ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ 作:UNIMITES
アサルトウィッチーズの完結編『LASTDANCE』第2話となります。
では、本編をどうぞ。
ベネツィアの地でユースティアナは人型のネウロイと対峙していた。
「どうして人型のネウロイがまだ存在している?」
「私にもわかりません。アルカ・ネウロイは確かにすべて討伐しました。だけど、あのネウロイから感じるコアの反応は私や零治さんの、DSのものと同じです」
「……ならばなぜ?」
マロニーは訝し気な表情を浮かべている。
「コア、カンジル。オマエ、ドウゾク、カ」
「っ!」
「今、あいつは言葉を発したのか?」
「でも、あれはネウロイのはず!」
彼の言葉を振り切るようにユースティアナは駆け出す。
ストライカーユニットや銃がない以上、今頼れるのは白人剣と自分の固有魔法のみ。
攻撃を仕掛けるが人型ネウロイも、こちらの攻撃を両手で防御する。
「ローゼンクロイツ、いつの間に剣術覚えたんだろ?見た感じ零治さんが教えたんだろうけど」
「おい、私たちもいくぞ」
「OK!」
ヨハンも固有魔法「構築」で西洋風の片手直剣を作り出す。
「くっ!」
ネウロイとの攻防を続ける中、ユースティアナがギリギリで攻撃を回避した。
「ユースティアナ、1人では無理だ!」
割って入るようにヨハンが剣を振る。
「3人で行くよ!」
「は、はい!」
ユースティアナとヨハン、アビゲイルの3人からの怒涛の連続攻撃に、徐々にネウロイは防戦一方で後退していく。
「よし、これなら」
「ツヨキチカラ。ドウゾクノチカラ」
そんな言葉と共に人型ネウロイの体からまばゆい閃光が放たれる。
「うっ!」
「ぐっ!」
「なにこれ!?」
思わず3人が顔を覆う。
隙を突くように強風のごとき衝撃波が走り抜けた。
「しまっ!」
「うわっ!」
ヨハンとアビゲイルもたまらず後方へと吹き飛ばされる。
「ハーゲンさん、ウィリアスさん!」
ユースティアナはなんとか踏みとどまり、声を上げた。
その一瞬、ネウロイは零距離まで接近する。
「いつの間に?!」
「ソノコア、イタダク!」
その言葉と共にネウロイの手はユースティアナの胸元を貫いていた。
「あ……うあああ!」
まばゆい紅の閃光が輝き、苦痛に歪む悲鳴が響き渡る。
このネウロイの手は自分の体内にあるコアを引き抜こうとして、いたのだ。
「ユース!」
「くっそー!」
ヨハンが弓と矢を構築し、放つ。
しかし、放たれた矢をネウロイがビームで撃ち落とす。
「なに?」
予想外の行動にヨハンが驚く。
ネウロイがこちらの攻撃を正確に撃ち落としていたからだ。
「ヨハン、攻撃続けて!」
アビゲイルが駆け出し、手に固有魔法「紫電」を生成する。
再び矢を構築してヨハンも放ち続ける。
「ローゼンクロイツから離れろ!」
紫電を纏う掌打を放つがネウロイは攻撃を回避して、後退する。
「あ、あ……」
「ローゼンクロイツ?大丈夫?ねえ!」
力なく倒れ込む体をアビゲイルが支える。
何度も声をかけるが、返事はない。
そんな中、ヨハンもようやく追いつき剣を構えていた。
「……」
人型のネウロイは一度右手のコアに視線を落とすと、満足したのか再び空の彼方へと消えていく。
「撤退したのか?」
「ヨハン、どうしよ?ローゼンクロイツが」
「大丈夫だ。気絶しているだけのようだ」
彼女の無事を確認したヨハンの説明を聞いて、安心したのかアビゲイルが胸を撫でおろす。
「だが、あのネウロイは一体何だったんだ?」
「サイレンも鳴ってなかったし、やっぱりアルカ・ネウロイ、なのかな?」
「2人共大丈夫?それにユースも」
ナナリーとマロニーもこちらにやってくる。
「なんとか……ローゼンクロイツも気絶しているだけです」
「そう……とりあえず医務室に運んで」
「はい」
ヨハンがユースティアナを運び出す。
「マロニー、あなたは作業に戻って」
「そうさせてもらうよ」
ナナリーたちの背中をただただ見つめる。
ブリタニアではベアトとクロエがネウロイの追撃に出ていた。
天を駆けるネウロイが本土の近海を飛行しているが、新たにサイレンが響いていない。
「やっぱりアルカ・ネウロイ?」
「だとしても、ここで!」
クロエがボーイズ対戦車ライフルを構える。
引き金に指をかけるが、
