ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
第34話となります。


第34話 地上の星

 ブリタニア基地に帰還して、数時間が経過したころユースティアナは医務室を訪れていた。

 アサルトウィッチーズの衛生兵である直人の指示でメディカルチェックを受けるためである。

「鈴木さーん。メディカルチェック受けに来ましたー、ベアトさんもいたんですね!」

「悪いな。わざわざ来てもらって」

「ユースティアナさん。こちらにどうぞ」

「はい」

 案内された椅子に座るといつものように直人がメディカルチェックを実施する。

 実施している中でユースティアナとベアトは他愛もない会話をして時間が過ぎていった。

 1時間程度でメディカルチェックを終えると、書類にペンを走らせていく。

「……同調率の数値が上がっているな、零治よりも高くなっている。ローゼンクロイツ、体に特に違和感とかないか?」

「はい。いつもと変わらないです!」

「そうか……なら、いいんだ。ありがとう」

 再び書類に視線を落とす。

「ユースティアナさん。この後みんなでお茶しませんか?」

「いいですね!」

「直人さんもいかがですか?」

「零治に報告したらいかせてもらうよ。グラハムや姉貴も誘ってみてくれ」

 直人は2人と別れ、隊長室へと向かう。

「零治、入るぞ」

 隊長室の扉を開くと書類と格闘する零治の姿があった。

 何やら書類を書いているのか、机でペンを走らせている。

「直人か。どうかしたのか?」

「ユースティアナのメディカルチェックが終わったから報告をと思ってな……って、それ、ロアノークさん宛ての報告書か?」

「うん。流石にウォーロックやグルーシャのことを共有しておかないわけにはいかないからな」

「それもそうだな」

 そう口にして彼は書類をこちらに手渡す。

 書類はいつものメディカルチェック内容が記載されたものだった。

 上から目を通していくが途中で零治の視線が止まる。

「前に比べて、同調率の数値が高いな」

「ああ。彼女自身は体に影響はないと言っていたが、お前より数値が高いのは少し気がかりではある」

 直人の言う通りだ。

 自分もDSであるため、同調率はベアトやヨハンたちに比べて高い。

 だからこそ、その血液から同調率上昇薬「Grow」が製造された。

 ユースティアナもDSであるため同調率こそベアトたちよりも高かったものの、その数値は自分ほどではなかった。

「一度、アルカ・ネウロイになったのが影響かもな。といっても、DSは俺とユースティアナ以外はサンプルが残ってないからな」

「……サンプルが少ない以上、何が起きても不思議じゃないってことか。まったく、こういうことは俺じゃなくて元研究者たちが直々にやってほしいものだ」

 思わず彼が悪態をつく。

 DSの研究者たちはそのほとんどがすでに亡くなっている。

 自分の父、琴村零央と同様に、ウォーロックやウィザードの研究所が襲撃に会った事件が原因だ。

 そのため、DSやウォーロックを知るのは数少ない人間だけであり、自分やユースティアナもナナリーやベアトの監視下によって軍内で行動している。

「俺もそう思うが、軍としては貴重な研究者と人員を失いたくはないんだろう」

「結局、やつらも自分が大事ってことだろ。俺も戦場には出ていないから、同じなのかもしれないが」

「あまり自分も卑下するな、お前たちはよくやってる。それにグルーシャが現れた時は死ぬ危険があったのに戦ったじゃないか。だから直人もグラハムも安全圏で指示するだけの大人たちとは違うと思うぞ」

「……そんなこともあったな。ベアトがこの後、お茶するって言ってたから行くか?」

「そうだな。書類作成も終わったから、行こう」

 一度伸びをして、席を立つと2人は隊長室を後にする。

 

 

