ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
第5話になります。


第5話 夜空の狙撃手(スナイパー)

 3体目のアルカ・ネウロイ「ハーミット」との戦闘から1週間の時が過ぎた。

「ここ数日ネウロイが出現しませんね」

「いいことじゃないですか。戦闘がないなんて」

 ユースティアナとクロエは2人で空を飛行していた。

 最近はアルカ・ネウロイやネウロイの出現もなく、哨戒任務として近辺を飛行するだけの日々が続いている。

「そうですよね。連日戦闘が続いてたのでつい……」

「でも、私も今日は戦闘になるんじゃないかって考えちゃうな」

「エリザベートさんも考えちゃいますよね」

「私のことはクロエって呼んでもらって構わないよ」

「あ、じゃあ私もユースティアナでいいですよ!クロエさん!」

「そっか。じゃあユースティアナさんって呼ぶね」

 お互いに笑って見せる。

「クロエさんのそれって魔導針ですよね?もしかしてナイトウィッチなんですか?」

「うん、そうだよ。前の部隊でもナイトウィッチとして夜間哨戒任務が多かったし」

 クロエは魔導針を指さしてそう言った。

 彼女はナイトウィッチとしての能力を有している。

 それが魔導針だ。魔力によって頭部に発現させることで地平線までの飛行物の探索が可能なのだ。

「その他にも、私の魔法って狙撃向きだから精密狙撃の任務なんかもあったな……」

 思い出すようにつぶやいた。

 彼女の固有魔法は「高感度センサー」。

 気圧や風向き等の情報を感知することで、より正確に狙撃を行うことが可能なのだ。

「へー、私も夜間哨戒任務は数回ほど出たことあるけど、全然見えなくて大変でした」

「人それぞれ得意不得意はあるから、仕方ないよ」

 話を続けているうちに基地に到着し、軍の格納庫内にストライカーユニットと武器を置く。

「今日も戦闘はなしですね。食堂行きましょうか」

「そうですね。そろそろお昼ですし……」

 2人は食堂へと向かうのだった。

 

 

 一方、執務室では零治が書類に視線を落としていた。

 資料には「魔導ダイナモ」の設計データと先月の作戦で使用された戦艦大和の情報が記載されている。

「大和の魔導ダイナモは失敗に終わったのか……」

 先月、501統合戦闘航空団の大規模攻撃作戦で使用されたのが、扶桑の大型戦艦「大和」である。

 大和は扶桑における最強とも呼ばれた大型戦艦であり、先の大規模作戦では攻撃の要として「魔導ダイナモ」を搭載し、戦闘に参加した。

 「魔導ダイナモ」。ネウロイのコアを使用した無人機動兵器の1つであり、コアを制御することで大和そのものをネウロイ化することが可能である。

 しかし、実際の戦闘では遠隔操作による動作不良やウィッチ自身を取り込んでしまうなど大きな課題を残す結果となった。

「設計段階で遠隔操作による動作不良の可能性は上がっていたというのに……まあ無人機動兵器はどこまで進化しても制御できない可能性を孕んでいるからな。この結果は必然だったのかもな」

 再度、設計データの設計者の名前を見つめる。

 そこには「琴村零治」という名前が刻まれていた。

 そんな時、電話が鳴り響いた。

 書類を机の引き出しにしまい、受話器を取る。

「はい。特務統合強襲航空団の琴村零治です」

「零治?私よ、ナナリー」

「ナナリー?なにかあったのか?」

 電話の相手はナナリーであった。

 彼女から連絡してくることは珍しい。

 いつもは月に1度の補給の際にしか連絡しないからだ。

「ガリアでアルカ・ネウロイが確認されたのよ。それも2匹ね」

「なに?!アルカ・ネウロイは今のレーダーでは発見できないんじゃ?」

「ええ、それは今も変わらない。現地の偵察チームからの報告よ」

「……そうか、わかった。できるかぎり急いでガリアに向かうようにする」

 零治はそう言って受話器を置いた。

 同時に部屋のドアがノックされる。

「失礼するぞ。零治ー、昼飯の時間だから食いに行くぞ」

 そう言って直人が指令室に入室してきた。

「直人、近日ガリアに行くぞ」

「は……?ガリア?なんでまた?」

「アルカ・ネウロイが発見されたそうだ。今ナナリーから連絡があった」

「ガリアか……今この基地にはランカスターぐらいしか移動に使用できる乗り物はないぞ、どうすんだ?」

「操縦はできるだろ?直人なら」

「はぁ、結局操縦するのは俺なんだな……」

 直人がため息をついた。

 手短に会話をすまし、食堂へと向かう。

 

