ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
今回から第27話になります。


第27話 ルミナス再び

 翌日、零治たち4人はルミナスウィッチーズの宿泊しているホテルを訪れていた。

「モフィー!」

「うお!またか、モフィ……」

 鳴き声と共に見覚えのある動物が現れる。

 頭に乗った鳥類を見つめ、思わず苦笑する。

 鳥類の使い魔モフィ、三毛猫の使い魔おこげ、ボルゾイの使い魔オリヴィエたち3匹がその場にはいた。

 いずれもルミナスウィッチーズの使い魔であった。

「みんな元気そうですね」

 ユースティアナはしゃがみ込み、おこげとオリヴィエを撫でている。

「ん?おい、鈴木。琴村は何言っているのかね?」

「ああ、言ってなかったか。零治は特異体質でな、ウィッチの使い魔が視認できるんだ」

「なぬ?俺には何も見えんぞ!」

 直人の説明に相変わらずユリウスは驚いた表情を浮かべていた。

「俺だって使い魔見えねーよ。だから特異体質だって言ってるだろ」

「あ、琴村さん!ローゼンクロイツさん!」

 聞き覚えのある声と共にブリタニア空軍の軍服に身を包むウィッチ、ヴァージニア・ロバートソンが歩み寄ってくる。

 彼女の他に8人のウィッチとグレイスの姿も確認できた。

「ライブを見るために来てくれたんですよね。元気にしてた?ローゼンクロイツさん」

「は、はい!私の名前、覚えていてくれたんですね!」

「うん」

 エレオノールが笑みを浮かべるとユースティアナも熱い視線を向けていた。

「琴村君、時間通りだね。鈴木君たちも来てくれてありがとう」

「それは構わないんですが、整備だけなら、わざわざ俺たちじゃなくてもよかったんじゃ……」

「うーん。他の部隊にも頼んだんだけど、どこも手が空いてなくてね」

 グレイスはため息をつき、

「俺たちでも簡単な整備ならできるけど」

「できることなら専門の方に整備してもらった方がストライカーユニットの動作に不調も出ませんから」

 ジョアンナとシルヴィも苦笑してつぶやいていた。

「なるほどねー」

 納得しているのか隣に立つユリウスは頷いている。

 軍としても音楽隊に力を入れようとしているだろうが、人員や物資を増やすのは容易ではないのだろう。

「物資も人も足りていないのはどこも一緒だな」

「本当ですね。音楽隊にはもっと活躍してもらうためにも人員を回すべきです!」

「そう、簡単な話でもねーってことだ」

 直人も冷静に返答していた。

「ですが、琴村さんたちがガリアに来ていただいていたのは幸いでした」

「休暇中なのに悪いわね」

 いのりとミラーシャが頭を下げる。

「すげーな。本当にルミナスウィッチーズじゃないか」

 目の前のウィッチを見つめ、ユリウスがつぶやいていた。

「今更何言ってんだよ。それにお前、ミラーシャさんのストライカーユニットの整備するのが夢とか言ってたじゃねーか」

「それは、そうだがよ。いざ、憧れの存在が目の前にいるって緊張するものではないかね?」

「「それは同感だ」」

 零治と直人は同意見と言葉を口にする。

「さっさと済ませて、ライブ会場いくぞ」

「ああ」

「おうよ」

「はい、私もお手伝います!」

 零治の言葉で各自が返事をすると整備を開始する。

「2人とも息ぴったりだね」

「零治さんとグラハムさんは一緒に整備活動した経験もありますから」

 整備する姿を見つめていたエレオノールとユースティアナが呟いていた。

