ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ 作:UNIMITES
第36話となります。
よく晴れた日の昼下がり、零治とユリウスは軍の格納庫でストライカーユニットの整備を行っていた。
そんな中、哨戒任務に出ていたユースティアナと直葉が帰投する。
「ただいま戻りました!」
「おかえり、2人とも」
「うん」
「お先に失礼します!」
武器を置いて、ストライカーユニットを外すとユースティアナは早足で格納庫を駆けていく。
「随分急いでるな」
「今日はラジオでルミナスウィッチーズの歌が流れるらしいからな」
「彼女も楽しみにしていたからね」
直葉はユリウスの隣に腰を下ろす。
「にしても、最近のローゼンクロイツはすげーな。飛べるようになってからは一人でネウロイを倒しまくってるしよ」
「確かに、そうだね。まるで別人のようだよ」
「……」
ユリウスや直葉の言う通りだ。
先日のサンとムーンの戦闘以降、その圧倒的な魔法力とWRとの完全同調(フルシンクロ)によって彼女は戦闘の度にネウロイをほぼ一人で倒している。
これがユースティアナ・ローゼンクロイツというウィッチの本来の力なのかもしれない。
「同調率も上がっているから、それもあるのだろうな」
「そうだ、琴村少年。どうして、私にはGrowやWRを使用させてくれないんだい?メディカルチェックも受けているし、こう見えて私は病気とは無縁な健康体が取り柄なんだがね」
質問された零治は少し考え込んだ後、再び彼女に視線を戻す。
「それでしたら、直人が使用させるなって言うからですよ。鈴木少佐が来た頃にね」
「弟が?」
直葉は首を傾げると、
「直葉少佐ってウィッチとしての魔法力在りますけど二十歳ですし、変に外から刺激を与えると魔法力にも影響するかもしれないって言ってたな」
思い出したようにユリウスがつぶやく。
彼の言う通りだ。
直葉はウィッチではあるが、すでに二十歳を迎えている。
いつ魔法力が低下してもおかしくない上、GrowやWRのような特殊な刺激はその魔法力に影響しないとも限らないのだ。
「ほう、そうだったのかい。というか、グラハム少年もだいぶこの部隊に馴染んて来たね」
「そうですか?俺もここに来てまだ1か月くらいだと思いますが」
「結構助かっているよ。俺もWRとストライカーユニットを1人で整備するのは大変でな。グラハムのおかげで訓練時間もある程度確保できるようになったからな」
工具を置いて、ストライカーユニットの扉を閉じる。
「よし整備も終わったし戻るか」
「おうよ」
「うん」
2人と共に零治は格納庫を後にする。
隊長室に戻った零治は、一息つくように瓶のラムネを口にする。
「ふう……別の人格、か」
先日ユースティアナたちと話したことを思い出す。
彼女の中に存在したティアというもう一人の人格。
その存在は体内のコアが生み出したアルカ・ネウロイとしての人格だったというが、自分にはそんな人格はいない。
「はあ……」
ため息をつくと、机に置かれた扶桑刀「烈風丸」に手を伸ばす。
結局、この刀の力も発揮できていないのが現状だ。
「……力の使い方をどうにか見つけ出さないとな」
そんな時、室内に電話音が響き渡る。
受話器を取り、耳に当てると聞き覚えのある声が響く。
「零治、アルカ・ネウロイの情報が入ったわ」
自分の上官であるナナリー・ロアノークである。
「そうか、確認された場所は?」
「ベルギカ王国周辺の上空よ。今回も人型って報告を受けているから間違いないわ」
「ベルギカ……」
室内に立てかけられた世界地図へ視線を向けた。
数秒ほどで一致する名前を見つけ出す。
「わかった……俺たちも向かうよ」
「零治」
「どうかしたのか?」
「報告書読ませてもらったけど、あなたの体は大丈夫?」
電話越しでも彼女が心配していることがわかった。
先日提出した報告書にはユースティアナの件も記載していた。
同じDSである自分のことも気になるのだろう。
「ああ、俺は大丈夫だ。それにあと少しで、この因縁も終わりにできるからな」
「そう、気を抜かないでね」
「うん。俺たちは必ず生き抜くさ」
会話を終えて、受話器を置いた。
烈風丸を腰に下げると隊長室を後にする。
基地内の廊下を歩いているとちょうど自室からユースティアナが現れる。
「あ、零治さん」
