ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
今回で48話となります。


第48話 魔女と魔術師と世界

 アサルトウィッチーズとウィザードが戦闘を開始していた。

「早く赤城防衛に行かなきゃないとならないってのに!どうにかこいつらの攻撃を封じられないのか?」

「そんなことを言われてもこっちも今は防御で精いっぱいだよ!」

 ヨハンやアビゲイルがシールドで防御して悪態をつく。

 ウィザードは休むことなく猛攻を続けており、ユースティアナたちウィッチも赤城の救援に向かえていなかったのだ。

 一方、赤城の甲板で零治は大型のネウロイを見据える。

 さきほどの斬撃で小型のネウロイを一掃することはできたものの、エネルギー消費による疲労感と体への負荷で力が入らなかった。

 だが、ネウロイは攻撃の手を休めることなく、紅く輝き始めていた。

「琴村少年!」

「零治!」

「琴村!」

 直人や直葉もそれがネウロイの攻撃準備であることを理解する。

「まずい、次の攻撃が!」

 烈風丸に力を集中させるが、こちらの反撃を察したのかネウロイからビームが放たれた。

「しまっ!」

 目の前が紅く染まっていく。

 身を守る手段がない上に、この射線では確実に赤城が沈む。

 しかし、攻撃は赤城や零治の前に出現した蒼白い魔法陣……ウィッチのシールドによって阻まれていた。

「なぜ?君が?」

 目の前に立つ少女の姿に思わず零治はつぶやく。

「間に合いましたね。零治さん」

 振り返る少女の顔は自分のよく知る顔である。

「ウルスラさん!?どうして?」

 カールスラント出身のウィッチ、ウルスラ・ハルトマンであったのだ。

「私だけではありません」

 その言葉と共に1人のウィッチが空を舞い、ネウロイに攻撃を見舞う。

「遅くなりました、琴村大尉」

 見覚えのある銀髪とカールスラントの軍服に身を包むウィッチはハイデマリーであった。

「あれは、ハイデマリー少佐?」

「まずはあのネウロイをなんとかします。零治さんは休んでいてください」

 ウルスラはそう口にすると、ネウロイへと向かって行く。

 零治もただただ彼女の背中を見つめる。

「大丈夫か零治?」

「ああ。ウルスラさんたちのおかげでな」

 甲板に出てきた直人たちが合流する。

「でも、あぶなかったな」

「うん。もう少し遅かったら赤城が沈んでいただろうね」

 直葉の言う通りである。

 さっきの攻撃を自分たちに防ぐ手段はなかった。

 ウルスラとハイデマリーが救援にきてくれなければ、赤城が轟沈していただろう。

「でも、あの2人がここに来てくれたんだ?支援要請なんてしてなかったろ」

「そんなこと、俺が聞きたいよ」

 零治たちは再び空へと視線を戻す。

 フリーガーハマーから放たれたミサイルがネウロイに命中する。

 被弾箇所が紅く輝き、コアが露出していた。

「ハイデマリー少佐!」

「はい!」

 ハイデマリーは急旋回してネウロイのコアへと銃弾を撃ち込む。

 銃弾の雨を浴びたことでコアが破壊され、大型のネウロイが光の粒子となって消滅する。

「なに!?やつらにまだウィッチがいたのか?」

 グルーシャが声を上げた。

 その一瞬、ウィザードの動きも鈍る。

「そりゃあ!」

「うりゃあ!」

 ヨハンとアビゲイルが反撃するように攻撃を見舞う。

 2機のウィザードが態勢を崩した。

「ユースティアナさん!」

「はい!」

 ベアトとユースティアナもシールドで攻撃を押し返し、ウィザード本体ごと吹き飛ばす。

 再び体制を立て直したウィッチたちとウィザードとの攻防が始まっていた。

 ウルスラとハイデマリーが赤城の甲板に降り立つ。

「みなさん、怪我はありませんか?」

「はい、大丈夫です」

「お2人のおかげでね」

 直人とユリウスが頷く。

「あの、どうして2人がここに?」

 零治が質問すると、

「私が呼んだのよ」

 ナナリーが甲板へと現れる。

「ナナリー」

「お久しぶりです。ロアノークさん」

 彼女の姿を確認したウルスラとハイデマリーが敬礼していた。

「こちらこそ、救援感謝します」

「いえ」

「ちょっと待てよ。なんで彼女たちを?」

 思わず声を上げた。

 自分だけではない、直人や直葉もこの状況にナナリーへと視線を向ける。

「零治さん。落ち着いてください」

「落ち着けって言われても……」