 

 食堂ではベアトの姿があった。

 ウィッチたち5人も席についている。

「あ、食事できてますよ零治さん、直人さん」

「全員揃っているな。近日、ガリアへと発つぞ」

「ガリア?」

 こちらの言葉を聞いて、それぞれのウィッチが声を上げている。

「みんな落ち着いてください。あの零治さん、どうしてガリアに?」

「ああ、ガリアでアルカ・ネウロイが発見されたいう情報を得た。だから俺たちが招集されたというわけだ」

「えっとガリアにも戦闘用のウィッチはいますよね?そちらの方に任せるというのは?」

 ユースティアナが手を上げ、質問を投げる。

「アルカ・ネウロイを感知できるのは零治だけだ。現在も撃破できていない以上、行くしかないってことだ」

「それに俺たちの部隊の最優先事項はアルカ・ネウロイを倒すことだからな。準備ができしだい追って指示を出す。行くぞ直人」

「待て、零治」

 食堂を後にしようとした零治の肩を掴む。

「どうした?」

「その前に飯だ。それに食事は全員でするって決めたろ」

「……わかったよ、わかってるって」

 零治が席につく。

 1時間後、食事を終えて席を立つ。

「ごちそうさまでした。先行く……ゆっくり食ってていいぞ。いそぎじゃねーから」

「おう」

「はい」

 直人、ベアトがそれぞれ返事をする。

「あの、何かあるんですか?」

 そんな様子を見て、ユースティアナが質問する。

「ガリアにいくための準備だよ。あいつ本当アルカ・ネウロイが関わるとああなるんだよな」

「もう少し、落ち着いてもいいとは思うんですが……」

「……」

 彼の姿が見えなくなるまで背中を見つめていた。

 

 

 第二格納庫を訪れた零治の目の前には爆撃機が止まっていた。

 アブロ ランカスター。

 ブリタニア空軍で運用されている4発戦略爆撃機である。

「直人のいう通り、ランカスターが1機だけ……だが6人のウィッチとストライカー、武器弾薬ならなんとか行けるか」

 そもそも操縦できるのは直人だけだから、2機以上あったところでどうしようもないのだが。

 資料では1週間前まで飛んでたらしいから、軽い整備と燃料の補給だけで飛べそうだな。

「急いだほうがいいな」

「あの……」

 不意に聞こえた声で懐から「M712拳銃」を引き抜く。

 銃口の先にいたのは自分のよく知る少女、ユースティアナの姿があった。

「え?」

「っ!……ユースティアナか。悪い、後ろを警戒するには癖なんだ」

 謝罪をして銃を懐に戻す。

 癖というのはなかなか抜けない。1年経ってもこの癖は抜けていないようだ。

「どうかしたのか?」

「……えっと、琴村さんがアルカ・ネウロイにこだわる理由が気になったので」

「……そんなことか。アルカ・ネウロイは殲滅しなくちゃならない、脅威だからな」

「脅威だから、ですか」

 零治のどこか悲しそうな顔を見て、ユースティアナも心配の視線を向ける。

「準備は俺たちでしておくから、休んでいいぞ。哨戒任務後で疲れているだろ」

「わかりました」

 2人とも宿舎に戻るのだった。

 

 