こちらの姿を確認したユースティアナが駆けてくる。
「ユースティアナ、もしかしてこれからメディカルチェックか?」
「はい。鈴木さんからしばらくは毎日来いって言われたので」
「そうか。俺も直人たちのところに行くところだったから、一緒に行くか」
「はい!」
2人は再び廊下を歩き出す。
「最近はよくネウロイを倒しているみたいだな」
「はい。なんだが今までできなかったことができるようになった気がするんです」
「ほう……」
彼女の言葉を聞いて少し興味を抱く。
「魔法力はこれまでより強くなったみたいで、あとは視野が広がったみたいだってベアトさんが言ってました」
視野が広がった、か。
確かに。ここ最近、戦闘を何度が見ているが、ユースティアナは戦闘時によく回りを見るようになった気がする。
他にも直感が鋭くなったのか、ティアのような戦闘を度々見せていた。
「ユースティアナは成長したってことだな」
「えへへ。そうですかね」
彼女は照れるように頬を染める。
医務室に到着し、扉を開けると直人、ベアトを発見する。
「零治?ユースティアナも来たか」
「メディカルチェックに来ました」
「そうか。で、零治はどうかしたのか?」
ユースティアナが席に着くのを確認するとこちらをに視線を向けた。
零治も先ほどのナナリーとの会話を思い出す。
「次のアルカ・ネウロイの情報が入った」
「本当ですか?」
「次はどこですか?」
ベアトとユースティアナが振り向いて質問する。
「ベルギカ王国だそうだ」
「ベルギカ?」
ユースティアナが首を傾げると、
「前にハルトマンさんが滞在しているのが確かベルギカ王国だって聞きました」
ベアトが思い出したように口にする。
彼女の言うハルトマンとはウルスラ・ハルトマンのことだろう。
先日、ウチの基地で利用されているストライカーユニット「WR」の情報を得たことで、ウルスラはこのブリタニア基地を訪れたことがある。
「ハルトマンさんは今もベルギカ王国に滞在しているのか?」
「さあな」
つい先日、第501統合戦闘航空団ストライクウィッチーズは活動を再開したって話は聞いている。
しかし、彼女が同行しているのかまでは分からなかった。
そもそもウルスラは第501統合戦闘航空団所属ではないはずなのだから。
「それも行ってみればわかるだろう」
「了解だ。そうだ、ついでにお前もメディカルチェック受けていけ」
「いや、俺は」
「零治さん、一緒に受けましょう」
「……わかった」
ユースティアナの不安そうな顔に仕方なくを受けることを了承する。
数時間後、メディカルチェックを終えて医務室を後にした。
「それで、ベルギカ王国にはいつ行くんですか?」
「あまりゆっくりはしていられないからな」
ユースティアナの質問に少し考え込むように顎に手を当てる。
「はい。アルカ・ネウロイが他の地域に移動されると、また見つけ出すのが難しくなりますから」
「ま、明日には移動した方がいいかもな」
直人の言葉に頷き、明日には移動することを決めるのだった。
翌日、ランカスターはブリタニア基地を発つ。
操縦席に座る直人の隣にはユリウスと直葉の姿があった。
「で、ベルギカ王国ってのは遠いのか?」
「それほど遠くはなかったはずだよ、ほらこの辺りさ」
直葉が地図を広げ、位置を示すと
「へー、案外近いんだな」
「だろう?」
ユリウスも地図の位置を確認して頷いていた。
「てか、姉貴とグラハム。随分仲良いな?」
2人の様子を見ていた直人は思わずつぶやく。
「彼にはいろいろ助けてもらっているからね!」
「俺も特務隊になったからな、お前らや直葉少佐の助けになるため、必死なだけだぜ」
「まあ、それでも結構イケている顔しているとは思うがね」
「そ、そうすか?!ははは」
ユリウスは照れるように頬を緩ませていた。
数時間のフライトを終えて零治たちの搭乗するランカスターがベルギカ王国の地に降り立つ。
「ここが……サン・トロン基地か」
周囲を見渡す。
昔から様々な国を訪れていた自分にとってもこの国、ベルギカ王国は初めて訪れた地だった。
それにサン・トロン基地も名前くらいは聞いたことがあったが。
「零治さん、ローゼンクロイツさん、お久しぶりです」
声の方を振り返ると見覚えのある少女の姿があった。
眼鏡と白衣が特徴的な少女、ウルスラ・ハルトマンである。
「ウルスラさん。久しぶりですね」
「お久しぶりです!ハルトマンさん!」
