隊長になった俺の話
「夜一…様。」
浦原喜助らが現世に逃亡した事が公になった。
すぐさま砕蜂は隊首室に走り襖を開き
ガラッとした部屋を見てペタンっと膝を着いた。
「いす…維助様は…?維助様も…?」
ポロッと…目から涙がこぼれ落ちる。
「砕蜂」
聞きなれた低く心地よい声に振り向く
そこには眉を下げた維助が立っていた
「っ…!維助様!!夜一様が…」
「大丈夫、大丈夫だから」
優しく砕蜂を抱きしめあやすように頭を撫でる
「維助様、維助様…」
「俺は大丈夫、何処にも行かない。」
──────────
俺が尸魂界に残った理由の一つ、砕蜂が壊れると思ったから。
砕蜂は夕寝さんが亡くなった時も酷く傷心していたし、また召使えてる夜一さんが居なくなって、俺まで居なくなったら___っと考えたからだ。
夕寝さんや夜一さんが守って歴史を作ってきた隊。
まだ夜一さんの弟の夕四郎君は幼く隠密機動は任せることが出来ない。
俺が全て責任をもって継ぐ___。
ちなみに弟だから副隊長だからという理由で疑われたりはしなかった、そこは京楽隊長が俺のアリバイを証明してくれたから。
「え、俺が…」
「そう、隊長に。どうかな?実力も十分だし、穴が大きくてね。総隊長も二つ返事だったよ」
そう俺に話したのは京楽隊長、なんでも
2番隊、3番隊、5番隊、7番隊、9番隊、10番隊、12番隊っと隊首が居ない。たしかに穴が大きすぎる。10番隊は殉職してから隊長いないしな…
「それで早急に隊長を補充しないといけなくてね。まずは君を__と」
「……俺卍解は__」
「何言ってるの〜使えるでしょ?」
そう笠の下から見る顔は見透かしてるように笑っていて。
まぁそうか…
「わかりました…うけます」
隊首試験では本来数人の隊長格が同席するのだが総隊長しかいなかった。
致し方なく卍解を披露し、俺の元々の功績もありすぐに隊長になることに。
やはりガタガタになった護廷十三隊は大変だな。
「ねぇ、これ着ないとだめ…?」
「ダメです!
「えぇ…」
無事に二番隊隊長として就任したのはいいが、袖のない死覇装。
刑軍装束だ、夕寝さんと夜一さんと一緒でノースリーブで流石に背中は開けるなと言って閉じたものにしてもらった。
袴は
これ夜一さんとか夕寝さんが使ってた…瞬何とかって技のための服じゃないの…俺使えないけど?
「あの…本当に着ないとだめ?」
「お似合いです維助様!」
キャッキャと俺の姿を見て喜ぶ砕蜂。
ちなみに隊長羽織は袖なしにした。裏面がオレンジだ、なんか夜一さんを思い出すな。
ちなみに刑軍軍団長の抜刀は
俺にはまだ仕事が沢山ある。引き継ぎはまぁ副隊長をやってたからだいたい大丈夫だとして、
他は十二番隊の事だ、喜助の後釜は多分涅になるけど、まだ実力は無い。
それに四十六室により虚化の禁忌研究を行ったことにより技術開発局が潰されかけていた。
早速俺は四十六室に掛け合い長い口論の末、プレゼン能力と俺の功績によって技術開発局は続行する事になった。
良かった良かった。
早速阿近らに知らせると
「本当ですか…!よかった…」
っとホッと胸を撫で下ろしていた。
「ふん、仕方ないネ…」って何が仕方ないのかわかんないが涅も喜んでいる。
技術開発局、局長は涅が引き継ぎ、12番隊隊長・副隊長はまだ居ないが総隊長に掛け合い、涅マユリを副隊長に、特殊な隊なので勝手がわかる涅マユリをいずれは隊長に……っと進言しておいた。
これで12番隊は大丈夫。
あとは10番隊は元々一心が隊長代わりを務めているし卍解を習得したら俺が推薦しておこうかな。
