ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
第4話になります。



第4話 空を舞う迅雷

 ハングドマンとの戦闘を終えて、ユースティアナは自室にいた。

「うぅ……今日も戦闘で疲れたな」

「それはそうとあのネウロイ変じゃなかった?」

 不意に聞こえたその言葉に、起き上がる。

 周囲を見渡すが室内には自分以外だれの姿もなかった。

 ため息をつき、再びベットに倒れこんだ。

 目を閉じると、まるでイメージ映像のように彼女の姿が映る。

 紅玉のような瞳持つ自分がいた。

「……ティア、急に話しかけないでよ。びっくりするから」

「ちゃんと人前では黙ってるでしょ?」

 ティア。心に眠るもう1人の人格。

 普段は眠っているが、稀にこのように話しかけてくることがある。

「そういう問題じゃ……で、変っていうのは?」

「あのネウロイ、白刃取りなんて芸当をしていたのよ。随分人間らしいことをすると思ってね」

「確かに……」

 白刃取りからの反撃の流れはまるで人間のようだった。

 アルカ・ネウロイが通常のネウロイと異なっている特異体はいえ、動きが変ではあった。

「ティアはどう思うの?」

「今は……人間みたいなことができるネウロイとしか言えないわね。情報が少ないしね」

「そうなんだ……」

 そうつぶやくとおなかが鳴る。

「夕飯まだだったっけ。食堂行ってくる!」

 ユースティアナは部屋を後にする。

 

 

 同時刻、零治たちは医務室に集まっていた。

 戦闘時にヨハンが被弾したことで直人からの治療を受けていたのだ。

「……いてぇ」

「我慢しろ。治療はしたがウィッチの回復魔法と違ってあくまで本人の自然回復だからな」

 直人は回復魔法の使えるウィッチとは異なり、ただの医者だ。

 治療も医学以上のことはできない。

「この程度なら大丈夫ですって、飛ぶこともできます!」

「ほどほどにな、体が第一だ」

「明日いっぱいは休んでおけ」

「えー?大丈夫ですってー……」

 ヨハンも笑って見せる。

 だが痛むのか、腹をずっと押さえていた。

 食堂に向かうとすでに食事の準備ができている。

「もう、遅いよーヨハン。傷は大丈夫なの?」

 アビゲイルがヨハンへと駆け寄る。

「大丈夫に決まっているだろ。私は頑丈なんだからな」

「その割にはおなか庇っているよねー」

「うるせー。あー腹減ったごはんごはん」

 ヨハンとアビゲイルも席に着き、食事を始める。

「琴村さんたちは?」

「ストライカーの整備だってよ」

「一緒に食事すればいいのに……」

 ユースティアナは思わずつぶやく。

「ローゼンクロイツさん。おにぎり作りますので食事が終わったら零治さんたちに届けてもらえますか?」

「はい!」

「僕も行く!いいよね?」

 続くように声を上げたのはアビゲイルであった。

「構いませんが……」

「やったー!一緒に行こうねローゼンクロイツ」

「は、はい」

 ユースティアナも返答し食事を続けていた。

 

 