零治とユースティアナも彼女と挨拶を交わす。
ウルスラの隣には長い銀髪に眼鏡から覗く赤い瞳が特徴的なカールスラントのウィッチの姿もある。
「あ、こちらはハイデマリー少佐です」
紹介され、ハイデマリーが一礼する。
「特務隊、琴村零治大尉です」
「同じくユースティアナ・ローゼンクロイツ曹長です」
2人も敬礼して、彼女を見つめた。
名を聞いたことがある。
ハイデマリー・ヴァルプルガ・シュナウファー少佐。
カールスラント最強にして、世界最高のナイトウィッチでもある彼女の名前は自分だけでなくウィッチではない直人やユリウスでも知っている。
それほど彼女は有名人であるということだ。
「あなたが琴村大尉ですか。活躍はウルスラさんから聞いています」
「名前を覚えていただいて、光栄です」
「最近のウルスラさんはよく琴村さんの話をしていましたから」
「は、ハイデマリー少佐!」
ウルスラは珍しく顔を赤くして見せていた。
そんな様子にハイデマリーやユースティアナが笑って見せる。
「そうだ、琴村さん。今回、ここに来たのはもしかして」
「はい。人型ネウロイがサン・トロン基地周辺で発見されたと聞いたので」
「じゃあ、私たちが先日交戦した人型のネウロイは……」
「そのようですね」
こちらの言葉に2人は納得したように頷いていた。
どうやら、先日アルカ・ネウロイと交戦したようだ。
「交戦したんですか?」
「はい。すぐに逃げたので撃破には至っていませんが……」
「そうだったんですか。では、次の出撃時には我々も協力します」
「はい。お願いします」
ハイデマリーは再び一礼する。
「零治さん、少し手伝ってほしいことがあるんです」
「手伝ってほしいこと?」
ウルスラに連れられ、格納庫を訪れる。
数台のストライカーユニットにトラックや銃火器が並ぶ中、一機のストライカーユニットの前で足を止めた。
そのストライカーユニットは赤いストライカーユニットであり、形状はどこか見覚えがある。
「おー」
隣にいたユースティアナもその機体を興味深そうに見つめていた。
「これってジェットストライカーですか?」
真っ先に浮かんだのは特務隊でも運用されているジェットストライカー「Me262」だった。
「はい。新型のジェットストライカー、Me163『コメート』です」
「また、ジェットストライカーって懲りないですね」
思わずため息をつくと、
「零治さんだってMe262の設計図からWRを作っていたじゃないですか、私にも内緒で」
「……」
ウルスラはこちらの弱みを突くようにつぶやく。
「でもジェットストライカーじゃ、やっぱり運用時間に難があるんじゃないですか?」
ジェットストライカーは強力な機体だが、それ故に燃費が悪いという欠点を持つ。
これは初期型のMe262や自分たちが運用しているWR4号機も抱えている問題だった。
WR4号機は魔導エンジンtype-Cによる魔力のバックアップという力技でなんとか実戦に耐えうる運用時間を確保していた。
そのほかに、運用時間を延ばす方法を見つけられていなかったからだ。
「魔法力の消費はレシプロ機と同じくらいに抑えられていますが、やはり燃費問題は解決できてはいませんね。これでも零治さんたちからいただいたデータも取り入れましたが、WRの特殊な魔導エンジンが羨ましいです」
「やっぱ燃費問題は課題ですね……で、手伝ってほしいというのはもしかして」
「はい、コメートの最終調整です。ほとんどは済んでいますが、零治さんの意見も聞きたいですから」
「了解です。グラハム、お前も調整に付き合えよ」
「俺もかね?」
ユリウスは自分が呼ばれたのは予想外だったのか少し驚いていた。
「ああ、ジェットは特殊なストライカーだが、整備や修理できるように構造知っておくに越したことはないからな」
「では、お願いします」
1時間も掛からず最終調整を終える。
「にしてもコメートは誰が運用するんですか?」
気になったことを質問する。
「これは第501統合戦闘航空団ストライクウィッチーズで運用を予定しています」
「へーあの501かよ。すげーな」
「はい。これからベルリン奪還を目的にしていますからね」
ウルスラは少し真面目な表情を浮かべてそう口にした。
「ベルリン奪還……カールスラントか」
「ですから、調整中に零治さんたちにも手伝っていただけてよかったです」
