ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
第23話となります。


第23話 雪空の弓射

 ガレージ内には零治やサーシャの他にベアトたちも集まっていた。

「どうやらネウロイを倒すことはできなかったようですね」

「そのようです……」

 ユースティアナたちの帰りを待っている中、さきほどの戦闘の通信を思い出す。

 敵はやはり冷気を操ることができるようだ。

 その力は銃を凍てつかせ動作不良させるほど。

「帰投しました」

 声と共にユースティアナたちウィッチが帰投する。

「大丈夫か?」

「は、はい……ですがネウロイを倒すことはできませんでした」

「悔しいー!なんで銃が使えなくなるんだよ!」

「落ち着けアビー。琴村さん、あのネウロイにどう対抗すれば?」

「銃を見せてくれ」

 そう口にしてヨハンが「MG42機関銃」を手渡す。

 銃身は先ほどまで外に出ていたからか想定以上にひんやりとしている。

 弾倉を取り外して銃口を空に向けるとトリガーを引いた。

 しかし弾丸は発射されない。

「本当に弾丸が出ないな」

 格納庫内に戻り、再びウィッチたちを見つめる。

「皆さんは休んでください。整備は俺の方でやっておくので」

「それなら私も手伝います」

 サーシャが手を上げる。

「ありがとうございます。ユースティアナたちも休んでくれ。対策は考えておくから」

「はい……」

「ヨハン、いくよ」

「ああ……」

 ユースティアナたちも基地内へと戻っていく。

「サーシャさんは雁淵さんたちのストライカーを見てください。俺もこちらのストライカーを先に見ますから」

「はい」

 2人でストライカーの整備を始める。

「あいつへの対抗方法。何かないのかな?」

「銃が使えないなら僕の雷やヨハンの剣で対抗するしかなくない?」

「それも考えた。だが、接近すればやつの冷気を浴びて最悪ストライカーも動作しなくなる可能性がある」

 ヨハンの言葉にアビゲイルだけでなくユースティアナも考え込むように表情を曇らせた。

「何かいい方法は……」

「あ、雁淵さんたち戻ったんですね。物資に味噌があるって聞いたのでお味噌汁を作ってみたんですがよかったらどうですか?」

「体もあったまりますよ」

 食堂の前を通りかかった時、下原とジョゼが声をかける。

「本当ですか?!」

「僕ももらう!ヨハンもいるでしょ?」

「んー」

「難しい顔してないで今は忘れようよ!」

 アビゲイルに連れられ食堂の席に着く。

 ウィッチたちがそれぞれ一息ついた頃、下原が口を開いた。

「どうでしたか?今回のネウロイは」

「うーん。冷気を操ることはわかっているんですけど、やっぱりあの時のように銃が使えなくなっちゃって」

 ひかりが思い出すようにそうつぶやく。

 彼女には過去に冷気をあやつるネウロイと交戦した経験はあった。

 下原やジョゼも同様である。

「雁淵さんたちは過去に似たネウロイと交戦経験があるのか?その時はどう戦ったんだ!?」

 思わずヨハンが身を乗り出す。

「は、はい。その時は……」

「銃は使えなかったので弓と矢を使ったんです」

「弓と」

「矢?」

 ユースティアナとアビゲイルは思わず首を傾げる。

「弓と矢か……その弓と矢は今基地にありますか?」

「一応、私の部屋に……」

「見せてください」

 下原は自室から弓と矢を手にして再び食堂に戻ってくる。

「これが」

 ヨハンは弦を弾き、動作を確認していた。

「矢は1本しかなかったです」

「1本あれば十分!」

「へ?」

「あー、そっか。ヨハンの魔法なら」

「確かにそれなら」

 2人もようやく理解したのか、ヨハンを見つめる。

 矢を右手に持ち、目を閉じた。

「解析……」

 小さな声でつぶやき、右手は淡く発光していた。

「あの、これは?」

「しー、今は静かに」

 ジョゼが質問するがアビゲイルがそれを制止する。

