隊首会に呼ばれた俺と惣右介
主に俺が当初の状況を説明する。
「浦原維助、貴様を狙ったということか?」
っとある程度状況説明をした後に聞き返された。
「はい、お前を殺しに来た_と、理由は分かりません。たまたま一人でいたからって可能性もありますので」
「それで、その男の顔を見たのだな」
「ええ……焦げた茶色の髪に黒い瞳_あー、左頬と左目付近に火傷のような痕が」
「ほんまか……?」
っと声を出したのは平子隊長だった。
並んでた平子隊長はそのままつかつかと歩くと俺の胸ぐらをつかみあげる
「平子隊長!」
猫かぶりモードの惣右介が平子隊長を止めようとするがそれを振り払う
「ほんまに
「……恐らく……時を止める能力」
「っ……」
平子隊長は顔を歪めるとパッと、胸ぐらを掴んでた手を離す
俺は卍解の能力で時の止まった空間内で戦闘にあった事を話し、生物には無効と己が話していたとか分かっていること全てを話した。
「一定時間時を止める空間……なるほど、それは目撃者が居ないはずだ、25件目は戦闘痕もあったのに誰も来ないなんておかしいなぁーって思ったんスよ」
っと納得した様子の喜助
「……
っと言って、俯く平子隊長
「平子隊長が副隊長時代、君と僕が出会った頃の隊長さんさ、帯志土隊長。ある日突然断界内で姿を消したんだ、
拘突に飲み込まれた……つまりそれは死を意味している。
今は十二番隊が誰がどこを通ったかいつ通ったかの通過記録を取っているが当時は無い。予測でしかないが死んでいたはずの元隊長が……なるほど、だから見た事あったのか。
「でもなんでや
「浦原維助、藍染惣右介、ご苦労じゃった下がってよい」
っと総隊長が杖を鳴らす。
俺らは頭を下げ隊首室を後にした。
「顔を見た時からもしかして__とは思ってたんだけどね、霊圧が変わっているのが不可解だけど」
「霊圧が変わってた……?へぇ……そんな事あるんだ」
「能力でもない限り普通はないだろうね」
平子隊長のあの感じだと相当
……目的はなんだろうか、1人でいるのを狙ってたと思ったけど思い返せば俺の霊圧制御装置を狙ってたようにも見える。わざと腕を切り落とさず腕輪を切り落とした。
制御装置だと見抜いたって可能性もあるけど__。
霊圧硬化も知ってたし、俺の戦い方なんかも知ってるように思えた。
辻斬りみたいに適当な相手ではなく俺を標的としていた……?
俺は見たことあるけど帯志土って人と話したこともないだろうし、俺のことは知らないはずだ、当時九席の雑魚だったし隊長格がいちいち席官全て覚えてるとは思えない。
「あーわかんねぇ、なんかややこしいなぁ……まぁ確かにあの強さと能力で隊長格なのは頷けるけど……」
けれど霊圧硬化は抜け出てなかったなぁ……霊圧は俺の方が圧倒的に上ってことだ。けれど能力は相当厄介。時を停めている間に動くんだ、目で追うとかそういうのが通じるものでは無い。
「時間系のメカ作りたいけど、バレたらウジ虫行きだしなぁ……」
それに制御装置がひび割れてる今……戦闘になったら確実に壊れる。
阿近の実験でも外す時は大量の霊力を吸い取る石で囲って行ってたし。
少しずつ制御できる霊圧は増えたはずなんだけどそれでも抑えきれなかった……。
本格的に制御装置作らないとダメだな、次狙われたら大変な事になる。
惣右介と別れた俺は自室に籠る。
作っては見たけどやっぱりごついし見た目以上に重い。小さくはなってるけどこれで15キロ以上ある、両腕だから倍か。
殴る時は強いんだけどな、ただデカすぎてたまに戦闘に支障をきたすし普通に邪魔。
「帯志土……か」
俺は0.1秒にも満たない時間で刀を捌いてたが……速さになれてない普通の隊士なら無理だろうな、隊長格なのも頷ける
霊力消費的に短期決戦がいい所だけど、それで済むぐらいには強い。
普通は、「気づいたら斬られて死んでました」みたいな感じだろうな……でも不可解なのが25件目で戦闘があった事。
それほど25件目の被害者が強いのかと思ったらそうでも無い。
度々戦闘になってるぽいし……。
俺は死覇装のまま疲れて布団の上に寝る、しばらく眠気が襲って来たが
俺は何か嫌な予感がして目覚める
目を開けた瞬間__目の前の刀が振り下ろされた
反射的に頭をずらすと耳を掠り枕に穴が空く
「また会ったな鬼面野郎」
身体を弾くように起き上がらせ橋姫を探すがない。
男の手元には俺の橋姫が……くっそ、取られた!