「彼女たちの支援は万が一の保険だったの」

「保険だと?」

 ナナリーの言葉に零治が首を傾げていた。

「今回の作戦に失敗は許されないの。ウィッチの戦闘時間切れ、グルーシャおよびマロニーの逃走、それらはすべて作戦の失敗を意味するの」

「……赤城の準備も作戦の成功率を上げるためってことか」

「と言っても特務隊への支援に招集できるのはWRやDSのことを知る私たちくらいだったのですが」

 ウルスラからの説明にようやく理解する。

 彼女たちは軍の中でも数少ない機密情報を共有している人物だ。

 WR、そして自分やユースティアナのようなDSという存在を知っているのだ。

「それなら、俺も動かないとな。ウルスラさん、俺をあそこまで連れて行ってください」

「あそこって、加賀にですか?」

 こちらの指さす先を見て、彼女は思わず声を上げた。

 彼女だけではない。

「零治、危険すぎる!これまでような本土で戦うのとわけが違うんだぞ!」

 直人も制止するように肩を掴む。

「鈴木、こいつに何言っても無駄だ。俺よりわかってんだろ?」

「そうだね。彼はそういう人間だからね」

 ユリウスと直葉はこちらを肯定するように頷く。

「お前らな、少しは止めてくれよ……」

「「はっはっはっは!」」

 やれやれと頭を抱える直人を見て、2人共は同じように笑って見せていた。

「わかりました」

「ありがとうございます。ハイデマリー少佐は赤城の防衛をお願いします。またネウロイが来るかもしれませんので」

「はい」

 ウルスラとハイデマリーも頷くのを確認すると烈風丸を鞘に納める。

「零治。お前のGrowはあとどれくらい残っている?」

「え?さっき投与したからあと1回分くらいだな」

 ポケットのシリンダを取り出す。

 中身の紅い液体はかなり減っていた。

「そうか。なら、これ」

 零というラベルのついた注射器を2本手渡す。

「追加分か」

「ああ。多分戦闘中じゃ注射器に移している時間もないだろうからな。このまま持っていけ」

「ありがとう」

「わかっているだろうが、くれぐれも過剰摂取(オーバードーズ)には――」

「わかってるよ。ウルスラさん行きましょう」

 ジャケットの内ポケットに注射器を収納して、声をかける。

 ウルスラは背中から零治を抱えると、加賀に向かって飛びだっていく。

「私としては零治さんには前線にはでてほしくはないです。そんなに戦いたいんですか?」

「そういうわけじゃないんです。でも、力があって何もできないまま傍観するのはもういやなんです」

 今も昔も、自分は何もできずにいた。

 DSとしての力を満足に発揮することができず、ようやく力を使用できるようになった、かと思えば暴走してみんなを傷つけてしまった。

 それでもみんなは自分を仲間と認め、今も戦ってくれている。

「それにあいつとの決着は俺がつけなくちゃならないとも思うんです」

「そうですか。私が止めても気持ちに変化はないみたいですね」

 こちらの折れない意志を察したのかウルスラもそれ以上何も質問せずに飛行を続ける。

 お互いの接近を感じ取るように零治とグルーシャは目を見開く。

 そしてユースティアナもまた、コアの反応を感じ取ったのか振り返る。

「この反応は零治さんの……それにあれはハルトマンさん?どうして?!」

「ユースティアナさん、どうかしたんですか?」

「えっと、それが」

「2人共、今は目の前のウィザードの相手だ」

 そんな2人を戦闘に引き戻すようにヨハンが通信を送る。

「ハーゲンさんの言う通りですね」

 ベアトたちも再び攻撃へと転じる。

 そして、零治は加賀へと降り立つ。

「零治、お前がここに来るとはな」

「決着つけに来たぞグルーシャ」

 2人のDS、マジシャン(魔術師)とザ・ワールド(世界)、零治とグルーシャは静かに対峙する。

「あの、零治さん」

「下がっててください」

 数メートルの距離で立ち尽くす。

 そばで見つめるウルスラとマロニーも何も言わずに見つめる。

 数秒後、零治とグルーシャが意を決したように駆け出す。

 抜刀した烈風丸と黒い装甲肌の腕がぶつかる。

「……ほう。無闇に力を使っていたガリアの時とは違うようだな。それにこの感覚、俺と同じステージに来たか」

「お前を止めるために手に入れた力だ!もう誰も傷つけさせはしない!」

 体内のコアのエネルギーを使用して身体強化を行う。

「俺を止めるため、だと?」

