ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ 作:UNIMITES
12月は忙しかったり体調不良もあって、投稿ペースが極端に落ちてしまいました。
今回から第三章 陰謀編、第26話になります。
第26話 ウィッチたちの休息
ヨハンとの剣術訓練を始めて2週間の時が過ぎた。
本日も2人は剣を振るう。
「ウォーミングアップも終わりましたし、そろそろ打ち合いしましょうか」
「それもそうだな……」
ヨハンの言葉にこちらもタオルで汗をぬぐい、返答する。
「手加減はしませんよ」
「ああ、全力で来い」
彼女は片手直剣を構え、零治も扶桑刀を構える。
お互いの構えは似ているが、細かい部分は異なる構えだ。
これは2人の剣の特性が異なってるためである。
ヨハンの剣はその重量を活かして叩き切るという戦闘スタイルであり、零治の剣は切断力を活かして切り伏せるという戦闘スタイルなのだ。
「いきます!」
その声を合図に急接近する。
刃がぶつかり合い、鈍い金属音を上げていた。
紙一重に攻撃を回避し、再び攻防を続ける。
「驚きですね。短期間でこれだけ戦えるなんて」
「これでも元戦闘訓練を受けていたDSだからな」
肩で息をしていながらも扶桑刀を握る手に力を込める。
「は!」
再び剣を打ち込みや、刃が交差した。
零治は力任せに振りぬいた。
ヨハンは少々後退していたものの外傷もなく攻撃を防ぎきる。
「今のすごかったですね。今日はこれくらいにしておきましょうか、そろそろ朝食の時間ですし」
「ふう……そうだな」
鞘に烈風丸を納刀するとタオルを拾い上げる。
「先に戻る」
「はい」
ヨハンも自身のタオルを拾い上げた。
ふと視線を片手直剣に向ける。
刀身には小さなひびができていることに気づく。
「これって、さっきの打ち合いで?」
先日、鈴木直葉が口にしていた言葉を思い出す。
烈風丸は魔法力を帯びており、その魔法力を解放すればネウロイでも撃破することが可能なこと。
「まさか、ね……」
そんな考えを振り払うように首を振ると、彼女も基地へと向けて駆けだす。
ある日の昼下がり、1艇の巡洋艦がブリタニアを訪れていた。
「久しぶり、零治。直人とベアトも元気そうね」
「はい。ロアノークさん」
3人は敬礼して、ナナリー・ロアノークを出迎える。
「いつも通りの補給物資は揃っているはずよ」
「ありがとう。ナナリー」
受け取った書類に目を通し、零治と直人が物資を確認し始めていた。
彼女の言う通り中身は先月に来ていた内容と一致していることを確認する。
「ロアノークさんじゃないか。ブリタニアに来ていたのかい?」
「直葉……あなたこそ、ブリタニアに単独で来るなんて何考えているのよ?あの後、上に説明するの大変だったんだから!」
「そこはあなたの仕事じゃないですかー。それにそんな弟みたいに怒らないでくださいよ」
不機嫌そうなナナリーに直葉はいつものマイペースで返答している。
「何やっているんだか……」
「ははは。まあ、直葉さんはああいう人ですから」
「いつものことじゃないか。あ、そのコンテナは軍の格納庫の方に運び込みをお願いします」
直人はため息をつき、ベアトも苦笑していた。
「そうだ零治。あなたたち最近はずっと前線で交戦続きだったでしょう?少し休暇でも取ったらいいんじゃない?」
物資の整理がひと段落したところで、ナナリーがそう口にする。
「休暇?休んでいる暇なんてないだろ。俺たちにはそんな時間は——」
「いいじゃないか、琴村少年。それに適度に休むことは必要だよ、人間ずっと働き続けていたら士気も下がってしまうからね」
「ですね。ユースティアナさんたちにも少し休暇を取らせるのはいいと思います」