おそらく時間を止めて入ってきたのだろう。益々厄介な能力だ
音を切り裂くように刀を振るう、おいおい俺の部屋がっ……
物を壊されちゃたまらないので俺は足裏に霊圧を収束させ勢いで男に蹴りを食らわせ外に吹き飛ばす。
それと一緒に外に出るが男の姿は見えない。
「もうその手は食らったわ!」
また背後に出現し刀を振るうがその刀を霊圧硬化した手で掴む
「あんた
「……帯志土…………帯志土……」
男が呟くように繰り返す名前。
なんだ違うのか……?っと思ってると
「俺は……おれは……誰だ?」
「は?」
俺は誰だって……それはまるで記憶が__。
そう考えてると空からブンブンと円を書きながら飛んで来る刀が見えた。
咄嗟にそれが紅姫だと理解すると男の刀を押しのけそれを掴む。
「ありがとうな喜助!」
男の卍解の空間はやっぱり刀に触れていると入れるようになるらしい。喜助が駆けつけて状況を理解すると俺に己の刀を渡してきたのだ
「援護はします」
っと鬼道の構えをとる喜助。
男は先程の動揺はなかったかのようにまた消え目の前に現れる
「その0.1秒も慣れたもんさ」
生物にも無効なら触れてしまえば恐らく時間を停めれない。
俺は斬りかかって来たそういつの腕を掴み相手の勢いと力を利用して合気道のように捻りあげ、腕から斬魄刀が落ちる。
地に伏せた帯志土の上に乗っかり紅姫を首筋に当てる
「……殺せよ」
「それは出来ない、お前には色々聞きたいことがあるからな」
橋姫を奪え返すが、男は何も言わない。
「…………」
「帯志土さん!!」
っと平子隊長の声が聞こえた、髪は乱れていて息も上がっていた。俺が刀に触れた時に空間から漏れ出た霊圧に気づいて来たんだろう喜助みたいに。
俺は男の面を弾いて飛ばすと、平子隊長が目を見開いた
「やっぱ帯志土さんやな……なんで……なんでや。なんでこないなこと……それに霊圧も……」
「帯志土…………おれは__帯志土……?」
「は……帯志土さん……まさか……そんな冗談つまらへんで…?」
っと乾いた笑いをこぼす。
「何失敗してんの」
っと、ハスキーボイスが聞こえ視線を向けると、月を背景に塀の上に座ってる若い女……いや男?中性的な顔立ちだ。
「……使えない」
一瞬__声が聞こえた瞬間に移動するのが見えたが、避けるよりも先に俺の頬に拳がめり込んだ
「ぐっ……!」
咄嗟に避けるが頬がピッと切れて血が流れ落ちる
こいつ俺の霊圧硬化を抜けた……!
「はっ、可愛い顔して強いんだな」
「硬いなぁ……もう」っと手を痛いと言いながら降る
「あんた名前は?誰だよ」
「僕はうーん、ミト!ミトでいいよ!納豆が好物だからね。ミトにしよう」
バリバリ偽名かよ。
「まぁ、ボクはこのボンクラを回収しに来ただけ」
っと小さい身体でデカい帯志土を持ち上げる
「逃がす思っとんのか」
「なに、関係ないでしょこれは僕が拾って僕が改造したの、僕の玩具をどこに持っていこうと僕の勝手でしょ」
「改造……?」
「そ!僕は
っとまるで子供が親に褒めてもらうかのように意気揚々と自慢する。
死体を改造__やっぱり、拘突で呑まれてって話は本当かもしれないな。本来は死んでいるはずのやつってことが?