 グルーシャもコアの力を引き出し身体強化して扶桑刀をはじき返す。

「零治。俺は止まるつもりなどない。俺の目的はすべての人類を滅ぼすことだからな」

「なに?!」

「人類を滅ぼす?」

 彼の言葉に零治とウルスラは驚きを隠せなかった。

 しかし、驚いていたのは自分たちだけでない。

「どういうことだグルーシャ!人類を滅ぼすなど聞いていないぞ!?」

 目的を聞いたマロニーもまた驚きを隠せず、声を上げていた。

「お前が俺を利用しようとしたように、俺もお前を利用していたにすぎないぞマロニー」

 返答したグルーシャは再び零治へと攻撃を仕掛ける。

「なぜ人類を滅ぼすなんてことを!?」

 攻撃を防御して問いを投げかけていた。

「決まっているだろ!それは俺がDSであるからだよ!」

「DSだから?」

 グルーシャの言葉の意味が分からなかった。

 DSであることと人類を滅ぼそうとすることにどんな因果があると言うのだろうか。

「くっ!」

 零治は扶桑刀で攻撃を受け流す。

「零治。お前だって考えたことはあるはずだ。すべてのアルカ・ネウロイを倒した後、残ったお前とユースティアナというDSにどんな未来が待ち受けているのか」

「それは……」

「人類は必ずDSを滅ぼそうとするだろう。コアを持つ人間であり暴走の可能性すらあるDSという爆弾を人類が受け入れることは不可能なんだよ!」

「そんなことはない。きっとみんなわかってくれるはずだ!」

「DSが人を殺めてもか?」

 その言葉に一瞬零治の心が揺れ動いた。

 隙を突くように腹部に蹴りを受ける。

「がはっ!」

 腹部の痛みに思わずうめき声をあげていた。

「零治さん!」

 ウルスラが駆け寄りこちらの体を支える。

「どういう、ことだ?」

「……」

「答えろグルーシャ!」

「お前の父、琴村零央を殺したのは、俺なんだよ」

「なん、だと?」

 説明を理解することができなかった。

 正確には理解することを拒んでいたのかもしれない。

「なぜだ、なぜ零央を?」

「なぜ、だと?決まっているだろ、俺たちをこんな体にしたやつに復讐をするのは当然だろ」

 そうか。

 彼の気持ちは最もなのかもしれない。

 DSとなった者たちの大半は志半ばでアルカ・ネウロイになってしまった。

 これまで討伐してきたアルカ・ネウロイたちも多分同じことを思っていたのだろう。

 ウォーロック、そしてウィザードだって結局は人類に牙をむいてしまった。

 零央は人類にとってはコアを使用するという禁忌の研究に手を染めた最低最悪の研究者だったのかもしれない。

 だが、それでも。

 懐から注射器を取り出す。

「お前の言い分は分かった。だが、人類を滅ぼさせるわけにはいかない」

 Growを投与すると再び赤い亀裂模様が首から頬に掛けて浮かび上がる。

「……」

 注射器を捨てて、再びグルーシャの顔を見つめる。

 やはり力を出し惜しみして勝てる相手ではない。

 最悪、殺してでもやつを止めるしかないようだ。

 Growを取り込んだことで再びコアの力を引き出す。

「怒りに任せて力が暴走すると思ったが、安定しているか……っ!」

 一瞬で距離を詰めた零治の動きにグルーシャは思わず息を飲む。

 振り下ろされた烈風丸の刃を紙一重で防御するが、その威力に数歩後退していた。

「このパワーは!?」

「よし!」

 畳み掛けるように攻撃を続ける。

「あの力の使い方はまるでユースティアナさんの魔法と同じ……」

 エネルギーを瞬間的に放出して爆発的なパワーとスピードを得る。そんな魔力放出とよく似たことを零治は自身のコアのエネルギーで行っていたのだ。

「はぁぁ!」

「なんという力だ……だが!」

 攻撃を回避してグルーシャは手をこちらに向ける。

 その手は力を使用するように紅く発光していた。

「これでお前も――なにっ!」

 しかし彼の予想とは裏腹に零治の動きには躊躇いはなかった。

 烈風丸の紅く輝く刀身が腕をはじき返す。

「なぜ、コアを制御下に置けない?」

 理解できず自身の手と零治の顔を交互に見つめる。

「まさか、ユースティアナと同様に強固な人間性が俺の制御を阻んでいるというか?」

「これで終わりだ、グルーシャ!」

 零治の振るった烈風丸の刀身は油断した彼の体を切り伏せるのだった。




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