「手伝ったといっても何も手は加えてませんし、むしろジェットストライカーを改修し続けているウルスラさんのほうがすごいと思いますよ」
零治の言葉に少し照れているのか彼女は頬を赤らめていた。
そんな時、いつも感じるコアの反応に零治は格納庫の入口へと振り返る。
「零治さん?」
「琴村、どうした?」
「アルカ・ネウロイだ……」
その言葉にユリウスとウルスラの表情も険しいものへと変わった。
同時にインカムからユースティアナの響く。
「零治さん、アルカ・ネウロイの反応です!」
「ああ、こちらも存在を感知している」
通信を終えて数分程経った頃、ユースティアナたちが格納庫へと集まる。
「ユースティアナ、ベアト、鈴木少佐。出撃を」
「「はい!」」
「任せておきたまえ!」
3人はそれぞれのストライカーを装着し、出撃していく。
「私も出撃します」
ハイデマリーも準備を終えて、後を追うように出撃する。
「前方数キロ先にネウロイを捕捉しました」
数分もせず、敵アルカ・ネウロイを捕捉したハイデマリーの声に、3人も前方を見つめた。
「これは、霧?」
周囲には白い撫養のような霧が舞い、数メートル先を確認するのが精いっぱいなほどであった。
「ベアト、周囲の状況はわかるかい?」
「私の鷹の目でもそう遠くまでは見えないみたいです」
「ベアトの固有魔法でも厳しいのか……」
直葉は苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべる。
「――っ!」
こちらを捕捉したのか、悲鳴のような甲高い声が周囲に響き渡った。
同時に紅の閃光が霧の中を突き抜けた。
「っ!」
「攻撃が!」
直葉とベアトはその攻撃に反応がワンテンポ遅れる。
「は!」
ユースティアナの展開した大型シールドが遮るように攻撃を防いだ。
「大丈夫ですか?」
「ありがとうユースティアナさん!」
「また、来ます!」
ハイデマリーの言葉通り、次々にビームが放たれた。
シールドで攻撃を再び防御するが、怒涛の攻撃に表情を歪ませる。
「霧の中でも敵は正確にこちらを攻撃してくる……やはりこの霧はアルカ・ネウロイが作り出したもの?」
状況を分析していたベアトの言葉通り、アルカ・ネウロイはこちらの位置を正確に捕捉できているのか、霧による視界不良でも問題なく攻撃を実行していた。
「一体どうすれば……」
「敵ネウロイは私が捕捉して、位置を指示します。フーバー大尉と直葉少佐は攻撃をお願いします」
彼女の指示に直葉も作戦を理解する。
ハイデマリーはナイトウィッチであり、その固有魔法は「魔導針」。
周囲の感知能力はベアトやユースティアナよりも上であり、集中すればより正確に敵の位置を割り出せるのだろう。
「了解です。ローゼンクロイツさんはハイデマリー少佐の防御をお願いするよ」
「はい!」
次の作戦を決定したことでウィッチたちは散開していく。
「ベアト、この霧では私は君に動きを合わせるのは厳しい。悪いが動きは私に合わせてもらうよ」
「お任せください!」
言葉通り直葉の動きにベアトが合わせることで、お互いに高速飛行していく。
「正面です」
その言葉に2人は同時に左右に回避する。
立て続けにビームが放たれるものの、ハイデマリーの指示と2人は息の合った動きで攻撃を回避していく。
まるで先日戦ったアルカ・ネウロイ、サン(太陽)とムーン(月)のように。
「コアを確認!距離は約20メートル」
ベアトは固有魔法「魔眼」を発動したことで、人型アルカ・ネウロイのコアを視認する。
銃を構えトリガーを引いた。
静寂を打ち破るように響き渡る銃声。
アルカ・ネウロイも攻撃に気づき、攻撃を回避して見せる。
「っ!」
「攻撃は当たってはいないのか……」
彼女の表情に、アルカ・ネウロイが撃破に至っていないことを認識する。
反撃するように紅の閃光が霧の中から放たれた。
2人も反射的にシールドを展開する。
「ぐっ!」
直葉は思わず表情を歪ませた。
彼女の展開したシールドは攻撃を防ぎきることができなかったのかビームが持っていた九九式二号二型改13mm機関銃の銃身を撃ち抜いたのだ。
「直葉さん!」
「問題ないよ!ベアト、攻撃を続けるんだ。また距離を取られたら撃墜が難しくなる!」
心配する声を遮るように直葉の凛とした声が響く。
「りょ、了解です!」
ベアトはアルカ・ネウロイの方を向き直ると、再びトリガーを引いた。
