ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ 作:UNIMITES
久々の投稿です。
幕間2 心象鏡星
これは星光の魔法少女と呼ばれるウィッチがアルカ・ネウロイやザ・ワールドの討伐を終えて、すぐの話。
まだ薄暗い早朝。
ユースティアナは1人日課のロードワークに出ていた。
「はぁはぁ……」
肩で息をしながらも、どこか余裕を見せる。
昔からDSとして、そしてウィッチになってからもロードワークや戦闘訓練は欠かさず行っていた。
その頃は他のウィッチに比べて魔法力やシールドが弱く、戦闘でもいつも苦労していたのだ。
電機の点いている格納庫を訪れると予想通り彼の姿がある。
「おはようございます。零治さん」
「ユースティアナ、おはよう」
こちらの顔を確認して挨拶をすると、再び視線を手元に戻す。
「アルカ・ネウロイの討伐は終わったのに、まだ整備は続けているんですね」
「日課だからな。6台全部飛べるように整備はしてるが、これもいずれは解体処分しないとな」
「え……処分するんですかWR(ウォーロックリバイブ)を」
少し驚いた。
このストライカーユニットは外装こそ他のストライカーユニットのもので偽装しているもののその実態はネウロイのコアを使用した魔導エンジンtype-Cを搭載した特殊なストライカーユニットなのだ。
その性能は、他のストライカーユニットよりも高出力で飛行可能時間も長い。
欠点と言えば、同調率と呼ばれる適正値を満たしていなければエンジンそのものを始動させることができず、扱うことができないというくらいだ。
「うん。コアを使った兵器を、もう二度と悪用させるわけにもいかないからな」
「……でも、零治さんなら、私たちならきっとみんなのために使用できるはずです」
「だが、今の俺たちにはそれを証明する手段がないからな」
「そんなー、私たちはアルカ・ネウロイやウォーロックを倒したのに」
「そうは言っても俺たちの戦果は表立って公表できないからな」
彼の返答に再び不満そうな表情を浮かべてしまう。
アルカ・ネウロイの存在は表向きでは「特殊なネウロイ」と言うだけで処理されている。
DSたちの存在を知るのは今となっては自分たちアサルトウィッチーズに所属していた者たちと一部の関係者だけなのだ。
「それじゃあ、ティアや兄さん、零菜たちが少しかわいそうですよ」
「確かにな。そうだ、ユースティアナ。もう一人の君……ティアって君にとってはどういう存在だったんだ?」
「ティアですか?」
予想外の質問に首を傾げる。
「少し、気になってな。俺にはそういう存在はいなかったし、多分君だけがティアという心と体を共有していた存在だったと思うからな」
「ティアは私にとって大切な存在です。もう会話はできなくなっちゃったけど、今でもここにいるんです」
胸に手を当てる。
ティアと会話はできなくなってしまった。
でも、コアと共に彼女の存在は今でも心で感じ取るとはできる。
自分たちは今も一緒に生きているのだ。
「昔からティアと会話はできたのか?」
「私がティアと会話できるようになったのは3年ほど前です。ちょうどウィッチになってすぐでした」
「ウィッチになってすぐか……それに、その時期って多分DSの一斉暴走事件があったときだな」
「はい」
ユースティアナは昔のことを思い出す。
DSとして組織にいた頃のことはあまり覚えていないが3年前のあの日からのことは覚えている。
目を覚ますとそこは白い天井の広がる医務室だった。
「私は……」
「目を覚ましたようねユースティアナさん」
声と共に扉を開けて入室してきたのは見覚えのある女性。
ナナリー・ロアノークである。
「あなたは……ロアノークさん?」
「目を覚ましてよかった。昨日何があったか覚えているかしら?」
「……」
記憶を探るが、よく覚えていない。
まるで抜け落ちたように記憶がなかった。
「すみません。何があったのか覚えてません」
「そう。やはり記憶の混濁はありそうね……気にしないで大丈夫よ、あなたが無事でよかったわ」
「はあ……」
彼女はそう言い残して医務室を後にする。
1人残されたユースティアナは沈黙していた。
「……ん?」
ふと、気づいたように視線を落とす。
開け放たれた扉の先に白いウサギがいたのだ。
「ウサギ?どうやってここに入ったんだろう、それにいつから?」
しゃがみ込み、白ウサギの背中を撫でた。
すると、そのウサギが発光し、ユースティアナの頭や腰にウサギの特徴的な耳と尻尾が現れる。
「これって……」
おそるおそる医務室内の鏡を覗き込む。
そこにはウサ耳を持つ自分が映る。
