初めは不思議な見えない壁にぶつかったのが始まりだった。
「…なんやろ…これ」
触れても優しく弾き返される。
音も__風も__何も感じない
何も感じないのに中で男2人が刀を交えているのが見える。
草むらの中でその不定期に行われてる光景を見るのが楽しみになっていた。
見えない刀捌きに憧れまで抱いていた。
「かっこええなぁ」
服は違うけど、身なりは綺麗だ、きっと死神なのだろうなんて想像がついた。
毎回毎回、あのくすんだ金髪の男が勝っていて。
「なんで負けたんに笑っとるのやろ」
負けてるのに口元は歪んでいる黒髪の男。
刀を交わしている時も2人してずっと笑ってる狂気と思えるほどに__
またある日、今日もいたらええなと思いまた向かうと。
「なんやろ…
銀色の匙のようなものを金髪の男が黒髪の男に手渡していた。
ニヤリと笑って去っていった男。
遠くからよく見えなかったけど、なんで匙なんか…?
____________
いつも通り帰ると____
乱菊が倒れていた。頬には殴られたような跡__
「へへ…これで金貰えるんだろ?無駄に暴れるから時間かかったな」
「なんだろうなこれ」
「知らねぇよ、変に詮索すると消されるかもだぞ?」
その男らの手に持ってるものを見て目を見開いた。
何故、あの日金髪の男が渡した匙を持っている?
なにかキラキラしたものが匙から溢れていて。
乱菊から何かを取った_____?
ボクは男達を追いかける。
すると、その場で膝を着いた男が匙を____
あの金髪と戦っていた黒髪の男に渡した。
サラサラと砂のようなものが匙から零れていくのが見える。
あぁ…こいつや…こいつが親玉や
直ぐに乱菊に触れた2人は殺せた。
1人は見つからなかった__。
あの男達に勝てるか…?いや今のボクには無理や
刀を目で負えなかった、あんな戦い今のボクには__
「ギン!どこいってたのよもう!って…血?それにそれ死神の__」
「乱菊、ボク死神になる」
「は…何言って…」
「死神になって__乱菊を泣かせない世界を作ったる」
恨み憎しみ__今すぐにでも殺しに行きたい。
けどダメやそれじゃぁ、今のボクには無理やいつか…いつか
殺して取り返したる___。
───────────
別れて6年以上たった、乱菊に触れたもう一人の男を探し続けている。
そうしてようやく見つけた、フラフラと酒を持った男が千鳥足で歩いている。
躊躇いなんてなかった、躊躇ったらこっちが死ぬ。
盗んだ刀で心臓を一突き。
「がっ…」っと手を伸ばしてくる男
「まだ生きとんの…?今楽にしたるよ」
伸ばしてきた手に刀を突き刺して縫い付け、短刀で首を切り裂いた
瞬間___
パチパチパチっと手を叩く音が聞こえた。
「!!」
あの男や、黒髪の__!
初めて目が合うその男に恐怖した。
こわい、こいつは無理や勝てない奴やっと本能が叫ぶ__
──だけど平常心を保って顔には出さんかった。
「僕が始末しようとしてたんだけどね。君__名前は?」
「___市丸ギン、市丸ギンや」
「そうか」
それがこの男とあの男への復讐の始まりだった___。
死神になるための学校に通わせてもろて、3ヶ月
乱菊は元気しとるのやろか。
そんなことを考えてるとあの男に呼ばれた。
「ギン、君に会わせたい人がいてね」
「へぇ、どないな奴なんですの?」
「この伝令神機を作り上げる天才、剣術の達人で停滞を嫌い_常に進化を求める男さ」
その笑みは、あの戦いの時に浮かべていた笑みと一緒で__
あぁ、
「君が〜えっとー…何とかギン?」
藍染副隊長と違ってこっちの男はぽやぽやして毒気が抜けそうになる。
一言で言えば優男。
ヘラヘラしててずっと笑ってる。
─────けど、隙は無い。
「市丸ギン、市丸ギンや、覚えておいてください。よろしゅう浦原維助サン」
___________
市丸ギン…市丸ギン…聞いたことあるんだよなぁ…って事は原作かぁ…
こんな小さな子…うーん…うーん…
あ、あれか!なんか刀伸びるやつ!!
あぁ!DSのゲームで使った覚えあるわ…!!
懐かしい〜小学生のころかなぁ…
なんて懐かしさにひたってると
「ギン、君の目には浦原維助はどう見える?」
「……アホ…?」
「殺すぞ」
っと反射的に返してしまった。
あれ?俺ら初対面だよな?
初対面のやつになんでアホなんて言われなきゃ行けないんだ??
