惣右介とは知り合って約十年も経った。
あの闇商売してた頃が懐かしい。
定期的に流魂街の誰にもみられない場所+俺の機械フル活用で俺と惣右介は剣を交わしていた。
惣右介はここ数年遠慮なしに全力で鬼道ぶっぱなしてくるし、急所をガチで狙いに来ていて少しヒヤッとする時もある。
俺で黒棺を試そうとするのはやめて欲しい、今のところ失敗で終わってるけど。
俺はまだ剣と白打だけで霊圧すら解放していないけど。それでも、この状態で渡り合える人がいてくれて楽しい日々を過ごしていた。
今日もお互いボロボロで、俺は大の字になって地面に転がる。
惣右介は膝を立てて木に寄りかかるようにして座っていた。
すると突然
「──はははっ…」
っと聞いた事のないような笑い声。
楽しそうな笑い声が聞こえてそちらに目を向けると。
惣右介が天を仰ぎながら笑みを浮かべていた。
「んだよ。いきなり笑って怖」
って言うと、俺の声には返答せずまるで独り言のように呟いた。
「君ともう少し早く…出会っていれば変わっていたかもしれないな」
っと、なんの事か分からない。俺は首を傾げる
「だが…もう遅い。
アレとはなんだろうか…聞いても多分こたえてくれないだろう。
するとスタッと立ち上がった惣右介が、俺の傍によった
俺も身体を起こして立ち上がる
「…世界を作りかえる気はないかい?」
「──はい??」
そうすごい間抜けな声が出た。
「…いや、なんでもないさ。君はきっとこんな話をしても断るだろう。この言葉は
本当に何を言ってるんだ…?(大混乱)
「私は君を信用していないが実力と技術力は信用している」
「知ってるよ、何度も聞いた」
何度も何年も聞いた言葉。
「………なぜ君は他人を信用出来る?下級の者ですら、自分と肩を並べられない者ですら…なぜ他人に背中を預けれる」
「ほんっっっとうに今日どうしたんだよ。
でもまぁ____
完全に心の奥まで信用できるだなんて、無理かもしれない。
でも俺は裏切られてもどうにかできる力を持ってるから。
自分を信用できるのは自分だけだろ?俺は自分の力を信用してる。
どうにかできる力があるなら他人を信じても損は無いと思うんだよ。
だから俺は他人に背中を任せ、任務も任せれる。
あ'''ぁぁ俺説明とかそういうの苦手だけどよ。
例え一人でどうにかできる力を持ってたとしても、1人って寂しいんだよ。
ご飯も楽しいも、他人と共有する方がいいだろ?
前々から言ってるじゃん一人で飯食うより二人で食った方が、皆で食った方が美味いって。」
「君はいつもそれを言うね」
「1人で剣を振り回すより2人で振り回した方がいいだろ?って言った方が良かったか?
一人で素振りして楽しかったか?俺と剣を交えてお前楽しいって言ったよな。
俺はそれをご飯で例えたんだよ」
「…そうか」
説明下手くそだから抽象的になった部分あるけど。惣右介には何となく伝わったらしい。
本当に今日はどうしたんだか。
惣右介はここ数年で一人称をたまに変える時がある。
きっとそれが彼の素なのだろう
あのラスボスかは分からないけど。BLEACHの敵キャラであった彼は警戒心が高く何も信用しないという印象を受けていたが。
素を出しているということは、少しは信用して貰えているという事なのでは…?
っと思ったけど口には出さなかった。
「──そうだ。新たに作って欲しい道具があってね」
「おー、どんな仕様?」
_________
惣右介から頼まれたのは魂魄を
身体は傷つけず、また自覚もないように削り取れるようにして欲しいというなんとも無茶苦茶なものだったが。
おれは七々扇家の囚人で実験して成功させ。
1週間で作り上げた。
「ほう…これが」
見た目は銀で出来た匙のように見えるけど。
魂魄を削り取れる代物
「いやぁ、小型化と軽量化が大変だったわ」
使い方を説明していつも通り大金を貰って。
惣右介はなにか企んでいるようにニヤリと笑ってそのまま去っていった。
もちろん血判契約はしてる。
にしても…魂魄を削り取るなんて何をするんやら。
まぁ魂魄とか鬼道とかそういう系は喜助専門だし、俺が聞いてもよくわかんないだろうけどね。
惣右介が敵なるとわかってても手伝う理由。
俺と喜助はその研究が、その技術が
作ってみたいという強い欲求がある。
──分かっているのにやめられない。
俺が引き金でもしかしたら原作が
世界が本当に滅んでしまうとしても…
まぁ、俺はほぼ原作覚えてないから惣右介がどうやって倒されたのかも知らないしその流れも断片的だし…。
原作が変わってしまった!って考えるほど知識ないのが悔やまれる。
いや…別に原作沿いにこだわる必要ないか…?