 口元に指を当て、声を上げないように合図した。

 数分後、瞼を開くと右手の矢をテーブルに置く。

「いけるな。構築開始……」

 左手が発光し、1本の矢が生成される。

 細かい傷なども含めて瓜二つの矢を作り出したのだ。

「え?」

「すごい!」

「何したんですか!?」

 ひかりたちは興奮気味に構築された矢を見つめた。

「これが私の固有魔法、構築だ。なんでもは無理だがこれくらいなら難なくいける」

「ヨハン、私たちのも作ってよ!」

「いいや、弓を使うのは私だけでやる」

「なんでさ!?」

「私もだが、お前弓なんて弾いたことあるのか?それに何十本も矢を作ってたらストライカーで飛ぶための魔力までなくなっちまうだろ」

 そう口にするとアビゲイルは何も言えないのか黙り込む。

 彼女の魔力量は一般的なウィッチに比べれば多い方ではある。

 だが、ソフィアほどではない。

 いくらストライカーユニットWRで魔力増幅のバックアップを受けているとはいえ、何度も構築で物体を作り出していれば魔力消費だって馬鹿にならないのだ。

「下原さん。悪いんですが弓の練習に付き合ってくれませんか?あまり時間もないでしょうから」

「でも、出撃の後ですよ?疲れているんじゃ」

「そうも言ってられません。やつを仕留めるなら早い方がいいでしょうから」

「わかりました。私でよければ」

 ヨハンは下原を連れて食堂を後にするのだった。

「いいんですか?」

「まあ、ヨハンがああ言ったら聞かないからね」

「ハーゲン中尉とは付き合いが長いんですか?」

「うん。昔はカールスラントよろしく、規律の鬼だったよー。今は多少丸くなったかなー」

 ジョゼや二パの質問にアビゲイルは笑みを浮かべて返答する。

「でも、ハーゲンさんだけに任せるわけにはいきません!私たちも何か作戦考えましょう!」

「えー、いつも通り戦えばいいじゃん。それに次の出撃に私たちが出るとも限らないしさー」

「ウィリアスさん!」

「分かったよ、やるからさー」

 相変わらずのアビゲイルにユースティアナは注意するのだった。

 

 

 一方、格納庫にはベアトと直人が訪れていた。

「零治さん、ユースティアナさんたちが戦闘したみたいですが撃破には至らなかったって本当ですか?」

「ああ、撃破には至ってない。それに敵のネウロイは冷気を操りこちらの武器を動作不良にさせた。

戦闘が長引けば最悪ストライカーも駄目になって地面に真っ逆さまだ」 

「なら、どうするんだよ?」

 こちらの返答に再び、質問が返ってくる。

「だから今考えているっての」

「次はいつ現れるかもわかりませんから、早く対策を考えないと……」

「冷気対策か……だが、銃を動作不良にさせるほどなんだろ?そんな対策なんてあるのか?」

「「……」」

 答えを持っていなかったため、お互いに顔を見合わせる。

「考えておくよ、それが俺の仕事だからな」

 3人は格納庫を出ていく。

 

 

 エンペラーとの戦闘から3日の時が過ぎた。

 3日の間にエンペラーの接近はなく、零治とユースティアナも反応を感知することなく現在まで至っている。

 そして、ヨハンは下原と共に弓矢による訓練を続けていた。

「構築……」

 その言葉と共に矢を3本生成する。

 弦を弾き狙いをつけると同時に矢を放つ。

 矢は弦に弾かれ、的に命中した。

 同時に矢は爆散し、的を粉々に破壊する。

「すごいですね。火薬なしでこれだけ威力があればネウロイの装甲でも問題なく破壊できます!でも、一体どうやって?」

 下原が思わず質問する。

「矢じりに魔力の塊を作ったんです」

「魔力の塊?」

「私たちウィッチは魔法で身体強化しているとは言え、矢単体で銃弾と同等の威力を出すのは難しいです。なので矢じりに魔力の塊を作ることで命中時に魔力の塊が爆発するんです。まあ、その分矢を構築するための魔力消費も増えたので正確に狙撃する必要がありますが……」

