ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
第22話となります。


第22話 凍てつく皇帝

 ペテルブルグに到着したアサルトウィッチーズは第502統合戦闘航空団の基地を訪れていた。

 ユースティアナたちウィッチはすでに退室し、室内には零治やラルたちの姿だけがある。

「ラル少佐、ナナリーに言われて補給物資持って来たんですが」

「本当か?それは助かる」

「ウチは前線なのに補給が少ないのでありがたいです」

 ラルとロスマンが思わずそんなことをつぶやく。

「なんかウチと似てますね。俺たちも補給は少ないし、いつも物資はギリギリだったから」

「確かにな」

 零治や直人がそう口にした時だった、隊長室の扉が勢いよく開け放たれる。

「隊長!ウチに補給物資が届いてます!今日は補給の予定なんてなかったはずですが!」

 入室したのはアレクサンドラ・イワーノブナ・ポクルイーシキン。

 通称サーシャである。

「「ん?」」

「え?あの隊長。こちらの方は?」

「本日からウチの基地に支援部隊としてきてもらったた特務隊アサルトウィッチーズの隊長琴村さんと補佐の鈴木さんだ」

「どうも」

 紹介されこちらが頭を下げる。

「はい……こちらこそよろしくお願いいたします」

 サーシャも頭を下げると、再びラルを見つめた。

「それより補給物資が!」

「それは琴村さんたちが届けてくださったんです」

「本当ですか!助かります、うちにはなかなか補給物資が来なくて……それにストライカーを壊してしまう方も多くて」

 サーシャは涙目でこちらを見つめる。

「ストライカーって、そんなに壊れるんですか?」

「はい。ウチのウィッチには不幸体質の子がいて……」

 そう口にして、二パ達のことを思い出していた。

「なら、修理は手伝いましょうか?俺、ストライカーの整備兵もしているんで修理や整備もできますから」

「おい、零治……」

 そんな話を聞いていた直人が肩を掴む。

「目的を忘れるなよ」

「分かってるって」

「隊長で整備兵もしているとは珍しいですね」

「まあ、本職は整備兵や兵器開発なので……それはそうと人型ネウロイの情報を共有していただいても?」

「ああ」

 ラルがうなずくと視線をロスマンに向ける。

 彼女もアイコンタクトに気づき、頷く。

「では、作成会議室に行きましょう。部隊の方々も一緒の方がいいと思うので」

「はい」

 ロスマンの案内で作戦会議室へと赴く。

 数分後、作戦会議室にはアサルトウィッチーズの8名の他に、さきほど顔を合わせたひかり、ニッカ、サーシャの他にも4人のウィッチの姿がある。

「みなさん。今回の特殊な人型ネウロイ討伐のために支援部隊としてきた特務隊アサルトウィッチーの方です」

「特務隊?」

「はじめて聞く名前ですね」

「でも、どの子もかわいいね」

 ロスマンの説明に各々のウィッチがそんな言葉を口にする。

「特務統合強襲航空団アサルトウィッチーズの琴村零治です。今回は人型ネウロイの討伐のため派遣されました」

「琴村さんは軍で最も多くの人型ネウロイの討伐指揮を取っているんです」

「指揮を取っているといっても、討伐しているのは彼女たちウィッチですよ」

「そんなことありません、私たちは零治さんが必要です!」

「そうですよ零治さん」

 零治が呟くとユースティアナやベアトが声を上げた。

「ずいぶん信頼されてますね」

「まあ、いろいろありましたから」

 自分たちアサルトウィッチーズが結成された時のことを思い出していた。

「では、説明を続けます。人型ネウロイの討伐には私たち502統合戦闘航空団と特務隊アサルトウィッチーズが協力しての作戦となります」

 再びロスマンが説明を始める。

「でも、これまで私たちが数回交戦しましたが撃破できなかったですよ?それにあのネウロイはレーダーが反応しないから出現時の対応が難しいし」

「それなら問題ない。彼女は特殊個体であってもネウロイを感知できるウィッチだ」

「は、はい。私ならそのネウロイでも感知できるはずです」

 零治の紹介に合わせて、ユースティアナが頷く。

 自分が特異体質でネウロイを感知できるというのは不自然さを残すことになる。

 ユースティアナのようなウィッチが感知できるという説明の方が色々と都合がいい。

 そのため、今回からこのような説明をすることとなったのだ。

「すごいですね。そんなウィッチがいたなんて」

 サーシャは感心するように見つめる。

「珍しいって、よく言われます……」

「それはそうと次の戦闘での対応ウィッチはどうしますか?」

「そうですね……琴村さんたちはどのウィッチを?」

「こちらはハーゲンとウィリアス、あとはベアトかユースティアナを出撃メンバーにしたいと考えています」

 今回のアルカ・ネウロイは冷気を操るという特徴は持つものの、行動などは通常のネウロイとは変わらないと聞いている。

 そのため、臨機応変に対応できるヨハン、その相棒であるアビゲイル。そして魔眼を持つベアトまたはアルカ・ネウロイを感知できるウィッチのユースティアナを出撃メンバーに選出するという結果になったのだ。