 食堂に赴くとすでにウィッチたちの姿があった。

「あ、零治さん、鈴木さん。遅いですよー」

「お2人ともコーヒーでいいですか?」

「うん。頼むよラーヴァ」

 いつもの席に座ると、すぐにソフィアがコーヒーのカップをテーブルに置く。

「ありがとう」

「はい」

 笑みを見せる顔を確認して、コーヒーを飲む。

 ベアトの淹れてくれるコーヒーもいいが、やはりソフィアの淹れてくれるコーヒーもうまい。

「零治さん、このクッキーおいしいんですよ!ガリアでエレオノールさんに教えてもらったんです!」

「そうなのか……」

 ユースティアナはいつものようにエレオノール・ジョヴァンナ・ガションの名を口にして目を輝かせていた。

 確かに、この様子なら多少の同調率の上昇はあまり気にならないようだ。

「あ、うまいな」

「おいしいですよね。私も気に入っちゃいました」

 直人やベアトもクッキーを話題にしていた。

 クッキーを咀嚼し、再びコーヒーを口にする。

「いい味だな」

 確かにコーヒーにもあう味だ。

 これは悪くないな。

 そんな時だった。

 甲高いサイレンがブリタニア基地内に響き渡る。

「ネウロイか」

「ベアトと鈴木少佐、あとは」

「私が行きます」

 進言したのはユースティアナであった。

「……わかった」

 3人のウィッチと共に零治たちが軍の格納庫へと赴く。

 ベアトと直葉はそれぞのストライカーユニットを装着すると、出撃準備に入る。

 ユースティアナもストライカーユニットを装着する。

「……あれ?」

「ユースティアナさん?」

「どうかしたのか?」

 彼女の様子にベアトも視線を向けた。

「その、ストライカーユニットが……」

 何度も魔法力を込めるが一向にストライカーユニットWRのエンジンは回転率が上がらず、エーテルのプロペラも力なく回転するだけであった。

「どういうことだ?」

「ベアト、姉貴。とりあえず2人で出撃を」

「了解です」

「了解だよ」

 直人の言葉で2人は格納庫を出て、空を駆ける。

 そんな様子を見ていたユースティアナも再び力を込めた。

「零治、どういうことだ?」

「わからない……」

 ブリタニア基地に戻り、整備したときはこれまで同様に特に問題はなかった。

 だが、ユースティアナが機体を扱えなくなっているということは、彼女自身に何か問題があるのか?

「なんで……なんで動かないの!」

「ローゼンクロイツ、落ち着け。一度深呼吸をしてみろ」

「……ぐうう」

 深呼吸をして再び、飛行を試みる。

 やはりストライカーユニットのエンジン回転は上がらずにいた。

「駄目か」

「そんな、私……飛べなくなったの?」

「ユースティアナ、今日の出撃はやめておこう。もしかしたら魔法力がまだ回復していないのかもしれない」

「でも!」

「ユースティアナ。君の魔法力は消えたわけじゃない。WRの魔導エンジンが多少だが動いているのがその証拠だ」

 彼女の魔法力は完全には消えていない。

 現に使い魔であるウサギの耳や尻尾が確認できている点や魔導エンジンもかなり弱いものの動かすことはできている。

 しかし、なぜだ?

 同調率が上がっているのならば、むしろこれまで以上にWRも扱えるのではないかと思ったが。

 1時間ほど経った頃、ベアトと直葉が帰投する。

「ネウロイは問題なく撃墜できました」

「ローゼンクロイツさん。落ち込むことないさ、私だって不眠不休で数日くらい魔法力が回復しないこともあったからね。きっと少し休めば大丈夫さ」

「は、はい……」

 直葉に慰めの言葉を受け、少し明るい表情を見せる。

 それでもやはりショックを受けているようだ。

 日が沈み空は闇に包まれてていた。

 ユースティアナは自室で魔法力を使用する。

「……うう」

 両手が蒼白く発光していたが、数秒ほどで霧散していく。

「魔法力が安定しない……ティア!」

 思わず彼女の名前を口にする。

 しかし、室内には静寂だけが広がっていた。

「やっぱり、ティアはもういないのかな……」

 窓の外に視線を向けると、空には満月が淡く輝いているのだった。

 

 