「……わかったよ」
各々からの言葉に零治もただ首を縦に振るしかなかった。
基地の食堂に特務統合強襲航空団(アサルトウィッチーズ)のメンバーを集める。
「……というわけで、我々も少し休暇を取ろうと思う」
軽く説明を行うと
「休暇ですか」
「最近、ずっと戦ってましたからね」
「やったー休みだ!」
「落ち着けアビー」
「だって休みだよ!テンションも上がるってもんだよ、早起きもしなくていいし!」
相変わらずアビゲイルの声が響いていた。
「せっかくだしガリアにでも行って来たら?」
「この前、ガリアに行ったときWR(ウォーロックリバイブ)のことで色々あったけどいいのか?」
「うーん。一応、ウルスラさんにはあの時のこと説明しているし、まあ今回は戦闘目的じゃないしいいんじゃないか?」
「私もガリア行きたいです!」
ユースティアナが声を上げる。
「ユースティアナ……?」
「近々、ガリアでルミナスウィッチーズのライブがあるんです!」
「ユースティアナさん、ルミナスウィッチーズ好きですからね」
「はい!エレオノールさんが私の憧れです!」
ルミナスウィッチーズのファンであるユースティアナは目を輝かせ、興奮気味に話をしていた。
「せっかく休暇取るんだし、行くことにするか。ハーゲンたちはどうする?」
「私たちも同行しますよ」
「僕もガリア行くー!」
2人が同意することを確認する。
「ルミナスウィッチーズってあの?」
「ああ、連盟空軍魔法音楽隊のことだ」
「弟が好きな胸の大きい扶桑のウィッチがいる部隊だね」
「ぶっ!」
直葉の言葉に思わず直人がコーヒーを吹き出す。
「げほげほ、姉貴!」
「本当のことだろう?もう、おっぱい星人なんだから」
「ち、ちがうっての!」
「直人さん、落ち着いて」
隣に座っていたベアトが必死になだめている。
「琴村少年はお尻の大きい娘が好きらしいよね」
「ぶっ!」
零治もコーヒーを吹き出し、むせ返っていた。
「な、ななな、なに言っているんですか!?」
「やめろ、姉貴。俺たちに恨みでもあんのか!?」
「はっはっはっは。そんなに怒るなよ、冗談じゃないか」
「鈴木少佐。まじで勘弁してくださいよ……」
2人は思わずため息をついている。
「「……」」
ベアトやユースティアナはそれぞれの体に視線を落としていた。
「こら、直葉。悪ふざけもその辺にしておきなさい」
「まったく……にしてもルミナスウィッチーズか。前にあってからそんなに時間が経ってない気がするな」
「今回はちゃんとチケット買って見に行けそうだな」
そんなことをつぶやく。
いつかのヴァージニア・ロバートソンとの約束を思い出す。
次に彼女たちのライブを見に行くときはチケット買って見に行くと決めていた。
「せっかくの休みだしゆっくりしよう」
「だな」
「「はい!」」
こちらの言葉にベアトやユースティアナも笑みを浮かべ返答するのだった。
2日後零治たちアサルトウィッチーズはガリアへと到着していた。
これまでと同様に、ランカスターを利用し本土へと降り立つ。
「また、ガリアに来るとはな」
街並みを見つめ思わずそんなことを口にする。
「ここからは自由行動でいいだろ。零治、ローゼンクロイツたちは任せるぞ」
「ん?ああ、わかった」
「いくぞベアト、姉貴」
「私もかい?」
直人の言葉に直葉は思わず首を傾げる。
「姉貴を1人で行動させると何するかわかんねーからだろ」
「むー。琴村少年、せっかくの休暇だ。楽しむことだ」
「は、はあ……」
彼女の言葉に軽く頷く。
「じゃあ、僕たちもガリア観光楽しもうか」
「だな。琴村さん、私たちもお先に失礼します」
アビゲイルとヨハンも分かれていく。