「こちらはその日の哨戒任務に出るウィッチが対応することになると思いますね」

「了解です」

「人型のネウロイの情報を共有します」

 ロスマンはこちらに説明を始めるのだった。

「……以上がこちらが掴んでいる情報になります」

 1時間ほど時間が経過した頃、情報の共有も完了していた。

「ありがとうございます。こちらでも準備はしておきます」

「そうだ。医務室の場所を聞いてもいいですか?」

 そう口にしたのは直人であった。

「医務室ですか?怪我でもされているんですか?」

「いえ、俺は衛生兵なんでこの基地の医務室を見ておきたいと思いまして」

「そうだったんですか」

「それなら私とジョゼが案内しましょうか?」

 手を上げていたのは扶桑の軍服に身を包む少女とガリアの軍服に身を包む少女である。 

「では、下原さん、ジョゼさんお願いします」

「はい。行くよジョゼ」

「うん」

 下原とジョゼと呼ばれた少女に連れられ直人は作成会議室を後にする。

「琴村さん。届けていただいた補給物資を確認したいので、手伝っていただいても?」

「構いませんよ。ユースティアナ、一緒に来てくれ」

「了解です」

 その言葉にこちらが頷く。

「ひかりさんと二パさんも手伝いをお願いします」

「「はい!」」

 零治たちも作戦会議室を出ていく。

 再び軍の格納庫に戻ってくる。

 格納庫内は暖房の効いている室内とは異なり寒さを感じずにはいられない室温であった。

「ウィッチはストライカーつけるために足回りは薄着が多いけど寒くないのか?」

「寒いですよ……」

「すっごく寒いです」

 ユースティアナとひかりが身震いして返答する。

「まあ、扶桑やブリタニアの服装は結構寒いかもね」

「私や二パさんはこちらの気候に合わせたものなので、多少は防寒ですから」

 二パやサーシャの言葉で納得したように頷く。

 確かにオラーシャやスオムスは気候的に寒い地域が多い。

 そのためか、軍服も寒気に合わせたものだった。

 それに比べて扶桑やブリタニアの軍服はあまり寒気には強くなさそうだ。

 特に下半身回りが。

「じゃあ、コンテナを下ろします」

「はい」

 トラックに積んでいた3つのコンテナを下ろす。

 蓋を開き、中身を確認する。

「お、食料じゃん!」

「味噌ですね、これ。でも、なんで扶桑のものまで?」

 食料品のコンテナを覗いていたひかりが首を傾げる。

 そんな様子を見ていた零治が振り返り、声を上げた。

「それ、ナナリーが入れたものだな。俺たちみたいな軍人はなかなか扶桑には帰れないから、補給物資に入れたんだろ。これだけ寒いと味噌汁が体に染み渡りそうだ」

「ですね!味噌汁なんて、しばらく飲んでませんから」

 そう口にすると彼女は目を輝かせていた。

「こっちは武器、弾薬……それにストライカーの部品ですね」

「こちらには薬や包帯が入ってます」

 それぞれのコンテナを確認していたユースティアナとサーシャが呟いていた。

「俺たちがいつも受けている補給品と内容自体は同じだな。量は半分くらいだが」

 これだけの物資をよくもかき集められたものだ。

 軍でもそれなりに偉いとはいえ、ナナリーには驚かされる。

 直人やベアトと出会うきっかけを作ったのも彼女だったからだ。

「これだけ物資があればしばらくは持ちそうですね。ありがとうございます琴村さん、ローゼンクロイツさん」

「いえ、こちらこそ基地の世話になってるんですから」

「そうですよ。それにあのネウロイを倒さなきゃいけませんから」

 ユースティアナも笑みを浮かべる。

「あの特殊なネウロイってなんなんでしょうか?レーダーでも探知できないみたいですし」

「さあな。詳しいことはしらない。だが、俺は……いや、俺たちは人型のネウロイにとことん縁があるみたいでな、気が付けば軍で最も多くの人型を撃墜しているらしい」

 人型の形状をしたネウロイというのは何もアルカ・ネウロイだけではない。

 人型ネウロイは自然に出現する場合もあるが、原種としてはアルカ・ネウロイだ。発見されたそれらは大半を撃墜したウィッチはベアトであり、その指揮をしていたのは自分だった。

 その結果、今のような呼ばれ方をするようになったのだ。

 そして今はアルカ・ネウロイ討伐のため特務隊として行動している。

「ああ、隊長もそれ言ってましたね。でも、それだけ戦果をあげているから特務隊なんて呼ばれているんですか?」

「いや、特務隊アサルトウィッチーズは俺が作った部隊だ。少数のウィッチ隊で各地での支援要請に答応じて戦闘するような部隊だな。支援要請がない時はブリタニアにいるがな」

「聞けば聞くほど珍しい話ですね」

 二パは納得したように首を縦に振っていた。

「ひかりさんと琴村さんは食料品を、二パさんとローゼンクロイツさんは薬品をそれぞれ運んでください。私はここでストライカーの整備をします。案内はお二人に任せますので」

