ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ 作:UNIMITES
今回で47話となります。
空母「赤城」の艦内にアサルトウィッチーズのメンバー10人とナナリー・ロアノークの姿があった。
すでに赤城はブリタニアを離れ、ガリアへ向けて出航している。
「まず戦闘におけるウィッチたちの指揮は俺とベアトで執るが問題ないか?」
「ええ。それに関しては私なんかより、これまでずっと一緒に戦ってきたあなたたちに任せるわ」
「よし。じゃあ作戦の最終確認だ」
零治はウィッチたちの顔を順番に見て会議を始める。
「敵が保有する戦力は無人機動兵器であるウォーロック1機、ウィザード3機、そしてアルカ・ネウロイのザ・ワールド(世界)だ」
直人の説明に零治とベアトも頷く。
彼の言う通り敵の戦力はウォーロックとウィザード、そしてDS……いや今のグルーシャも自分たちと同じオラクルなのかもしれないな。
「これまでは、アルカ・ネウロイが接近してくるのを琴村少年とユースティアナさんが察知してから戦闘準備をしていたが、敵の位置が分かっているならその必要はないからねぇ」
「だからこそ、こっちから攻めるってわけっすね!」
「今回の作戦では、ウィッチたちによって敵に強襲を駆ける。これまでのような後手に回るのではなく、こちらのペースで攻めるぞ」
説明を聞いてウィッチたちが深く頷く。
「敵もウォーロックとウィザードを出撃させてくるとはずなので、そっちは私たちが相手をします」
「ストライカーユニットで飛行できる私たちじゃないとウォーロックやウィザードの相手は厳しいでしょうからね」
「でもさー、ロマーニャの近海ではウィザード相手でも優勢だったじゃん?案外、楽勝かもよー」
真剣なまなざしを向けるヨハンとは異なりアビゲイルは油断したような表情を見せていた。
「それはどうでしょうか?」
彼女の意見とは異なると口にしたのはクロエであった。
「あの時はリトヴァク中尉やユーティライネン中尉もいました」
「それにロマーニャではウィザードも動きもガリアでの時と少しだけ違っていたようにも見えました」
続くようにソフィアも見解を述べていた。
「そういえば、あの時はウォーロックも戦闘には出ていなかったな」
「……え?なにこのアウェー感」
「油断しないで行きましょうってことですよねクロエさん、ソフィアさん!」
「は、はい!そうですね」
「すみません、ウィリアスさん……」
2人が謝罪するが、
「うーなんだよー、僕だけ楽勝だと思ってたの馬鹿みたいじゃん……」
アビゲイルは一人そっぽを向く。
「アビーの気持ちはわからなくはないぞ。そういじけるなよ」
「じゃあ僕の味方してよー、ヨハン!」
「いや、そう言われてもだな……」
涙目でお願いする彼女の顔にヨハンは思わず明後日の方向を見つめた。
「話が逸れたな……ウォーロックとウィザードの撃墜後はグルーシャだな」
「ユースティアナさんはいいんですか?」
「大丈夫です!もう決めましたから!」
心配そうなクロエを横目にユースティアナは昨日と同様の表情を見せる。
「よし。作戦開始は1時間後だ。これよりこの作戦をオペレーション・アサルトと呼称する!各自準備を!」
「はい!」
零治の指示にアサルトウィッチーズのメンバーが声を上げていた。
「姉貴とグラハムはブリタニア基地に残ってもよかったんだぞ」
2人に直人が声をかけると、
「水臭いことをいうなよ鈴木」
「そうだよ。私も戦闘はできないが、みんなの手助けをすることはできるからね」
ユリウスも直葉も曇りない表情で頷いていた。
どうやら彼の思っている心配は杞憂だったようだ。
「直人と鈴木少佐は怪我人の治療ができるように準備を頼むよ。グラハムは俺とストライカーユニットと銃火器の最終点検だ」
「了解だ」
「任されたよ」
「おうよ!」
お互いに背を向けて、駆け出す。
格納庫で並べられたストライカーユニットWRの点検を行っていく。
「琴村、みんなのストライカーや銃を用意しているはわかるが、直葉さんの紫電や銃を余計に積んできた意味はあるのか?」
「ナナリーには予備ってことで積んでもらったんだ。非常時に部品の流用も効くからな、保険だよ。それに銃なら俺でも扱えるからな」