その姿はまるでウィッチのようだった。
「やっぱり、私ウィッチに?」
「あら、随分落ち着いているのね」
「へ?」
周囲を見回すが人の姿はなく、声の主を見つけられないでいた。
「今の声は?」
「ここよ、あなたの中」
再び声が響くと瞼を閉じる。
目の前に広がる光景は、星の輝く夜空であった。
鏡に映ったように同じ顔をした自分がいたのだ。
だが、その瞳は自分の藍玉色とは異なり紅玉色をしている。
「あなたは、それにここは」
「ここは、私たちの心象世界ってところね。私はユースティアナ・ローゼンクロイツよ。私はあなたなの」
「……どういうこと?」
思わず首を傾げてしまう。
それがもう一人の自分、ネウロイとしての人格であるティアとの出会いだったのだ。
ウィッチとして軍に所属してから生活は一変した。
ナナリー・ロアノークの計らいでストライカーユニットの飛行訓練と射撃訓練を得て、半年後には前線に出ることになる。
「ねえ、もう一人の私。今日から実戦だね」
「そのもう一人の私って呼び方はなんとかならないの?」
「だって、もう一人の人格なんだし。それにあなただってもう一人の私って呼び方するじゃん」
出撃前の準備を進めていたユースティアナはもう一人の人格であるティアにそうつぶやく。
「でも、その呼び方はやっぱり呼びづらいしなんか考えないとね」
「うーん、じゃああなたのことティアって呼んでもいい?」
思い付いた名前を口にする。
「ティア?」
「うん。私たちの名前はユースティアナだからティア」
「悪くないかもね。じゃあ私はあなたをユースって呼ぶわ。ユースとティア、2人でユースティアナよ」
「ふふ、私そんな風に呼ばれたのは初めてだからなんか新鮮。がんばろうねティア」
満面の笑みを浮かべ、格納庫へと向かう。
戦いの日々は自分にとっては大変なことばかりであった。
だが、誰かのために戦うことに充実感はあったのだ。
そして時は流れ、3年後。
「ユース」
「なに?」
「何か、不思議な感じがする」
ティアは不思議な感覚に違和感を覚えていた。
「不思議な感じ?」
「ええ。なんというか、私と何か似たものを感じる気がするの」
「似たものって言われも私は何も感じないよ?」
彼女の言葉を信じていないわけではない。
だが、自分はいつもと変わらないように感じていたのだ。
「とにかく行ってみましょう。街を出て広場のほうよ」
「わかったよー」
言われるまま広場へと到着する。
草原で横になる一人の扶桑軍人を発見していた。
「この人、扶桑人だよね?」
「扶桑の軍服ね。ブリタニアにいるなんて珍しいけど」
その顔を覗き込むように顔を近づけると
「……っ!」
急に目を覚ました男は体を起こす。
「あだ!」
「うっ!いっつー」
「急に起き上がらないでくださいー」
「ちょ、ユース大丈夫?」
お互いの頭がぶつかったことで2人共頭を押さえる。
そんな様子に心配そうにティアも声をかけていた。
この出会いで零治とユースティアナは特務隊という組織で再開することになるのだ。
話を聞いていた零治は納得したように頷いていた。
「それが君とティアとの出会いだったわけか」
「はい。それからティアとは会話できるようになってました」
「……というか、俺とユースティアナがブリタニアで出会った時もティアはすでにコアの反応を感じていたのか」
「今思えば、そうだったんだと思います」
ティアもコアの反応を感じ取る力を持っていた。
それは零治も同様に持つDSの力の一つなのだ。
その頃はまだティアが表に出ていない状態でないと自分のコアを零治が感じることはできなかった。
「聞けば聞くほど、俺とは全然違ったんだなって思うよ」
「零治さんはずっとDSとして組織に、軍に居たんですか?」
気になったことを質問する。
「ああ、といってもウォーロックの開発が始まった頃には、俺は戦闘員としては使い物にならなかったから各国を回ってストライカーユニットの修理とかに任についていたよ」
「そうだったんですか」
「なあ、俺もユースティアナのことをユースって呼んでもいいかな?」
「へ?」
予想外の言葉に思わず声を上げる。
「ティアはユースって呼んでいたんだろ?いろいろあったが俺も彼女のことを覚えていたいからな」
「は、はい!大丈夫です、ぜひ!」
「うん。じゃあ、改めてこれからもよろしくなユース」
「はい!零治さんもこれからよろしくお願いします!」
2人は改めて握手を交わしているのだった。
読んでいただきありがとうございます。
今回はユースティアナの幕間を投稿しました。
まだ制作中ですが、続編のプロットができてきたので、今後は続編の作成を予定しています(いつから投稿になるかはまだ不明ですが)