ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
第41話となります。


第41話 憤怒の紅(レッドレイジ)

 ユースティアナ、ベアト、ソフィアの3人は空を駆けていた。

「アルカ・ネウロイを発見!」

「こちらも捕捉しました」

「ベアトさんコアの探知はお任せします!」

 視線の先を飛行していた人型のアルカ・ネウロイを確認する。

 先行するようにユースティアナが加速していく。

 アルカネウロイもウィッチたちに気づいたのか方向転換して、ビームを放つ。

「……っ!」

 反射的にシールドを展開して防御する。

 有効射程距離に入ると反撃するように銃の引き金を引いた。

 しかしアルカ・ネウロイはこれまでの人型と同様に攻撃を回避していく。

 人型の状態は大型の状態に比べて、攻撃力や治癒能力は劣るものの、その機動力や旋回性能が高いためウィッチのように機動力で翻弄するといった戦闘が可能になっているのだ。

「コアを確認しました。位置は腹部です」

「了解!」

「これで!」

 各々が狙いをつけるように銃を構える。

 その瞬間、アルカ・ネウロイがまばゆい閃光を放つ。

 堪らず3人も腕で顔を覆っていた。

 そんな隙を突くようにアルカ・ネウロイは急加速して本土へと向かって行く。

「アルカ・ネウロイが!」

「くっ!後を追います!」

 苦虫を噛み潰したように表情を歪ませたベアトもその後を追う。

「ソフィアさん、私たちも行きましょう」

「はい!でも、どうしてアルカ・ネウロイは本土に向かっているんでしょうか?」

「……」

 状況を整理したソフィアはその不可解な行動に疑問を抱いていた。

 ユースティアナもまた同じ疑問を抱く。

 アルカ・ネウロイの行動原理は通常とは異なっているという。

「先日のザ・フールと交戦したときも、戦闘している私たちじゃなく本土に向かっていましたね……」

「何か理由があるんでしょうか?」

「今は何とも言えませんけど、撃墜を優先します!」

 2人も再び、アルカ・ネウロイを見つめる。

 本土で双眼鏡を覗く零治も接近しているアルカ・ネウロイの存在をいち早く感知していた。

「さっきより近づいているな……ハーゲン、ウィリアス、エリザベート。出撃準備を!」

 インカム越しに叫ぶと、

「「了解!」」

「了解です!」

 3人はGrowを投与し、出撃していく。

 格納庫に来た直葉もストライカーユニットの方へと視線を向けた。

「さて、私も出撃するかね」

「駄目だ!」

 引き留めるように直人が直葉の腕を掴む。

「なんのつもりだい?弟よ」

「もっと自分の体のことを心配しろよ、姉貴」

「私は健康体だ。何も問題はない」

「そういう意味じゃねー!」

 頭に血が上っているのか直人が声を上げた。

「直葉少佐。流石に俺も許容できないですよ。出撃するのは危険です」

「はぁ。言ったはずだよ、何も問題はないと」

「姉貴!」

「離したまえ!」

 その言葉を遮るように直葉の凛とした声が格納庫内に響き渡る。

 腕を振りほどいたことで直人も思わず尻もちをつく。

 彼女の表情はこれまでの優しいものとは異なり、険しい。

 形容するのなら、まるで修羅のような表情を浮かべていた。

「2人とも、ベアトから私の魔法力のことを聞いているんだろう?」

「はい。だからこそ」

「ああ、私もわかっている。わかって今出撃しようとしているんだ」

 再び彼女の凛とした声が響く。

「そこのところわかってくれないかい?」

「わかんねーっすよ!戦場に出るってことは命がかかってるんです、絶対止めます!」

 返答したのはユリウスであった。

「ウィッチではない君たちにはわからないだろうね」

「ウィッチのことはわかんねーすよ。でも俺の親父も戦場に出て死んじまった……親姉弟を失う悲しみを鈴木にも味合わせていいっていうんですかね!?」

「……」

 その言葉に、直葉は足を止めた。

 彼女にも何か思うところがあったのだろう。

 それ以上は何も言わず、ただただ立ち尽くしていた。

 一方、接近したアルカ・ネウロイとヨハンたちも交戦を始める。

「ぐっ!」

「こいつ、早い上に強い!」

 ヨハンの振り下ろした剣とアビゲイルの射撃を回避してアルカ・ネウロイも反撃するように機銃のような攻撃を繰り出す。

「敵は一体だが、これまでよりも苦戦しているな」

 ふと脚部に刻まれた紅い文字が目に入る。

 刻まれてるのは「Ⅱ」。つまり、あのアルカ・ネウロイのコードネームはハイプリエステス(女教王)ということだ。

 そんな中、先行していたベアトたち3人も合流する。

「みなさん、コアの位置は把握できています。ここからは6人で協力して戦いましょう」

「了解!」

 ベアトが司令塔となって、5人のウィッチの動きを統率する。

 その結果、あきらかに彼女たちの動きが変わった。

 やはりベアトという司令塔は自分たちアサルトウィッチーズになくてはならない存在のようだ。

「はぁ!」

 ヨハンが片手直剣を振り下す。