「お前、戦う気か?」
「状況によっては俺も戦う可能性があるからな」
「なら、俺たちも――」
「やめておけ」
ユリウスの言葉を遮るように零治が呟く。
「ガリアでの戦闘でわかっただろ?ろくに戦闘訓練していないお前や直人では足手まといになるだけだ」
「おま、そんな言い方……」
「お前たちを死なせるわけにはいかないからだ。それに直人とベアト、グラハムと鈴木少佐の未来のためにもな」
工具を置いて、ストライカーユニットの扉を閉じた。
「それを言うならみんなの未来だろ?琴村やローゼンクロイツ曹長たちも含めてみんなで生きて帰るんだからな」
「そうだったな」
「よし、これで調整もOKだな」
2人とも最終調整を終えて、立ち上がる。
時計へと視線を向けると予定時刻が迫っていた。
同タイミングでユースティアナたち6人のウィッチと鈴木姉弟も格納庫に現れる。
「時間だな」
「みんな体の調子は大丈夫か?」
直人の質問にウィッチたちは問題ないと言わんばかりに頷いていく。
各自の顔を顔を確認して同調率上昇薬「Grow」の注射器を手渡す。
「……っ!よし」
受け取ったベアトたちが首筋に注射器を当て、薬品を投入するとストライカーユニットWRを装着していく。
「行ってきます」
「ああ」
ユースティアナもストライカーユニットを装着して魔法力を込める。
起動音と共に、プロペラが回転し、風が格納庫内を走り抜けた。
「指揮はいつもどおりベアトに任せる」
「はい!みなさん行きましょう!」
ベアトの発進に合わせてウィッチたちは空へと羽ばたいていくのであった。
時を同じくして扶桑の空母「加賀」はガリアでの補給を終えて、出航していた。
「ブリタニアまでは数時間か……」
「グルーシャ。ブリタニアに攻撃を仕掛けるのはいいが少し焦りすぎではないか?」
甲板に立つグルーシャにマロニーが質問を投げる。
「そんなことはない。零治たちはすでにアルカ・ネウロイをすべて倒しただろうからな」
「なんでそんなことがわかる?」
「俺が何のためにウィザードを使って各地で情報収集をしていたと思っている?やつらはあんた思っているよりも優秀だ」
各地での情報収集で零治たちがアルカ・ネウロイを撃墜していったことは分かっている。だが、思っていた以上に特務隊という組織の撃墜ペースが早かったのだ。
「やつらを倒すことで俺たちの力は証明される」
「そうだ。我々はウォーロック、ウィザードがウィッチに変わる戦力になることを証明する必要があるのだ」
マロニーは強気言い放つ。
そんな時、グルーシャは目を見開く。
「……っ!この反応、まさか!」
空を見つめる。
距離はまだ離れているものの、数人のウィッチの姿を確認する。
そしてその中にはDSやアルカ・ネウロイの特有のコアの反応があった。
「あれは特務隊の連中か?なぜ、ここに?」
「こちらの動きをやつらも捉えていたのか?マロニー。ウィザードを出撃させるぞ」
グルーシャが目を閉じて、コアの力を使用する。
コアを制御下に置く能力によって、格納庫のウィザード3機が起動すると、一斉に出撃していく。
「こちらベアト。空母加賀を確認しました」
「これはコアの反応……あそこに兄さんがいます!」
ユースティアナもコアの反応を感知して報告していた。
「ウィザードも出てきました!」
クロエの言葉通り3機の無人機動兵器「ウィザード」が空へと現れる。
「来たか!」
「みなさん、作戦通りに!」
ベアトの言葉でウィッチたちが散開していった。
「いっくぞー!」
アビゲイルが真っ先に加速する。
続くようにヨハンとユースティアナ、ベアトが先行する。
赤城もウィッチたちの後を追う中、甲板に立つ零治もコアを感知していた。
「戦闘が始まったか。グルーシャのコアも感じる」
どうやらナナリーの情報に間違いはなかったようだ。
「そりゃあ!」
固有魔法「構築」によって作り出した片手直剣を振り下ろす。
ウィザードは先日の戦闘と同様に攻撃を防御する。
だが、ヨハンは休むことなく剣を振り、ウィザードを後退させていっていた。
反撃しようとするもののクロエの放った弾丸によって攻撃が阻まれる。
「くらえ!」