「――っ!」
叫び声と共にビームが放たれた。
「しまっ!」
クロエは思わず目を瞑る。
しかし、予想していたであろう衝撃がない。
「大丈夫?」
「は、はい」
再び目を開けるとベアトがシールドで守っていたのだ。
「……よし!」
再び魔法力を込め、加速する。
エストックで攻撃を仕掛けるが、
「ココ二、コアハナイカ……オマエドウゾク、チガウ」
「……?」
その言葉に思わず2人とも首を傾げる。
ネウロイはそれ以上の攻撃行動を停止すると、撤退するように戦場を後にした。
「撤退した?」
「あのネウロイ、どうして?」
「よくわかりませんけど、あのネウロイ言葉を発していました」
ベアトの言葉にクロエも「確かに」と口にする。
「コアはない。同族違うって……」
「同族……うっ!」
「フーバーさん?」
彼女の表情が険しくなったのを確認したクロエが心配そうに体を支える。
そこで腹部が赤黒く染まっていることに気づいた。
「もしかしてさっき私を助けた時に?」
「かすり傷です。これくらい……」
「そういうわけにはいきません!一旦基地に戻りましょう」
方向転換しベアトとクロエは基地の格納庫へと急ぐのだった。
ベルギガ王国では零治は空を見つめる。
「この反応は、やはりアルカ・ネウロイと同じ」
「零治さん?」
ウルスラが心配そうにこちらを見つめていた。
彼女だけではない。
「もしかしてアルカ・ネウロイ、ですか?」
「おそらくそうだ」
ヴィレッタの言葉を肯定するように零治が頷く。
ネウロイもこちらを捕捉したのか、急降下する。
「2人とも下がって」
反射的に声を上げ、腰の鞘に納められた扶桑刀「烈風丸」を抜刀する。
コアの力を操作すると刀身が紅く輝きを帯びていた。
「――っ!」
悲鳴のような声と共にビームが放たれた。
零治もディスチャージで強化された身体能力で攻撃を回避する。
続けて攻撃を仕掛けるものの、ネウロイもこちらの攻撃を紙一重で回避していた。
「琴村さん、危険です!」
後方からヴィレッタの声が響く。
「私たちも戦いましょう。ストライカーを」
「はい!」
2人が格納庫へと向かう。
「っ!これは、まさか?」
そんな中、零治は再びコアの反応を感知する。
目の前のネウロイの他にももう一体ネウロイが空から現れたのだ。
「――っ!」
ネウロイはウルスラとヴィレッタの前に立ちはだかる。
「どうしよ……武器なんてないですよ?」
「……」
ウルスラもただただネウロイを見つめていた
紅く発光するとともにビームが放たれる。
「っ!」
ヴィレッタがシールドを展開して、攻撃を防御した。
ウルスラも一呼吸遅れてシールドを展開する。
「ウルスラさん!フラガラック!」
零治は苦虫を嚙み潰したように表情を歪ませていた。
ストライカーも銃もないウィッチには基本的に攻撃手段を持たない。
このままではいずれ魔力が切れてしまいかねないからだ。
「邪魔だ!」
ディスチャージの出力を上げる。
筋力が強化され、ネウロイの体を力任せに弾き飛ばす。
「……ツヨキチカラ。ヤハリドウゾク」
踵を返して2人と戦闘をしているネウロイの元へと駆け出す。
「はああぁぁ!」
跳躍し烈風丸を振り下ろす。
だが、ネウロイは攻撃の手を止め、防御へと切り替える。
反撃の隙を与えまいと烈風丸を振るが、鉄が砕ける音が響く。
「なっ!」
零治の表情が固まっていた。
ネウロイは紅く発光する手刀で烈風丸の刀身を砕いたのだ。
折れた刀身は宙を舞い、コンクリートの地面に突き刺さる。
「そんな!」
「零治さん!危ない!」
「うぁ……!」
ウルスラの警告が聞こえるのとほぼ同時に背中に衝撃が走っていた。
眩く紅の光が周囲に走り抜ける。
「テニイレタ!ツヨキコア!」
「ぐああぁぁ!」
体に走る苦痛に、思わず悲痛の叫びをあげた。
「琴村さん!」
「まさかこいつ……コアを。離れろ!」
奥歯を噛み締め、力いっぱい折れた烈風丸を振る。
だが、ネウロイはその攻撃を回避して、宙を舞った。
「うう……」
膝をつきながらも、意識を保つようにネウロイを見つめる。
「ホカニモ、コアガアル」
その言葉と共にネウロイの一人が格納庫内に侵入する。
「あいつ、何を!」
零治が立ち上がり、一歩踏み出すが、
「下がっててください!危険です!」
ヴィレッタが前に立ち放たれたビームを防御する。
「まさか、WRのコアが狙いなんじゃ?」