 ハイプリエステスも両手で防御するものの、体制を崩した。

「これで!」

 その隙をつくようにベアトが接近して銃を構える。

 しかし、そんな中ハイプリエステスが眩い閃光を放つ。

「ぐっ!」

 怯んだベアトに追撃するようにエンプレスが蹴りを放った。

 シールドを展開するが、威力を殺しきれずに後方へと吹き飛ぶ。

「「ベアトさん!」」

 ユースティアナとクロエが真っ先に救援へと向かう。

「こいつ!」

 アビゲイルも怒りを顕にして、紫電を纏った掌打を放つが、

「……っ!」

「なにっ!?ぐあ!」

 ハイプリエステスはその攻撃を見切ったように回避して見せる。

 そのまま回し蹴りをかまして、アビゲイルをいなしていた。

「ウィリアスさん!大丈夫ですか!?」

「あいつ、背中に目でもついてんの!?」

 ソフィアに支えられていた彼女は思わず悪態をつく。

「こいつ!」

 再びヨハンが剣を振るがハイプリエステスは紅く発光する手で繰り出される剣劇を的確にさばいている。

 数回目の打ち合いで剣の刃を砕くとカウンターのごとく拳を叩きつけた。

「ぐああ!」

 そのまま地面に落ちる。

「ハーゲン!」

「ぐうう……野郎っ!」

 零治もたまらず落下地点に駆け寄った。

 落下の寸前にシールドを展開して、衝撃を緩和したのか、ヨハンはなんとか無事のようだ。

「っ!」

 ハイプリエステスもブリタニアの地に降り立つ。

 零治も烈風丸を抜刀して構える。

「琴村さん……無茶だ!」

「わかっている!だが、それでも!」

 そんなことは言われなくても分かっていた。

 だが、今ここで戦わなくては、自分は一体何のために訓練してきたんだ!

 訓練をしてきたのは、こんな状況で仲間を守るためだろ!

「はあぁ!」

 駆け出し、刀を振るう。

 こちらの放つ攻撃をハイプリエステスは軽々と回避して見せる。

「くそ!当たらない!」

「――っ!」

 悲鳴のような奇声を上げ、紅の閃光が空を切る。

 零治も地面を滑るように体を傾けて、攻撃を回避した。

「あっぶねー……あいつは?」

 そんな言葉をつぶやき、ハイプリエステスを見失っていたことに気づく。

 腹部に走る鈍い衝撃で後方へと吹き飛んだ。

「がはっ!」

 肺内の空気をすべて吐き出したような形容しがたい苦しみを感じていた。

 そこでようやく自分が奴の拳を受けていたことを認識する。

 目標をこちらに切り替えたハイプリエステスは、徐々にこちらへと迫っていた。

「やべぇな……このままじゃ、あの時の二の前じゃないか!」

 かつての戦闘を思い出す。

 アルカ・ネウロイの攻撃で死にかけたときのことだ。

「零治さん!」

 同じようにかつての記憶を思い出していたユースティアナは急落下を開始する。

 無我夢中で銃の引き金を引く。

 放たれた銃弾は地面を抉っていくだけでハイプリエステスには命中してはいない。

「――っ!」

 ハイプリエステスの右手が眩く輝き、紅の閃光を放つ。

 シールドを展開するが、ビームの威力を相殺できず、地面へと落下した。

「うう……」

「ユースティアナ!」

「「ユースティアナさん!」」

 零治に続いて、ウィッチたちも思わず声を上げる。

「くっ……!」

 ただただハイプリエステスを睨む。

 なにやってるんだ、もう誰も死なせないって決めたのに。

 なんでもいい!

 今ここで奴を!

 怒りに任せて、自分を奮い立たせる。

 気が付けば、溢れるように内側から紅い力が沸き上がっていた。

「……っ!これはあの時と同じ?」

 持っていた烈風丸の刀身もまばゆく輝いている。

「うおおぉぉ!」

 とびかかるように烈風丸を振り下ろした。

 ハイプリエステスも右手で防御の構えを取るが、

「――っ!」

 烈風丸の刀身は右腕を両断し、切断された腕が光の粒子となって消滅する。

 悲鳴のような奇声を再び上げ、数メートル後退した。

 反撃するように左手でビームを放つ。

「琴村さん!」

「零治さん!」

 ヨハンとユースティアナが名前を叫ぶ。

 右手に力を込めると烈風丸の輝きが増していく。

「くらえー!」

 零治も紅の斬撃を放つ。

 ビームと斬撃の衝突で衝撃が走り抜ける。

「うおぉぉ!」

 駄目押しするように力を解放した。

 斬撃はビームをかき消し、ハイプリエステスの体を消滅させる。

「はぁはぁ……」

 肩で息をして、空を見つめた。

 アルカ・ネウロイの反応は消えている。

 どうやら撃墜に成功したようだ。

「すっげー」

「あれが琴村さんの力?」

 近くで見ていた2人も少し驚いていた。

 彼女たちも零治の力を見たのは初めてだったからだ。

「やったね!琴村さん!」

「まさか、あんな技を持っていたなんて驚きです」

 アビゲイルやソフィアも感心したように頷いている。

「ああ……」

 疲労感を浮かべ、返事をすると胸に手を当てる。

 先ほどの感覚が抜けておらず、体にどこか違和感を感じていた。

 なんだ?この違和感は……これは一体?

