ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ 作:UNIMITES
今回で50話(最終話)となります。
ユースティアナの放った攻撃がウォーロックのコアを破壊し、撃墜に成功する。
光の粒子が戦場の空に、そして彼女の周囲に舞う。
「やりましたね。ユースティアナさん」
「やった、ウォーロックを倒した!」
ベアトの言葉で肩で息をしていたユースティアナも笑み浮かべる。
「私たち勝ったんですね」
「そうだよー、やったー!大勝利ー!」
「みんな無事で何よりです」
「ああ。流石に今回は肝を冷やしたがな」
各々のウィッチもも勝ったことを認識するように声を上げた。
「全員無事みたいだな」
「そのようだね」
赤城の甲板でも鈴木姉弟がウィッチたちの姿を見つめる。
「ウォーロックが……負けた」
加賀の艦内ではウォーロックの消滅を確認したマロニーたちが膝を付く。
それもそうだろう。
彼らが用意していたウィザード、ウォーロック、そしてDSであるグルーシャという戦力はのすべてが特務隊アサルトウィッチーズによって撃墜されたのだから。
「なんとかなりましたね」
「はい……ユースティアナたちのおかげで――っ!」
そう口にして、目を見開く。
自分だけではない。
ユースティアナも同じように加賀のほうへと視線を向けていた。
「ユースティアナさん?」
「コアの、反応?」
「まさか、あいつの?」
ゆっくりと振り返る。
甲板に倒れ込んだグルーシャからコアの反応を感じていたのだ。
だが、どうして今になって?
さきほどまで彼のコアの反応は消えていたはず。
「零治さん!ハルトマンさん!」
「ユースティアナ!それにみんなも!」
加賀の甲板へと飛んできたユースティアナたちが合流する。
「零治さん。兄さんの、コアの反応が」
「ああ、わかっている」
零治とユースティアナは彼の元へと向かうため、一歩踏み出す。
そんな自分たちをベアトが引き留めるように肩を掴む。
「2人共駄目です!何が起きるのかわからない状況で近づくのは危険です!」
「……でも」
「大丈夫だ、ベアト。今のやつには戦うほどの力なんて残っていないだろう」
再び視線を戻すとグルーシャの元へと駆け寄る。
「グルーシャ」
「……」
こちらの声に反応するように彼はゆっくりと瞼を開いた。
「ウィザード、そしてウォーロックは撃墜されたのか……」
「兄さん!」
ユースティアナは彼の手を取る。
黒い装甲肌はひび割れており、今にも壊れてしまいそうにも見える。
「まだ俺を兄と呼ぶのか」
「当たり前だよ!私にとってたった一人の兄妹だもん」
彼女は必死に答えていた。
自分にも零菜という姉がいたから、彼女の気持ちが理解できる。
血を分けた兄妹の絆はたとえDSやウィッチであっても同じなのだから。
「……DSの中でも落ちこぼれだった、お前と零治が生き残ることになるとは、運命とはわからないものだ」
「私は、運がよかっただけだよ……ティアや零治さん、みんながいたから!」
「俺も同じだ。あいつらがいなければここにはいなかったと思う」
ユースティアナも自分も一度はアルカ・ネウロイになっていた。
特務隊アサルトウィッチーズのみんなの助けがなければ、人間としてこの場にはいなかったのだ。
こちらの言葉にグルーシャは笑みを浮かべる。
「仲間、か。俺も誰か信じられる仲間を見つけられていたのなら、もう少しちがっていたのかもな……」
「グルーシャ、なぜロマーニャでの戦闘で俺たちを助けたんだ?」
「……っ!」
ユースティアナも思い出したようにこちらを見つめた。
ロマーニャでグルーシャたちと戦闘したとき、大型のネウロイが自分たちの前に現れた。
その時は2人は戦闘できる状態ではなかったがウィザードがネウロイを攻撃したことで、生き残ることができたのだ。
「……お前たちを見殺しにはできなかった。かつての時間を共にしたお前たちを目の前にしたら、俺は」
わかっていた。わかっていたのに。
彼の心はどこまでいっても人間だったのだ。
なのに自分はここで彼を打ち倒すことばかり考えていた。
「すまないグルーシャ」
「これでいいんだ。俺が琴村零央を殺した結果は変わらない、そしてお前はザ・ワールド(世界)というアルカ・ネウロイを倒した英雄なのだ」
「英雄なもんか、他にもお前を助ける方法があったかもしれない……」
「そう思うのなら、ユースティアナが人間に戻る方法を見つけろ。お前自身の手で」
その言葉共に腕の黒い装甲肌が完全に消滅する。
ユースティアナが手により力を込めた。
「兄さん……」
「どうやらウォーロックのコアコントロールシステムで繋ぎ留められていた時間もここまでのようだな」
「待って!いやだよ、兄さん!私、まだ言いたいことが!」
「すまないな、ユースティアナ」