「了解しました」

「零治さんいいんですか?」

「まあ、大丈夫だろ。通信は開けておくから気づいたら知らせてくれ。俺からも通信はするようにするが」

「はい!」

 二人はインカムをそれぞれ耳に装着し、その場を後にする。

 ひかりに案内され零治は廊下を進む。

「琴村さんって扶桑の人ですよね?どこに住んでいたんですか?」

「生まれは横須賀だな。物心着く前にガリアやリベリオンと国々を転々としたが、親が亡くなってからはブリタニアで生活していたな」

「ごめんなさい。嫌なこと思い出させちゃったですか?」

 彼女は申し訳なさそうに謝罪する。

「気にするな。雁淵さんは佐世保でしたっけ?」

「はい。でも、どうして知っているんですか?」

「雁淵孝美さんとは何度か話したことがあるので」

「お姉ちゃんとですか!?そっか……お姉ちゃん元気にしているかな?」

 ひかりは思い出したように口にする。

「あ、ここが食堂です」

「ウチの基地とあまり変わらないですね」

 食料品をテーブルに置き周囲を見渡す。

 そんな時だった。

「っ!」

 いつもと同様にコアの反応を感知し、思わず振り返る。

「どうかしたんですか?」

 ひかりが思わず質問をする。

 同時刻、薬品を運んでいたユースティアナの中に眠っていたティアが目を覚ましていた。

「ユース、アルカ・ネウロイよ!」

「え?……わかった」

「ローゼンクロイツさん?」

「ローゼンクロイツ?もしかしてネウロイか?」

「はい!零治さん、ネウロイを感知しました」

 直人の質問に返答し、通信を送る。

「ネウロイが出たようです。ハーゲン、ウィリアス、格納庫に来てくれ」

「了解しました」

 通信を終えると零治たちは格納庫へと向かう。

 格納庫に到着するとヨハンたちの顔を確認する。

 同時に直人やユースティアナたちが到着した。

「ほら」

 Growを受け取り、ヨハンとアビゲイルが首元に注射器を当てると薬品を投与する。

「頼んだぞ」

「任せてください」

「いくよ!」

「はい!」

 ユースティアナたち3人はストライカーユニットWRを装着し、格納庫から出ていく。

「ひかりさん、二パさんは出撃を」

「はい」

 ひかりたちもストライカーユニットを装着し同じように格納庫を出る。

 空を飛行する5人のウィッチはその気温に思わず表情を歪めた。

「さっきより気温下がってないか?」

「寒すぎだよ……僕、暑いより寒いのほうが苦手なのに」

「うう……」

 ユースティアナも体を震わせる。

「ローゼンクロイツさん大丈夫ですか?」

「う、うん。雁淵さんは平気なんですか?」

「寒いけど私もだいぶ寒さには慣れたってところかな。えへへ」

「みんな無理しないね。危なくなったら下がって体制を立て直してからいこう」