「ローゼンクロイツさんはさ。琴村さんと仲いいよね、結構付き合いって長いの?」

「いえ、私も今の部隊で一緒になったので、鈴木さんやベアトさんほど長くはないです」

「そうなんですか?でも、いつも一緒にいますよね」

「そう、ですね。もっと仲良くはなりたいですが……」

 顔を真っ赤にして視線を落とすユースティアナ。

 そんな時、零治が工具を置く。

 同時にユリウスも作業を終えたのか、立ち上がり伸びをしている、

「よし。問題なしっと」

「やっぱ2人なら効率も段違いだな」

「整備だけなら、時間なんてかからないだろ。アイラさん、各自ストライカーユニットのエンジンを回してみてください」

「はい」

 彼女が頷くとルミナスウィッチーズの9人は各自のストライカーユニットを装着する。

 聞きなれたエンジン音と共にストライカーユニットの蒼白いプロペラが回転していた。

「動作に問題なし、回転率も誤差は想定内」

「いいんじゃない?」

「マナも!いつもより調子いいくらい!」

 エレオノールとマナも声を上げている。

「琴村君、グラハム君。ありがとね!」

「お気になさらず、こちらも役に立てたのなら光栄です」

「そうですよ。これくらいならいつでも!」

 深々とグレイスが頭を下げていた。

「零治、グラハム。そろそろ時間だ、俺たちも会場にいくぞ」

「え?もうですか?」

「そんな時間か。じゃあ俺たちはこれで」

「え、でも。報酬とかは?」

「気にしないでいいですよ。いいライブ見せてくださいね」

 背を向けて軍の格納庫の出口へと歩き出す。

「エレオノールさん。ライブ頑張ってください!私もこれで」

「うん、応援ありがとう。ローゼンクロイツさん」

 ユースティアナも頭を下げた後、1度エレオノールの顔を見つめると零治たちの後を追うように駆け出す。

「エリーの熱いファンだな」

「うん。ローゼンクロイツさんも十分かわいいと思うんだけどね」

「確かにな」

「それにローゼンクロイツさんって琴村さんのこと好きなんじゃない?」

 エレオノールはクッキーを齧り、そう口にする。

「そうなのか?!」

「なんか、琴村さんへの視線と他の人に向ける視線が違うように見えるんだよねー」

「恋する乙女ってことですか?」

「私の勘だけどね」

 いのりの質問に対して眉一つ動かすことなく、クッキーを齧っていた。

「でも、よかったのかな?前回の修理のお礼だってちゃんとできてなかったのに」

「いつか、ちゃんとお礼はしたいですね」

 申し訳なさそうに4人の背中を見つめていたグレイスと同様にアイラも背中を見つめてそう口にしていた。

「無報酬でよかったのか?俺たちは慈善団体じゃないんだぞ」

「1回の整備程度なら別に問題ないだろ」

「俺としてはルミナスウィッチーズのストライカーユニットを整備できたってだけで、それが報酬だと思うけどな」

 直人の質問に対して、零治とユリウスはそれぞれ返答する。

「エレオノールさん。やっぱり綺麗だったなー」

「こっちはこっちで自分の世界に入ってるし……」

 感激しているユースティアナを見て、思わずため息をついていた。

 彼らが問題ないというのであれば、そうなのだろうが。

 軍でも期間が短い都合上、自分には判断しずらいと言わざるを得ない。

「琴村も真面目だと思っていたが、お前も真面目過ぎるんだよ鈴木」

「そうかよ……」

「誉め言葉だっての」

 2人はそんなことを言い合っているのだった。

 

 