 日も沈み、空は真っ暗な夜を迎えていた。

 すでに一寸先は闇の空が広がっている。

「ねぇ、ティア」

「ユースから私に話を振るなんて珍しいわね。どうしたの」

 こちらの言葉に反応するように、ティアは直接脳に語り掛けてくる。

「琴村さんはどうしてアルカ・ネウロイにこだわるのかな?」

「なんでこだわるのかを聞かれると私にもわからないけど、あの人は何か隠しているんじゃないかな」

 ティアは自分とは違う疑問を抱いているのかそんなことを口にした。

「どういうこと?」

「アルカ・ネウロイっていう特異体のネウロイがいることに疑問はないけど、なぜそれがタロットカードの名称なんかでよばれているのか。

そもそもタロットカードの大アルカナは22種類しかない。じゃあアルカ・ネウロイが22種しかいないなんてどうやって確かめたの?」

「それは……過去に交戦したりして22種しか確認できなかったのかもしれないし」

 でも、アルカ・ネウロイという存在は、この部隊に来るまで知らなかった。

 それは他のウィッチも同様であった。

 これだけ重要な情報でありながら、知っているウィッチがいないなんてことあるのだろうか。

「その可能性はあるかもしれない。でも、もしかしたら23種類目のアルカ・ネウロイが。いや、もっと多くのアルカ・ネウロイがいるかもって可能性は捨てきれないことになるわ」 

