魔理沙「なんだ.....これ?」
殴られた頬を押さえながら魔理沙は人里の惨状を見ていた。
そこら中の民家が燃え、白狼天狗、人造吸血鬼、人間の死体が転がって辺りは焦げ臭い匂いと死臭で満ちていた。
魔理沙「う....おえ.....」
たまらず魔理沙は吐いた、そして改めて気づいた、これは今までの異変とは全く違う物だと。
しばらく歩くと人の声が聞こえてくる。
魔理沙「霊夢?」
霊夢は声に反応してすぐにお祓い棒を声の方に突き出そうとする。
霊夢「って、魔理沙?」
直前で霊夢が魔理沙に気づいた。
魔理沙「......何やってんだ?」
霊夢「生きてる人を探してる、まぁあったとしても死体だけでしょうけど」
霊夢が魔理沙に言う、その口調は業務的な、博麗霊夢の声だった。
魔理沙「なぁ、これは異変だよな?なんでこんな.....」
霊夢「異変?違うわ」
霊夢が魔理沙の目を真っ直ぐ見据える。
霊夢「これは外来人の侵攻、戦争よ」
魔理沙「......その外来人は何でここのルールを守らないんだ?」
霊夢「少なくとも守る気がないんでしょう、じゃなきゃ戦争なんかしない」
魔理沙が近くの人里の住人の死体を見て言った。
魔理沙「.....何でこんな酷い事が出来るんだ?」
霊夢「分からない、アイツらに直接聞いてくれば?それよりここはアンタの出る幕じゃないから早く帰りなさい」
霊夢がそう言って背を向ける。
魔理沙「まって!」
霊夢が歩みを止めて振り向く。
霊夢「何?」
魔理沙「私は足手纏いか?」
霊夢は少し首を傾げる。
霊夢「アンタに人が殺せるの?」
魔理沙「殺さなくたっていいだろ!弾幕とかで無力化すれば.......」
霊夢「甘い」
霊夢が少し怒りを込めて言い放つ。
霊夢「アイツらはね、やりすぎた、生きてちゃいけないのよ、それにアイツらも雑魚じゃない、無力化なんかにこだわってたら殺される」
魔理沙「でも......」
霊夢「早く帰りなさい」
そう言って霊夢は今度こそ魔理沙の前から消えた。
暫く魔理沙はただ人里を歩いていた、出会う人は皆友人の、家族の死を悼み悲しみに暮れていて外来人達への怨嗟を吐いていた。
魔理沙が小さい少女がナイフを持ち走っているのを目撃する。
「止まりなさい!」
自警団と思しき人物が少女を押さえる、よく見ると自警団は身体中血塗れで右手の指が何本か無かった。
「いや!離して!」
「クッ!あっ、そこの人手伝ってください!」
魔理沙が少女に歩み寄りナイフを取る。
魔理沙「こんな物持ったら危な.....」
「返して!」
少女は必死にナイフを取ろうとするが届かない、暫くして少女は泣き崩れた。
魔理沙「何でこんな物持ってるんだ?」
「お父さんと、お母さんを殺した奴を殺すの!」
魔理沙「..........」
魔理沙は覚悟を決め息を吐き少女の頭に手を置いた。
魔理沙「大丈夫、パパとママを殺した悪者は私が殺すから」
少女を自警団に預け魔理沙は霊夢の所、人里の中心に向かった。
霊夢「魔理沙.....」
そこには霊夢とウォルターがいた、辺りには無数の屍が散らばっている。
魔理沙「霊夢、私も手伝うぜ」
霊夢「だからアンタは.....」
ウォルター「霊夢」
ウォルターが霊夢を止める、霊夢は渋々納得したようだ。
ウォルター「じゃあ行くぞ.....博麗神社に」
慣れ親しんだ道を霊夢と魔理沙、ウォルターは歩いていた。
しばらく歩くと長い階段が目に入る。
階段には2人の人物が立っていた。
ウォルター(大尉)
「やぁ、さっきぶりだな魔理沙」
1人は過去にウォルターと相対した人狼、大尉。
もう1人は先程森で魔理沙をぶん殴った上級大将霧雨魔理沙。
大尉が階段の先鳥居を指差す。
「あぁ、霊夢さんは登ってください、上で少佐殿がお待ちです。」
霊夢が歩き出すと2人が道を空けた、霊夢はそのまま階段を登っていく、それと同時大尉はいきなりウォルターに強烈な蹴りを放つ。
ウォルター「うぉっ!」
糸の壁でガードしたが後方へ吹き飛ばされる。
「いいですね、ちゃんと人を殺す覚悟ができている」
上級大将が優しい口調で不気味に微笑む。
魔理沙「おかげ様でな」
「でも....」
上級大将がナイフを抜く。
「殺す覚悟があるだけじゃ、私には勝てないけどね」
霊夢は階段を上がっていた。
後ろで戦闘が起こっていて自分の親友と兄が戦っているのも分かるが、振り向けなかった。
鳥居の奥、本殿から感じる気配によって。
階段を登り切り対面する。
「初めまして、幻想郷の素敵な巫女博麗霊夢」
霊夢「初めまして、ナチスドイツ武装親衛隊の少佐」
黒い軍服を纏った霊夢。
霊夢(確か世界には全く同じ人間が3人いるって聞いた事あるけど、まさか全員に会うとはね.....)
辺りの地面を見ると地面に亀裂が入っており血が石を濡らしている、ここで戦闘があった事は明らかだ、そしていないと言う事は目の前の敵に殺されたのだろう。
思い当たった人物はよく神社に来る伊吹萃香だ、霊夢は最悪の可能性を想定した。
霊夢(コイツに特に目立った傷はない、って事はあの萃香を殆ど傷無しで倒した事になる)
それでも勝たなければいけない。
霊夢は自らの周りに陰陽玉を作る、無論弾幕ごっこの時と違い弾幕の威力調整はしていない。
霊夢「私がアンタを退治する」
「殺すの間違いでしょ」
少佐は好戦的な笑みを浮かべて言った。