 会場に到着するとベアトや直葉と合流する。

「遅いですよ零治さん、直人さん」

「いろいろあってな」

「間に合ったんだからいいだろ」

 それぞれが席に着くと、アナウンスと共に9人のウィッチが空を舞う。

 見覚えのある顔から彼女たちがルミナスウィッチーズであることを瞬時に理解する。

「「「ルミナスー!」」」

 隣に座るユースティアナやクロエ、ソフィアは声を上げていた。

「こんにちはー!連盟空軍魔法音楽隊、ルミナスウィッチーズです!」

 その声に返事をするように会場内が沸き上がる。

「青の衣装も悪くないが、やはり俺としては赤の衣装が好みだな」

「それは俺も同意見だ。やっぱり初期の赤が一番だよなー」

「私としては青い方が好みだけどねぇ」

「僕も今回の青い方がいいかなー」

 どうやら衣装について、議論しているようだ。

 直人やユリウスは初期の赤衣装、直葉とアビゲイルは青衣装が好みらしい。

「私はどんな衣装でもルミナスウィッチーズは似合うと思います!ねー零治さん!」

「そうだな。どの衣装もかわいいとは思う」

 ルミナスウィッチーズ全肯定派のユースティアナに話を振られ、軽く返答する。

「あれ?ねえヨハン、今回のセンターはリベリオンで見た時と違くない?」

「ああ、おそらくここがガリアだからガリア出身であるエレオノールさんをセンターにしているんだろ」

「大人の事情ってやつだな……」

 説明に聞き耳を立てていた零治も思わず呟いていた。

 世界には公にできないことはたくさんあるし、それに合わせて情報統制や情報規制もある。

 自分やユースティアナなどのDS(デザインソルジャー)、特殊個体アルカ・ネウロイ、コアを使用したストライカーユニットであるWR(ウォーロックリバイブ)。

 特務統合強襲航空団(アサルトウィッチーズ)の中でもこれだけの機密情報の扱いがあるのだから。

「……じさん、零治さん!」

「ん?」

 名前を呼ぶ声に視線を向ける。

「零治さん、ライブ終わっちゃいましたよ?」

「ああ……悪い、少しぼーっとしていた」

 周囲に視線を見渡すとすでに人々の姿がなく、残っているのはアサルトウィッチーズのメンバーだけであった。

 すでに日が傾き、オレンジ色の空が広がっている。

「いやー、生のライブは最高だな。いい時間だし、飯行こうぜ」

「それもそうだな」

 ユリウスの意見に賛成して一歩踏み出す。

 その時だった。

 甲高いサイレンがガリア中に響き渡る。

「っ!」

「これって……」

「ネウロイか……」

 その場にいた10人全員が現状を理解する。

「どうする、零治?ここにストライカーユニットはないぞ!」

「わかっている……」

 頭を回転させ、考え込む。

 同時にいつものようにコアの反応を感じ取った。

「ユース、アルカ・ネウロイも来ているわ」

 ティアがいち早くユースティアナに伝える。

「ティア?わかった……零治さん、アルカ・ネウロイも!」

「出撃は避けられないようだ、港にいくぞ。ガリアの軍が保管しているストライカーユニットと銃があるかもしれない。直人とグラハムは市民の避難を手伝ってやってくれ」

「決まりですね!」

「行こう、琴村さん!」

 急ぎ港へと向かう。

 空を見つめると、すでに数人のウィッチが出撃しているのが確認できる。

「ガリア側もウィッチを出撃させたか」

「だが、前回の戦闘であれだけ苦戦していました」

「わかっている」

 前回、ガリアでアルカ・ネウロイと遭遇した際にも通常のネウロイが同時に出現した。

 その戦闘ではガリア側のウィッチは相当な苦戦を強いられていたのだ。

 ようやく港に到着する。

 格納庫に入り、軍の人間に声をかける。

「特務隊の琴村零治大尉です。状況は?」

「近海に2体のネウロイを確認しています」

「我々も出撃します。ストライカーユニットの予備はありますか?」

「は、はい!」

「お借りします!」

 格納庫内にストライカーユニット「スピットファイアMkⅣ」が7台安置されているのを確認する。

「WRじゃないからtype-Cのバックアップがない。くれぐれも力を過信して油断するなよ」

「了解です!」

 7人のウィッチはストライカーユニットを装着し、空へと飛翔していく。

 零治も格納庫を出て空を見つめる。

 空を駆ける大型ネウロイとウィッチが交戦しているのが確認できた。

 双眼鏡でネウロイの体を見つめる。

「この位置じゃ番号が確認できないな……」

 自身のいる港からではアルカ・ネウロイの全身を確認することはできない。

 そのため、特有の番号を見つけ出すことができていなかったのだ。

 位置を変えるために移動を開始する。

 一方、ユースティアナたちもようやく戦闘空域に到着し、戦闘を始めていた。

「私たちはアルカ・ネウロイを先に仕留めます、散開して応戦してください」

「いつもより大きいな。ローゼンクロイツ、アビーいくぞ!」

「うん!」

「はい!」

 3人が接近して銃口を向ける。

 引き金を引く。

 放った弾丸は大型のアルカ・ネウロイに命中していく。

「あれ?全然効いて無くない?」

 アビゲイルの言葉通り、被弾箇所に傷はなかった。

「これまでよりも装甲が強固ってことでしょうか?大型よりもさらに大きいですし」

「それなら!」

「これで!」

 クロエとソフィアもトリガーを引いた。

 放たれた13.9mmの弾丸とミサイル弾6発が命中する。

「……っ!」

「嘘……」

