執事の幻想入り   作:kazuスカーレット

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作られた狂人

「ちょこまかと!」

 

動き回り遠距離から弾丸を躱しながら弾幕を放つ鈴仙とその弾幕を避けながら発砲する鈴仙上級曹長。

 

既に主力のライフルは弾が尽き福武装であり拳銃を使っている。

 

鈴仙(奴の主力武器の弾が尽きたのはいいけどこのままじゃやられる、しかも罠が効かない)

 

「そろそろ死んでよ」

 

銃弾が鈴仙を貫く。

 

鈴仙(どうすればコイツを殺せる?どうすれば......)

 

鈴仙が必死に頭を回す。

 

「どうした随分お疲れじゃない、もう休んでよ」

 

上級曹長が鈴仙の頭に照準を合わせる、と同時鈴仙が上級曹長に向かって駆ける。

 

「なっ!?」

 

銃弾が鈴仙の肩を射抜く。

 

鈴仙(どうせ私がやられたらコイツは永遠亭にいる師匠達を殺す、なら、ここで何としても殺してやる)

 

しかし鈴仙は勢いを止めず上級曹長に駆ける、片手に鋭い竹を持って。

 

(ただの特攻か)

 

「じゃあもう終わりね」

 

上級曹長が竹を持った手首を掴む、鈴仙が竹を離すと同時口を開けた。

 

「クッ!?」

 

そのまま鈴仙は上級曹長に噛み付く。

 

「クソが!」

 

上級曹長が即座に懐からナイフを出す。

 

「ガァアア!」

 

しかしそれより早く鈴仙が肉を噛みちぎった。

 

「どけ!」

 

上級曹長が鈴仙を蹴飛ばす。

 

「ウサギが.......!!」

 

上級曹長の服が血染まっていく。

 

鈴仙「太い血管が切れましたね」

 

鈴仙がまた距離を詰めようとする、上級曹長もすかさずナイフを手に持ち迎撃の体勢をとる。

 

「こいよ!」

 

上級曹長がナイフを振り上げる、それに対し鈴仙は前に詰めて切れにくい柄の方で受けた。

 

鈴仙「くっ!」

 

「なっ!?」

 

鈴仙がそのまま腕を掴み押し出す。

 

鈴仙(ここには確かアレがある!)

 

(ヤバイ!この地形、多分落とし穴がある!)

 

そのまま鈴仙と上級曹長が穴に落ちる。

 

(嘘ッ!?)

 

上級曹長が落とし穴の仕掛けを見る、それは今までの足を引っ掛けるロープや泥などの殺傷力の無い罠ではなく刃が地面から生えている殺意の塊のような物だ。

 

それは2人の体を貫いた。

 

鈴仙(最後の手段.......上手くいった、でも最後はてゐの罠で死んじゃったのはてゐに悪いな.....)

 

最後鈴仙の頭に浮かんだのは今までの思い出だ。

 

 

 

鈴仙「ちょ!ギャアー!死ねるやつじゃない!」

 

てゐ「ハハッ」

 

鈴仙「てゐー待ちなさい!」

 

 

 

永琳「ウドンゲ、薬売ってきてくれない?」

 

鈴仙「分かりましたー!」

 

永琳「いつもありがとね」

 

 

 

輝夜「イナバー!何やってんの?」

 

鈴仙「輝夜様!お師匠様に言われて薬を売りに人里に行ってきます」

 

輝夜「そう、頑張ってね、ちょっと妹紅と遊んでくる」

 

鈴仙「ほどほどでお願いします」

 

 

 

鈴仙(まぁ......楽しかったわ、あぁ死にたくない.......)

 

 

 

(痛い、動かない、詰みね)

 

敵もまた薄れゆく意識の中で考えていた。

 

(そうえば私何でこんな事になったの?)

 

(えぇと、確か.....あ、思い出した)

 

 

 

私は産まれた時から耳があった、そんな私を家族は常に同じ人間とは思ってくれなかった、学校でも毎日イジメられていたが同級生の男の子だけ何故か私をイジメから守ってくれた、そしていつも私に。

 

「大丈夫?」

 

と手を差し伸べ優しくしてくれた、でもそれだけでイジメが止まる事はない、家族にも白い目で見られる、私はもう限界だった。

 

「ふー......ッ!」

 

私は自分の左耳を切った、頭に鋭い痛みが走る、でもこれでもうイジメられなくなると思うと痛みなんて感じなくなった。

 

「ハ.......ハハハ」

 

もう学校でイジメられない、家族からも白い目で見られなくなる、何より私を庇ったあの人が私のせいで傷つく事もなくなる。

 

私は口角を吊り上げもう一つの耳も切り落とした。

 

切り落とした箇所から血が流れていたので私はそこら辺にあった布で頭を巻き血を止めた、そして帽子を被りあの人の所に向かった、家族よりもまずあの人にこの事を知って欲しかったからだ。

 

幸い私は住所を聞いていた、私はすぐに彼の家に向かった。

 

「ベネット!」

 

私は彼に自身が耳を切り落としたことを話した、話し終えると何故かベネットは泣いて私を抱きしめた。

 

「え?」

 

「ごめん、ごめん......」

 

私は何故謝るのか全く分からなかった、

 

それから私は家族に白い目で見る事はなくなり学校でのイジメも減った、しかし彼はどこかに引っ越したらしい、悲しかったがしょうがない、私はこれから目標を持つようになった、きっといつか立派に成長して彼に会おうと。

 

それから第一次世界大戦が始まり私も軍に入り戦った。

 

運の悪いことに私は敵と味方の死、そして自身のなぜか高い身体能力のおかげで第一次世界大戦を生き残った、生き残っただけで私の国ドイツは負けたが。

 

私は転属しナチスドイツ親衛隊という組織に入った。

 

この組織に人の心は無かった、次々と意味もなくユダヤ人を、総統の邪魔になる人間を殺し続けた。

 

数々の非道な任務に私は徐々に精神が削れていった。

 

脱走者や自殺する人も出たがそれ以上に狂った人間が増えた。

 

私はまだ比較的にまともだったと思う、でも狂ったあの日。

 

私は処理したユダヤ人達の事後処理を行なっていた、それ自体はいつもの事だ、しかしその中に見覚えのある名前があった。

 

「.....ベネット........シュタール?」

 

それは私を昔守ってくれた、いつか恩返ししようと思っていた、私が軍に居る理由だ。

 

私はすぐにユダヤ人の死体を確認しに行った、そして見つける。

 

「あ.......嘘」

 

あの時の面影がある、かつて恋した遺体を見て。

 

私は視界が真っ黒になった。

 

それから私は今まで以上に任務を積極的に行なった、彼を忘れるために、何の罪もないユダヤ人も反旗を翻したドイツ人もただ自分の後悔を振り払うように殺し続けた。

 

「これがその末路か」

 

上級曹長が自嘲し言う。

 

(何で今更こんな事思い出したんだろう?何で.......)

 

上級曹長は沈んでいく意識の中で自分の中の分かるはずない疑問を考え続けた。




プロフィール

鈴仙 年齢26歳

本名 オリヴィア•グルック

階級 上級曹長

好きな食べ物
チョコレート

嫌いな食べ物
兎肉
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