ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
第31話となります。



第31話 悲運の再開

 ガリアの海岸にはクロエとソフィアの姿があった。

 固有魔法を使用するとナイトウィッチ特有のアンテナが出現する。

「……」

「どうですか?」

「やっぱり、ガリアの周辺ではユースティアナさんを感じません」

「うーん。飛行して少し範囲を広げないと駄目ですかね……」

 2人はため息をついた。

 ここ数日、毎日高感度センサーで周囲を探索しているが、彼女の反応を感じることはできていなかったのだ。

「エリザベートさん、ラーヴァさん。また固有魔法で探索を?」

「あまり根を詰めすぎるな」

「フーバーさん、それに鈴木さん」

 振り返ると直人とベアトの姿があった。

「はい。でも、私どうしてもユースティアナさんが心配なので」

 クロエは肩を落としていた。

「どうして、琴村さんは出撃許可をくれないんでしょうか?もう私たちの傷も癒えて、魔法力だって回復しているのに」

「それはですね」

「万全な状態でローゼンクロイツの捜索を行うためだ。ナイトウィッチの要請もできたようだしな」

「でも、こうしている間にもユースティアナさんが!」

「そんなことは零治が一番わかっている」

 直人は軍の格納庫へと視線を向ける。

「零治だって本当は今すぐにでも出撃許可を出して、探索を始めたいと思っている。だが、ウィザードという存在もいる以上、半端な状態で出撃させればお前たちだって危険なんだ」

「だから、もう少しだけ待機していて2人とも」

「「はい……」」

 話を聞いたクロエとソフィアもただ従うことしかできず、その場を後にするのだった。

 

 