「それって!」
ウルスラの言葉に2人もその狙いに気づく。
「コアテニイレタ」
格納庫から出てきたネウロイの手には予想通りWRに使用されていたコアのシリンダの箱が握られていた。
「逃がすか!」
「零治さん!駄目です!」
駆け出し、烈風丸を構える。
反撃するようにその手が紅く発光し始めるが、
「――っ!」
その腕が走り抜けた疾風が弾き飛ばす。
悲鳴のような声が響く中、
「琴村さん!」
「ハルトマンさん!」
基地内にいたソフィアとハイデマリーが戻ってきたのだ。
さきほどの風はおそらく彼女の魔法によるものだろう。
彼女たちが合流し4人のウィッチは再びネウロイを見つめて身構える。
だが、ネウロイはそれ以上攻撃行動をとることはなく空の彼方へと消えていく。
「逃げた、のでしょうか?」
「みたいですね」
「でもコアが」
「……」
彼女たちの声を聞く中で、零治は倒れ込む。
その意識は闇の中へと溶けていく
「零治さん、零治さん!」
「琴村さん!」
薄れゆく意識の中で彼女たちの声が響いていた。
目を覚ますと医務室の白い天井が目に入る。
「うう……」
少し気怠い体を起こすと
「ローゼンクロイツ。よかった、目を覚ましたね」
「ウィリアスさん……」
「大丈夫?体とか問題ない?」
彼女はいつもとは違う心配そうな顔を浮かべていた。
「えっと大丈夫……みたいです」
「そっか。今、ロアノークさんとヨハンが琴村さんたちと連絡とっているみたいだよ」
「そうなんですか」
先ほど戦闘をしたネウロイはレーダーに反応していなかったのか、サイレンが鳴らなかった。
やはりアルカ・ネウロイの可能性があるためだろう。
「にしてもさ、ローゼンクロイツはいつのまに剣術覚えたの?」
「え?えっと、剣術は零治さんに教えてもらったんです。それにこの剣はフラガラックさんに作ってもらったんです」
ベッドの隣に立て掛けられていた白刃剣「グラディウス」に視線を落とす。
「フラガラック?もしかしてヴィレッタのこと?」
「はい。今はフラガラックさんもアサルトウィッチーズに所属しているんです」
「そうなの!?」
説明を聞いていた彼女が声を上げた。
「はい」
「ヴィレッタがねー。というか、琴村さんウィッチなら誰でもいいの~?僕たちという深い付き合いのウィッチを差し置いてヴィレッタを勧誘するんて……」
「そ、そういうわけではないと思いますけど……ははは」
乾いた笑いを漏らす。
そんないつものように世間話に花を咲かせて1時間ほど経った頃、
「にしてもヨハンたち遅いね。どうしたんだろ?」
連絡を取りに行っているナナリーたちが戻ってこないことに首を傾げる。
「うーん。私たちも行ってみましょうか」
「そうだね。ローゼンクロイツ、動ける?」
「はい!」
グラディウスを背負い、ユースティアナとアビゲイルは通信室へと向かう。
「ヨハーン、ロアノークさーん。いるー?」
「し、失礼します」
通信室の扉を開け放つと室内から声が響く。
「ちょっと、それどういうこと?!」
それは通信機越しに声を上げるナナリーのものであった。
「どうしたのさ?」
「ああ、2人も来たのか。ローゼンクロイツ、もう大丈夫なのか?」
「なんとか……それでどうかしたんですか?」
通信の様子を見ていたユースティアナが質問する。
「それがさっき私たちが交戦した人型のネウロイがいただろ?」
「うん」
「それがブリタニアとベルギガ王国のほうでも出たらしい」
「本当ですか!?」
驚きを隠せなかった。
さきほどのネウロイと言うことはアルカ・ネウロイ同様にレーダーに反応しないネウロイということだからだ。
それがここ、ベネツィアの他に現れたとは……。
「でもさ、いくらなんでも移動するには早すぎるよね」
「ああ。それに各国で交戦していた時刻は私たちがここで交戦していた時刻とほぼ同じだということだ」
「え?それって、あのネウロイは1体だけじゃないってこと?」
その言葉を肯定するようにヨハンが頷く。
少し遅れてナナリーが通信機を置き、こちらへと向き直る。
「ナナリーさん。ブリタニアとベルギガ王国にもネウロイが出たんですよね?零治さんたちやベアトさんたちは……」
「一応みんな大丈夫みたい。でも、あのネウロイの出現で交戦あったみたいね」
その言葉と共に彼女が説明を始める。
