブルグの気温が低いことは知っていたが、ここまで寒いのは予想外であった。
「うう、寒くないですか?」
「確かにすごい寒波ですね」
「最低気温更新してますからね」
ユースティアナたちもこの気温には慣れていないのか、各々が体を震わせていた。
「特務隊の琴村隊長ですね」
「はい」
「この補給物資を第502統合戦闘航空団基地まで運んでほしいんです」
「は、はあ……」
男はそう言ってコンテナを指さすとこちらに手紙を手渡す。
そこにはベアトの字で文字がつづられている。
「第502統合戦闘航空団基地の使用許可をもらっているものの、基地まで補給物資の運搬を依頼されたので対応を。ナナリー・ロアノーク」
わざわざ判まで押している手紙を直人も横から覗く。
「補給物資の運搬って俺たちは運び屋じゃないんだぞ」
「仕方ないだろ。直人、悪いがトラックの運転頼む。ベアトたちはストライカーを履いて第502統合戦闘航空団の基地に行ってくれ」
「了解です」
ベアトたちはGrowを投与してストライカーユニットWRを装着すると、空を飛行していく。
「俺たちもいくぞ」
「行こう」
2人の乗るトラックも第502統合戦闘航空団の基地へと向けて走り出す。
しばらくして基地の前に到着する。
軍の格納庫にトラックを止めて、周囲を見回す。
固定装置に設置されたストライカーユニットが並べられていた。
その中には先ほど先に向かったユースティアナたちのストライカーも確認できる。
「出迎えはなしか」
「出迎えが欲しかったのか?」
「別に」
直人も車のキーを引き抜くと降りた。
そんな時だった。
ストライカーの飛行音と共にウィッチが格納庫内に侵入する。
「あれ?」
「あの、あなたたちは?」
扶桑とスオムスの軍服に身を包む少女であった。
おそらく哨戒任務にでも出ていたのだろう。
「ここのウィッチか」
「俺たちは、今日からこの部隊に派遣された特務隊の者です」
「派遣?」
「ひかり、サーシャさんが言ってたじゃん。近々ウチに派遣部隊がくるって」
「あ、そうでした!」
説明を聞いて扶桑のウィッチが納得したようにこちらを見つめる。
「その制服、扶桑のものですよね?扶桑から来たんですか?」
「いや、俺たちはブリタニアの基地で活動している部隊です。一度この基地の隊長と話をしたいのですが」
「ああ、それなら案内するよ」
「助かります。えっと……」
「私はニッカ・エドワーディン・カタヤイネンって言います。二パでいいよ」
「私は雁淵ひかりです」
基地内を進み、2人が自己紹介をする。
「特務統合強襲航空団の隊長、琴村零治です」
「同じく隊長補佐、鈴木直人だ」
「特務?初めて聞く名前だな……って琴村さん隊長なの?」
「はい」
「珍しいですね。どこの部隊も隊長はウィッチが担当してるって聞きますから」
ひかりとニッカは興味深そうに零治を見つめる。
「まあ、珍しいかもしれませんね」
「あ、ここが隊長室です」
隊長室のドアをノックし「雁淵です」と口にする。
すると、
「入れ」
室内から声が響く。
「失礼します。特務の方をお連れしました」
隊長室に入るとユースティアナたち6人のウィッチと第502統合戦闘航空団の隊長であるグンドュラ・ラル少佐、エディータ・ロスマン曹長の顔を確認する。
「ありがとう雁淵、二パ。戻っていいぞ」
「はい!」
「私たちはこれで」
敬礼をして、2人が部屋を後にする。
「本日から派遣された特務統合強襲航空団の琴村零治です」
「同じく、鈴木直人です」
「待っていましたよ、琴村隊長。そしてようこそ、ペテルブルグへ」
ラルは不敵に笑みを浮かべていた。
「状況を聞いてもよろしいでしょうか?」
「ちょうど1か月ほど前から、ここペテルブルグで記録的な寒波を確認したのがはじまりです。それから何度も寒波を観測し、最低気温も更新していました。そして、同時期に周辺の空域で人型のネウロイを確認したとも」
こちらの質問にロスマンが返答する。
「人型のネウロイ……」
おそらく、人型ネウロイと言うのはアルカ・ネウロイの事であろう。
「琴村隊長。あなた方には我々と協力し、そのネウロイを倒してほしいのです」
「どうやら、そのネウロイは特殊なステルス性を持つのか、レーダーにも反応しないようなので……」
レーダーに反応しないということはやはりアルカ・ネウロイだ。
ペテルブルグ内の寒波の原因もそれであるのなら、やはり早期に撃破する必要がある。
この絶対極寒戦線を終わらせるためにも
「了解です。俺たちはそのためにこの基地に配属されたのですから」
零治も敬礼して返答するのだった。
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