 この矢はヨハンが矢での射撃訓練を始めた時から、構築に改修を加えていたものなのだ。

 矢と銃弾では火薬を使用する銃弾のほうが威力は高い。しかし、火薬そのものを構築することはヨハンの固有魔法であっても難しい。

 だが魔力の塊そのものを爆発させれば威力を確保することができるのだ。

「ハーゲンさんの魔法はすごいですね。そんなことまでできるなんて」

「まあ、色々応用はできるけど、銃や弾丸は作れないので……制限はあります」

 持っていた弓を霧散させると2人は隊長室へと向かう。

 扉を開き入室すると室内にはラルやロスマン、零治と直人の姿があった。

「下原、それにハーゲン中尉か」

「次の出撃には、私が出ます」

「何か策はあるのか?」

 ヨハンの言葉にラルは鋭い視線で見つめる。

「銃が使えないので、弓と矢を使います。すでに訓練もして、実戦レベルにはしてます」

「ハーゲンさんの固有魔法なら十分にネウロイに対抗できると思います」

 下原が後押しするように頷く。

「どうする?琴村隊長」

「俺は構いませんよ。ハーゲンの実力は信頼できます」

「わかった。頼んだぞ」

「はい!」

 ヨハンが敬礼する。

 その時、

「っ!」

 コアの反応を感知して、視線を窓へと向けた。

 同時にインカムからユースティアナの声が響く。

「零治さん!ネウロイです!」

「わかった。ネウロイです、ハーゲン」

「いきます」

 ヨハンは頷くと駆け出す。

 格納庫に到着するとヨハン、アビゲイル、ユースティアナがストライカーユニットを装着する。

「いけるの、ヨハン?」

「ああ。問題ない!」

「今度こそ、あのネウロイを倒しましょう!」

 3人は飛びだっていく。

「ひかり、私たちも行くぞ」

「はい!」

 扶桑のウィッチであるひかりと菅野直江もストライカーユニットを装着し続くように空を駆ける。

「それで、ヨハン。対策はできているの?」

「ああ、ギリギリ間に合わせた。だが、問題が起きた時は援護頼む」

「任せてください!」

「大丈夫なのか、ひかり?」

「ハーゲンさんたちを信じるしかないです!あのネウロイを倒すためにも」

 ウィッチたちがそんな会話をしていると、

「——っ!」

 悲鳴のような叫び声をと共にアルカ・ネウロイが姿を現す。

 コードネーム、エンペラー(皇帝)は飛行艇のような形状で飛行している。

「散開して、攻撃を開始!敵ネウロイのコアを見つけ出し、破壊する!」

「「了解!」」

 ヨハンの声に合わせて、それぞれのウィッチが散開していく。

 すぐに周囲を吹雪が舞う。

「来たか……」

 銃を構え、引き金を引いた。

 放たれた弾丸がエンペラーの装甲を抉っていく。

 攻撃を受けたことでエンペラーもビームを放つ。

「まだ銃は使えるね……なら!」

 アビゲイルが攻撃を回避し、すれ違いざまに攻撃を行う。

 しかし、コアはまだ露呈していなかった。

「そこだ!」

「はぁぁ!」

 ひかりとユースティアナも攻撃する。

 そんな中、銃の連射が止まった。

「そんな!また!」

「もう銃が!?」

 2人が声を上げる。

「どうするんだ!?ハーゲン!」

「ローゼンクロイツ。これ持ってろ」

「は、はい!」

 ユースティアナに銃を投げ渡すと固有魔法を使用する。

 両手から青白く光るとともに弓と矢をそれぞれ構築した。

「アビー!機動力で敵を翻弄してくれ!」

「OK!」

 アビゲイルはストライカーユニットに魔力を集中させ、加速する。

 エンペラーの周囲を高速で飛行し攻撃を誘う。

「よっと!」

 想定通りビームが放たれるがいつものように余裕の表情で攻撃を回避した。

「そこだ!」

 ヨハンは弓に3本の矢をつがえ、放つ。

 放たれた矢はネウロイの装甲に命中、瞬時に矢じりの魔力が誘爆する。

 範囲は狭いもの銃弾よりも大きく装甲を抉っていた。

「まだだ!」

 再び右手で3本の矢を構築する。

 数秒で矢を作り出すと弓につがえ、放った。

 矢は吸い込まれるように被弾個所に命中した。

「——っ!」

 エンペラーは再び悲鳴のような声を周囲に響かせる。

 誘爆を見てひかりと直江が思わず目を細めた。

 煙の中には確かに赤く光るコアの姿があった。

「コアです!」