「今は零治もベアトもネウロイと交戦して倒れちゃって休んでいるみたいだから詳しい情報はあとで聞くんだけど、やっぱりアルカ・ネウロイと同じようにレーダーに反応しないネウロイのようね」
「じゃあ、やっぱりあれはアルカ・ネウロイってことなんですか?」
「……」
こちらの質問にナナリーは静寂のまま少し考える仕草を見せていた。
「どうなんですかロアノークさん」
「私にもわからないの。DSは全部で22人だからあのネウロイたちがどうしてレーダーに反応しないのかは検討もつかない」
「そんな……」
「一度情報を整理する必要があるから。ユース、ブリタニアに戻りましょう。ヴィレッタや直人にも話は伝えているから」
「了解です!」
ユースティアナが敬礼すると
「ちょっと待ってください。私たちも行きます」
「そうだよ!僕たちもあのネウロイと交戦したんだし!戦闘になるならウィッチが多いことに越したことないでしょ!」
「でも、あなたたちの転属許可をもらっている時間は……」
「言っている場合ですか!あれがアルカ・ネウロイであるのなら悠長にしている時間はないはずです!」
ヨハンが言い放つ。
彼女の言う通りだ。
アサルトウィッチーズの戦力は決して整っているわけではない。
それにアルカ・ネウロイが出現したのなら、他の国に被害が出る前に討伐する必要がある。
「ナナリーさん。私もハーゲンさんたちの意見に賛成です。お2人がいるなら心強いです」
「……わかったわ。すぐに移動するらストライカーと武器の積み込みはすぐに取り掛かりなさい」
「「はい!」」
2人は返事をすると通信室を後にするのだった。
「私たちも戻る準備をするわよ」
「はい……」
ユースティアナは胸に手を当てる。
いつものようなコアの感覚がないことに違和感を感じていた。
ベルギガ王国の格納庫で零治は目を覚ます。
「……はっ!」
体を起こすと隣にウルスラ・ハルトマンがいたことに気づく。
「零治さん。目が覚めましたか?」
彼女は心配そうにこちらを見つめている。
周囲に視線を向けるが、室内にはヴィレッタやソフィアの姿はない。
「俺、どれくらい寝てました?」
「1時間くらいですね。本当に心配したんですよ」
「……すみません。みんな怪我とかなかったですか?」
気怠さを感じる身体で立ち上がろうとするが
「はい」
「やべ……」
「きゃっ!」
立ち眩みを起こし、そのままウルスラを押し倒す。
「「……」」
お互いの顔を見つめ、数秒間の聖者が過ぎる。
「零治さん、近いです……」
彼女は顔を赤くしながらそう口にしたことで、零治も我に返った。
「す、すみません」
「もどりましたー……っ!2人とも、なにを?」
ストライカーの飛行音と共に帰投したハイデマリーがこちらを見て驚く。
「違います。これは」
「ハルトマンさーん。連絡取れましたよーって琴村さん何やっているんですか!」
「そうですよ!こんなときに!」
「だから、違う!」
同じように戻ってきたヴィレッタとソフィアも声を上げていた。
数分後、零治は格納庫に正座させられていた。
「大丈夫でしたか?」
「はい。少しびっくりしただけなので……」
ウルスラは再び零治を見つめて、頬を染めている。
「ハイデマリーさん。あのネウロイは?」
「逃げられてしまいました」
「じゃあ、WRのコアも」
「……あのネウロイが持って行ってしまいました」
その返答に「そうですか」とだけ口にする。
コアを奪われたということは、こちらが所持しているコアはないということだ。
「そうだ。零治さん。さきほどナナリーさん連絡取れまして、すぐブリタニアに戻ってほしいと」
「そうか……俺たちもブリタニアに行こう」
「私も行きます。あのネウロイと交戦した私もいたほうがいいと思います」
そう意見したのはソフィアであった。
「ハイデマリーさん。基地の琴をお任せしてもいいですか?」
「構いませんよ」
ハイデマリーは反対せず頷く。
「零治さん、私も同行します」
「いいんですか?こっちとしてはウィッチが多いことに越したことはないですが」
こちらの言葉を肯定するようにウルスラが頷く。
「ありがとうございます。急いで準備しましょう」
「はい。それと移動するならあれがあったほうがいいでしょう」
「あれ?」
零治は彼女の言葉に首を傾げるのだった。
読んでいただきありがとうございます。
新しいネウロイとはなんなのか……?