ストライクウィッチーズ オルタナティブ アサルトウィッチーズ   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
第8話となります。


第8話 疑心

 ユースティアナたちは折れたエッフェル塔を見つめていた。

「あれが、エッフェル塔ですか。見事に折れてますね」

「うん。私も初めて見たけど、本当にぽっきり折れてるね」

 ソフィアも苦笑いを浮かべる。

「もう少し復興が進めば、修理が始まるとは思うんだけどね」

「アルカ・ネウロイはまだここにいるみたいですし、それを早く倒さないとです」

「そろそろ日も暮れてきましたし、帰りましょうか」

「そうだね」

 日が傾きはじめ、赤く染まった空と折れたエッフェル塔はどこか寂しさを感じさせていた。

 彼女たちが帰路につき、歩みを進める。

 すると、通信機から声が響く。

「こちら琴村、緊急招集だ!アルカ・ネウロイの反応を感知した」

「っ!」

 ウィッチたちの表情が一気に鋭くなる。

「了解!」

 その声と共にウィッチたちは駆け出す。

「戻りました!」

 十数分掛けて、ユースティアナたちが軍の格納庫に到着する。

「アルカ・ネウロイは近海の上空だ。出撃メンバーは」

 そう口にしたこちらの言葉を遮るように、サイレンが響き渡る。

「これって、通常のネウロイ?」

 海へと視線を向けると、人型のアルカ・ネウロイの他にも大型のネウロイが接近しつつあった。

「っ!今はなりふり構っていられないか。6人で全員で出撃だ。ネウロイをガリアに近づけされるな!」

 思わず舌打ちをして、吐き捨てるように叫ぶ。

「了解しました!」

 6人のウィッチたちはGrowを投与して各自のストライカーユニットを装着する。

 格納庫内に風が吹き抜け、同時にウィッチたちは羽ばたいてく。

「おい、いいのか?ネウロイもいるならガリアのウィッチも出撃してくるんだぞ」

「まずはアルカ・ネウロイの排除だ」

 2人は空を駆けるウィッチたちを見つめ、そう口にする。

「こうして全員で出撃するのってアルカ・ネウロイとの初戦闘以来ですね」

「言われてみればそうだね」

「ずっと3人組での出撃ばかりでしたから」

「連携面を考慮して、とは言ってたけどなんで3人でばかりだったのかな?」

「私たち6人しかウィッチがいないようだったからな。何らかの理由で全員が戦闘に参加することができないことを考慮しているのだろう」

「皆さん、そろそろ戦闘空域に入ります」

 ベアトの言葉にウィッチたちは再びアルカ・ネウロイと大型のネウロイを見据える。

「まずはアルカ・ネウロイを倒します」

「いくぞ、エリザベート援護してくれ」

「はい!」

「僕もいくよ、ヨハン!」

 ヨハンとアビゲイルが速度を上げ接近する。

 接敵と同時に互いの射撃戦が開始された。

 これまで同様に大型に比べて的もコアも小さい人型ネウロイは攻撃を当てるのは容易ではない。

 だが、

「よし、当たるぞ!」

「これまで何度も訓練してたし、私たちも慣れてきたね!」

 ウィッチたちの放つ弾丸は人型のアルカ・ネウロイの体に命中していた。

 これまで5回のアルカ・ネウロイの出現と各自の戦闘経験や訓練から彼女たちはだいぶ人型との戦闘にも慣れてきたようだ。

 連携もこれまで訓練で、こちらの想定以上にうまくいっている。

「ささっとに倒して、大型のほうも仕留めるぞ!」

「OK!」

「コアは……人型の右肩です」

「狙い撃ちます!」

 クロエが銃口をアルカ・ネウロイへと向ける。

「——っ!」

 悲鳴のような声を上げ、まばゆい光と共にアルカ・ネウロイの形状が変化を始める。

「またか!」

「って、何あの形!?」

 光が収まると人型から円盤のような円形の形状に変化していた。

 その表面にはⅩⅥの文字が刻まれていることを確認する。

 ⅩⅥはタワー(塔)であることをベアトが口にした。

 タワーも回転してこれまでよりも高速で移動を開始する。

「速くて、狙いが!」

「速さなら僕に任せろ!」

「私も行きます!全力で固有魔法使用すれば……少しだけだから壊れないでよ」

 ユースティアナが固有魔法「魔力放出」を使用する。

 体に魔力が満ちていくのを感じ取り、加速した。

「ちょっとなに?私眠いんだけど……」

 固有魔法を使用したことで目を覚ましたのか、ティアが語り掛けてくる。