「っ!」

 その瞬間、鼓動が早くなるのと同時に、力が溢れ出すのを感じていた。

 思わず膝をついた。

「零治さん?」

「ぐああぁぁ!」

 悲痛の叫びと共に零治はまばゆい光を放つ。

 烈風丸を地面に落とし、胸元を抑えるが、紅の閃光はその輝きをより増していく。

「なんだこの光?」

「わからない。でも、何か嫌な予感がする」

「おい、直人!」

「私たちもいくよ。グラハム少年」

 直人の後を追うように、直葉とユリウスも格納庫を後にする。

「なに!?」

「なにがどうなっているんだ!?」

「皆さん離れてください!」

 各々が声を上げる中、ベアトの声でウィッチたちは距離を取る。

「この感じ、ティアが暴走とした時と同じ?」

 ユースティアナもかつてグルーシャの力で自分たちが暴走したときの状況を思い出す。

 あの時も今のように溢れる紅い光が周囲を照らし、体がアルカ・ネウロイへと変貌した。

 零治の身にも同じことが起きようとしているのかもしれない。

「零治さん!」

「駄目です、ユースティアナさん。危険です!」

「でも!」

 クロエが彼女を引き留めるように、制止する。

「ぐああ、俺に、近寄るな……っ!」

「零治さーん!」

「うっ!」

 よりまばゆい閃光を放ったかと思えば、光が収まる。

「なっ!」

「嘘……」

「こんなことって……」

 目の前に移る景色にウィッチたちの表情が凍り付いていた。

「――っ!」

 人型ネウロイのような黒い肌に紅い亀裂模様、そして周囲に響き渡る悲鳴ような叫び声。

 腕に刻まれた文字は「Ⅰ」。

 つまりそれは、コードネーム「マジシャン(魔術師)」。

「まさか、琴村さんがアルカ・ネウロイに?」

「そんな……どうして、なんで?」

 理解が追いついていないのかベアトも膝をついてしまう。

「フーバーさんしっかりしてください!」

「そうですよ!」

 ヨハンとアビゲイルが鼓舞するように声を上げる。

 しかし、完全に戦意を消失していた彼女の様子に変化はない。

「っ!しゃーねー、指揮は私が取る。奴に攻撃を」

「駄目です!あれは、零治さんなんですよ!」

 銃口を向けるが、ユースティアナが割って入るように立ちはだかった。

「ローゼンクロイツ、そこをどけ!」

「どきません!」

「お前……っ!」

 お互いに一歩も引かない中、

「――っ!」

 マジシャンが攻撃態勢に入るように、その右手が紅く発光する。

「攻撃が!」

「あ……」

 気づいたときにはビームが放たれていた。

 だが、攻撃はウィッチたちではなく、隣のコンクリートの地面を破壊するだけであった。

「――っ!」

 攻撃後、マジシャンは苦しむように悲鳴を上げる。

 ようやく戦場に到着した直人は目の前の光景に驚きを隠せなかった。

「あれは、零治なのか?」

「なぬ?あれはネウロイじゃねーかよ鈴木!」

「よく腕を見たまえ」

「Ⅰってじゃあ、あれは本当に琴村なのか!?」

 ユリウスも目の前のアルカ・ネウロイが零治の変貌した姿であることを理解する。

「ベアト!どうなっているんだ?なんで零治が!」

「そ、それは……」

 まだ状況を受け入れることができていなかったベアトは視線を逸らすだけであった。

「だが、どうするのかね?」

「殺すしかないだろ」

 そう口にしたのはヨハンであった。

「駄目です!」

「ローゼンクロイツ、お前の気持ちもわかる!だが、あれはもう……」

「言うな、ハーゲン!」

「……っ!」

 直人の一声でヨハンも言葉を飲み込む。

「だが、どうするんだい?弟よ」

「何か方法があるはずだ。あいつを救う方法は……」

 ただただ目の前のアルカ・ネウロイ「マジシャン」を見つめているのだった。

 

 

 一方、時を同じくしてグルーシャもまた目を見開き、足を止める。

「さっきの感覚、やはり……『憤怒の紅(レッドレイジ)』、か」

「グルーシャどうかしたのか?」

「いや、なんでもない。自分の力を律することができなければ、あいつに待っているのは暴走だ……」

 マロニーとグルーシャは再び、船内への廊下へと歩みを進めているのだった。

 




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