ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ 作:UNIMITES
投稿まで時間が空いてしまいました……。
アサルトウィッチーズの完結編『LASTDANCE』第4話となります。
では、本編をどうぞ。
深夜、零治たちはストライカーユニットの組み立てを進めていた。
「これで完成ですね」
「やりましたね。これならきっとあのネウロイにも対抗できるはずです」
ストライカーユニットが完成したことで一息つく。
目の前に置かれた銀色のストライカーユニット2台を見つめる。
「アドバンスドストライカー『試製橘花特式』。思ったより時間がかかったな」
「だが、こいつはすげーぜ。他のストライカーに比べればWRにも迫るはずだ」
ユリウスも絶賛するように機体を褒めていた。
「グラハムさんやフラガラックさんがいなければ、もっと時間がかかっていたと思います。手伝っていただきありがとうございます」
「いえいえ。私こそ、いい体験させていただきました」
深々と頭を下げて感謝するウルスラにヴィレッタが謙遜するように返答する。
「明日も出撃がありますから、ウルスラさんとフラガラックはそろそろ休んでください」
「え、でも……」
「大丈夫だって」
「……わかりました。でも零治さん、グラハムさん無理はしないでくださいね」
「はい」
「おうよ」
2人を見送り零治は再びストライカーユニットの方へと視線を戻す。
「WRを新型エンジンへの交換だったな。まさか本当に俺の案を採用するとはな」
「できる限りのことはやっておきたいからな……といってもフラガラックの魔法がなければこの案は採用しなかったさ」
「じゃあ、やるか。琴村」
「6台分だから急ぎで片付けるぞ」
工具を手にストライカーユニットWRへと新型エンジンを積み込みを行うのだった。
翌朝、ユースティアナはヨハンと共に剣術訓練に取り組んでいた。
剣の打ち合う音が響く中、
「あれ?皆さん、早いですね」
ヴィレッタが海岸へと到着する。
「「フラガラックさんおはようございます」」
「おはようございます」
クロエやソフィアに挨拶すると再び、視線を訓練している2人戻す。
「ほどほどにとは言ってるんだけどねー」
アビゲイルはやれやれとため息交じりにつぶやく。
そんな中、響いていた剣の音が止んだ。
「これくらいなら、なんとか実戦で使えるか……」
打ち合いを終えたヨハンが頬を伝う汗を拭う。
「うぅ……細かい魔力操作と戦闘を並列に処理するのがこんなに難しいなんて……」
ユースティアナは少し落ち込んだような表情を浮かべる。
2人から学んだのは「魔力操作」だ。
魔力操作は一般的なウィッチでもよく使用している手法だ。
身体強化やストライカーユニットの操作がそれである。
単純だが突き詰めれば、固有魔法やシールドの扱いもすべては魔力操作から発展しているのだ。
「付け焼刃でもこれくらいならなんとかやれるんじゃない?ローゼンクロイツは細かい魔力操作もできているほうだし」
「固有魔法とも相性がよかったのもあるな」
アビゲイルとヨハンが頷く。
「そろそろ切り上げた方がいいですね。あまり魔力を使いすぎると戦闘にも影響が出るかもしれません」
「え、でも……」
「そうだよユースティアナさん。大丈夫です、私たちもユースティアナの援護はするから!」
「はい。ありがとうございます」
クロエの言葉にユースティアナも笑みを浮かべ、感謝する。
基地内の食堂の扉をくぐると、すでにベアトや直葉の姿があった。
「みんなおはよう!朝から訓練をしているのは精が出るね」
「おはようございます」
そんな中、椅子の背もたれに力なく背中を預ける零治とユリウスの姿が目に入る。
「零治さんとグラハムさん。大丈夫ですか?」
「……なんとか、な」
「いやー流石に全員分のストライカー仕上げんのは無茶しすぎたな……」
心配そうに声をかけていたウルスラに2人は明らかに疲労感を見せていた。
「また徹夜でやっていたんですか?」
「今回は朝までやってたぜー……」
「全員そろっているわね」
ナナリーも食堂に現れる。