俺がもうイレギュラーなわけだし…そうだよ、もし俺の機械のせいで世界滅びそうになったら俺が何とかすればいいよな…??
そうだ、自分で責任取ればよし。
うん!後のことは後で考えよ
そう決心して俺は帰路につく
________
「おや?」
二番隊隊舎に向かうと何やら騒がしい。
人集りが出来ていて、俺らの隊士と違う隊士で何やら口論…?
よくわかんないけどとりあえず。
「砕蜂」
そう呼ぶとスタッと瞬歩で膝をついた砕蜂が現れる。
「これ、どういう状況?なんか騒がしいけどよ」
「それが…十番隊の隊士が維助様をだせと…」
「十番隊の隊士…??」
十番隊に誰か知り合いいたっけか…。
それとも俺なんかしたか…?
すると──
「浦原維助を出してくれ!!」
「ですから!浦原四席はご不在で__!」
っと離れたここまで聞こえる。
「声でっっっか」
よく見ると人混みの中心に
そいつは見たことないしあれが十番隊の隊士か…本当に記憶にないな。
俺が近寄ろうとすると砕蜂に止められた。
「おやめ下さい維助様!!あのような者…!もし維助様に何かあれば…」
「いやいや大丈夫だって、ここで大騒ぎする方があれだろ?話ぐらい聞かなきゃ
はーい、解散解散」
俺が割り込むようにして散らすと、2番隊の隊士はすぐに離れていく。
「あんた……!!」
っと、羽交い締めにされてた青年が落ち着きを取り戻す。
「俺が浦原維助、あんまり騒ぐなよ話ぐらい聞いてやるさ」
とりあえず人数を散らして。静かな店で話を聞くことに
なんか怪我人も居るっぽいから砕蜂に任せた。
_________
「んで、俺に用だっけ」
若い新人ホヤホヤって感じの青年。
まぁ死神は成長速度まちまちだから一概に若いとは言えないかもだけど。
「俺は二番隊四席浦原維助。はい、俺は紹介したぜ。そっちは?」
「……俺は志波一心十番隊所属でまだ席は貰ってない」
「志波…あぁ、あんた空鶴ちゃんとこの?」
五大貴族が1つ志波家。
だが流魂街に拠点を構えるなど貴族からしてみれば自由奔放で、
没落しつつあり貴族の間ではもう既に四大貴族なんて呼び方されてる。
俺もそう覚えてたんだよな。死神になって初めて五大だったっての知ったな…まぁ俺の場合興味なかったからなんだろうけど。
夜一さんがよく喜助と志波家に遊びに行ってるらしく話は聞いてたので名前を聞いてピンと来た。写真も見してもらってたけど…
こんな青年いたかな__
「俺は分家で知らねぇのも無理ねぇよ。俺は貴族関係できたんじゃない……です」
「ふーん。そうかそりゃ悪かった。それで何用?」
すると、バッ!!と机に両手をついて頭を下げた
「俺を弟子にしてください!!」
「えぇ……」
「ミシンくんだっけ……いや俺弟子はもう取らないって決めてて……」
とりあえず頭を上げてもらうが。
「一心です。お願いします!!俺を強くしてくれ!