「ティアは寝てていいよ。今戦闘だから!」

「そう?なら、そうさせてもらうわ」

 再びタワーを見つめ、アビゲイルの速度に追いつく。

「おう!ローゼンクロイツじゃん、よくついてこれるね」

「はい。このストライカーユニットのおかげです」

「よし、一緒にいこう!」

 2人がタワーに追いつくと銃を構え、放つ。

 弾丸が装甲を抉っていき、コアが露呈する。

「コア発見!」

 しかし、さらにタワーは速度を上げた。

「うそ?まだ上がるの?」

「問題ありません!」

 先回りしていたベアトが「ブレン軽機関銃Mk1」の引き金を引く。

 放たれた弾丸がコアへと命中し、同時にタワーは光の粒子となって消滅した。

「あー、おいしいところ持っていかれた!」

「はぁ、はぁ……ウィリアスさんたら、ははは」

 アビゲイルのその言葉に乾いた笑いが出てしまう。

「こちらベアトリス!アルカ・ネウロイの撃墜に成功しました」

「次は大型のネウロイを」

「帰投しろ」

 ユースティアナの言葉を遮るように零治の声が響く。

「どうしてですか!?私たちはまだ戦えます!」

「そうですよ!」

「私もまだ戦えます」

「琴村さん。目の前にネウロイがいるのに撤退しろってのはどういうことですか?」

「そうだよ。私たちウィッチはネウロイと戦うのが仕事なんだよ」

 ウィッチたちはこちらの指示に従えないと返答する。

 彼女たちがまだ戦闘を継続できることはわかっている。

「ここで君たちがネウロイと交戦する必要はない。それにガリア側のウィッチがすでにネウロイと交戦しているのだから」

 こちらの指示を聞いて、彼女たちは再び交戦しているネウロイとウィッチたちを見つめる。

 何とか戦えているが、苦戦していることは明白だ。

「でも、苦戦してます!助太刀するだけでも!」

 そう口にしたのはユースティアナであった。

「その必要はないと言っているんだ」

「なら、私は従えません!」

「おい、ユースティアナ!」

 こちらの指示を振り切って、ネウロイへと向かっていく。

「私たちも行くぞ」

「はい!」

 他のウィッチたちも次々に向かっていく。

「っ!止めろ、ベアト!」

 直人が声を上げた。

「了解しました。でも、よろしいんですか?命より命令を優先してしまって」

 ベアトのその言葉が心に突き刺さった。

 昔、聞いた言葉を思い出す。

「命令も大事だが、命はもっと大事に」

 彼女たちの命を優先するあまり、他の命を犠牲にするのは本当の意味で命を大事にできていなかったのかもしれない。

 顔を上げてインカムに手を当てる。

「ベアト。先ほどの指示は、訂正する。全力で目標ネウロイを倒せ、ガリアのウィッチたちを助けるんだ」

「はい!了解しました!」

 ベアトは頷くとユースティアナたちのあとを追う。

「おい、零治!」

「いいんだよ。問題があれば俺が責任を持つ」

「一時の感情で動いたら後悔するぞ、お前!」

「わかってるさ。でも命だけは、優先しなきゃな」

 お互いに空を見つめる。

「みなさん!零治さんから交戦許可が出ました」

「そうなんですか?」

「これで問題なく戦えるね!」

「行きます!」

 大型ネウロイと接敵する。

 交戦していたガリアのウィッチたちと協力し、数分とかからずネウロイを撃墜していた。

 空から戻ったウィッチを見つめる。

「……」

「琴村さん、命令無視しちゃったのは私たちも同じなので」

 ユースティアナを庇っているのかヨハンが前に立つ。

「別に命令無視をしたとは思っていないさ。それにあの指示は俺のミスだったからな」

「琴村さん……」

「琴村さんと鈴木さん」

 自分たちの名前を呼ぶ声に振り返る。

 そこにはさきほど店であったペリーヌ、リネットの姿があった。

「あら、ウィッチの方もいらっしゃたのね。さきほどの戦闘での援護感謝しますわ」

「いえ、そんな……」

「見ない顔ですが、みなさん最近ガリアに来られたんですか?」

「は、はい!」

 ユースティアナも彼女たちの顔を見て、501所属のウィッチであることを理解したのか緊張気味に返答している。

「琴村さん。この2人って501の?」

「クロステルマン中尉とビショップ曹長だ」

「すご、本物を生で見たの初めてだよ」

「私もです」

 アビゲイルやソフィアも驚いたような表情を見せていた。

「ガリアにはいつまでいらっしゃるんですの?」