「朝食後に全員加賀に集まって。そのまま零治が発見したって言うネウロイの巣に向かうわ」
「いよいよ戦いになるんですね」
敵はアルカナ・フォースというDSのアーキタイプという存在。
先日戦闘したときは隙を突かれてしまったが、今回はみんながいる。
アサルトウィッチーズのみんなとならきっと。
「ストライカーは朝までに全部完成させたから問題ない」
「いつでも出撃できるっすよ」
「メディカルチェックで全員問題ないことは確認済みだ」
「ありがとう零治、直人、ユリウス」
3人の顔を確認したナナリーが頷く。
「朝食もできましたので食べましょう」
「お腹すきましたー」
アサルトウィッチーズのメンバーは食事を始めていくのだった。
時間が過ぎ、ユースティアナたちを乗せた加賀がブリタニアを出航する。
「今回の敵ネウロイは4体……でいいんでしょうか?」
「アルカナ・フォースとしては4人だと思います。でもWRや私たちのコアをあちらにはありますからね」
「もっと多くのネウロイと交戦する可能性はあるということですね」
各々が状況を整理する。
「こっちの戦力はウィッチが8人ですからね」
「敵戦力が正確に分からないのは不安要素ですね」
ヴィレッタとウルスラが呟く。
「それでもやるしかないですよ」
「だな。私たちはそのために集まったんだからな」
「そうなるよねー」
ベアトの言葉を2人が肯定する。
「そろそろ、目標の海域に近づくころだな。みんなは出撃準備を」
格納庫に到着したユースティアナはストライカーユニットへと視線を向けた。
「これが私のストライカー、ですか?」
これまで使用していたストライカーユニットでもWRでもない。
新型を開発しているとは聞いていたので、これがその新型なのだろう。
「はい。ユースティアナさんの戦闘データを元に調整されているので動作にも問題ないはずです」
「は、はあ……」
ストライカーを装着し、魔導エンジンを稼働させる。
少量の魔力でありながら エンジンの回転率がいつも以上に上昇していく。
彼女のストライカーだけではない。
「うぉ……」
「すっご!」
「思ったより過敏なエンジンなんですね……」
ベアトたちもそのエンジンの出力に驚きを隠せていなかった。
自分もそうだ。
このストライカーユニット……アドバンスドストライカーは新型エンジンの効果なのか、出力はWRにも匹敵するかもしれない。
それだけではない。
魔導エンジンそのものの反応速度はWR以上だろう。
「確かにこれはすごいですね」
「でも、WRは使えないはずしゃ?」
クロエが首を傾げる。
彼女の言葉通りクロエやソフィアが装着しているのは見た目はアサルトウィッチーズとして使用していたWRだった。
「あーそれな。エンジンを新型に積み替えたんだ、おかげでGrowなしでも使えるようになったしな」
「俺じゃなくグラハム案でな。それをWRに積み込んでたら朝になっていた」
「そうだったんですね」
2人の言葉に納得したように頷く。
アドバンスドストライカーだけでなくWRのほうを使用できるように改修までしていたのは驚きであった。
「では、皆さん。そろそろ出撃しましょう」
ベアトの言葉にウィッチたちが返事をする。
「零治さんいってきます」
「うん。気を付けてなユース」
お互いに顔を数秒見つめるとユースティアナは空へと飛翔していく。
その背中を零治や直人たちも静かに見つめていた。
「さて、私たちはどうしようか琴村少年」
「ひとまずは、艦から援護だな。と言っても加賀には対空砲だってあるからな……?」
視線を直葉のほうに向けると、足元に元彼女の使い魔である黒狐「ブラッキー」の姿があった。
「どうかしたかな?」
「いや、なんでもないです」
そう口にして銃を手に、零治たちも艦橋へと向かう。
空を駆るユースティアナたちもアルカナ・フォースの巣である積乱雲を見つめる。
「あそこにアルカナ・フォースが」
「敵の反応を感知しました」
いち早く固有魔法「高感度センサー」で敵の存在を捕捉したクロエが声を上げた。
報告通り、雲からは小型のネウロイが複数現れる。
「人型じゃないってことは奴らは前座かな?」