ガラガラの中新任の義が終わった。
喜助の式典を見守ってた俺が、される側になるとは……わからないものだな。
そして___。
「てめぇは殴ると決めてたぞ惣右介」
「おや、これはこれは浦原
っとニッコリと笑う惣右介。
「維助でいいわ!アホ!ったく……。まぁいいや、殴るのは今後に取っておく」
「なんや荒れてますなぁ」
っと笑うギン
「何が荒れてるだ、荒れないわけないだろ」
「アイタタ!なにするん」
グリグリとこめかみを拳で捻ると涙目になったギン。
どうしようも無い怒りだ。
「手は出てないだろう?約束通り。どういう訳か疑いがかかってしまったようだけど__」
「…………言うと思った。いいよ、怪我させなかったのなら。許してやる。」
するとパチクリと驚いたように瞬きする惣右介。
「なんだよ、そんな驚いた顔して」
「いや、斬られるかと思ってね」
「俺をなんだと思ってんの?」
ムカついたからって斬らないわ。
ってか…喜助と夜一さんが現世に行った理由これだったのか……
結局止めたら止めたで、主人公が困ることになるんだろう。多分?
惣右介は計算高い、俺が惣右介の悪巧みを暴こうとしても喜助みたいに冤罪をかけるように準備してたかもな…。
それに俺は友達を売れなかった。
___________
────30年後
30年で変わったことを簡単に言うと
弟子1号白哉坊ちゃんが護廷十三隊に入隊、2年で卒業してきやがった
弟子2号一心。俺が推薦して10番隊隊長に
それと同じくして涅も12番隊隊長に。
そして惣右介、誰の推薦かは知らないけど5番隊隊長になった。
護廷十三隊はフレンドリーな隊長格がほとんど居なくなったせいで隊同士の関わりは薄れてしまった。
関わりまくってるのは俺ぐらいか…?
惣右介の所に遊びに行ってるし、白哉坊ちゃんの所にも一心の所にも行ってる、京楽隊長とも浮竹隊長ともたまに呑むし。
段々と形になってきた護廷十三隊__時代の移り変わりって感じがするな。
俺は功績を挙げ続け、伝令神機、誰でも簡単簡易結界装置、また鬼道が苦手な方へ、鬼道補助装置。まぁ簡単に説明すると補助輪みたいなので自転車走れるように練習する装置的な…?等々を作り上げ、コピー機も実用化し、pcも各隊に備え付けた。
それで___
「なんで俺が真央霊術院の講師に?」
「いやぁ、君が1番適任だと僕が推薦しておいたんだよ」
「はぁ…京楽隊長、俺の隊長推薦と言いなんか俺を過大評価してません?」
「いいやぁ?正当な評価だと思うけどね」
京楽隊長が総隊長に実力不足の死神が多い問題を解決するために俺を講師にと、勝手に勝手に!!推薦したのだ。それを総隊長が承諾、俺に知らされた時にはもう確定してた。
「はぁ…そういうの本人に聞いてからでしょ」
「いやぁ〜だって断るじゃない〜」
「断るわ!俺が先生とか無理だろ」
「いやいや、伝令神機やその他すごいもの作っといて教える頭がないなんて言わせないよ?大丈夫大丈夫、座学の一部と剣術と斬術の講義だけさ。それに特別講義だから毎日じゃなくていい」
「そりゃ毎日だったら隊長としての仕事回んなくなるし、そうじゃないと困る」
「ってことはやってくれるんだ?」
っと笑う京楽隊長。
俺は心の底から出るような深いため息をはいた
「わかった、わかりました〜やればいいんでしょやれば?」
両手を上げて降参ポーズをとると
ふふっと笑う京楽隊長。
「ふふ、ありがとう、維助君。」
ってことで俺が院の特別講師になった。