 軍の格納庫内では零治がストライカーと銃火器の整備を行っていた。

「毎日よくやるもんだ」

「しょうがないだろ。こいつは通常のストライカーよりもデリケートだからこうして出撃毎に整備しなきゃならないんだよ」

 そんな悪態を突く直人を横目に零治は部品を交換する。

 ストライカーの整備も数年もやれば慣れるものだ。

 整備兵になるために軍に入ったわけでもないのに……今はこれが仕事だからやっているが。

「みんなのメディカルチェックの結果はどうだった?」

「全員問題なしだな、変動値も想定内のものだけだ。にしても2日連続でアルカ・ネウロイが現れるとはな」

 手に持っていたタロットカードを2枚めくる。

 カードに描かれているのはⅦとⅩⅡであった。

「俺たちがブリタニアにきて1年経つがその間は一度も出現しなかったからな……」

 そう言って整備を終えたストライカーユニットの扉を閉じる。

 通常のネウロイと戦闘になることはあった。

 しかし、アルカ・ネウロイとの戦闘は先日ユースティアナたち6人の戦闘が初であったのだ。

「まあ、理由はどうであれ倒すことができればいいさ。そのために俺たち結成されたんだからな」

「そう、だな」

 整備作業を続ける。

「琴村さーん、鈴木さーん!」

「ユースティアナ?ウィリアスもどうした?」

「夕食に出ていなかったので、おにぎり持ってきました」

 格納庫内に侵入したユースティアナの手にはおにぎり、アビゲイルの手には水筒が握られていた。

「サンキュー、腹減ってたんだよなー」

「ありがたい、感謝する」

 空腹を感じていた2人も思わずおにぎりに視線を落とす。

 のりの巻かれたおにぎりを食べはじめる。

「ここの整備兵って琴村さんしかいないの?」

 そんな質問を投げかけたのはアビゲイルであった。

 咀嚼していたおにぎりを飲み込む。

「ああ、俺だけだな。他の部隊みたく人員が回せてないんだ」

「えー。いくら6人分とはいえ、全員のストライカー整備って大変じゃない?僕なら絶対無理だな」

 アビゲイルはストライカユニットに視線を向けながらつぶやく。

「やるしかないからやってんだよ。衛生兵だって直人しかいないぞ」

 隣に座る直人は頷いているが、何も言わずお茶を飲んでいた。

 数分後、食事を終えて再び整備に戻る。

「2人はもう休め。明日もネウロイと戦闘になるかもしれないからな。休めるときに休んでおけ」

「はーい」

「了解です。琴村さん、なるべく食事はみんなでしませんか?」

「……善処するよ」

「零治、俺も戻るぞ。早めに切り上げろよ」

 3人がいなくなった後、零治は整備を続けていくのだった。

 

 

 翌日、朝食の席には8人の姿があった。

 眠気から欠伸が出る。

「よく起きられたな。昨日結構徹夜してたろ」

「あんなこと言われたらしょうがないだろ……」

 味噌汁を啜り、焼き魚に箸を伸ばす。

「飯食ったら格納庫でもう1回寝る……」

「部屋で寝ろよ」

「いいんだよ、あそこで」

 ベットで寝ると熟睡してしまう上に、長時間眠ってしまう可能性がある。

 仮眠をとるという意味では格納庫のような場所で寝るのが一番なのだ。

「ねえ、ヨハン。今日は飛ばないんでしょ?釣り行こうよ、釣り」

「釣りかー。久々に行くか」

「釣りって魚を釣るっていうあれですか?」

「そうそう。僕、釣り好きなんだよねー。ローゼンクロイツも行く?」

「いいんですか?」

「大人数のほうが楽しいしね」

 アビゲイルたちが今日の予定を決めている声が聞こえてくる。

「よろしいんですか?零治さん」

「まあ、いいだろ」

 零治もそういって食事を続けていた。

 

 