アビゲイルも機動力で攻撃を回避し、トンプソンサブマシンガンのトリガーを引いた。
放たれた弾丸をウィザードは防御するが、
「――っ!」
後方から放たれたフリーガーハマーのミサイルで大きく体制を崩していく。
そしてベアトとユースティアナは息の合った連携でウィザードの攻撃を回避し、ウィザードに銃弾を浴びせる。
「ここにきて2人ずつの連携が活きてきているな」
双眼鏡で戦闘空域を見つめる。
ウィザードのコアコントロールエンジンの出力はアサルトウィッチーズで使用しているストライカーユニットWRよりも上である。
1対1での戦闘は厳しいだろうが、2対1ならばこちらにも勝機は十分にあると判断したのだ。
「……っ!」
「グルーシャ、ウィザードが圧されているぞ。このままでは!」
「わかっている……」
グルーシャは苦虫を嚙み潰したように表情を歪ませていた。
今のウィザードは彼の力によって操作されて戦闘を行っている。
出力ではこちらの機体が上回っていることは分かっていたが、数的な不利と連携の取れたウィッチたちの戦闘能力に圧され始めていた。
彼の操縦でもウィッチたちの戦闘力に対抗するのが難しくなっていたのだ。
そんな中、ふと視線を左右に向ける。
「あれは……ネウロイか?使えるな」
グルーシャは再び力を使用するようにその手が紅く発光する。
その輝きに反応するようにネウロイがその軌道を変えた。
「グルーシャ?」
マロニーはただ首を傾げていた。
ウィッチたちがウィザードを少しずつ追い込んでいる。
「琴村少年!ネウロイだ!」
インカムから響く直葉の声に合わせて、紅の閃光が赤城を掠めた。
「っ!こんな時に!」
攻撃の方を振り向くと大型のネウロイの姿があった。
続けて大型のネウロイから小型のネウロイも排出される。
背負っていたMG42を構えてトリガーを引いた。
次々に銃弾が放たれ小型ネウロイを撃墜する。
赤城も対空砲で小型をネウロイを迎撃するが、小型ネウロイの排出が止まることがなくまるで無尽蔵かのように次が接近していた。
「一体どれだけ出てくるんだ!?」
「やっぱり私たちも琴村少年の援護に!」
「駄目だ!約束しただろ姉貴!」
「そうですよ!」
甲板へと向かおうとする直葉を2人が引き留める。
「銃だけではこの数は厳しいか……!」
思わず腰の扶桑刀「烈風丸」に視線を落とす。
「ん?って、赤城が!」
ようやく状況に気づいたアビゲイルが声を上げた。
その声でユースティアナやベアトたちも視線を赤城へと向ける。
「零治さん!」
「直人さん!」
一瞬、2人の隙をついてウィザードが攻撃を開始した。
放たれるビームをシールドで防御する。
だが、攻撃の主導権を取られたことで防戦となっていた。
零治は弾切れになったMG42の弾倉を取り外し、予備弾薬に交換しようとするが、ネウロイの放ったビームがMG42の銃身を削り取る。
「ちっ!」
舌打ちするように言葉を吐き捨て銃を手放す。
ポケットから赤い薬品の入ったシリンダと注射器を手にすると素早く注射器に薬品を移して首筋に投与する。
鋭い痛みに合わせて、紅い亀裂模様が首から頬に駆けて浮き上がっていた。
「よし!」
烈風丸を抜刀して、力を込める。
刀身はまばゆく輝くと振り抜きに合わせて紅の斬撃が放たれた。
光の斬撃は周囲の小型ネウロイを一気に消し去る。
「……うう」
大きくコアのエネルギーを使用したためか、疲労感で膝をつく。
コアの力は強大であっても、所詮はウィッチですらない人間の体。
体が追いついていないのだ。
まだ大型のネウロイが残っており徐々に赤城へと接近してくる。
「まずいな……」
力を振り絞り、立ち上がると再び、烈風丸を構えた。
「早く赤城に戻らないと!」
「でもウィザードの相手をしていては戻れません!」
ソフィアやクロエも焦りを見せる。
彼女たちだけではない。
「早くしないと、零治さんたちが……」
ユースティアナやベアトたちも同様に赤城へと視線を向けた。
「ネウロイとウィザード。2つを相手にお前たちはどうする?」
グルーシャは空を見つめそう口にするのだった。
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