 一方、ガリア軍基地の格納庫を2人の少女が訪れていた。

「ペリーヌさんから聞いた部隊の格納庫って、ここだよね?」

「そのはずだぞ」

 サーニャとエイラが格納庫内を覗き込む。

 格納庫内には零治やユリウスの姿がある。

「お前たちに、そんな秘密があったとはな」

 DSと特務隊の説明を聞いたユリウスは改めて頷く。

「ちゃんと黙っていろよ。これは軍にとっても最高機密だ」

「わかってるって。それに俺だってもう特務隊なんだからな!ん?おい、琴村。ウィッチが来たぞ」

「ウィッチ?」

 ユリウスに呼ばれ、零治も工具を置いて振り返る。

 どこか見覚えのある顔だ。

 確か彼女たちは第501統合戦闘航空団の……

「あ、こんにちは。支援要請で参りましたサーニャ・V・リトヴァク中尉です」

「同じくエイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉です」

「その名前どこかで……」

「要請に応じていただき感謝します。特務隊アサルトウィッチーズ所属、隊長の琴村零治大尉です」

「あ、同じく特務隊の整備兵、ユリウス・グラハム軍曹であります」

 2人も敬礼して自己紹介する。

「ペリーヌさんから支援要請でと聞いていましたが……」

「こちらも緊急の状況でしてね。リトヴァク中尉のナイトウィッチとしての力をお借りしたいのです。現在、我々は攫われたウィッチの探索を予定しております」

「ウィッチが、攫われた?どういうことだ?」

「言葉通りの意味です。生憎、我々だけでは彼女を見つけ出すのは難しい。ですからナイトウィッチの高い探索能力を貸していただきたいのです」

「了解しました。私の力でよろしければ、その任務に参加させていただきます」

「ナイトウィッチに加えてもう1人ウィッチをつけてくれるとは気前がいいもんだな。それにかわいいし」

 ユリウスはそれぞれの顔を交互に見つめそんなことをつぶやくと、

「サーニャを変な目で見んナ!」

「別に変な目なんて見てないだろ……てか、なんで怒ってんのかね、ユーティライネン中尉は?」

「うーっ!」

「え、エイラ……」

 前に立つエイラはまるで敵視するように威嚇していた。

「ともあれ、これで探索準備は整ったな」

「ああ、直人、ベアト。俺だ、みんなを連れて格納庫に来てくれ」

 零治が特務統合強襲航空団アサルトウィッチーズを招集する。

 数分ほどで6人のウィッチと衛生兵鈴木直人を含めた全員が集まった。

「招集に、応じていただき感謝する。これより我々、特務隊はユースティアナ・ローゼンクロイツ曹長の探索任務に出る」

「ついに行くんですね」

「ああ、リトヴァク中尉とエリザベート少尉の持つナイトウィッチの力で広範囲探知を行い、敵の座標を絞り込みます。その後はウィッチ隊で攻撃を仕掛け、彼女を奪還します」

「「了解です」」

 探索の要であるクロエとサーニャが頷く。

「では、各自出撃準備を」

 その言葉で各々が「はい!」と返事をする。

 ウィッチたちがストライカーユニットを身に着けている中、

「はやりWRは出力が違うな」

「そうだね!今回は絶対負けないよ!」

 ヨハンとアビゲイルは不敵な笑みを浮かべていた。

「2人も準備は大丈夫ですか?」 

「はい!」

「いつでも行けます!」

 クロエとソフィアも頷き、魔力をストライカーユニットWRに循環させると、出撃していく。

「さて、私たちも行こうか。琴村少年」

 直葉は「九九式二号二型改13mm機関銃」を背負うとこちらに声をかける。

「零治……死ぬなよ」

「必ず彼女を連れて全員で帰還する」

 扶桑刀「烈風丸」を腰に下げ、懐のホルスターに自動拳銃「M712拳銃」を差し込む。

 今回の作戦では自分の感知能力とナイトウィッチの広範囲探知を組み合わせて、一気にユースティアナを見つけ出す。

 そのため自分も前線に赴くことになった。

「行きましょう!」

 直葉は零治を抱きかかえると、ベアトたちを追うように飛翔していく。

「今回俺たちにできることはないな」

「そもそも俺たちは戦場じゃ戦えないだろ」

「だな!」

 直人とユリウスは彼女たちの背中をただただ見つめているのだった。

 

 

 

 飛行して30分程が過ぎ本土からは距離が離れた頃、

「琴村少年。さきほどはみんながいたからあえて、言わなかったことを聞いておくよ」

「?」

 直葉のいつもとは異なる口調に思わず息を飲む。

「もし彼女が、ローゼンクロイツさんがアルカ・ネウロイとなっていたら君は引き金を引けるのかい?」

「それは……」

 その言葉に言葉がでなかった。

 目を背けてきたことだ。

 もしユースティアナがアルカ・ネウロイとなっていたなら自分は彼女を撃つことができるのか?

