惣右介が言ってた25件の謎の事件。
遺体の首に刃物でつけたようなバツ印が刻まれているのが特徴。
そしてついに───
「……夜一さん」
「儂の責任じゃ」
頭を片手で抱え込む夜一さん。
26件目。ついに二番隊の隊士が犠牲になった。
夜一さんの一部隊刑軍の1人
刑軍は夜一さんの護衛兼虚や危険な任務などが多いため弱い奴は配属させていない。俺が選び俺が実力を認めた隠密達がほとんどだ。
「……」
刑軍の奴がやられるって相当強いのでは……?そもそも1人か?複数の可能性もある。
でも、1人も目撃者がいないというのも……
とりあえず喜助の所の12番隊が事件の証拠や犯人の調査をしていると言うので向かうことに。
「砕蜂、夜一さんを任せた」
「はっ」
一度に2人以上死んでいない、目撃者もいないということは、1人になった時に襲われたのだろう、2人以上傍にいれば多分大丈夫。
瀞霊廷内は見回りや監視が強化されている、夜も朝も、その中で誰にもみられず……?
───────────
「たのもうー!!」
「ゴルァ!扉壊れるやろ!普通に開けられんのかボケ!」
12番隊の研究所の扉を開くと第一声にひよ里ちゃんの怒号。
「喜助ェ!!ボンクラ兄貴来たど!ゴルァ!」っと、仮眠室♡っと書かれた扉に向かって叫ぶっとしばらくして扉が開いた
「クマやば!」
ボサボサの髪に髭が伸びた喜助。
何より目の下のクマがやばい真っ黒なんだけど?
「そんな叫ばないでくださいよ.…頭に響く……いらっしゃいませ兄サン」
欠伸をひとつ漏らした喜助がキャスター付きの椅子に座った
「阿近さーん、二番隊の調査結果の資料持ってきてください〜」
っと、奥に叫ぶと阿近がトタトタと資料を抱えて来た。
俺はそれを受け取る
事件の詳細、死亡推定、また死因や戦闘痕の調査や毛髪など事細かに調べてあるらしい。
「一昨日の夜、死因は失血死。背中からの一太刀から胸を一突き……ね、慣れてんな。」
まるで隠密のやり方だ。
「25件目は戦闘痕があったんスけど、今回は完全に背後を取られての暗殺。隠密がそうそう背後を取られることはない……というのに、相手は少なくとも副隊長以上の実力でしょうね」
「……死神だと思うか?」
「そうッスねぇ……院は出てるでしょうね。鬼道を使用した痕跡がありましたし。斬魄刀の使用形跡もある」
鬼道は知識と技術がいる、死神でもない、鬼道衆や隠密でもないやつが使える技じゃない。そりゃそうか
「…………」
結局犯人と直接繋がる情報は……なし
「ありがとう。」
書類を阿近に返し俺は踵を返す。
喜助はずっと調べてまとめてたらしい、椅子の上で寝こけてた。
「さて、帰るか……」
夜一さんが傷心中だし、何か買ってすぐ帰るか……
甘味処は事件があったからか客は居なくてガラガラだった
三色団子とみたらし団子を包んでもらって帰ろうと歩く。
一日が早く感じるなぁ……もう夕方か俺も.もうジジイの気分だよ
人間で言うと人生3回ぐらいは生きてるしな。
いつも賑わっているのに事件があるからか静かだ__
早く事件解決するといいけど。
なんて思ってるとガツン──と、重い鉄が擦れるような音が聞こえて振り向く。
その瞬間───
振り向いた瞬間に見慣れた銀色の切っ先が───
「あっ……ぶな」
音を斬り裂くように目の前に振り下ろされ咄嗟に身を後ろに引いて間一髪避ける
俺がこんな近くまで来て気づかなかった……?殺気すらも?
そこには死覇装のうえに
「いきなり斬りかかってくるなんて、マナーがなってないなぁ。俺は二番隊副隊長浦原維助、そっちは?」
っというと、刀を構え直す兜男
「お前を殺しに来た」
そう面のせいか籠った声が聞こえた。名乗らないかそりゃ
なんて思ってると___また目の前に切先が。
「っは……!」
顔に触れるか触れないかの瞬間に草履の裏でそれを止め、弾き飛ばし距離をとる。
早い──?いや、俺が目に追えないわけない。
刀の振りは見えてた……いつ俺の目の前に来た……?
地面から足が離れる瞬間見えたか?