「行きましょう!零治さん、みなさんも」
「うん」
「はい」
ユースティアナたちと零治も歩き出す。
近場の店に入り、彼女たち会話に花を咲かせている彼女たちを横目にコーヒーを飲む。
「零治さんはルミナスウィッチーズではどの子が好きなんですか?」
「私も気になります。よく部屋で歌を聞いているんですよね?」
「別に特別好きってわけじゃ、強いて言えば……」
そう口にして、最初に頭に浮かんだのはヴァージニア・ロバートソンだった。
前にあったときも彼女と話すことが多かった気がする。
「ヴァージニア・ロバートソンさんかな?」
「ヴァージニアさんかわいいですよね」
「……」
「ユースティアナ?」
目の前に座るユースティアナはこちらと目が合うと、すぐに視線を逸らす。
「ん?お前、琴村かね?」
「グラハム?」
声に反応するように振り返ると見覚えのある顔があった。
ユリウス・グラハム軍曹。
ちょっと前にエーゲ海でアルカ・ネウロイと戦闘した際に一緒になった整備兵の1人である。
「やっぱ琴村か。そっちはローゼンクロイツ曹長。なんでガリアに?」
「こっちのセリフだ。お前こそ、なんでガリアにいるんだ」
「ちょっと休暇をもらってね。そしたらちょうどガリアでルミナスのライブがあるなんて話じゃないか」
彼はポケットから1枚のライブチケットを見せる。
それはこれから自分たちも購入を予定していたものと同じ、ルミナスウィッチーズのライブチケットだった。
「あー、それルミナスウィッチーズのライブチケットじゃないですか!」
「いやー、ラッキーだったよ。休暇のタイミングと被るなんて」
「目的は同じってことか」
「そうなのかね?ということは君たちもルミナスウィッチーズを?」
「はい!私たちもライブを見るために来ました!」
「なんと、それは偶然だな!」
お互いに納得したのか首を縦に振っている。
彼がルミナスウィッチーズを好きだという話は知っていたが、今回この場で合流できたのは偶然であった。
「そうだ、琴村。鈴木や他のウィッチたちはいないのか?」
「ガリアに一緒に来ているさ。今はそれぞれ別行動しているがな」
「そうだったのか……まあ俺も1人より知り合いがいる方がいろいろ気楽だからな」
「一緒に来る気か?」
こちらがそんな質問をすると
「駄目なのかね?」
彼は飲んでいたコーヒーカップを置いて視線を向ける。
「いや、駄目ってことはないけどさ」
「いいじゃないですか、せっかく会えたんですから」
「そうだよな!」
ソフィアがそう口にしたことでユリウスも笑って見せていた。
喫茶店を出て零治たちは5人はチケットの販売所を訪れる。
「流石ルミナスさん!人気ですね!」
「はい。ガリア解放時のライブもチケット完売してましたからね」
ユースティアナとクロエの言う通り販売所には長蛇の列ができている。
やはりガリアでもルミナスウィッチーズという存在は人気のようだ。
「待たせたな零治」
「お待たせしたね、琴村少年」
「いえ、俺たちも今来たところです」
「お、グラハムじゃないか。なんでここにいるんだ?」
直人もユリウスの姿を確認して声をかける。
「まあ、いろいろあってな」
「ほう。2人の友人かー……」
直葉も顔を確認するようにまじまじとユリウスの顔を見つめていた。
「あ……」
「グラハム?」
「どうした?おい!」
こちらの言葉が聞こえていないのか、ユリウスはただその場に立ち尽くしていた。
「おい!あの美しい人は誰かね?前にあったときはあんな人いなかっただろ」
「は?何言ってんだ、お前?」
こちらに耳打ちすると直人は思わず声を上げる。
「グラハムは会うの初めてだったな。あの人は鈴木直葉少佐。扶桑のウィッチだ」