「確かに、これだけ寒いといつもより動きが悪くなりそうだ……」

 ヨハンは手を強く握り視線を前方へと向ける。

「みなさん、あそこにネウロイが!」

 ユースティアナが声を上げ、4人も視線を戻す。

 視線の先にはネウロイが飛行していた。

 しかし、情報に聞いていた人型ネウロイと異なりそれは飛行艇のような形状をした大型のネウロイだったのだ。

「人型じゃない?」

 通信を聞いた零治は思わず声を上げた。

 ユースティアナたちの説明によれば現在彼女たちが接敵しているネウロイは確かにアルカ・ネウロイではあるが人型ではなく大型のネウロイの形状をしていたのだ。

「……すでに形状変化をしたということか?」

「形状なんて今はどうでもいいだろ!私とアビーで切り込みます。ローゼンクロイツたちは隙をついて攻撃を頼む」

「はい!」

 ヨハンの指示で散開する。

 銃を構えた二人がアルカ・ネウロイに接近し、攻撃を開始した。

 放たれた銃弾はアルカ・ネウロイの装甲を抉っていく。

 続くようにユースティアナやひかりも銃の引き金を引いた。

 弾丸が命中するがコアを見つけるには至っていない。

「あれは……Ⅳ?Ⅳのタロットカードは確かエンペラー(皇帝)だったはず」

 黒い体に刻まれたⅣの文字を確認したアビゲイルがコードネームを口にする。

「もっと大きく装甲を削る必要があるか」

 そんな時だった。

「——っ!」

 アルカ・ネウロイが悲鳴のような声を上げる。

 同時に周囲を寒波が襲う。

 降り始めた雪は風に乗り、吹雪へと変わった。

「うっ!」

「なにっ!」

 ひかりと二パは顔を覆い、表情を歪ませる。

「クッソ!え?うそ!?」

 声を上げたのは銃を構えていたアビゲイルだった。

 周囲に広がる冷気が原因なのか。

 手にしていた銃が凍てつき弾丸を発射できなくなっていたのだ。

 彼女だけではない、他のウィッチたちもトリガーを引くが弾丸が銃口から排出されない。

 ユースティアナやヨハンたちの持つ銃も同様に内部まで凍てつき動作不良を引き起こしていた。

「なんでだ?銃が使えない!これじゃあ戦えねぇ!」

「一旦引きましょう!ストライカーまで動かなくなったら戻れなくなります!」

 攻撃を回避してひかりが叫ぶ。

「しかし!」

「そうだよ!目の前にいるのに!」

「ハーゲン、ウィリアス。一旦引け!このままではこちらが不利だ!」

「了解した!」

 ヨハンは苦虫を嚙み潰したような苦悩の表情を浮かべた。

「ちぇ!命令なら仕方ないか……」

 アビゲイルもいつもの表情で固有魔法「雷」を使用する。

 まばゆい光と共に雷が周囲を照らした。

 そのすきにウィッチたちは基地へと帰投するのだった。

 




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