 自分だけではない。

 ベアトやアサルトウィッチーズの仲間たちも彼女を撃つことができるのか。

「弟から聞いたよ。君は一度彼女を庇って死にかけたそうじゃないか。君は彼女に銃口を向けることができるのかい?」

「覚悟は、しているつもりです」

「そうか……なら、いいんだ。躊躇えば死ぬことになるからね」

「……覚悟は確かにあります。ですが、俺は絶対ユースティアナを救います。俺は彼女を助けるために行くんですから」

 直葉少し笑って見せた。

「まあいいさ。で、どうだい、琴村少年?彼女の反応を感じるかい?」

「……いや、まだ感じられない。もっと離れたところにいるみたいです。エリザベート、リトヴァク中尉、手を」

 2人が手を伸ばすと、その手を掴む。

「お、おい……」

「大丈夫ですよ。ナイトウィッチの力をお借りするだけです」

「うー……本当か?」

 エイラは睨むようにこちらを見つめていた。

「広範囲で探知を行います」

 その言葉でナイトウィッチのアンテナが淡く輝き始める。

 同時に自分の感覚が鋭くなり、広範囲に広がっていく。

 数秒後、零治が2つのコアを感じ取る。

「見つけた!」

 目を見開き、声を上げた。

 2つということはおそらく1つはユースティアナ、そしてもう1つグルーシャのものだろう。

「本当ですか!?」

「ああ。この方角……ロマーニャか?」

「行きましょう!」

 クロエとソフィアが先行するように加速する。

「敵にはウォーロックもいる。みんな気を抜くなよ」

「おい、ウォーロックって……」

「本当なんですか?」

 エイラとサーニャが声を上げた。

「はい。第501統合戦闘航空団に所属していた2人は知っていると思いますが、我々の交戦する敵にはウォーロックを所持しています」

「ウォーロックは安定稼働しないんじゃないのか?前だって結局暴走していたじゃないか!」

「遠隔操作しているのならその可能性はあります。……2人はガリアに戻ってください。彼女の座標がわかったのなら俺たちだけで救出します」

「琴村さんの言う通りですよ。私たちなら大丈夫ですから」

「でも……」

「行こう、鈴木少佐」

「そうかい?では失礼するよ」

 直葉たちもロマーニャの方向に向けて加速していく。

「いいのかな……?」

 空で停滞していたサーニャは迷っているのか、そう口にした。

「でも、敵にウォーロックがいるなら危険だぞ?サーニャ」

「……うん。でも琴村大尉たちはこれからそのウォーロックと戦うんだよ?」

「はぁ。なら、私たちも行くか?」

「うん。付き合ってくれる?」

「しょうがないからナ!」

 サーニャとエイラも頷くと再びスピードを上げる。

「この反応は、零治か。まさか、こんなに早くここを特定するとはな」

「グルーシャ。どうした?」

 マロニーがこちらの表情を見て質問する。

「どうやら零治たちがこっちに向かっているようだ」

「なに?どうする気だ?前回の出撃でウォーロックはまだ調整中だぞ」

「ウィザードで応戦する。あれは俺でも操作できるからな。いくぞ」

 グルーシャが視線を送ると、

「……」

 何も言わずユースティアナが頷いていた。

 だが、その瞳は紅く、頬と首筋には赤い亀裂模様が浮かび上がっていた。

「本土が見えてきました」

「もうグルーシャもこちらを察知しているはず」

「敵が来ます!」

 固有魔法「高感度センサー」で敵の存在を補足したクロエが叫ぶ。

 その瞬間、紅の閃光がウィッチたちの間を突き抜けた。

 ロマーニャ本土からは3機のウィザードが出撃してくる。

「無人機であるウィザード3機を確認。各機応戦を!直葉さんは零治さんと本土に!」

「了解した」

 攻撃をかいくぐり直葉がウィザードとすれ違う。

 ウィザードもこちらを補足しようとするが、ヨハンやソフィアの攻撃によって阻まれていた。

「ウォーロックがいない?」

「好都合じゃないか」

 ロマーニャ本土に足をついた。

「っ!この反応……」

 反応を感じた方向を見つめる。

「琴村少年。あれは……」

「ユースティアナ?」

 立っていた少女は自分たちが探していたウィッチ、ユースティアナ・ローゼンクロイツであった。

 だが、DSの持つ固有のコア反応がある。ということは、彼女はティアなのではないか。

 それでも今は彼女を連れて帰ることが自分たちの最優先事項だ。

「無事だったんだな」

 零治が彼女の元へ駆け出す。

 彼女はその紅い瞳でこちらを見つめている。

「……」

「琴村少年、待て!」

「え?」

 直葉の声とほぼ同時に彼女も駆け出した。

「くっ!ユースティアナ?なにを!?」

 繰り出される蹴りを紙一重で回避する。

「やめるんだ、ローゼンクロイツさん!琴村少年だぞ、わからないのか!」

「……」

 そんな声も聞こえていないのか、攻撃を続ける彼女の視線は明らかに殺意を持っていた。

「無駄だ」

「ぐっ!君は、お兄さんのグルーシャ君か!」

「今のユースティアナはお前たちの知るウィッチではない。今の奴はアルカ・ネウロイ。お前たちの呼び方で呼称するならコードネーム、スター(星)だ」