 それから一週間の時が過ぎた。

 最近は毎日のようにネウロイがブリタニア近海に出現したため、アサルトウィッチーズも撃墜任務にあたる日々を送っている。

「ユースティアナさん。大丈夫かな……」

「魔法力がまだ安定していないようでしたからね」

 哨戒任務に出ていたクロエとソフィアも心配そうな表情を浮かべる。

 基地から少し離れた草原に彼女の姿はあった。

「……」

 草原に座り込みただただ遠くを虚ろな目で見つめていた。

「ここにいたのか」

「零治さん……エンジュも」

 声の方を振り向くと零治の姿があった。

 肩には自分の使い魔である白ウサギ、エンジュが乗っている。

「よっと。ほら」

 零治は手にしていた一本の瓶を手渡すと隣に腰を下ろした。

 エンジュが肩から降りるとユースティアナがその頭を優しくなでる。

「これは?」

「ラムネだ。扶桑の海軍でよく好まれる飲み物でな。結構うまいんだ」

 蓋を押すと「ポン」という乾いた音と共にビー玉が落ち、炭酸の泡が溢れる。

 瓶を煽るとすっきりとした甘みと炭酸の刺激が口内に広がっていた。

「うん。うまい」

 こちらの動作を見ていたユースティアナも真似をするように蓋を押し込む。

「うわっ……」

 溢れる炭酸の泡に思わず驚きながらも瓶を煽る。

「おいしいですね。このしゅわしゅわした感じ、私は結構好きです」

「それはよかった。ベアトはその炭酸の刺激が苦手らしくてな」

「そうなんですか。零治さん、私、どうすればいいんでしょうか。飛べなくなって、ネウロイとも戦えなくなっちゃいました」

「ユースティアナは戦いたいのか?」

 その質問に少し考え込む。

 戦いたい、わけではない。

 でも、ウィッチだから戦わなければならない。

 誰かを守れる力があるのなら、守りたいから。

「私はウィッチだから……それに零治さんや友達を守りたいから」

「……その気持ちがあるなら大丈夫だと思うがな」

「でも、どうして魔法力は安定しないんだろう?」

 自分の腕に視線を落とす。

 目に入ったのはⅩⅦの文字だ。

 それはDSとしての証でもある。

「ユースティアナ、ティアと話せるか?」

「それが、ロマーニャのから戻ってからティアの反応がないんです」

 ロマーニャから戻ったあの日から、ティアの声は聞こえなくなってしまった。

 それも魔法力が安定しないことに何か関係あるのだろうか。

「そうなのか。もしかしてコアの反応を感じるのはその影響もあるのかもしれないな」

「私からコアの反応を感じるんですか?」

「うん。ロマーニャで君が目覚めてからコアの反応は感じていた」

 その時だった。

 DSやアルカ・ネウロイたち特有のコアの反応を感知する。

「この反応は……アルカ・ネウロイ?零治さん!」

「分かるのか?」

「はい!エンジュ!」

 使い魔である白ウサギ「エンジュ」が発光すると、ユースティアナの頭に長い耳と腰に尻尾が出現する。

「そうか……いこう、ユースティアナ」

 2人は基地へと向けて駆けだす。

 ポケットからインカムを取り出し、装着する。

 周波数を操作し通信を送ると、

「直人、グラハム!アルカ・ネウロイだ、ベアトたちに出撃準備を」

「了解した」

「整備は済んでるぜ」

 こちらの通信に反応するように直人とユリウスの声が響く。

 コアの反応は全部で2つある。

 どうやら今回のアルカ・ネウロイは2体出現しているようだ。

 

 

 軍の格納庫では直人の指示でベアトたち6人のウィッチが出撃準備に入る。

「敵はアルカ・ネウロイ。零治からの通信では2つ反応があるようだ」

「2体ですか……」

「あの、ユースティアナさんは?」

 クロエが質問する。

「今のローゼンクロイツは飛べないからな、私たちでやるしかない」

「だね!先行くよ!」

 ヨハン、アビゲイルは格納庫から飛びだっていく。

「2人とも、今はアルカ・ネウロイの撃墜が先だ。ローゼンクロイツさんを守るためにも」

「クロエさん」

「はい、わかりました」

 直葉、クロエ、ソフィアも続くように出撃していく。

「ベアト。姉貴やみんなを頼む」

「はい」

 ベアトも優しく微笑むと空へと向けて飛翔していくのだった。




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