涙を浮かべる彼女の頬を優しく撫でる。
「兄さん!」
そんな叫びとは裏腹にグルーシャは満足したような表情で消滅する。
周囲には光の粒子が舞い、ユースティアナの泣きじゃくる声だけが響いていた。
その様子を零治は静かに見つめているのだった。
戦闘終了から数時間の時が過ぎ、ブリタニア基地に帰投した零治とウルスラが格納庫を訪れていた。
「ウォーロックのデータは全部処分されたと聞いていましたが、随分持ち出されていたんですね」
「処分したのは俺たちですけど、これだけ持ち出されいたのは予想外です」
加賀から持ち出した資料や整備機器、交換用のパーツなどをみて思わず感心する。
よくもまあ、これだけのものを所持していたものだ。
おそらくウォーロックが奪取されたあの日、これらも一緒に持ち出されていたのだろう。
資料を見れば少し改修も施されていたことがわかる。
どうやらグルーシャの血液を使って、コアコントロールエンジンを強化したことであれほどの出力を確保できていたようだ。
「これどうしましょうか?」
「全部処分します」
「ぜ、全部ですか?」
「はい。新しいコアがないから新造できないとはいえ、これ以上ウォーロックのデータを残したくないんです」
同じ過ちを繰り返さないためにもここですべてのデータを処分する必要があった。
「……わかりました」
資料を運び終えたウルスラも少し残念そうな表情を浮かべていた。
彼女は少し研究してみたかったのだろう。
コアコントロールシステムは色々と応用が利く可能性がある。
魔導ダイナモに魔導エンジンtype-Cがそれだ。
研究を続ければコアの力で発電し、電力を賄うなんてこともできるかもしれない。
だが、コアの力は安全性に難があるのが問題だ。
すべての資料を処分し終えた頃、インカムから声が響く。
「零治。そっちは終わった?」
「こっちの処分は終わったよ」
「そう。なら隊長室に戻ってきて」
「了解だ」
通信を終えて、零治とウルスラが隊長室を訪れる。
室内にはアサルトウィッチーズのウィッチや直人、そしてハイデマリーの姿があった。
「来たわね」
「悪い、遅くなった」
「あの、どうしてみんなを集めたんですか?」
ユースティアナが首を傾げる。
彼女だけではない。
ヨハンたちも同様にここに集められたことに疑問を抱いていた。
「みんなのおかげでオペレーションアサルトは成功した。こんな俺に協力してくれてありがとう」
感謝の言葉を述べて、深々と頭を下げる。
「アルカ・ネウロイとウォーロックシリーズの殲滅は完了した。特務強襲戦闘航空団アサルトウィッチーズは本日をもって解散となる」
「え?解散、するんですか?」
こちらの説明を聞いたヨハンが少々驚く。
「ああ。作戦目的は終了しているからな」
「で、でもさー。琴村さんとローゼンクロイツはどうするの?」
「そうですよ、2人はDSなんですよ?」
アビゲイルとクロエが質問を投げかける。
「零治たちはDSだけど、軍としても今は2人の処分するつもりはないみたいね」
「それって軍もお2人を処分するつもりはないということですか?」
「今のところは、ね……」
クロエとソフィアは安心したように胸を撫でおろしていた。
ユースティアナとウルスラも同様に安堵の表情を浮かべていた。
「解散後はみんなも元居た部隊に戻ってもらうことになると思う」
「ってことは僕たちは引き続き同じ部隊だね」
「だな」
「ユースティアナさんはこのままブリタニア基地に残ってもらいます」
ベアトの説明に再びユースティアナが首を傾げる。
「そうなんですか?」
「DSであるあなたたちは今後も私の指示下になるのよ」
「たちということは零治さんも一緒なんですか?」
「うん。今の俺たちは暴走の可能性がほぼゼロとはいえ、通常の配属はされないみたいだからな」
「そうだったんですね」
納得したように頷くと
「皆さん、移動の手配はこちらでしておきますので準備をお願いします」
「はい」
その指示でみんなは自室へと戻っていくのだった。
数日後、赤城で移動をすることになったヨハンたちは荷物の積み込みを進めていた。
「みんな、元気でな」
「琴村さんこそ、無茶しちゃだめですよ。フーバーさん、この人が無茶しないようにちゃんと見ておいてくださいね」
「はい」
釘を刺すような彼女の言葉にベアトが大きく返事をする。
ヨハンとアビゲイルは同じ部隊に所属していたため、特務隊に来る前の部隊に戻り、再び一緒に活動をするそうだ。
「琴村さん。もしなんかあったら呼んでね!僕が飛んでくるから!」
「それは助かる」
握手を交わすといつものように胸を張って、笑みを浮かべる。
クロエはガリアの部隊、ソフィアはオラーシャ帝国の部隊に招集されたため、今後はそっちで活動をしていくそうだ。
「ユースティアナさんも元気でね」
「うん。クロエさんとソフィアさんも他の部隊でも頑張ってね!」