「あんなやつら速攻で倒すぞ!」
ヨハンが片手直剣を構築し、ネウロイのほうへと向かって行く。
「待ってよヨハン!」
「ハーゲンさん、一人じゃ危ないですよ!エリザベートさんとラーヴァさんは援護お願いします!」
「気を付けてくださいね」
「フーバーさん、お気をつけて」
ベアトも後を追うように空を駆ける。
「さすがみんな前線で戦ってるから飛行に迷いがないですね」
「これまでアルカ・ネウロイと戦ってきましたからね。私も前に出ます!」
「援護はお任せください」
散開して戦闘を開始していく。
多数のネウロイをウィッチたちが次々に撃墜し、光の粒子が空を舞っていた。
「流石だな。あいつら」
「特務隊とは言え、伊達に前線で戦ってるわけでないからねぇ」
双眼鏡で戦況を見ていた直葉たちも頬を緩ませていた。
「っ!アルカナ・フォースが、来る!」
コアの反応を感じ取った零治の言葉通り、雲から8体の人型ネウロイが現れる。
「新たなネウロイが……8体?」
「アルカナ・フォースって4体のはずじゃないの?」
ソフィアとアビゲイルも予想外の数のネウロイが目の前に現れたことで困惑する。
「それでも、戦うんです!」
「行くぞ!」
ヨハンとユースティアナは剣で交戦を開始した。
「なかなか決定打にならない……」
思わずつぶやく。
これまでのアルカ・ネウロイと同様、やはり人型のネウロイは小型な上にその機動力はウィッチと同様のようだ。
ウィッチたちとネウロイたちが交戦していく中、
「これは……そうか」
ベアトは固有魔法「魔眼」でネウロイを順番に見据えていく。
ようやくネウロイの数が予想より多いことを理解する。
「わかりました。みなさん、あのネウロイの内6体はベルギガ王国で奪われたWRのコアを体内に持っています!」
「なんだって?」
「それってどういうことですか?」
信じられない言葉にヨハンとクロエが質問する。
「おそらく、奪ったコアからなんらかの方法でネウロイを作ったんだと思います」
「そんなことがありえるんですか……」
「……待ってください。ということはアルカナ・フォースは今2体しかこの場にいないということですか?」
「「まさか!」」
その言葉を聞いてユースティアナとウルスラが加賀の方を見つめる。
「っ!」
零治は再びコアの反応を感じ取り、振り返った。
空からは感知した通り2体のネウロイが滑空していたのだ。
機銃のごとき攻撃が甲板を掠める。
「まじかよ……!」
「みんなは下がっていたまえ!」
「姉貴はもうウィッチじゃないだろ!戦闘は――」
「言っている場合かい!」
直葉は直人の静止を振り切り銃を構え、発砲する。
「直人、今はあのアルカナ・フォースを加賀から引き離すのが先だ!」
零治も空を舞うネウロイに向けて、引き金を引く。
「アルカナ・フォースが加賀に?」
「それってまずいんじゃ」
戦闘を続けていたヨハンとソフィアが報告を聞いて声を上げた。
「私が戻ります」
「なら私も!」
真っ先に進言したウルスラにヴィレッタも同行することを告げる。
「いえ、私だけで大丈夫です。それに2人もウィッチが抜けてはこちらの戦力が足りなくなる可能性があります」
「でも……」
「……ウスルラさん。零治さんたちのほうをお願いします」
「はい」
方向転換したウルスラは加賀へと向けて飛翔していく。
直葉の放った弾丸がネウロイに命中する。
しかし、ネウロイは被弾箇所を瞬時に再生させ、傷は塞がっていく。
「やはり、魔法力なしでは駄目か」
「このままではジリ貧ですよ……」
零治も苦虫を嚙み潰したように表情を歪ませていた。
再びネウロイが攻撃態勢に入るが、ミサイルが命中し爆風で態勢を崩す。
「――!」
「大丈夫ですか?」
「ハルトマンさん!」
間一髪で彼女が艦へと救援に戻る。
「ウルスラさん、後ろ!」
「へ?きゃっ!」
飛行していたもう1体の個体が攻撃を放った。
シールドを展開するものの威力を殺しきれず衝撃で落下する。
「ウルスラさん!」
零治が艦橋で彼女を受け止めた。
だが、2体のアルカナ・フォースは再び攻撃態勢に入っていた。
「うう……」
どうする?