 ユースティアナもその姿を視認して声を上げる。

「あれ?そういえば吹雪も弱まってる?」

「どうせ銃は使えないんだ!あたしの拳であいつぶったおしてやる!」

 直江の拳が青白く発光し、接近していく。

「よし、これなら!」

 バレルロールして攻撃を回避。

 そのまま方向転換したアビゲイルもエンペラーへと接近していく。

「剣……」

「迅雷……」

「「一閃!」」

 直江の魔力を纏う拳とアビゲイルの雷を纏った掌打がエンペラーに炸裂する。

 装甲だけでなくその巨体ごと貫通していた。

 ネウロイ同様に体が白い粒子となって消滅を始める。

「やった!」

「よっしゃ!」

 2人が勝ち誇っていると

「まだだ!」

 ヨハンが声を上げた。

 光の粒子が舞う中、人型のネウロイが現れる。

「なんで!?」

「もしかして、コアを破壊できていなかったんじゃ!」

 ユースティアナとひかりもそれぞれ状況を分析する。

「ちっ!」

 苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、ヨハンが急加速する。

 構築した矢を弓につがえ、放つ。

 しかし、人型にもどったことで運動性が向上したエンペラーは矢を回避し、機銃のごときビームで反撃した。

「あれでは的が小さすぎて弓での狙撃は無理か……」

 シールドを展開し攻撃を防ぐ。

「ダメだ銃は使えない!」

「なら、これしかないよね!」

 アビゲイルは再び固有魔法の使用準備をはじめる。

 両手を雷が走り抜け、ばちばちを音を立てる。

「全員シールド準備!」

「……くらえ!」

 声と共に周囲を雷が走り抜けていた。

 エンペラーも紙一重で雷を回避する。

「うおぉぉぉ!」

 一瞬の隙をついて、ヨハンが構築した片手直剣を突き立てる。

 胸を貫通した切っ先には確かに砕けた赤い水晶のようなコアがあった。

 数秒もせずエンペラーは光の粒子となって消滅する。

「や、やったね。ヨハン……」

「ったく。無茶するな」

「えへへ」

 お互いに苦笑いして見せる。

「こちら、ユースティアナ・ローゼンクロイツ。敵ネウロイの撃破を確認しました」

「そうか、了解した。帰投してくれ……目標ネウロイは撃破できたようです」

「さすがは琴村さんの部隊だな。本当にあのネウロイを撃破するとは」

「いえ、倒したのはウィッチである彼女たちです」

 ラルの言葉に零治は首を横に振るだけだった。

「でも、私たちが1か月も撃破できていなかったネウロイを数日で撃破するのは予想外でした」

「まあ、特殊なネウロイという意味では俺たち特務隊は戦いなれているからな」

「格納庫にいきます。彼女たちのストライカーユニットを整備しなくちゃならないので」

「俺も戻る」

 零治と直人は隊長室を後にする。

 格納庫に到着し、ウィッチたちを見つめた。

「ただいま、戻りました!」

「お疲れ様、みんな。雁淵さんと菅野さんネウロイの撃破してくれたことに感謝する」

「それが私たちの仕事ですから!」

「うーさむい。俺はサウナ行ってくる」

 直江は体を震わせながら、基地内へと戻っていく。

「ハーゲンやウィリアスも大丈夫か?」

「はい。なんとか」

「当然じゃん!と言いたいところだけどさすがに今回はきつかったよね」

 2人も思わず苦笑して見せる。

「ゆっくり休んでくれ。ユースティアナも休んでくれて構わない」

「はい!」

 敬礼してユースティアナもひかりたちの後を追う。

「よかった。今回は誰もストライカーを壊さなくて……」

「そ、そんなに壊れるんですか?」

「それはもう!二パさんや菅野さんは特にひどいので大変なんです!」

「ははは……」

 涙目を浮かべるサーシャの顔を見て、乾いた笑いを漏らす。

「でも、ネウロイが倒せたなら今日は祝勝会でもしましょうか。琴村さんたちの歓迎会もできていなかったですし」

「そ、そんな。お気になさらず」

「補給物資を持ってきてくださったんですから遠慮しないでください」

「ま、いいんじゃねーのか?せっかくだしごちそうになれば」

「そうですよ。零治さん」

 直人とベアトも賛成するように頷く。

「じゃ、じゃあ。お言葉に甘えて」

「はい!」

 サーシャは満面の笑みを浮かべていた。

 