 直葉がシールドを展開する。

 現れたのはグルーシャ・ローゼンクロイツであった。

「そんな……!」

「やめろ!やめてくれ、ユースティアナ!」

 彼女の名前を必死に叫ぶ。

 だが、彼女は止まらない。

「なんでだよ……なんでこんな!」

「琴村少年!もう彼女は!」

「違う!ユースティアナはアルカ・ネウロイじゃない!」

 わかっているが、自分の心はその現実を拒絶していた。

 信じたくはない、信じられるわけがない。

 こんな現実を。

「言ったはずだ!躊躇えば君が殺されるぞ」

 直葉が必死に訴える。

 もうユースティアナはアルカ・ネウロイ、コードネームスター(星)になってしまったと。

 同時にさきほどの会話がフラッシュバックする。

「もし彼女が、ローゼンクロイツさんがアルカ・ネウロイとなっていたら君は引き金を引けるのかい?」

 後退して蹴りを回避し、ホルスターから自動拳銃「M712拳銃」を引き抜く。

 銃口が彼女の頭へと向けられた。

「……っ!」

 紅の瞳と目が合った。

 ここで引き金を引けば、彼女を止めることができるかもしれない。

 だが、それは命を奪うということ。

「俺には、できない……」

 葛藤の末、力が抜けたように銃を持つ腕が下がる。

 腹部に鈍い痛みが走った。

「うっ!」

 腹部を殴りつけられたのだ。

 痛みに思わず膝をつく。

 追撃するようにユースティアナが首をつかみ取り地面に押し倒した。

 背中に走る痛みに苦悶の表情を浮かべる。

「ぐうう……ユース、ティアナ。やめてくれ……」

「……うぅ」

 うめき声のような声を上げ、彼女は拳を振り上げる。

「琴村少年!」

「やれ!ユースティアナ!」

 直葉とグルーシャの声が響く。

 

 

 

 無人機動兵器ウィザードと交戦していたアサルトウィッチーズはその性能に拮抗していた。

「流石はWR。今回は一方的にはやられないぞ!」

 ヨハンは片手直剣を振り下ろす。

 ウィザードも防御するが、彼女のパワーに押されているのか機体が徐々に後退する。

「ハーゲンさん下がって!」

「おっと!」

 クロエの指示に後退すると弾丸が命中した。

 ウィザードのシールドに大きくダメージが入ったのか。機体がバランスを崩す。

「よっ、ほっ!」

 アビゲイルは軽やかな動きで攻撃を回避してみせると、後方から放たれたミサイルに2機目のウィザードも被弾する。

「よし!」

「サンキュー。ラーヴァ!」

 砲撃をしたソフィアもガッツポーズを見せる。

「やはりウィザードの出力は私たちのWRよりも上だけど……それぞれが協力して戦えば対抗も可能です」

 戦況を分析していたベアトが口する。

 3機目のウィザードが肉薄するように突撃した。

 シールドによって攻撃が阻まれるものの、紅の閃光を腕から放つ。

「急に攻撃が激しくなった?」

「フーバーさん!」

 接近に気づいたヨハンが声を上げ、援護に向かおうとするが再びウィザードのビームによって阻まれる。

「これだけ近づかれると……攻撃が」

 そんな時、ミサイル弾がウィザードに命中したことでウィザードが後退した。

「え?」

「今のは?」

 ウィッチたちの視線の先にはさきほど別れたはずのサーニャとエイラの姿があった。

「リトヴァク中尉、それにユーティライネン中尉も。どうして?」

「援護に来ました」

「ウォーロックが相手だってなら交戦経験のある私たちも援護くらいできるからな!」

「ありがとうございます。ここで敵機を撃墜します!」

「はい!」

 ベアトの声にウィッチたちは返事をすると、再びウィザードへと向かって行くのであった。




ちょこっと設定紹介
・量産型無人機動兵器ウィザード
琴村零央が設計、開発したコアコントロールエンジン搭載した無人機動兵器。
ウォーロック同様に自己飛行、攻撃、防御が可能であり、ビームを攻撃としているため、兵士の練度や火器の弾薬も必要としないメリットを持つ。
しかし、単体では単純な戦闘のみを実行するようにプログラムされているため、ウォーロック等による操作のバックアップを受けることで高度な戦闘、飛行が可能になる。
また、量産機のため変形機構はオミットされており、フレームの簡素化といったコストダウンが図られている。
高速移動に特化した「巡航型」と戦闘に特化した「強襲型」の2種類が製造されていたが、
研究所が襲撃を受けたことでウォーロックと共に奪取されており、現在はグルーシャの元で強襲型のウィザードが運用されている。
なお、無人機動兵器ウィザードとストライカーユニットWRに使用しているコアは同じ研究所のものであり、襲撃後に零治たちが残されていた巡行型のコアを回収し、WRのコアとして流用している。

余談として
何の因果か、琴村零治のコードネーム「マジシャン」と「ウィザード」の名称は和訳するとどちらも同じ魔術師である。
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