そんな言葉が零治の頭の中を駆け巡る。
「零治!」
「おい、やばいぞ。このままじゃ俺たち」
「……くっ!」
2人の顔を見つめ、直葉が前に出て銃を発砲する。
夢中で攻撃を続けるものの、焦る感情がその手を震えさせていた。
弾丸は空の彼方へと飛んでいく。
アルカナ・フォースの手の輝きが増し、ビームが放たれる。
「「……っ!」」
直人やユリウス、ウルスラは思わず固く目を閉じていた。
「零治!ウルスラさん!」
「こーん!」
そんな声が2人の耳に響く。
「姉、さん?」
「ブラッキーの声……?」
気が付けばウィッチの蒼白いシールドと紅いシールドが艦を守るように展開されていた。
「姉貴、その耳……」
「狐の耳ってことは魔法力が?」
「どうやらそうみたいだね……ブラッキーが少しだけ私にウィッチとしての時間をくれたのかもしれない」
直葉は狐の耳に触れ、思わずつぶやく。
「零菜さん……」
「久しぶりだね。ウルスラさん」
彼女を抱きかかえ、零菜は優しく笑みを浮かべていた。
その姿は、前にベルギガ王国で彼女が消滅したときと同じであり、自分と同じ軍服姿だったのだ。
「どうして?それに零治さんは?」
周囲を見回し、零治の姿がないことに気づく。
「ここにいるよ。理由はわからないけど、たぶんユースさんのティアみたく私も一時的に表に出られたみたいだね」
「そうなんですか?そうだ、さっきのシールドですよね?ウィッチでもないはずなのに」
「うーん。どうだろ?でも、今はあれをどうにかするのが先だね」
零菜は浮遊するアルカナ・フォースを見つめた。
「「ここからは私の戦いだよ!」」
2人が武器を構える。
慣れたように魔法力を込め、銃を発砲した。
零菜がフリーガーハマーから放ったミサイルは防御態勢取ったネウロイの体に命中し、誘爆する。
直葉の放った弾丸も丸でその動きを予測していたように移動先でネウロイを撃ち抜いていた。
「「――っ!」」
悲鳴のような声と共に2体のアルカナ・フォースは消滅する。
「やっぱり魔法力?」
「零治は烈風丸使えていたみたいだし、案外そうなのかもね」
ウルスラを抱きかかえたまま、直葉たちの元へと向かう。
「君は……」
「零菜さん?」
「え?なんで?」
3人も同様の疑問を抱き、首を傾げていた。
「直人くん、グラハムくん。ウルスラさんのこれ、脱がせて」
「は?」
「な、なに言ってんすか!」
零菜の言葉に、ユリウスが声を上げる。
「……?あ、服じゃないよ、ストライカーのほう!」
「そっちすか」
「そうだよ。君たち本当にスケベなんだから」
「今のは零菜さんの言い方が悪いだろ……」
不満そうな直人もユリウスと共にストライカーを脱がせる。
「どうするんですか?」
「魔法力があるなら姉貴にいかせるのか?」
「私もいくの。それに直葉さんの紫電も積んであるしね。そうでしょ、グラハムくん」
「本当かい?どうして?」
その言葉に直葉は首を傾げていた。
「いや、琴村が一緒に積んどけっていうから積んでたんだけど……なんか慣れないなグラハムくんとか呼ばれるの」
「予備のストライカーとして積んでたんですよ」
「あ、でも直葉さんのほうがウィッチとしては慣れているでしょうし、紫電は私が」
「いいや。紫電は私が使うよ。使い慣れた紫電の方が私には合っているからね」
「了解です。じゃあ準備します。鈴木、手伝え」
「わかったよ」
程なくして、2人がストライカーを身に着け、浮遊する。
「じゃあ行ってくるね、ウルスラさん」
「気をつけてくださいね」
「姉貴、ベアトやみんなを頼む」
「任せたまえ。いくよ零菜さん」
「うん!」
再び戦場へと飛翔していくのだった。
ちょこっと設定紹介
・アドバンスドストライカー『試製橘花特式』
ウルスラ・ハルトマンが開発していた新型ストライカーユニットであり、零治、ヴィレッタ、ユリウスの手助けを得て、完成している。
ジェットストライカーをベースにヴィレッタの固有魔法『付与魔法』を使用して作成した新型エンジン『エンチャント魔導エンジン』を搭載したことで高出力を保ちながらも機体の小型化、飛行時間の延長に成功したことで零治たちアサルトウィッチーズにて運用された。
全2機の試作機が作られ、1号機はウスルラ・ハルトマン、2号機はユースティアナ・ローゼンクロイツが装着している。