「明日、朝一でブリタニアに戻ります」

 質問に返答すると、「えー」とアビゲイルが不満そうな声を上げている。

「琴村さん、もう少しゆっくりしていてもいいんじゃないですか?」

「元々長居はしないつもりはなかったんだ……」

「あの、琴村さんはこちらのウィッチと知り合いなんですか?」

 こちらの慣れた会話が気になったのかリネットが質問する。

「そう、ですね。彼女たちのストライカーユニットを整備しているんです」

「珍しいですね。ウィッチ隊の隊長をしているなんて」

「任命されたからやっているだけですよ」

「零治、ロアノークさんが招集かけてるぞ」

 会話を遮るように直人が声をかける。

「そうか。すみません、急用ができたので俺たちはこれで。ベアトたちはここに残していきますので、よければ食事にでも行ってください。明日にはガリアを発ちますので」

「え、はい……」

 そう言い残し、零治たちはその場を後にする。

「じゃあ、食事にでも行きましょうか」

「はい!」

 ユースティアナたちはペリーヌたちと共にガリアの街へと再び歩き出す。

 

 

 事務室に呼び出されていた零治と直人の前にはナナリーが座っていた。

 こちらの報告を聞いて、彼女はこちらに鋭い視線を向けている。

「あれほど、不要な戦闘は控えなさいと言ったのに、他の部隊と一緒に戦闘したのね」

「あのままでは、ガリア側のウィッチにも被害が出ていました」

「それで?」

 眉一つ動かさず、ナナリーはこちらを見つめ続ける。

「命令も大事だが、命はもっと大事に。これはあなたが俺たちに教えた言葉だ。たとえ違う部隊であっても命を優先することは同じはずです」

「……今回は目を瞑るわ。でも、わすれないことね。人助けをしても、世界はあなたにやさしくないってことを」

 そう口にして報告書にペンを走らせる。

「明日、ブリタニアに戻りなさい。各国の偵察チームから報告があるまではブリタニア近海の哨戒と部隊の訓練を」

「「了解」」

 2人は返事をして、事務室を後にするのだった。

 

 

 翌日、零治たちはブリタニアむけての出航準備を進めていた。

「ストライカーと武器は積み込んだな。直人、そっちの準備は」

「こっちも終わっている。さっさと乗れ」

「おう、クロステルマン中尉、ビショップ軍曹。俺たちはこれで失礼します」

「はい。お元気で!」

 数分とせず、ランカスターは飛び立ち、ガリアを後にする。

 飛び経ったランカスターをペリーヌとリネットは見つめていた。

「行っちゃいましたね」

「私たちも戻りましょうか」

「クロステルマン中尉、リネット曹長!」

 2人の名前を呼ぶ声に振り返るとガリアの制服に身をつつむ2人のウィッチが立っていた。

「どうしました?」

「さきほどの方々とは知り合いなのですか?」

「顔見知り程度には知っていますわ。どうかしましたの?」

 ペリーヌが思わず質問を返す。

「昨日、彼女の様子が変だったので問い詰めたんです。ほら、自分で言って」

「えっと私の固有魔法は魔眼なんですけど、昨日の戦闘時にあの人たちのストライカーユニットにコアが見えたんです」

「え?」

 彼女の告白に、ペリーヌとリネットの表情が固まる。

「詳しく話しなさい」

「は、はい!」

 数分後、彼女たちから情報を聞き出したペリーヌは表情を曇らせていた。

「ペリーヌさん」

「わかってますわ……報告ありがとうございます。こちらでも確認してみます」

「お、お願いします!」

 2人はそう言い残し、その場を後にする。

「ストライカーユニットにネウロイのコアが……」

「琴村さんはやっぱり魔導ダイナモの設計者なんじゃ」

「その可能性は出てきましたわね。ミーナ中佐に連絡を取ってみましょう。きっと調べてくれるはずですわ」

「そ、そうですね!行きましょう!」

 ペリーヌとリネットも基地に向かって駆け出すのだった。




ちょこっと設定紹介
隊長補佐兼衛生兵、薬品開発
・鈴木 直人 二等兵(オリジナル)
 性別 : 男性
 年齢 : 19歳
 身長 : 170cm
 体重 : 61kg
 生年月日 : 6月28日
 魔法力 : -(一般人のためなし)
 使い魔 : -(一般人のためなし)
 特異体質 : なし
 主な開発薬品 : ウィッチ専用同調率上昇薬「Grow」
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