死体を改造……その言葉を聞いて目を見開く平子隊長が見えた
「んや……それ気色悪いで」
「肉を人形のように動かすだけなんだけどね?本来は……でも突然変異か知らないけど意思があるんだよね!!へへ、可愛がってるの。良いでしょ?
他にも突然変異個体はいるんだよ!
でも脳内の記憶が戻ろうとすると大変なんだよねー
あと100年は整備に時間費やさなきゃ……じゃぁね!
100年後___生きてたら会おう」
そう言って逃げようとするミト
「逃がすと思ってんのか!」
俺はすぐに橋姫を抜刀しようと構えようと手を添えるがその前に鍔を足で抑えられ抜けなくなる。
夜一さん並に早い……!
「ダメだよ、君は厄介。計画の邪魔になるし殺して僕の人形にしようとしたけど、無理みたいだ。今日はこれで勘弁」
また帯志土を抱えた逆の腕で拳を振り上げるのが見え避けるが
パキッっとヒビが広がる制御装置。
拳は触れてない……風圧で制御装置が限界に達した__?
ヒビは徐々に広がり音を立てて崩れる
「あは、やっぱりすごい霊圧……じゃボクはこれで」
「まてや!!帯志土さんを返し!!」っと平子隊長の怒号が響くも
その場からミトと帯志土は忽然と姿を消した。
「兄サン!!抑えて!抑えてください……!平子隊長、すみませんあとは任せました!」
そう言うと喜助が俺を抱えて瞬歩で遠く離れた場所に運んだ。
確かにここなら霊圧の影響を受けるやつが居ない……。
喜助は恐らく俺の部屋に制御装置の予備を取りに行った
「がっ……ぐ……」
抑えろ、抑えろ、抑えろ……
出てくるな……言うことを聞け……
自身の霊圧だと言うのに抑えきれずに溢れ出る。
急激に霊圧が溢れ出ると苦しくなる。
なんとか抑えて、抑えて、極限まで押えた時
「なんできた……阿近!」
阿近が大量の汗をながし身体は震え意識を飛ばしそうになりながら、1歩1歩足を進め近寄ってくる
このままじゃ阿近が霊圧に押しつぶされてしまう。
俺は離れようとするが、動いたら制御がぶれる……
「俺は……あんたに救われた命……この命をあんたのために使うって決めたんだ。俺はあんたの力になるなら何でもする、なんだって……!」
阿近はそのうち倒れ、だが地面に這いながらも俺の傍に来た。
「やめろ阿近!はなれろ……潰されるぞ!」
阿近は震える手で懐から何かを取りだし俺の腕にまきつけた
「ぐっ……」
シュウゥゥっと音を立て身体の内の霊力が飲み込まれて行くのを感じ、暴走した霊圧が収まる
「っ……はぁ……はぁ……なにした?」
制御装置をつけた時のように収まった霊圧。
「っ……はぁ……霊力を吸収する石は溜め込むから限界がある、けれど俺が作って完成させたこの生物は
「へぇ……そりゃ便……利、生物!?!?」
生物って言ったか!?
っと聞き返すとコクンっと頷くと予備らしき同じものを取り出した。
「これは霊力を食べ続ける生物で、原理的には亜空間に霊子として分解して流し込んでるんです。こいつの口で分解し、それを飲み込み亜空間に繋げる……って聞いてます?」
「いや……気持ち悪いんだけどそれ!!」
1つ目の怪物がギザギザの歯をカチカチと鳴らしているのが布一面に__。
それが俺の腕に……?
「__取っていい……?」
「俺を殺す気ですか」