 

 日が沈み空は闇に包まれた頃、第502統合戦闘航空団基地内の格納庫では歓迎会を兼ねた祝勝会が行わていた。

 下原とジョゼ、ベアトやソフィアが食事を準備し、すでにテーブルには多くの食事が並べられている。

「今回の特殊ネウロイの撃破は我々502統合戦闘航空団だけでは難しい作戦だったが、特務統合強襲航空団の協力で無事撃破に成功した。感謝する」

「こちらこそ、一緒に戦闘していただいたことに感謝しています。俺たちだけでも撃破は難しかったはずです」

「我々の勝利に乾杯」

 ラルの祝辞で皆、グラスを上げる。

 各々が食事や会話に花を咲かせていた。

「あ、琴村さん。私と雁淵さんの分も料理を取り分けてもらってもいいですか?」

「え、悪いですよ」

「気にするなよ。雁淵さん」

 料理を取り分け、皿を手渡す。

 受け取ろうとしたひかりの指が零治の手に触れる。

「え……?」

 その瞬間、自分の目に映るものにひかりは思わず驚きの表情を浮かべた。

 目の前に立つ琴村零治の体にコアを視認したからだ。

「雁淵さん?」

「どうかしたのか?」

「い、いえ。なんでもありません!見間違い、だよね……」

「ありがとうございます。琴村さん」

「……」

 2人は再び歩き出す背中をラルは静かに見つめていた。

 祝勝会は問題なく進み、夜も更け幕を閉じるのだった。

「珍しいオラーシャ料理なんか食えたな」

「ウチの基地じゃなかなか作れないですし」

「いつもベアトが作ってくれる飯もうまいよ」

 その言葉にベアトは少し照れるような表情を浮かべる。

「2日は基地で休んでからブリタニアに戻ろう。ラル隊長たちも問題ないって言ってくれたしな」

「おう」

「はい」

 3人もそれぞれの部屋へと戻っていく。

 

 

 2日後の朝、零治たちは帰投準備を進めていた。

 ストライカーユニットと銃火器をトラックの荷台に積み込み、港へと運び出していく。

「次に直人が戻ったら、俺たちも乗り込んで港に行こう」

 その言葉にユースティアナとベアトが頷く。

「待たせたな。ベアトたちも乗ってくれ」

「ラル隊長、ロスマンさん、雁淵さん。お世話になりました。またいつか」

「ああ。琴村隊長たちも気を付けて」

「雁淵さん。さようなら」

「ローゼンクロイツさん、さようなら!」

 ユースティアナとひかりもお互いに手を振り挨拶していた。

 トラックは基地を離れ、その姿はだんだん小さくなっていく。

「よかったんですか?」

「……彼はどう見ても人間だ」

「でも、雁淵さんの接触魔眼でコアが見えたのなら問い詰めるべきだったんじゃ……」

「雁淵はどう思う?」

 ラルとロスマンの視線を受け、思わず顔を伏せる。

「私も琴村さんはネウロイではないと、思います。コアが見えたのも何かの間違いなんじゃ」

「あなたの固有魔法は本物よ。見間違いなんてありえない」

「だが、彼が本当にネウロイであるのなら。もっと厳重に拘束されているはずだ、きっと何か理由があるのだろう。人型のネウロイとコアを持つ人間か、存在的には似ているか……」

 ラルはトラックの走行した先を見つめ続けているのだった。




ちょこっと設定紹介
・弓と矢(ヨハン使用)
第502統合戦闘航空団基地にあった弓と矢をヨハンの固有魔法「構築」によって再生成したもの。
ウィッチの魔法力による身体強化によって弓と矢でも強力な貫通力を持っているが、ヨハンは構築時に改良を施し、矢を金属だけで構築することによる貫通力を、矢じりに魔力の塊を作ることで命中時の爆発による破壊力の強化に成功している。
なお、改良に伴い魔力の消費が増えたため矢を最大で12本(これは飛行するための魔力を考慮していない)までしか構築することができなくなったほか、構築にも5秒ほどかかるため連射性も落ちること、爆発によって矢が粉々になってしまい再利用できなくなるという欠点を持つ。
魔力の塊による爆発力の威力そのものはそこまで高くないため3本同時発射などによってなんとか威力を確保していた。
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