「うう。ティアにそう言われるとそうなのかな?」

「あくまで可能性の話よ……私たちが気にしても仕方ないでしょ」

 ティアはその言葉を最後に眠りについたのか。

 何言わなくなった。

「私もそろそろ寝おうかな……」

 そう口にした時だった。

 聞き覚えのある甲高いサイレンが響き渡る。

「こんな時間に?サイレンってことはネウロイ?」

 ここ最近はアルカ・ネウロイとの戦闘をすることがなかったからか、鳴り響くサイレンの音に耳が痛い。

「行かなきゃ!」

 部屋を飛び出し、格納庫へと向かう。

「ユースティアナさん!ネウロイ、ですよね?」

「多分、通常のネウロイだと思います!」

 廊下でクロエと合流して、お互いに駆け出す。

 すでに格納庫内には零治たちの姿があった。

「琴村さん、鈴木さん!」

「ユースティアナとエリザベートも来たか」

「そろったな。敵は大型のネウロイだ。それに夜間での戦闘だがいけるか?」

「はい!」

「任せてください!」

「私も行けます!」

 ベアトとユースティアナ、クロエが凛とした声を上げる。

「では、3人とも頼んだぞ」

 各自がストライカーユニットを装着し、飛翔する。

 夜空はさきほど同様に一寸先は闇であった。

「全然先が見えませんね」

「私はナイトウィッチだから、夜空でもよく見えますがみなさんは見えませんよね……」

「私も固有魔法のおかげである程度は見えますが、やはり夜間は専門ではないので過信はできませんね」

 クロエはナイトウィッチであるため、ベアトは固有魔法「鷹ノ眼」によって夜間でもある程度周囲を視認できる。

「私たちでバックアップはしますから。行きますよ」

 3人の十数メートル先に大型ネウロイが姿を現す。

 同時に眩く光ったと思うと、赤い光線が放たれる。

 シールドを展開し、各自が防御していく。

「くっ!見えなくて防御で精一杯に!」

 ユースティアナは反応が遅れたからか、防御に集中し攻撃に移れていなかった。

「狙い撃ちます!」

 クロエが引き金を引く。

 「ボーイズ対戦車ライフル」から弾丸が放たれる。

 弾丸は大型ネウロイに命中した。

 しかし、コアに命中していないからかネウロイは傷の再生を始める。

「白い光?みえ、る。あそこにネウロイが!」

 ネウロイは傷の再生時に白く発光している。

 それを確認してユースティアナは加速していく。

 数メートルまで接近し攻撃を行う。

 弾丸が装甲を抉り、巨大なコアが露呈する。

「コアだ!」

「クロエさん!」

 2人が同時に声を上げた。

 クロエはレバーを引いて、次弾を装填する

 スコープ越しにコアを捉えた。

「目標確認。距離は射程内、風はなし、誤差を修正……」

 息を止めると、引き金を引いた。

 発砲音と共に放たれた弾丸はコアに命中した。

 コアは1発で破壊されたことでネウロイは再生することなく光の粒子となって消滅する。

「やった!撃破できた!」

「やったねクロエさん!」

「はい!」

 安心したのかユースティアナも声を上げていた。

「どうやらネウロイは撃破できたようだ」

「なんとかなったか……」

 通信を聞いて零治や直人も一息ついた。

「っ!いや、まだだ!」

 インカム型通信機に伝える。

 感じたのだ。

 アルカ・ネウロイの接近を。

 夜空では人型のアルカ・ネウロイが突撃していた。

「ユースティアナさん!」

「ローゼンクロイツさん!」

「……だ、大丈夫です」

 シールドを展開して防御しているが、ネウロイは零距離で攻撃を行う。

 次々に放たれる機銃のような光線攻撃。

 腕にはⅩⅩの文字が刻まれている。

 その文字から、そのアルカ・ネウロイのコードネームが「ジャッジメント(審判)」であることを理解する。

「エリザベートさん攻撃を!」

「わかってます!」

 ベアトとクロエも遅れて銃を構えた。

 しかし、射線上にユースティアナが入っていることで引き金にかけた指が止まる。

「この位置じゃユースティアナさんに当たってしまいます!」

「接近します」

 2人ともユースティアナとジャッジメントを追いかける。

「このままじゃ……」

「もう、なにやってんのよ!」

「ティア?!」

 声が聞こえ、思わず叫ぶ。

「いいから私に体貸しなさい!」

「へ?う、うん」

 ティアの指示に頷く。

 1度目を閉じ、数秒後再び目を見開いた。

 その目はこれまでの藍色の瞳とは異なり、紅い瞳に変化していた。

「はああ!」

 シールドの出力がさきほどよりも上がる。

 そのままジャッジメントを押し出す。

「一瞬で決めるわ」

「固有魔法を使うってこと?」

「そうよ!」

 そう口にすると魔力を体に循環させ、保有する魔力を一気に解放した。

 体を循環する魔力が全面解放されることで、彼女の身体能力と魔力出力を上昇させる。

 その影響で彼女の体が青白く発光していた。

「おい、あれって」

「ユースティアナの固有魔法だ」

 双眼鏡でその光を確認する。

 彼女の固有魔法は「魔力放出」。

 保有する魔力を全面解放することで、能力を約3倍にまで上昇させることができる魔法だ。

 ジャッジメントも体制を立て直すが、すでに視線の先にユースティアナの姿はない。

 そう、背後に回り込んでいたのだ。

 胸部から腰にかけて「ブレン軽機関銃Mk1」を連射する。

「——っ!」

 ジャッジメントは悲鳴を上げていたものの、コアを破壊されたことで光の粒子となって消滅していく。

「ゆ、すてぃ……」

「っ!」

「え?」

 その言葉にティアとユースティアナは表情が固まった。

 ジャッジメントは何か言葉を口にしていたのだ。

 しかし、消滅してしまい聞こえたのはその一瞬だけであった。

 瞬時に瞳が藍色に変化する。

「今、私の名前を呼んでた……?」

「ユースティアナさん、大丈夫ですか?」

「あ、うん。でも少し疲れちゃったかも」

「ネウロイとアルカ・ネウロイの反応は消えた。3人とも戻ってくれ」

 零治の指示で帰投を始める。

 一度振り返った。

 すでにジャッジメントは消滅し、夜空だけが広がっているだけであった。

「ローゼンクロイツさん?戻りますよ」

「はい!今、行きます!」

 再び前方に向き直り、基地へと向かのだった。




ちょこっと設定紹介
ウィッチ隊
・クロエ・エリザベート少尉(オリジナル)
 性別 : 女性
 年齢 : 15歳
 身長 : 154cm
 体重 : 44kg
 生年月日 : 5月16日
 魔法力 : 中
 使い魔 : フクロウ(ティナ)
 固有魔法 : 高感度センサー、魔導針
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