「ほう……鈴木?鈴木……」
ユリウスは名前を聞いて再び直人の顔へと視線を向けた。
「俺の姉貴だ」
「なぬ?鈴木にあんな綺麗なお姉さんがいたとは」
「綺麗か?」
「えっと君は……」
「ゆ、ユリウス・グラハム軍曹です!よろしくお願いします!」
「グラハム君か……うん、よろしくねグラハム少年。鈴木って呼び方では弟と被ってしまうからね、直葉とでも呼んでくれて構わないよ」
「は、はい!よろしくお願いいたします、直葉少佐!」
ユリウスは深々と頭を下げていた。
「珍しいな、姉貴があってすぐに零治と同じ呼び方するなんて」
「それだけ、気に入ったってことじゃないか?」
2人もそんな様子を見て、思わずつぶやいていた。
鈴木直葉という女性は変わった性格をしているが、知り合った相手の呼び名も少し変わっている。
直人ならば「弟」、ベアトたちのように名前をそのまま口にする方式、そして自分や今のユリウスのような「少年」という呼ぶ方式だ。
前者はなんとなくわかるが、彼女の口にする少年という呼び方の法則性はよくわからないが、気に入った相手をそう呼ぶらしい。
「惚れたぜ、直葉さんは必ず俺が振り向かせて見せる」
「ああ、頑張れ。俺としてはさっさと籍入れて前線から退いてほしいからな、応援してやる」
「お、おい!からかうな!」
「グラハムさんって面白い人だね」
「少々、騒がしいとも思うけどな」
ヨハンは1人ため息をつく。
長蛇の列を超えて、ようやく自分たちもチケット購入までたどりつく。
「琴村君!?それにみんなも!」
「グレイスさん、お久しぶりです!今回はちゃんとライブ見に来ました」
「来てくれたんだ!琴村君たちが来てるって聞いたらあの子たちも喜ぶよ!」
「琴村ってルミナスウィッチーズとの付き合い長いのか?」
そんなやり取りを見て、ユリウスは直人に耳打ちする。
「ちゃんと顔を合わせたのはリベリオンの時が初だって言ってたな。あいつの場合、その時にストライカーユニットの修理とかもやったってのはあるだろうけど」
「なるほどねぇ。うらやましいぜ」
「そうだ、琴村君。もしよかったらまたストライカーユニットの整備とか頼めないかな?」
「構いませんけど……グラハム!」
一度振り返りユリウスの名を口にする。
「どうしたのかね?」
「彼はユリウス・グラハム軍曹です。彼も整備兵なので一緒にいきます」
「そうなんだ。ストライカーユニットの整備をお願いしてもいいかな?」
「え?あ、はい」
「よかった。じゃあ、明日この住所に」
メモとライブのチケットを受け取り、零治たちもひとまず販売所を離れる。
「明日のライブ楽しみですね!」
「うん」
「ルミナスウィッチーズのライブをちゃんと見るのは私も初なので楽しみです」
各々がチケットを握りしめ会話に花を咲かせている。
「琴村、さっきの話はどういうことかね?」
「グレイスさんがまたストライカーユニットの整備を頼むってお願いされたんだよ」
「またか?今回も盛大に壊れたりしてないだろうな」
直人が思わず怪訝そうな表情を見せる。
「最近はガリアにネウロイは出現していないですからね。それはないと思います」
ベアトの言う通りだ。
ここ数日はガリアにもアルカ・ネウロイとネウロイの反応は出ておらず、戦闘も発生していないと聞いている。
「ふーん。まあ整備なら俺もやり慣れているからな。鈴木はこないのか?」
「だから俺は衛生兵だって言ってんだろ。ストライカーユニット関係は管轄外だ」
「そういうことだ。2人なら整備も前回ほど時間もかからないだろう」
「任せたまえ!」
零治の言葉にユリウスも親指を立てて、笑って見せるのだった。
ちょこっと設定紹介
・なし
現在公開可能情報はありません。