銃弾が命中したため、アルカ・ネウロイは悲鳴のような声と共に紅く発光する。
「――っ!」
「あれが!敵ネウロイ!」
形状が飛行艇のような形状に変化したのだ。
同時に周囲の霧が晴れ渡ったことで、その巨体と体に刻まれたⅥの文字を確認する。
タロットカードのⅥはラバーズ(恋人)、それが敵アルカ・ネウロイのコードネームだ。
「霧が晴れた!ローゼンクロイツさん私たちも攻撃に参加します!」
「はい!」
ハイデマリーの言葉で、アルカ・ネウロイを目指して空を駆ける。
3人の猛攻をによってアルカ・ネウロイの装甲が削られていく。
そんな中、装甲肌の中から紅いコアが露出した。
「よし、このまま……ぐっ!」
アルカ・ネウロイの攻撃が激しくなる。
ユースティアナたちはシールドで攻撃を防いでいるものの、攻撃の手が止まったことでアルカ・ネウロイは体を再生させていく。
「ベアト!」
直葉は視線を銃に向ける。
銃身を削り取られてしまっており、この状態で銃弾を発砲することは不可能であった。
「なりふり構っていられないか」
銃を握りなおすと魔法力を手に集中させる。
魔法力によって腕から銃にかけて、淡く発光するのを確認すると再びアルカ・ネウロイに向けて接近していく。
「直葉さん!」
「鈴木少佐!」
接近する彼女の姿を確認してウィッチたちが声を上げた。
それでも直葉は速度を落とすことなく、距離を詰めていく。
放たれるビームをシールドで防御するが、貫通したビームが頬や肩を掠めていた。
「うう、うおおぉぉ!」
力任せに銃をコアめがけて振り下ろす。
魔法力を帯びた武器の攻撃を受けたことでコアが砕けた。
同時にアルカ・ネウロイの体は光の粒子となって消滅する。
「やった!ネウロイを倒した!」
「やりましたね」
「はぁはぁ……」
「直葉さん、大丈夫ですか?」
敵ネウロイの撃墜を確認した2人を横目に、ベアトは心配そうに直葉の顔を覗き込む。
「ああ、大丈夫さ。少し疲れただけさ……うお」
「直葉さん!」
飛行が安定していないのか直葉が態勢を崩すのを確認して、その体を支える。
「あの、もしかして魔法力が……」
「何も言うなベアト。どうやら私も限界が近づいてきたようだね……基地に戻ろう」
「ユースティアナさん、ハイデマリー少佐、戻りましょう」
「鈴木少佐、大丈夫なんですか?」
「なーに、問題ないさ。久しぶりに魔法力を全力で使ったからね、少し疲れてしまっただけさ」
作り笑顔を見せる直葉をベアトはただただ心配そうに見つめていた。
「そうなんですか。なら、よかったです!」
ユースティアナもその言葉に安心したように頷くと4人はサン・トロン基地へと帰投するのだった。
人物紹介(詳細)
・鈴木直葉(すずき すぐは)少佐(オリジナル)
二つ名 : 月狐の魔法少女
性別 : 女性
年齢 : 20歳
身長 : 169cm
体重 : 50kg
生年月日 : 8月16日
魔法力 : 中
使い魔 : 狐(ブラッキー)
固有魔法 : 偏差射撃(直葉の固有魔法。ハンナ等が使用する固有魔法と同じであり、銃弾の発射から着弾までの時間で目標がどう動くかを予測し、正確に命中させることができる)
容姿 : 短めの黒髪に黒曜石色の瞳を持ち、扶桑皇国海軍の制服を身に着けている。
性格 : 普段は周りを巻き込むトラブルメーカーだが、戦場では命を最優先とするため生真面目な性格となる二面性を持つ
得意分野 : 射撃戦、訓練教諭としての教育
使用ストライカーユニット : ストライカーユニット 紫電
パーソナルマーク : 月を背景とした狐
概要 : 第二章にてアサルトウィッチーズに所属しているウィッチであり、階級は少佐であるため零治やベアトよりも階級は上である。
13歳で魔法力を覚醒したことでウイッチ歴としては7年となるため、戦場でも長く戦っているウィッチ。
魔法力は一般的なウィッチとそう変わらないものの、ベアト同様に戦闘経験や戦闘技術、センスによってで確実な撃破を行う他、高速飛行するネウロイには固有魔法の偏差射撃によって対抗できるため、どんな状況でも安定した活躍が可能。
直人の姉であるため零治やベアトとの付き合いは長く、ベアトの魔眼覚醒にも一役買っている。
なお、数少ない20歳であるためナナリーや石井大尉と一緒にお酒を飲んだことはあるものの、アルコールにはめっぽう弱くすぐに酔いつぶれることから月狐(下戸)の魔法少女と呼ばれた経験を持つ。