 朝食を終えて、アビゲイルたちは海岸を訪れていた。

「いい天気で絶好の釣り日和だね!」

「あの、道具とかってどうするんですか?」

 ユースティアナが思わず質問する。

 3人の手には竿等の道具はない。

 手ぶらの状態だったのだ。

「それならヨハンがいるからね」

「ああ」

 ヨハンが固有魔法「構築」を使用すると、手には釣竿が作り出される。

「へー、ハーゲンさんってなんでも作れるんですね!」

 思わず声を上げた。

「なんでもは無理だが、これくらいなら作れるぞ」

「サンキュー」

「ありがとうございます」

 アビゲイルとユースティアナは受け取った竿で釣りを始める。

 3時間ほど経過したころ、

「よっと!」

 アビゲイルの竿に再び魚が引っ掛かり、釣りあげていた。

 すでにバケツには多くの魚が入っている。

「大漁、大漁!」

「すごい……なんであんなに釣れるんですか?」

 ユースティアナは驚きを隠せなかった。

 自分はようやく1匹釣り上げたところだったからだ。

「知らん。アビーが釣りするといつも大漁なんだよな。私だって5,6匹しか釣れないのに」

「何か、コツとかあるんですか?」

「コツかー。うーん、魚の気持ちになる……とか?」

「どんな気持ちだよ、それ」

「ハハハ!」

 3人とも笑い合う。

「よーし、あと5匹は釣っちゃうぞー!」

 再び竿を大きく振り上げた時だった。

「非常招集だ!アルカ・ネウロイの出現を確認した!」

 インカムから響く零治の声に動きが止まる。

「アルカ・ネウロイか!」

「ローゼンクロイツ!ヨハンを頼むよ。僕が行く!」

「え、でも!」

「昨日は戦闘もなかったし元気有り余ってるからね!任せておいて!」

 アビゲイルは釣竿をヨハンに投げ渡し、駆け出す。

 数分で格納庫に到着すると、すでにベアトとソフィアがストライカユニットを装着していた。

 注射器を受け取り首元に当てる。

 Growを投与して、魔法力を高めると猫を思わせる耳、尻尾が出現する。

「いくよ!」

「はい!」

「ええ!」

 その声と共にウィッチたちは格納庫を飛び出し、空を舞う。

 空にはすでに大型のアルカ・ネウロイの姿があった。

「あれ?人型じゃないんだ」

「昨日ローゼンクロイツさんたちが交戦したアルカ・ネウロイも大型のネウロイに変化したって言ってましたからね」

「側面にⅨの文字……コードネームはハーミットです!」

 ベアトの報告で零治がタロットカードに視線を落とす。

 タロットカードのⅨはハーミット、隠者だ。

「ベアトさん!作戦は?」

「昨日話した通りで!ウィリアスさんは接近して敵を翻弄してください。ラーヴァさんは後方から支援砲撃を!その間にコアを見つけます」

 その指示でウィッチたちは散開する。

 ユースティアナたちを3人で組ませたのと同じでベアトたち3人も戦闘スタイルに合わせて組んでいる。

 アビゲイルは主に機動力を生かしたヒットアンドアウェイの戦闘を得意としている。

 ソフィアは強固なシールドと重火器による砲撃戦、そしてベアトは中距離射撃戦を得意としている。

 また固有魔法によって部隊の司令塔としても機能するのだ。

「いっくぞー!」

 高い機動力を生かして、ハーミットに接近する。

 「トンプソン短機関銃」の引き金を引いた。

 銃口から次々に弾丸が放たれる。

 続くようにソフィアが狙いをつけ、バズーカ砲「フリーガーハマー」のトリガーを引く。

 小型ミサイルがネウロイに命中して次々に爆発する。

「――っ!」

 体を大きく損傷したことでハーミットが悲鳴を上げ、無差別にビーム攻撃を行う。

「くっ!」

「攻撃が激しくなってます!」

 2人がシールドで防御している。

 そんな中、アビゲイルはシールドを張るのを最小限に攻撃を回避していた。

 動体視力を活かして、攻撃をぎりぎりで回避する。

「すげーな、あいつ。どんな動体視力しているんだ……」

「全部を回避するのが無理とはいえ、それでもあれだけ攻撃を回避するとはな」

 零治や直人もその戦闘に素直に驚いている。

 501統合戦闘航空団にも未来予知によって攻撃を回避するウィッチがいると聞くが、彼女は動体視力だけで攻撃を回避している。

「見つけた!機尾にコアがあります!」

「了解!1発で決めてやる!」

 その言葉と共にすでに後方に回っていたアビゲイルの右手に雷が発生する。

 固有魔法「雷」によって彼女は魔力を雷に変化させることができるのだ。

 再びハーミットに接近する。

「うぉぉぉ!」

 投擲された槍のごとく彼女の攻撃はハーミットの体を一直線に貫通していた。

 コアも破壊に成功しており、光の粒子となって消滅していく。

「さすがですね。ウィリアスさん」

「いやいや、2人の援護があったからだってー」

「でも、ウィリアスさんが敵を翻弄してくれたから私も問題なくコアを見つけることができました」

「そう?もっと褒めてくれていいよー」

 満更でもないのか褒められていること素直に喜んでいた。

「やはりベアトがいた分安定しているな」

「それもあるかもしれないが、ウィリアスもすごかったな」

 アビゲイルの戦闘スタイルは聞いていたが、あそこまで尖った戦闘を実際に見せられると驚かされた。

 それにソフィアと組ませる選択は間違っていなかったようだ。




ちょこっと設定紹介
ウィッチ隊
・アビゲイル・ウィリアス少尉(オリジナル)
 性別 : 女性
 年齢 : 17歳
 身長 : 151cm
 体重 : 43kg
 生年月日 : 2月22日
 魔法力 : 中
 使い魔 : 猫(ミドリ)
 固有魔法 : 雷
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