……じゃなくてください!!」
「いや……うーん」
俺が四席に上がってから中級を倒した剣の達人だとか何とか出処は京楽隊長以外にも色々広まって、こうやってたまに弟子入りとか鍛えてくれって希望してくる人が多く訪れるようになっていた。
「お願いします!!」
「いや俺1人もう既に弟子いるけどそっちにもあまり構ってあげれないぐらい忙しいし……増えるとなるとちょっと……」
浦原家の当主としての引き継ぎやら何やらもまだ残ってるし。
機械いじり回す時間も減ってたりするし……
四席部隊長の仕事も……
白哉坊ちゃんの指導も定期的にしてるし。
弟子が増えるとなるとまた別で時間を作らないといけないからめんどくさくて。
「お願いします!!そこをなんとか!!」
「何とかって言われても……剣の心得無いわけじゃないんだろ?
何を学びたいんだよ。俺の型は自己流で決して褒められた構え方してないから身体痛めるし癖がつくと良くないんだよ。
それにギリも無い。十番隊だろ?なんで俺が十番隊のほぼ無関係の隊士に教えないといけない」
「……確かにそうかもしれねぇ……。けど……俺はあんたの戦う姿に惚れたんだ!!」
「惚れ……っ!?いや俺そういう趣味は……」
「ちげぇよ!!んな事言ってねぇ」
っと全力否定。少し冗談言っただけなのに
「覚えてないかもしれないけど……俺あんたに助けられたんだ。
俺は斬魄刀の能力が強いからって過信して虚討伐に志願したのに
…その虚に手も足も出なかった…!
──悔しかったっ…」
ぎゅっと机の上に乗せられた手を握りしめる一心君
確かに覚えてないな……
「そしてもうダメかと思った時あんたが簡単に
数十人の隊士の命を奪い傷1つ付けられなかった虚を一刀両断したんだ……!
──かっこよかった、刀の能力なんて関係ない剣術。
始解がいくら強くてもそれを扱える剣術が!力が!
足りないって思い知らされて……。」
その目は真っ直ぐで俺を貫く
「──確かにあんたにはギリもねぇかもしれない。
だがあんたにしか頼めないんだ!!
お願いします!!俺を強くしてくれ…ください!!」
机にゴンッ!!っと頭がぶつかる音がするけど。
そんな事お構い無しにまた頭を下げた一心
「さっきも言った通り___
弟子志願を辞めさせるために言った訳じゃなくて
俺のやり方は癖がありすぎて俺はもう慣れてるけど
身体の負担が凄くて痛めるし、型は教えることはできない。
俺との鍛錬って言っても白打と
俺が得意とする抜刀も合う合わないあるし」
まぁ実際模擬戦をし続けて
喜助も受け身とか避けるのとかバチくそ成長したわけだし。
白哉坊ちゃんの指導も抜刀術のやり方と実践に備えた模擬戦だし……。
「ならその模擬戦!俺とやってください!
直接指導してくれなくてもいい!
俺が勝手にあんたと戦って経験値を得る!」
「うーん……」
模擬戦だけならまぁ2番隊の指導に混ぜればいいけど……。
「いや、俺やっぱり時間ないし……模擬戦ぐらいなら他の連中でも」
「お願いします!そこをなんとか!!」
食い気味に遮られてしまう。
とりあえずまだ仕事残ってるからと
無理やり惣右介と会うためにほっぽった仕事を片すために解散したはいいものの。
「おはようございます!浦原さん!!」
「今日はどこ行かれるのですか!」
「浦原さん!お願いします!ご指導を……!」
っと俺が外出る度に待ち伏せている。
「おい、十番隊の仕事どうしたよ」
「そりゃもう終わらせてきました!!仕事が残ってたら浦原さんに頼めないじゃないですか!!」
もう1週間。こんな感じだ、諦める気はなくずっとついてくるし
頭を下げつづけるから周りの目も痛くなってきた。
それをわかっててやってるのかもしれないけど
ここまで折れなかったのは初めてだな。
俺はガシガシと頭をかいて一息ついて一心と向き合う
「分かった。お前が満足するまで付き合ってやるけど、俺は言った通りあんまり時間がない半分は弟が相手すると思うけどそれでいいな?幼い頃から俺と戦ってる弟だから弱くはないよ」
「本当ですか!!ありがとうございます
「ただ自分も教えてくれ!って他の人が来るとめんどい。今回は特別だから他の人を誘ったりとかはするなよ」
「もちろんです師範!!ありがとうございます!!」
っと勢いよく頭を下げた。一心
──不本意だけどまた弟子が増えた。