「いやだなぁ冗談やないですか、ほんま見たまんま面白い兄さんやなぁと」
「それ結局褒めてないよな…?」
それからしばらく話したら、少しだけ警戒気味だったけど慣れてくれたらしい。
「へぇ…今院生なんだ、一回生?」
「そうなんですわ、でも来年にはもう卒業です」
「へぇ、1年で卒業かー優秀だな!
じゃぁもうすぐ死神かぁ〜うんうん、優秀な人が来て嬉しいよ。」
「君も1年で卒業するはずだったのにあの四楓院と浦原喜助に合わせて2年で卒業したじゃないか」
っと惣右介が言った…ってあれ?
「えっ、ちょっとなんでそれを知ってるの…???」
あれ、それ先生しか知らないはずだよな…??
「知る方法などいくらでもあるさ」
久しぶりに恐怖を感じた…。
──────────────
しばらく日を置いて夜一さんに呼び出された俺と喜助。
「……え?もう一度言ってください」
「じゃから、維助か喜助。お主らのどちらかを隊長に
「へぇ…あれ、空きがありましたっけ?」
隊長全部埋まってた気がする…?
「兄サンが身体壊した時に10番隊の隊長サンが殉職したんス」
「へぇー」
「それから内密じゃが、12番隊の隊長もこの度昇進することになってな、2枠空きがあるが2人は推挙できん。2番隊の穴も大きくなるしの」
「隊長になるのって試験あるよね?夜一さんのその言い方だと、絶対受かるみたいな言い方じゃない?」
「ん?お主らが落ちるわけなかろう」
マジでどっから来るんだその自信。信用とも言っていいか…?
「まぁ俺はパス!引き継ぎ多すぎるし。隊長だるいから」
「最後のが本音ッスよね…?でもまぁいいッスよボクがやります」
っと承諾した喜助にびっくりする
「えっ、意外!めんどくさいとか言いそうなのに」
「いや、めんどくさいんスけど…隊長になると色々自由が効くって聞いたんで…この際に新たな
「へぇ…!」
何となく喜助と話した内容を思い出す。
伝令神機で死神からの報告をまとめる機関や、新しい実験や研究ができる場所と人数揃えれたらいいなみたいな事を話してたなぁ。
喜助は喜助なりに考えてたのか。
「ま、喜助なら大丈夫だな。卍解も会社経営しながらさっさと習得してたし」
喜助が忙しすぎて卍解習得出来ないって言うから俺の技術と喜助の技術を合わせて、まぁ…卍解を簡単に習得できる人形を作ったのだ!
説明めんどくさくなんかないよ?
まぁ半分以上喜助の研究だし俺は外側作ったぐらいだしな。
「ふむ、じゃぁ推挙しておこう、数ヶ月以内に隊首試験があるはずじゃ」
「頑張れ喜助!」
「はいっス」
その夜に喜助が俺の部屋に来た。
阿近が茶を出す
「ありがとッス阿近サン。それで兄サン、隊首試験までに片しておきたい案件が。」
「また脱走者?」
って言うとコクンと頷いた。
喜助から貰った書類をパラ読みする。
「そうだな…喜助が居なくなる前には終わらせないといけない案件だな…。居場所もわかってないのか…」
「そうなんスよ。複数の脱走者と固まってなにか企んでいるらしくて…」
「あの…」
っとお膳を持った阿近が口を開いた。
「ん?どうした?」
「お仕事の話中すみません…その脱走者ってなんですか?囚人…?」
「あぁ、色々意味はあるけど今回俺らが話してるのは瀞霊廷からの脱走者。つまり隊から逃げた人達だ、
死神は
「そう…なんですか」
「例外もあるけど_まぁそれは置いといて、抜けようとすると色々情報も持ってるし、危険分子になるかもしれないから表向きは除隊とし、そいつらを隔離しておくんだよ。それが嫌な人達や気づいた人達が瀞霊廷から逃げ出してしまう…それが脱走者」
「情報を持っているし、危険分子になるかもしれないから…捕まえる…と?」
阿近は説明が軽くても伝わるから助かる。
「そうだな、今回はもう何かしら企んでる連中がつるんでるらしいんで早々に捕まえないといけない。
今回のやつらは霊圧も高く席官だし、隠れるのが上手い。
それにめんどくさい能力をもってる__。
地道に聞き込みするしかないかぁ…」
書類に記されたそれぞれの斬魄刀の能力をみてため息を吐く。
「えぇ、部下にもあたらせてはいるんスけど…」
「夜一さんはなんて?」
「夜一サンも早々に片付けないと面倒になると。隊首試験は遅らせられませんし、そういう能力なんで…まぁボクが抜ける前には終わらせないと」
「…わかった、2部隊も動かして情報を集める。」
「ありがとうございます兄サン。」
さて、喜助が気持ちよく隊首試験受けれるように俺も一肌脱ぎますかね。