───いや、
「そうか……そうか、事件の犯人はお前か、そしてその斬魄刀の能力厄介だな」
生物に触れる瞬間に無効になるんだろう。
それか時を止めると攻撃できないから解除したか___。
どちらにしろ移動は時間を止めているらしく見えない。
「クソ厄介だなそりゃ!」
0.1秒にも満たない時間で刀を捌くか避けないといけない。
霊圧硬化してるとはいえ、隊長格の実力だった場合霊圧制御してる今は突き抜けて来る可能性がある。また七々扇家みたいな毒だったら死なないにしろ動きが鈍くなる。
だから避けるか捌くかしないといけないんだけど___!
「きっっっついな」
バク転して距離を取るが俺が刀を抜く前にまた詰め寄られてしまう。
抜刀の構えすらさせてくれないらしい。
ただ、ここは瀞霊廷、時間をかければ音と霊圧の衝突に反応したやつが来るだろう。ここは時間を稼いで__っと思ってると気づく。
俺の買った団子の包が
「教えてやろう、ここは時間の止まった空間。止まった空間の中に何が起きようと周りは気づかない。生物の時間は止めれないがな俺の卍解の力だ」
ボロボロになった草履を脱いで裸足になる
「卍解ねぇ……。めんどくさい事で、でもその感じだと長く持たないんだろう?そんな強い卍解霊力が持つはずない。それに色々制限があるんだろ?」
「ふっ、その通り……!」
また消えた──っと思ったが目の前に出現しない……
「後ろか!」
「遅い!!」
左後方から斬りかかってくる__右なら刀で防げるから、こいつ対死神戦にでも慣れてるな?
咄嗟に腕で受け止めるがそいつが狙ったのは腕ではなく……
「ぐっ……」
俺付けてた制御装置が半分に斬られ地面に落ちる
まずい、いきなり制御装置を取られると__
「最初っから狙ってやがったな……っ!」
片手とはいえ溢れ出る霊圧。お風呂のお湯は溢れないように制御できるが、海は?津波は?制御できるものでは無い──
荒れ狂う
「その硬い霊圧硬化も霊圧を制御できてたから成せた技だ!これなら……っ」
「ガッ……ッ……」
咄嗟に身体を捻らせ急所から外すが刀が脇腹を貫通した──
「はっ!やっぱりな」
っと笑い声が聞こえる
「はは……お前焦りすぎだ、そんなに時間ないか……?ふっ……よく言うだろ?」
「なっ……うごかない」
俺はそいつの刀を握りしめ動かせないようにする
「肉を切らせて骨を断つ──ってな。わざと斬らせたのさ、ばーか!さぁその面見せろや」
思いっきり身体を反って勢いをつけ、そして__
─溢れ出た霊圧の全てを収束させ頭突きをくらわせた
「ガッ!」
バキッっと音がして鬼の面にヒビが入りポロッと地面に落ちる
目を見開いた男と目が合う、だが男が短刀を懐から取りだし俺の目を狙う__
────「破道の八十八
背後から聞こえたその声に咄嗟に刀を離し飛び退く
「ばっ!ばっ!ばっかお前!!俺まで巻き添えになる所だったろ!
惣右介!!!」
「チッ……」
舌打ちした男は刀振る───次の瞬間にはその場から消えていた
ドシャッっと浮いていた団子が地面に落ち、能力が消えたことを証明する。
ため息を吐いて惣右介の方を振り向く
「助かったよ惣右介。ってか、惣右介入れたのか?」
「変な空間の事ならついさっき入れるようになったよ」
「なるほど」
ついさっき……俺があいつの刀に触れた時かな……?
「あー久しぶりに痛かった」
脇腹をすりすりと撫でる。
「その霊圧早く収めないと__」
人が来るよ……惣右介が言った瞬間には
「兄サン!兄サン!霊圧!霊圧を抑えて!ボクの所の隊士倒れてるんで!」っと、声を上げながら喜助が走ってきた。起きたのか……
「いや、これでも壊された時よりは抑えてるんだけど……」
「ってなんで制御装置が壊れて……それにその傷!」っと俺の足元に伝う血を見て慌てる喜助
「大丈夫、傷はなんか治った。浅かったし」
「えぇ……っ?あ、本当にふさがってる……一体何が……?」
だからって傷口触るか普通。
すぐに阿近が持ってきた制御装置を付ける。
少しひび割れるが壊れはしなかった。まぁ長くは持たないだろうな。
霊圧が溢れ出たせいでもう片方の無事だった方もひび割れてるし……
事件現場を調査する12番隊を横目に簡単に説明する。
恐らく事件の犯人と接触したこと等。
─────────
「はぁ……とりあえず俺重症って言っといて……」
「ダメだよ、総隊長がお呼びだ」
「はぁ……」
俺と惣右介は隊首会に呼ばれてしまった。
でもあの男__どこかで見たな、原作じゃない……
だれだ……?いつ見た__?