「はい。またいつかみんなで飛ぶことができたらいいですね」
3人共、名残惜しそうに別れの挨拶をしている。
「弟は一緒に来ないのかい?」
「悪いが、俺は零治についていてやらなきゃだからな」
「そんなこと言って、本当はフーバーさんといたいんだろ?」
「うっせー……グラハム、姉貴のことは頼んだ」
「おう。任せておけ」
グラハムも親指を立てて、頬を緩ませていた。
魔法力を失った直葉は扶桑に戻るよう指示があったため、このまま帰国するそうだ。
戻ってからはウィッチの教育者としての活動は続けると聞いている。
ユリウスも付き添いで扶桑に行くと聞いている。
どうやら今の扶桑ではストライカーユニットを整備できる整備兵が足りていないらしい。
「琴村少年、ローゼンクロイツさん。君たちはちゃんと自分の人生を生きるんだよ。君たちのお姉さんやお兄さんの分までね」
今は亡き零菜とグルーシャの顔を思い浮かべる。
「「はい」」
「うん。いい顔だね。おっとそろそろ時間のようだ」
そう言い残し、みんな赤城へと乗り込んでいく。
そして赤城は出航していくのであった。
出航後もユースティアナは手を振り続けていた。
赤城の姿がみえなくなるまで。
「みんな行っちゃいましたね」
「結成した当時に戻ったな」
「今はユースティアナさんもいますよ」
「そうだったな」
2人のそんな他愛のない会話を聞いて、再び空を見つめる。
青い空と白い雲が広がっていた。
「零治さん?」
「……」
零央の研究成果であるDS、ウォーロック、そしてウィザード。
自分たちはそれらを破壊して、世界に残された罪を清算することはできた。
父さん、母さん、姉さん、そしてグルーシャ。
自分の親しい人間はそのほとんどが死んでしまった。
「どうしたんですか?」
「俺はこれからどうしていくべきなんだろうな?」
自分に残されたのは、DSとしての力だけ。
これでは、
「……」
ふと、ユースティアナの顔を見つめる。
考えを振り払うように首を振った。
そうだ。
まだ彼女がいる。
ユースティアナ・ローゼンクロイツがいるじゃないか。
グルーシャの残した兄妹であり、自分が託された存在。
「悪い。変なことを考えていた。直人、ベアト、ユースティアナを人間に戻すために、これからも付き合ってくれるか?」
「ああ、いいぜ。元々そういうつもりでここにいるんだしな」
「はい!私も精一杯手伝います!」
直人とベアトは肯定するにように深く頷く。
「私だけじゃないですよ!零治さんも人間に戻す方法もセットですよね!?」
「そうだな。行こうみんな」
4人は踵を返してブリタニア基地へと戻っていくのであった。
あとがき
どうもUNIMITESです。
ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズはこれにて完結となりました。
この作品を書き始めたのは2023年の1月なので約2年くらいの連続投稿なんですよね。
(一応2週間で投稿するようにするというルールを自分に与えていました)
執筆中にコロナになったり、ルミナスウィッチーズのライブに行ったり、その他イベント行ったり人生としても濃い2年間だったと思ってます。
ウィッチーズ作品でウォーロックの設定がめちゃめちゃ好きで、この設定だけは絶対使いたいと思ってアサルトウィッチーズの作成を進めてきました。
正直、言うと琴村零央がマッドサイエンティストすぎるだろと言われたらぐうの音も出ないんですよね。
コアで人体実験するわ、ウォーロック量産するわでまじで悪意の塊だろ……。
そんな本作ですが、基本はオリジナルキャラとオリジナルストーリーで話を進めるスタイルを取ってきました。
途中で501や502、ルミナスなどとクロスオーバーする展開を入れてはいましたが。
それでも楽しんでいただけたなら幸いです。
オリジナルキャラにしていたのには理由があって、オリジナルウィッチ作りたいというのもありますが、ウォーロックという存在はいわゆるウィッチーズのオリジナル兵器なので当てがわれるパイロットがいないというのがあります。
なので基本的にオリジナルキャラを使っていました。
ウィザードの存在もウォーロックのコアコントロールシステムのテスト用に軍は複数コアを所持していると思ったので簡易量産型として生まれました。
(設定に関しては設定資料として没案と一緒に公開を予定してます)
長くなりましたが、アサルトウィッチーズをここまで読んでいただき本当にありがとうございました。感想や意見などあればコメント残していただけると今後の参考になります。
最後にUNIMITESはヴァージニア・ロバートソン、雁淵ひかり、ウルスラ・ハルトマンがめちゃめちゃ好きなのでこの3人はいずれ個別でSSとか幕間書きたいですね。
軍服はブリタニアのものが好きです。