表向きには
「はう……お、美味しい……!!」
初めて食べたというたい焼き。
頬を押えてその美味さに感動しているようだ。
身長がとても小さい砕蜂。
まだ顔も幼さが残っていて暗殺の一族とは思えないほど表情豊かだ。
うん……可愛い……な
なんてこのデートで何度思っただろう。
妹ができたみたいで心がほっこりする。
「維助様!次っ次はあれを買いに行きましょう!」
っと子供のようにはしゃぐ彼女。
今までは胸性性!のピンクで埋め尽くされた関係しか持ったことなかったからか、表向きとはいえこんな普通に楽しめるデートは初めてかもしれない。
「砕蜂は可愛いなぁ、もっと食え?ほらこれとか」
っと片手で頭を撫でて新しく買った団子を差し出すと
ムスッと頬をふくらませた彼女は
「お戯れはご無用に維助様!!で、でも貰っておきます」
と言って団子を頬張った。
可愛い……。
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「へぇ?魚の方が好きなんだ」
「はい!大好物です!」
しばらく団子屋で話してるとお互いの話になった。
「じゃぁ今度美味しい海鮮丼食える場所連れてってやるよ、びっくりするぐらい美味いんだ」
「本当ですか!楽しみです」
っと長い髪を揺らして笑う。
「えっと……その維助様の好きな食べ物はなんですか?」
「俺?うーん。強いて言うなら……辛いものかな。あー甘いものも好きだし……。あ、唐揚げが好きだ!」
「ふふ、色んなものがお好きなんですね」
って手で口を隠して笑う砕蜂
あの記憶の砕蜂と比べたら本当に表情豊かだな。
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そしてデートも終え砕蜂の部屋に送り届ける
「あ、あの……今日はとても充実した時間を過ごせました……。」
「そりゃよかった。また出かけよう」
って砕蜂の頭を撫でると顔が赤く染る。
そして
「はい!!」
っとニパッとでも効果音がつきそうな笑顔……
眩しい……
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部屋に戻ろうとすると喜助の部屋が開た
喜助が障子から顔を出していた
「どうでした?逢い引きは」
「いやぁ、砕蜂……可愛いよ」
「へぇ…………はい???」
へぇっと流そうとした喜助が、固まった
「砕蜂サン兄サンのタイプでしたっけ……-」
「いやまぁ違うんだけど、本当に可愛いんだよ。なんか心が浄化されるというか……癒されるというか……」
っと、あの幼い笑顔を見て笑う俺を見て
頭を抱えてしまった喜助。んでや
「好きなんスか?」
「え?うん、好きだよ可愛いし。」
「夜一サンは?」
「え?うんそりゃもちろん好きだけど?」
「あっなるほど」っと言って納得した喜助。
何に納得してんだよ
「そうッスよね、維助兄サンはそういう人でした」
あはーっと首に手を当てて笑う喜助の耳を引っ張る
「よくわかんないけどディスられたのはわかった」
「あいたたた!痛い!痛いっス!耳飾り!耳飾りで耳たぶちぎれちゃうッス〜!!」
って涙目の喜助を離す。
「あ、明日非番じゃん?俺ちょっと出かけてくるからお願い!外套貸して」
「えぇ、またっスか……?ってかあんまりひょひょい外でてると怪しまれますよ?」
「俺がそんなヘマするかよ。大丈夫大丈夫。明日ちょっと約束あって絶対行かないと行けなくてさ。」
「はぁ……仕方ないッスね」
部屋に戻った喜助が直ぐに戻ってきて片手には霊圧遮断マント
「ありがとう〜助かる〜」
「んじゃ、また薬の被検体としてお願いしますねん」っとニッコリ
俺喜助のせいでなんか薬効きにくくなった気がするんだけど。
明日は……あの藍染に呼び出されてるので絶対行かないと……。
にしても、バカ広い瀞霊廷で出会って。
すれ違いざまに紙を懐に入れられるなんて思わなかったな。
多分俺が来ると確信してわざとすれ違ったんだと思うんだけど。