あれから魂魄が消失するという話は瀞霊廷中に広まり噂となった。
原因は不明。俺も惣右介が絡んでることは分かるが何をしようとしてるのか何をやってるのかは知らん。
ただ、本当に二番隊には何もする気はないらしく被害は二番隊に全くない。
「二番隊第二部隊、警邏隊。瀞霊廷内の
その日、情報が欲しいと京楽隊長が直々に二番隊に来た。
専用の応接室に案内して資料を机に広げる
「今のところは何も、朝夜交代できちんと見回っていますよ。これが巡回ルートです。1週間に一回変えてます。こっちが
主に流魂街の決まったルートをグルグル回ってます。定期的に充電が必要なんで戻ってきますけど
「うーん……」
首を傾げる京楽隊長。
京楽隊長が来たのは8番隊の席官が行方不明になったらしく、調査に
服が置かれていたという場所を渡したピンで刺す。
「巡回ルートもっと変えた方がいいかもね。ちょうど穴をつかれている。」
瀞霊廷はバカ広い。本当に、歩いて端から端まで10日かかるぐらいには
「流石に全ての死角を埋めるというのは……。隊員も人数が限られてますし、十二番隊に監視カメラもあるのでそちらを見てもらった方が何か情報を得られるかも知れませんよ」
「うーん、そっか、わかった喜助君の所で聞いてくるよ」
そう言って立ち上がった京楽隊長が部屋から出ていく時
「あ、そうだ」っといって振り返った
「はい、なんですか?」
「
「はは、平子隊長が
「……そっかぁ、また僕とも呑もうね」
そう片手降って踵を返した。
多分俺の予想だけど京楽隊長がわざわざうちに来たのは俺の様子とか見に来たんじゃないかな、妙に鋭いしあの人。
で、惣右介と呑まないって……
─────いや誘えるわけないじゃん!!
だって……!惣右介がハゲ坊主と入れ替わってんだもん!
誰あれ!白目むいてて怖いし……。
平然と5番隊の副官章つけて歩いてるから何!?って思ったけど。
鏡花水月で周りはアレが惣右介に見えているという事に気づいた。
いや、あの白目ハゲと呑み交わせって?なんの拷問だよ。
ってことで最近は可愛い女の子と飲んでる遊楽って店。現世で言うキャバクラ!!
相手はプロだし、そう言う愉快な気分になるだけで夜の関係とかは無いし安心だ。
でも……
「維助……!」っと頬を膨らませた夜一さん
「あーあはは」
香水の匂いを付けて帰ってきた俺に拗ねたらしい。
「儂と出かける時は……髪なんぞ適当に結っておるくせに……。」
っと、俺が出かける時に髪を整えるのにもモヤッとしているようだ
「あーごめんね?いやぁ……ついついここ最近忙しかったから……息抜きに……ね?ゴブァ!い、いたい」
鳩尾に右ストレートがめり込んだ。腕を怪我させないように硬化全くしてなかったせいで、内臓に響く痛み。
蹲ってる俺に
「維助なんぞもうしらん!」っと腕を組んでそっぽ向かれてしまう
「機嫌直してよ、夜一さんね?ね?ほら、あーえっと……そう!今度一緒にキャバクラ行kゴフッ!」
今度は脳天にかかと落としが入って俺は畳にめり込んだ……
「今のは擁護できませぬ、維助様。」っと呆れた砕蜂の声。
夜一さんはどっか行っちゃったらしい。もう部屋にはいなかった。
「あーいててて」
あれからというのは……まぁ霊圧暴走時にまで遡るけど。
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「維助!維助無事か?」
っと阿近に制御装置をつけられた俺が帰宅すると夜一さんが駆け寄ってきた。
あちこちぺたぺたと触り怪我を確認してくる
「だ、大丈夫だって、頬が少し切れた程度だし。ほらこれ阿近が作ってくれたんだぜ?凄いよな。これで俺のあのバカ重い制御装置ともおさらばだし……ってなんで泣いてる!?」
制御装置を見せて笑うとポロポロと金色の瞳から大粒の涙が溢れていく。
「え、ちょ俺より夜一さんの方が怪我してない!?ちょ、あの、泣かないで」
指で涙を拭うもどんどんと出てきて止められない。
何も言わないで泣いているので俺は慌ててどうしようと周りを見渡すも誰もいなくなってる、おいまてさっき喜助も着いてきてたよな?あいつ帰りやがった!