 少々装甲を削ることができたものの瞬時に再生していた。

 アルカ・ネウロイは全くダメージがないのか、反撃するようにビームを放つ。

「ダメージが通らない!」

「なら、どうするの?」

「どうするって言われても……」

 ヨハンも表情を歪ませる。

 アサルトウィッチーズ内で最も火力を持つであろうクロエとソフィアの攻撃でも少々装甲を削る程度だった。

 普段から使用していたWRの出力がどれほどのものだったのかを再認識する。

「ようやくみつけた。番号はⅩⅣ、敵のコードネームはテンパランス(節制)だね」

「テンパランスって……節制?あのデカブツ、全然節制してねーじゃん!」

 ヨハンも思わず声を上げた。

 目の前を飛行するアルカ・ネウロイ、テンパランスはこれまでのアルカ・ネウロイと比べると明らかに大型であった。

 節制という言葉の意味を考えれば、確かに大型の形状は節制することなく肥大化しているとも言えなくはない。

 再び攻撃を実行するがやはり表面の装甲を傷つけることができるが、決定打にはなっていなかった。

「もしかして節制って僕たちの攻撃によるダメージを節制しているってこと?」

「あー、なるほど。うまいこと言うね、ウィリアスさん」

「「納得している場合ですか!」」

 直葉たちの通信に、ユースティアナとソフィアが思わず声を上げる。

「でも、ダメージが通らないんじゃどうやってもあのアルカ・ネウロイを撃墜できないんじゃ」

「コアの位置は発見できました。何か方法があるはずです」

 固有魔法「魔眼」でコアの位置を見つけ出したベアトも戦闘に参加する。

「でも、どうやってテンパランスの装甲を?今の君たちはWRを使用していない。これまでのような魔法力のバックアップを受けていない状態なのだよ?」

「確かに……」

 テンパランスの攻撃を回避しながらもお互いに通信を送っているが、やはり有効な手段を見つけ出すことはできていなかった。

「どうする……」

 そう口にした零治は視線を落とす。

 腰に下げてある扶桑刀「烈風丸」の鞘を掴む。

「いや、今の俺ではこの刀の魔法力はまだ扱えない……」

 ただただ空のネウロイを見つめる。

「ここは僕の出番かな」

 そう口にしたのはアビゲイルだった。

 右手には固有魔法「雷」が出現しバチバチと音を立てている。

「アビー?どうする気だ?」

「僕の固有魔法と一点集中の突破力ならあの装甲でも抜けるかも」

「わかった。私たちも援護する」

 ヨハンも固有魔法「構築」で片手直剣を作り出す。

「みんな30秒だけ時間ちょうだい。そこからは一撃で決めるから!」

「ソフィアさんはウィリアスさんの防衛を、散開してください!」

 ベアトの指示で再びウィッチたちは散開していく。

「はぁ!」

 ヨハンがテンパランスの装甲を斬り抜ける。

 同時にユースティアナとベアト、直葉が引き付けるように攻撃を実行していた。

 一方、アビゲイルの手には蒼白い雷が幾重にも走り抜け、まばゆく輝く。

「よし、いくよ!フーバーさん、コアの位置は?」

「体のちょうど中央です!」

「OK!」

 アビゲイルはその言葉と共に急加速する。

 テンパランスも接近するウィッチに気づき、反撃するようにビームを放つ。

「ウィリアスさん!」

「いや、アビーなら大丈夫だ!」

 ヨハンの言葉通り、彼女は放たれる攻撃を紙一重で回避し、ぐんぐん距離を詰めていく。

 ついに、ゼロ距離まで接近する。

「迅雷一閃!」

 雷を纏った掌打は装甲と激突した。

 弾けるように空を雷が走り抜ける。

「ぐっ!」

 これまでの攻撃よりも深く装甲抉っているが、まだ攻撃はコアまで届いていない。

「あれでも駄目なんですか!?」

「なんて強固な!」

「何やってんだ、アビー!もっと根性見せろ!」

「うおおぉぉぉ!」

 声を上げ、右手に再び渾身の魔法力を込める。

 蒼白い雷は輝きと共に紫電へと変化していた。

 同時にテンパランスの装甲を突破する。

「――っ!」

 悲鳴のような声と共にテンパランスの巨体は光の粒子となって消滅する。

 アビゲイルの攻撃によって、アルカ・ネウロイの撃墜に成功したのだ。

「や、やりー……」

「ウィリアスさん!」

「大丈夫ですか?」

「う、うん。なんとかね……でも、さすがにもう魔力がやばいかも」

 ユースティアナとソフィアが彼女の体を支える。

 アビゲイルも先ほどの攻撃で魔力をほぼ使い果たしたのか、いつものような陽気とは異なり少しだけ、弱音を吐いていた。

「あっちもどうやら終わったようだね」

「みたいですね」

 通常のネウロイと交戦していたガリア側のウィッチも撃墜に成功したことで、光の粒子だけが空を舞っている。

「よし、みんな帰投――っ!」

 そこで言葉を切った。

 もう一つのコアの反応を感じ取ったからだ。

「まさか!?」

 空に視線を向ける。

 大型ネウロイの姿もなければ人型のネウロイの姿もない。

 だが、数機の飛行艇が空を舞い、1人が飛び降りる。

「……お前は」

 零治の前に降り立った青年はゆっくりと立ち上がり視線をこちらへと向けた。

「ほう。懐かしい顔だな、と言ってもDSが生き残っているとすればお前くらいだろうとは思っていたがな」

「……グルーシャ、なのか」

「ああ、そうだ。覚えていたか、同族の顔を」

 グルーシャと零治はお互いの顔を見つめ、その場に立ち尽くすのだった。




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