「ずっと……」
っとしゃっくりを上げながら言葉を繋ぐ夜一さん。
「ずっと、一緒におるって……言ったのに……!約束したじゃろ、勝手にいなくなるでない……」
俺に抱きついてすりすりと頭を胸板に擦り付ける。
「心配かけてごめん夜一さん。勝手に居なくなんないよ、大丈夫俺は夜一さんを守って支え続けるって言っただろ?」
優しく撫でるとまた「うぅ……」っと言って服が濡れていくのがわかる。
「よしよし」
しばらくすると夜一さんが突然俺の背中に回って飛び乗ってきた
「うわ、何!?」
「おんぶじゃ!さぁ維助おぶれ!」
気分屋で唐突になにかするのはいつもの事だけど今!?
って思いながら橋姫を壁に立てかけ、夜一さんの足に腕を回す。
「高いの〜」っと俺の肩から顔をのぞかせる夜一さん。
俺はのんびりと二番隊隊舎にある林を歩く
「だいたい
「昔は儂より少し高いぐらいじゃったのに」
「それいつの話?だいぶ昔じゃん、それこそ出会った時ぐらい」
「そうじゃの……あの時は胡散臭くて態度の悪い貴族の男って感じじゃったの」
「ふは、たしかにあの時の俺だいぶ態度悪かったなぁ〜」
京楽隊長にタメ口聞いたり(今もたまにやってる)今となったらヒェエエってなるような事をしてた。
「儂が当主になるのを応援してくれた」
「うん、そうだね」
「儂を怪我させまいと白打の講義で手を抜いとった」
「はは、懐かしい」
「
「うっ…俺の黒歴史…!」
っと言うと、ははは!っと楽しそうに笑う夜一さん
プラプラと足を揺らして鼻歌を歌い出す。
すると、段々と静かになっていく
「夜一さん?」
俺は立ち止まって名を呼ぶと、肩の布をギュッと握られる
「儂のことは大切か?」
「え?そりゃもちろん大切だよ」
「1番か…?」
「喜助と夜一さんどっちも1番だよ」
っと言うとふっと零すように笑う
「儂も維助が1番大切で、大切で…大好きじゃ」
足元を風がなぞる。
夜一さんは俺の肩に顔を埋めていて、俺が口を開こうとすると遮られた。
「お主が結婚を望んでいないのは知っておる、昔から言っておったしの。身軽でその日限りの
バレてたか、と苦笑いをうかべる
「儂はきっと…昔からお主のことが好きじゃった。気づいたのはずっとあとじゃが…。儂とお主は正式に結婚ができぬ。だから婚約は破談になる…。でも嫌なんじゃ…儂はお主を離しとうない。」
「…俺はきっと人を幸せにはできない。自分勝手で最低な事をしてきた自覚はあるし、これからもすると思う。機械ばっかだし好きな事を好きなだけして生きていきたいし…だから身軽が良かった。夜一さんはこれからも大切な人なのは変わらないよ。」
「…そ…うか。」
俺の肩が湿って行って、泣いていることが分かる。
ごめん、夜一さん。
───しばらく落ち着いた夜一さんは俺の背中から降りると
伸びた髪に俺の卒業祝いにあげた簪を揺らして笑った。
「じゃが、儂の気持ちはかわらん!儂はお主を好いておる。」
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そして現在に至ると言うわけだ。
正直可愛かった__というのは俺の中に秘めておく。
本当にごめんな、夜一さん